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2010年10月 3日 (日)

■ないものを規制することによって、問題があることにしてしまう■

Twitterを検索していたら、興味ぶかいツイートを見つけました。

今やってる『エル・トポ』にはエル・トポJr.のイチモツにボカシが入っているらしいです。現在大人気の『十三人の刺客』の立ちション少年にはボカシ無しなのに変な話です。映倫って、思い付きでボカシや年齢制限を決めてんですかね?

答え→その通りです。
思いつきというか、映倫の審査委員のうち「誰が担当するか」で、審査結果が違うそうです。「Aさんなら通してくれたのに、Bさんが来たからダメだった」という、クジ引きのようなことが起きているそうです。
ふだん、審査で苦労させられている人から聞いたので、間違いないでしょう。


またこんな話をすると、「読まなかったこと」にしてスルーされるんでしょう。
みんなが「まあ、しょうがないね」と通りすぎること、それがつまり、「抑圧」だというのに。
『ぼくのエリ』については、スウェーデン大使館が沈黙しましたよね。全興連が黙りましたね。そして、観客は抗議すらしない。

ふと、気がついたんですよ。「ああ、児童ポルノ法が規制強化されたり都の青少年育成条例が改正されると、こういう空気になるのか……」と。

なんだ、もうとっくに始まってたんだ、と拍子抜けしました。もはや法改正するまでもない。そんな必要はないんです。先に、みんなが口をつぐんでくれるから。
だから、表現規制って、現在、稼働中なんですよ。


『ぼくのエリ』は、公開館数が少ないので、なかなか理解してもらえないのですが……。
Eliエリという少女の股間がアップになったとき、無数のひっかき傷が入って、性器があるとおぼしき部分が隠されるわけです。

だけど、あちこちで画像がアップされていますが、モザイクの下には、女性器も男性器もありません。特殊メイクかCGか分かりませんが、「去勢された後の傷」があるだけなんです。
つまり、エリは、少女でも少年でもない。
だけど、女優が演じていますから、観客は「女性器が映った」と誤解してしまう。「ないものを隠す」ことによって、「ある」ことにしてしまう。
――こういうミスリードって、これまでも歴史の中で、何十回、何百回、何千回と行われてきたんでしょうね。ナチス・ドイツがそうでしょう、魔女狩りがそうでしょう。

「非実在青少年」のように、「ないものを規制することによって、問題があることにしてしまう」。
それがまず、『ぼくのエリ』という小さな映画の中で、試みられた。僕もてっきり、未成年の性器が映ったのだと思い込んでしまった。怖ろしいことに、映ってもいない、存在すらしていない「エリの性器」が、脳の中で像を結んでしまうのです。制作者の意図とは、無関係に。
事実とは正反対に、「あの映画には、未成年の性器が映ってるんだぜ」と、観客は刷り込まれてしまう。

表現規制の何がおそろしいかって、「思考に影響を与える」ことです。


昨年、アグネス・チャンが国会に招聘されたとき、「そんなに子供の裸、見たいですか?」と、恫喝めいた発言をしてましたよね。
『ぼくのエリ』のモザイク問題に関しても、まったく同じ反論が成立してしまう。私は、スクラッチ(引っかき傷)のない、プレーンな状態で映画を見たい。だけど、「どうせ、エリの性器を見たいだけなんだろ?」と反論されてしまう。
その羞恥のために、みんな黙ってしまう。為政者にとっては、ますます都合がいい。

しかし、僕は黙らない。みんなが黙っているぶん、発言しつづけます。

(C)EFTI_Hoyte van Hoytemahttp://pia-eigaseikatsu.jp/piaphoto/title/240/154212_1.jpg

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