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2010年8月22日 (日)

■絶対評価■

主題歌や名セリフに特化した、アニマックスの夏特番で『カウボーイ ビバップ』最終回、『ゼーガペイン』最終回、『勇者王ガオガイガー』第一話などを視聴。
どうも、これは秋からの放送のキャンペーンを兼ねているらしく、『ゼーガペイン』は9/2から放送開始。ライトユーザーを増やすには、チャンネルは多いほうがいい。
BDをファンに販売して終わり、では寂しすぎる。いきなり最終回を見せるってのも、意外性があって、いい戦略かも。

嬉しいことに、『ガオガイガー』も10月より放送決定!
59_297~98年は、ライターとして一歩を踏みだそうかという時期で、周りに『ガオガイガー』のファンも多く、会うたびに熱く語り合い、玩具も買っていた。
みんなが『エヴァ』なら、俺は『ガオガイガー』派だぜ、ってなもんだった。

ひさびさに第一話を見たら、「熱い」とかいうより、これだけの要素を放送時間枠に押しこんだテクニックに驚嘆。演出は、谷口悟朗。


DVDでは、『キャピタリズム マネーは踊る』と『ミルク』を続けて。
Imagesマイケル・ムーアも、ハーヴィー・ミルクも、勇敢な人物だ。ハーヴィー・ミルクは、マルコムXのように、その行動と発言のため、命を奪われた。本来、社会にモノを言うとは、そういうことなのだ。信念を貫くには、リスクがともなう。

ハーヴィー・ミルクは「戦うんだ」と、頻繁に口にする。
僕の大好きなドキュメンタリー『RIZE』のキャッチコピーは、「踊っているんじゃない。闘っているんだ。」
貧困や差別は、戦う動機になる。そして、戦いのない人生は退屈だ。


さて、★印による映画への「採点」は、何が原点となっているのだろう?
文科省の学習指導要綱にもとづく、5段階評価には、「相対評価」と「絶対評価」の2種類がある。

「相対評価」が導入された1980年。僕は中学2年だったと思う。教師から、「クラスには、5をとれる生徒の数が決まっているんだ」と聞いた。
つまり、クラス全体の学力を見て、あなたは他の生徒に比べて「1」ですよ、あなたはクラスでトップなので「5」ですよ、と決める。

ところが、1989年以降は、問答無用で、一個人の中で「努力を要する」が「1」とされる「絶対評価」が主となった。
つまり、5段階評価は、この頃より「暴君と化した」といえるだろう。「絶対評価」は、個人を断罪する。
★印愛好家の皆さんを、僕が「横暴」だと感じるのは、彼らが「絶対評価」を採用しているからです。


面白いことに、5段階評価が「絶対評価」へと凶暴化した1989年、日本の合計特殊出生率が低下しはじめたんです。
相対評価の通用しない狭い世界では、問答無用で「アンタは★一個、こっちの科目はマアマアだから、★三個やるよ」とやっつけていくしかない。

だけど、それは少子化の進む教育現場での話だからね。
どうして、映画という自由で多彩な表現物を、★だとか点数だとかで裁いていくのか、僕には分からない。
それとも、映画作品は、あなたが教え導くべき「生徒」なのだろうか。まさか、ねえ。
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コメント

>アニマックスの夏特番
昨日は広島行っていたんで見れなかったんですが
そういうのやってたんですか、見たかった
>嬉しいことに、『ガオガイガー』も10月より放送決定!
そして何よりこれがうれしいですね
例のポケモン事件のせいか、ガオガイガーはほんとに再放送が少ないですから。
まあそれなりの対策処理はされるんでしょうけれど
あの異様な熱さがまた語られて欲しいですね
ロボものが皆無の昨今だけに

投稿: Miya-P | 2010年8月22日 (日) 15時49分

■Miya-P様
ポケモン事件と『ガオガイガー』に関連があったとは、まったく知りませんでした。

今は、テレ東も、かなり緩くなっていますから、アニマックスでは画面いじったりはしないと思いますよ。

投稿: 廣田恵介 | 2010年8月22日 (日) 16時21分

廣田様

暑い日が続いておりますが、おかわりございませんか?

>★印愛好家の皆さん

自分も彼らを苦々しく感じています。
誤解を恐れずに申し上げると「たかが民草どもが」と哀れんですらいます。(まぁ自分も民草なんですけど^^;)
映画ってもっと単純に素直に向き合うもんじゃないですかね。
「どれどれ自分のお眼鏡にかなうかな?」なんてスタンスで映画に臨みたくないです。

そんな自分はこれから鈴井貴之監督の「銀色の雨」をDVDで鑑賞です。
映画館で見てますが・・・もう一度。
(これも酷評なんだよなぁ・・・)

投稿: かまタロウ | 2010年8月22日 (日) 16時39分

■かまタロウ様
お気遣い、ありがとうございます。日中は、なるべく籠もるようにしています。

>「銀色の雨」

この作品、存じませんでしたけど、前田亜季なんですね。確かに、この作品も恵まれてないようです。

ただ、公開中の映画ではないので、ググっても★を見ることなく、調べることが出来ました。

>誤解を恐れずに申し上げると「たかが民草どもが」と哀れんですらいます。(まぁ自分も民草なんですけど^^;)

最近は、プロですら、★印マニアだったり、採点中毒にかかっていたりするようです。
見えないところで、お遊びでやっててくれればいいんですけど、ここまで蔓延してくると、公害ですよね。

「主演俳優の演技がイマイチだったので、星ひとつ減点です」とか、あれってマジじゃなくて遊びですよねえ? 自分が感動したなら、もう、満点でいいじゃないですか。何様のつもりなんだろう、彼らは。

投稿: 廣田恵介 | 2010年8月22日 (日) 17時10分

ポケモン事件ってもしかして、あの・・調べていくと金田さんがやりだした犯人ってなったらしい一コマごとの光点滅のことですか?

投稿: なお | 2010年8月22日 (日) 18時43分

>なおさん
先日のNHK−BSの999劇場版放映の時、クライマックスの金田さんの作画パートの所で画面をあからさまに暗くしてました。無粋なことをやってくれるものです。問題なのは赤青の激しい点滅であって作画の変化の激しさが問題になる訳ではないのに。アニマックスの999映画版放映ではやっていませんでしたよ。ただ、ガオガイガーの赤青点滅はポケモンとは比べ物にならない程激しいのは事実です。特にパスダーと機界四天王の地下シーンあたりは毎回激しくて確かに目が疲れますね(^^)そのため、キッズステーションでの放送ではフィルターをかけた様なぼかし処理が入っていました。

投稿: Miya-P | 2010年8月22日 (日) 21時08分

あの★印を見ると「品質のチェック」と「鑑賞」が彼らにとってはイコールなのかな?と…

映画に限りませんが、アンバランスで欠点だらけでも魅力的な作品もたくさんありますし、その価値は★印では拾えないような。

以前、このブログで廣田さんが書かれていた「作画崩壊を声高に叫ぶネット住人」の話題と通じているように思いました。

他者の創作物・生産物に対して「お客様」であることで常に優位でいたいという気持ちが強すぎるのかもしれませんね。

投稿: べっちん | 2010年8月22日 (日) 21時29分

廣田様

自分も日中は外に出ません。

「銀色の雨」は「水曜どうでしょう」に大泉洋と出演している鈴井貴之が監督した作品です。(彼、実は映画監督でもあります)
今日、改めて見て気付いたのですが、AKB48の大島優子も出てました。
この作品の前田亜季の演技が自分は好きですね。機会があればご覧下さい。

>自分が感動したなら、もう、満点でいいじゃないですか。

一箇所でも愛せるところがあればもう最高ですよ!
★をつける方はよほど完璧な人間なんでしょう。僕なんか足元にもおよびません。


投稿: かまタロウ | 2010年8月22日 (日) 22時11分

■なお様、Miya-P様
ポケモン事件については、ある人はまったく平気で、一部の人が病院に搬送されましたね。これは、単なる個人差なのでしょうか?
この一件も、「赤と青の点滅だけが悪い」とか「誰が始めたから犯人だ」とかいう、ひとつの定規では測れない、理不尽な問題をはらんでいます。

何がNGか、という基準は法律で決まっているわけではないので、局ごとにバラバラですしね。
ちなみに、『ガオガイガー』は第一話だけでも、ちょっと疲れますね(笑)

■べっちん様
>アンバランスで欠点だらけでも魅力的な作品

それを発見するのは、ひとりひとり、別々の人生を歩んできた「個人」ですよね。
採点マニアは、表面上は、自分を平均的な人間だと謙遜しているようです。「一般観客からすれば」という言い方を、好んで使いますよね。
どこにいるか分からない「一般観客」なんかでなくて、あなた自身はどうなんだ、という話を聞きたいのです。

>「お客様」であることで常に優位でいたいという気持ち

ええ、最初から「よーし採点してやる」という傲慢な気持ちで見ているから、「採点不能な感動」を体験したことがないのでしょうね。

■かまタロウ様
「銀色の雨」、レンタル店にあれば、是非とも借りてみます。レンタル店も、グローバル化が進んで、『アバター』だけ、いまだ数十本並んでいます。
レンタル店にも、「貧富の差」が広がっていますね。マイナー作は、最初から入荷してもらえない。

>★をつける方はよほど完璧な人間なんでしょう。

一本の映画を見ることで、自分の価値観が引っくり返る、なんてことは予想だにしていないんでしょうね。
一枚岩のように、自分は鉄壁だと思っている。プライドの高さが、垣間見えますね。

もちろん、映画を見た全員が「採点マニア」ではありませんが、たがだか数人か数十人の★印で「あの映画はダメらしいね」と見た気になってしまう人さえ、いる。
やっぱり、公害なんですよ(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2010年8月22日 (日) 23時46分

さすがですね、画面の明るさなど全く気にせず見ておりました。そう言われてみると、ブライガーも暗かったような気がしてきます。

投稿: なお | 2010年8月23日 (月) 07時12分

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