■僕を入れてくれるクラブになんて、入りたくない■
計算外の事態なのだが、『みつばちハッチ』が好調らしい。初日2日間で、4万6687人を動員。初登場8位。
親子連れでいっぱいの映画館は、ちょっと腰が引ける。ガラガラの場内で、さみしく、ひっそりと見るつもりだったのに。
しかも、あの系列は18日から、問答無用で、自社企画の『きな子』に差し替えるつもりらしい。夏帆が好きだから、これもちょっと見てみたいのだが。
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二日酔いでゴロゴロしていたので、録画してあった映画などを、消化する。
『腐女子彼女。』、ディテールがリアルな点はよかったが、後半に行くにしたがって、オタク・ネタが減って、ただのラブストーリーになってしまうのが、残念。
松本若菜は、演技の幅が広くて、まことに結構なのだが。
ディテールが豊かなのには理由があって、協力企業の数が、ハンパでないのだ。
単に赤いバイクが出てきただけで、「赤いから、スピードも3倍なんですよ」「ひょっとして、シャア意識してるの?」 こんな会話は、まだ薄いほう。そのあと、池田秀一に似た声が、シャアのセリフを連発する。
このシーンが面白いのは、腐女子の世界についていけない彼氏が、友達と『ガンダム』の話なら、ふつうに出来る点だ。
オタク・コンテンツにも、ヒエラルキーがあるのだな、と改めて思う。
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あとは何だろうな、付き合いはじめたのはいいけど、趣味のズレにがっかりしてしまう……というのは、多かれ少なかれ、あるんじゃないかな。気まずい雰囲気の中、少しでも相手に合わせようとする彼氏の態度が、リアルだった。
いや、表現はチープですよ? でも、脚本に内在しているものが繊細で、「女性が書いたんだろう」と思ったら、案の定だった。
もはや、「合わせる」「合わせてもらう」という時点で、恋愛ってつまんなくなると思う。
自分が肯定されると、つまらないというか。
『アニー・ホール』の冒頭で、ウッディ・アレンがいう「僕を入れてくれるクラブになんて、入りたくない」。あの心境は、とても良くわかる。
どうせ恋愛するなら、自分の知らない世界を知りたいわけで。いや、徹底的に趣味が合わないからこそ、あの彼氏は、がんばれたのかも知れないな?
……そんなことを考えると、これぐらいの予算規模、こんな底の浅い企画の映画からも、学べることは、いくつもあると分かる。
表現物に、貴賎はないってことだ。
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来月4日放映の『ギャラクティカ』のスピンオフ、『THE PLAN』のプルーフ版を送ってもらった。
『ギャラクティカ』序章のすこし前から、シーズン2のラストあたりまでを描いているが、シーズン4を見終えてからでないと、いろいろ困ると思う。
視覚効果的には、軌道上から発射された核ミサイルのカバーが、大気圏内で次々にはずれ、多弾頭であることが分かるシーンが、秀逸。
こういう地味なところで、手を抜かないのが『ギャラクティカ』らしくて、よかった。
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