■ビリッケツは腐った卵だよ■
『ガンダムの常識』 宇宙世紀モビルスーツ大百科 連邦軍篇 本日発売
●RX-78系、RGM-79系を主に担当
連邦軍は、難しいのです。
なぜなら、ジオン側に比べて、後付け設定の数が、ハンパでないから。
たとえば、宇宙世紀0079年を描いたはずの『第08MS小隊』に、宇宙世紀0083年を舞台にした『スターダストメモリー』に出てきたGM改が出てくる。これ、設定画をトレースして、流用したんです。
でも、「4年後につくられるはずの機体が、タイムスリップでもしてきたのか?」と笑い飛ばすことが出来ない。なので、「生産拠点が他と違うので、外観が似ている」ことにしてしまう。
この綱渡り的な設定遊び、ほとんど芸術だと思う。
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映画『ぼくのエリ』の原作小説『モールス』。映画と同じぐらい、気に入ってしまった。
「ショーレンに行く?」
「どこ?」
「キオスクだよ。新聞を売ってるとこ」
「うん。ビリッケツは腐った卵だよ」
オスカルとエリの、この会話が稲垣足穂っぽくて、気に入っている。最後のセリフはエリのもので、彼女の中性的な魅力が、よく出ている。
少年愛は出てくるし、『モールス』は足穂っぽい。
映画『ぼくのエリ』は、原作者自らの脚色だが、文章で「表現できない」シーンを「表現しなくていい」形に置き換えるテクニックが、実に冴えている。
小説を、効率的に可視化する、というのかな。
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やってみれば分かるが、世間は「大人」しか信用してくれない。
大人になるチャンスは、二度あった。
ひとつは、結婚。結婚によって得られる信頼は、確かに大きかった。
その前に、一年間、2歳の子供と暮らしていた時期があった。あれは、何がうまくいかなかったんだろうな、と今頃になって、思う。
どっちにしても、僕はその両方を手放した。
彼女の子供を預かったり、妻を養ったりすると、いやおうなく「大人」のチームに入れられる。部活に放り込まれるようなもんだ。それが嫌だったんだ。
(別れた妻に感謝している一言は、「あんた、イビキがすごいからね!」 おかげで、人の家に泊まるのが、すっかり億劫になった)
いずれにせよ、「大人」に擬態しなければ、この難局は乗り切れない。
あと、本物の大人の方たちの手も、ちょこっと借ります。
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立川シネマシティでの『宇宙ショーへようこそ』は、8月6日まで。なんと、3回目を見に行けるではありませんか。
何だろうな、あのアニメを見ているときの一体感、多幸感は。
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コメント
『宇宙ショーへようこそ』は長いので、小学生(低学年)にはキツかったみたいです。私はもう一度観たい。
それにしても「大人」の定義って何だろ....といつも思う。少なくも自分の中には、子供(っぽさ)が抜けきれずに育児してるとハッキリと認識している。自分が果たして「大人」なのかどうかは、周りが判断することであってぜーーんぜん分かりませんよ。
投稿: ごんちゃん | 2010年7月29日 (木) 19時58分
■ごんちゃん様
『宇宙ショー』は、最初はもっと長かったらしいので、いっそテレビ用に再編集すれば……と思ってしまうね。
もったいないもんね。
>「大人」の定義
社会に還元すれば、大人になれるかというと、実はそうでもない。
子供ができれば、大人になれるかなあ……と思ったこともあったけど、そう単純でもないみたいね。
>周りが判断すること
そうだね。
特に、お金や利害がからむと、サーッと引いていく人がいる。それは正しい判断だと思う。美しくないけど、正しい。
美しいかどうか関係なく、「他人の都合を受け入れられる」のが、大人かも知れないね。
投稿: 廣田恵介 | 2010年7月29日 (木) 20時19分
とにかく、映画が長過ぎってのは大人でもキツイ(笑)
>「他人の都合を受け入れられる」
それ、そうだ!納得がいく。さすがだね〜。
>社会に還元すれば、大人になれるかというと、実はそうでもない。
そうそう、そうなの。
たぶん、雰囲気の問題なのかな?って気がしてきた。私個人としては、「子供だ」とも言われたくないし、「大人だね」と言われてもとくに嬉しくない。
理想は、「変な大人」かな。
投稿: ごんちゃん | 2010年8月 1日 (日) 17時15分
■ごんちゃん様
僕らの世代の悪い癖は、40になっても、50になっても「若い気でいる」ことだと思う。
覇気があるのはいいことだけど、精神年齢が20代のまま……という人は、かなり多いと思う。
僕自身も、25歳ぐらいから、何も進歩してない気がする。それを問題だと思うようになったのは、つい最近のことだし。
僕らオジサンには、もはや下の世代に対して、果たすべき役割がある。それを見つけられれば、いいんじゃないだろうか。
投稿: 廣田恵介 | 2010年8月 1日 (日) 18時14分