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2010年7月 9日 (金)

■7月のメモ「さよなら、カーラ」 ■

スーパー!ドラマTVで、ついに『ギャラクティカ』が、最終回を迎えた。
艦としてのギャラクティカと、アダマ艦長の別れが、最大の見せ場だ。アダマが、どうしてギャラクティカに着任したのか、その理由が回想で語られる。その回想のつなぎ方が、またカッコいい。

もうひとつは、ロズリン大統領の最後のセリフ。バルターが「農業には詳しいんだ」と泣きながら言うシーンも、よかった。

だけど、何より「さよなら、カーラ」。これに尽きる。物語に、完璧な合理性や整合性を求め00050dpwる人には、我慢ならない“逃げ”なんだろうけど、「理屈より情感」の僕は、声を出して泣いた。
あれで分からなければ、何も分かんねーよ、とさえ思う。というか、具体的にあんなシーンでなくとも、似たようなことが、人生にありませんでしたか?と。

作品を「対象」として見る人が、あまりに多い。違うの。作品を見たとき、あなたとの間に「関係」が、生まれてしまうんだよ。責任の半分は、あなたが持っているんだ。
作品を見て腹が立ったとき、怒るに値する因子は、あなたの中にある。作品を見ていく、というのは、自分を探す旅なんだよ。


『ギャラクティカ』全体について、何か語ろうかと思ったけど、もう、このドラマは心の一部なので、特にないです。好きなシーンも多いし、好きなキャラクターも多いし……。
僕はネタバレっぽいことも書いてきたけど、これから見る人、大丈夫ですよ。あまりの情報量の前に、僕が書いたことなんて、忘れてるはずだから。


昨日の「萌えとは、コンプレックスを埋めるための自己投影ではないのか」という話。
Chara_photo03_2よく考えたら、アニメでは、活発な女の子が好み。『けいおん!』なら、律。『ひだまりスケッチ』なら、宮子。

もちろん、学生時代、ああいう快活な女子も、クラスにいたんだけど、彼女たちから、俺は「もやしっ子」と呼ばれてましたからね。
俺も、彼女たちには、まったく興味なかった。いつも、教室のすみで、マンガばかり描いていた。明朗快活な性格とは、ほど遠い(笑)。

ただ、少なくとも、自分が無口で引っ込み思案なことには、いつも悩んでいた。正直、今も悩んでいる。
だから、律や宮子を見て、「安心」している自分がいる。
「絵」という倒置、「女子化」という倒置が、効果的に作用しているから、彼女たちに自分の願望を投影して、とりあえず満たされている――だから、あの世界に、男子は、いてほしくない!

あーっ、やっと分かった。あの世界に男キャラが出てきたら、俺、かなりイヤだもん! 色恋沙汰なら、女同士でいいじゃん! それで、百合か!
――仮説だけどね。ほかの人は違う考えをしてるいだろうけど、私は、私という者の正体を知りたい。

なんか、色んな意味でさ……俺、アニメがなかったら、今ごろ死んでたわ。


『宇宙ショーへようこそ』、立川では、狭いスクリーンに移されはしたが、午後~夜のシフトへ。「朝一回」などという、「梅」なシフトにはなってません(笑)。
自社作品は、大切にしないとなあ。

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コメント

本当に女の子同士の恋愛を描いたらそれはレズだと思ってます。
百合って女の子同士に見えて関係性は男女だと思うんですよね。
ハーレムでも純愛でも男主人公(同性)に自己投影するのって難しいです。
共感こそするとはいえあくまで他人て感じですから。
そこいくと女の子、異性ってファンタジーな存在じゃないですか。
安心して自分の願望や夢を託せるんじゃないかな、なんて思います。
BLも同じような理屈なんじゃないかな。
あれもやっぱ男女の関係性ですからね。
本当に男同士を描いたらホモになりますよ(笑)

小難しい言い回しになっちゃいましたが、単純な話、可愛い女の子が男とくっつくのは嫉妬するんですよねほんとに!そしてみんな可愛い女の子になりたいに決まってるんだ!(笑)

以前やってたアニメでホワイトアルバムという月9並に男女の恋愛をやるものがありましたが
最後の最後でどっちつかずの主人公が見捨てられてヒロインが百合に走ったら最高の展開なんだけどなぁ、なんて思って見てました(笑)
男の役目ってなんなんだ?と最近は思います。それはアニメでもドラマでも現実でも。
そういう時代なんでしょうか。

アニメは孤独を癒してくれるのと同時に孤独につけこんでくるものだとも思ってます。
私も鬱が直ったのはアニメのおかげなんで出会ってなかったら死んでたかも(笑)

投稿: 三野 | 2010年7月 9日 (金) 02時54分

■三野様
コメント、大変ありがとうございます。
僕はハーレム・アニメが理解できなかったので、参考になりました。

>そしてみんな可愛い女の子になりたいに決まってるんだ!(笑)

まず、これなんですよね(笑)。「なりたい」んですよ!
でも、性自認は飽くまでも「男」なんです。現実では、女性が恋愛の対象ですしね。

この考えに至ったのは、BL好きな女子たちも、実際の恋愛では、ちゃんと男の人が好きだと知ったからです。
同性愛に傾倒しているわけでもないし、まして、性同一障害でもない。
おっしゃるとおり、「ファンタジー」によって、自分をカタルシスしている。

>男の役目ってなんなんだ?と最近は思います。それはアニメでもドラマでも現実でも。

まったく同じことを、考えていました。
旧来的な「男らしさ」は、無用の長物――どころか、ストレスの原因になりつつあります。

>私も鬱が直ったのはアニメのおかげなんで出会ってなかったら死んでたかも(笑)

慎重を要するので、書きませんでしたが、アニメを精神医療に使えないか……。単なる「表現」「娯楽」以上の何かではないか、と最近、思うようになりました。

実際、多くの大人が気づかないままに、救われていると思います。

投稿: 廣田恵介 | 2010年7月 9日 (金) 10時09分

「宇宙ショー」観ました!面白かったですね〜。できればもう一度観たい映画でした。夏樹に共感!それからやはり母親目線でみてた部分は、夏樹と従姉妹の子との微妙な心の葛藤と感情がすんごく分かりました。私の娘二人の関係がまさにそんな感じなんですよ。泣けました...あとはもう、壮快痛快で、ビジュアル的にも楽しかったし、ヒーローに憧れてる女の子というキャラもありがちだけどストレートにくるものがあって良かったです。「ヒーローは、勇気」そうだね!グッ

>アニメを精神医療に使えないか……。単なる「表現」「娯楽」以上の何かではないか、と最近、思うようになりました。

うん!私もそう思うよ。実写ではなくてね。何故かって、それは散々廣田さんが語った中に答えがありますね。良質な実写映画とは別の「効果」が確実にありますね。「マイマイ新子」で、それを知っちゃったみたいですよ。

投稿: ごんちゃん | 2010年7月11日 (日) 01時13分

■ごんちゃん様
万人にはすすめられないと思うけど、面白かったでしょ?
変に、大人の目を意識しないで、エンタメに徹したところがよかった。

>夏樹と従姉妹の子との微妙な心の葛藤と感情

逆に、そこは最後まで分からなかった……。 あの2人は従兄弟ではなく、姉妹だと思っていたので、なんで、そんなにひねった設定にしたのかなーと。
2回目を見ると、よく分かるそうなので、やはり今夜、行ってこようかな。

>良質な実写映画とは別の「効果」が確実にありますね。

うん、「絵である」という点が重要だと思う。実写より、抽象化されてるから。
だから、無意識に隠されているもの、意識的にねじふせているコンプレックスに、ストレートに触れてくるんじゃないかと思う。

投稿: 廣田恵介 | 2010年7月11日 (日) 04時51分

ご無沙汰しています。
日本でもとうとうBSG最終回を迎えたんですね。
カーラの最後は、黒白はっきりつけたい理詰めのアメリカ人の多くには不評だったようですけど、私は好きでした。またあの時の余韻を思い出しています。
ケイティ、本当に実力のある女優さんだと思います。ハリウッドの売れっ子女優で彼女より演技の劣る人を見ていると、本当に歯がゆい。「24」の最終シーズンにも出演していましたが、役柄といい、演出といい、ストーリーと言い、本当に彼女を生かしきれていなくて残念でした。

投稿: ELLIE | 2010年7月15日 (木) 12時44分

■ELLIE様
ご無沙汰してます。
カーラの去り方もそうだし、ラストへ向かうにつれて、どこか世界観が東洋的になっていきましたね。アンダースの最後のセリフもそうだし。
カーラの去り方は、鳩のシーンとセットになっているんですよね。すごく得心がいったんですけどね。

ケイティ・サッコフは、『バイオニック・ウーマン』にも出ていたんですけど、うーん……意外と、役を選ぶ女優なのかも。
ちゃんと可愛い演技もできると思うんですけどねー。

投稿: 廣田恵介 | 2010年7月15日 (木) 16時32分

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