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2010年6月24日 (木)

■6月のメモ「枯渇」■

やっと、DVDをレンタルする余裕ができたので、コメント欄で教えていただいた『SR サイタマノラッパー』を。
Sr03まず、ロケ地がいい。埼玉の人には悪いけど、「こんなところには住んでいたくないな」と思わせる風景ばかり、選んでいる。
これは実写の強みだよ。アニメって、何もない寂れた風景を描いても「きれいな場所だな」となってしまうから。

この風景にラップ、というだけで、すでに何かを語っていると思う。
何の飾り気もなく、唐突に終わるストーリーも、実に味わい深かった。短い映画は、だいたい、いい映画が多い。


唯一の女優は、みひろ。元AV女優という経歴を、そのまま生かした役。
20090104_620502彼女は埼玉の田舎町を出ていくんだけど、その理由や背景が、一切説明されないのが良かった。この映画を見ている人が「だいたい、こんな理由だろうな」と頭の中に浮かんだら、それが答えなんだよ。

で、みひろが、重たい旅行カバンを抱えて、寂れた駅の階段をのぼる。それを背中から撮っている。何人かの男子高校生が、みひろとすれ違った後、「誰、あの美人!?」という感じに騒ぎ立てる。
ああ、これが、この娘の一生なんだなあ……と、殺伐とした気持ちになるよ。
明るい未来なんて、ないんだよ。でも、希望がないわけじゃない。保証がないってだけで。


枯渇してないと、何も生まれないんですよ。抑圧が必要。充足は、創造の敵だから。

あと1ページで原稿が終わるという夜、マイクロソフト様の素晴らしいソフトが、1ページ丸々、消去してくれたんですよ。自動バックアップも機能させずに。
「こりゃもう、酒だな。飲んで忘れて、明日、シラフになってから書きゃいいだろ」と思って、キャバ嬢に「今から店に行く」とメールですよ。幸い、嬢は休みで店に出てないそうなので、黙々と1ページ、書き直しましたけどね。
――よりにもよって、夜中に泣きつく相手が、キャバ嬢しかおらんのか、と。お前、キャバクラで飲んで、本当に心が埋まるのかよ、と。
やっぱり、一人で、黙々と仕事する以外、何も埋める方法はないんだよ。

だから、枯渇しているとき、すぐそこにコップ一杯の水がある…なんていうのはダメであって、かなり遠いけど、大きな泉がある、と知っておいた方がいい。
その泉というのは、幻想ではなくて、ちゃんと地図にのっていること。それが条件だ。
それなら、一緒に旅してくれる仲間が、あらわれるだろうしね。目的は、遠くて確実なほうがいい。

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コメント

『SR サイタマノラッパー』洋画かと思ったら埼玉!(笑)

消去されたのが1ページで良かったです。(良くないけど)
消去してくれたのが他「人」だとかなり泣けます。

投稿: kyasリン | 2010年6月25日 (金) 01時05分

■kyasリン様
職場によっては、「人」の場合もあるでしょうね(笑)
自分のミスを、自分で直すだけだから、自由業は分かりやすいです。

『SR サイタマノラッパー』は、ロケ地マップが出来るほど、人気があるんですよ。

投稿: 廣田恵介 | 2010年6月25日 (金) 01時19分

数年ぶりにDVDを借りに行って、
「SR サイタマノラッパー」を観ました。
似たような、畑が広がる地帯に住んでます
(市全体じゃなくて市内の、ですが・笑)

自分が必死で夢を追った経験がないのと、
まだ若い彼らより長い人生を歩んできたせいか、
あまりにもあっけない終わり方に
「え?」と思ったのですが「2」の予告編を観て、
これはこれから始まるシリーズの序章かな?と。
夢を追いかける姿を私に感動させるには
まだまだ青い彼らの成長が楽しみです
(トシヨリならではの感想)

そして「SR サイタマノラッパー2」が観たくなりました。
ちょうど始まったところですね。映画館で観たいです。
各都道府県を回るシリーズになって
「47」まで続くんじゃないかと期待してしまう(笑)

そうそう、予告編で、
お笑いの鬼奴さんにそっくりな人がいる!
と家族で小騒ぎになり調べたら
「山田真歩」さんでした。
彼女のブログなどを読ませていただきましたが、
なんだかすごく興味をそそられる女優さんです。

投稿: kyasリン | 2010年6月27日 (日) 15時31分

■kyasリン様
確かに、山田真歩のブログは、面白いですね。非常に丁寧だし。
あと、『2』には安藤サクラも出ているのですが、この人はちょっと異様な雰囲気をもった女優さんなので、気になっています。

>あまりにもあっけない終わり方

いえ、僕はあそこでバスンと切られちゃうところが、逆にカッコいいと思いました。あの、悪あがきをしている最中に、何の結論も出さずに終わるのが、かえってエネルギッシュに感じましたね。
下手に、希望を持たせてないところが、いいんですよ。

『サイタマノラッパー』は、次回作は栃木が舞台で、それで完結するとのことです。

投稿: 廣田恵介 | 2010年6月27日 (日) 16時35分

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