■6月のメモ「声優考」■
EX大衆 7月号 発売中
●『機動警察パトレイバー』完全クロニクル
TV版のストーリー全話解説、名セリフ、トリビアなど。トビラはもちろん、野明のアップで「婦人警官をナメるなよ!」
なんでグラビア誌が、『パトレイバー』にページとるのかっていうと、担当編集が好きだからですよ。BD-BOXが出る、なんていうのは副次的理由であって。もちろん、メーカーからお金も出てない。
広告じゃないから、すごく自由に誌面をつくれますよ。
その代わり、アンケートで評判が悪かったら、同様の企画は二度とできません。この本ね、グラビア・アイドルの等身大ポスターとか、組み立て式グラビアうちわとか、ありとあらゆる工夫をしてくるんです。
そんな中でアンケートの上位に食い込ませるには、やっぱり編集者の意見を、よく聞いたほうがいい。「とにかく、テキスト多く」」とか「なるべく図を入れる」とか。だって、責任とらされるのは、企画を通した編集者なんだもん。
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『REDLINE』の声優の評判を、twitterで検索してみたら、やっぱり……と、ちょっとガックリ。別に、石井克人を知らなくても、『Grasshoppa!』を知らなくても、いいんですよ。
まず、否定から入るでしょ。とりあえず批判する。批判的な文章ばかり目にしているから、癖みたいになっているのかも知れない。
あと、あまり知られてないのかな……と思ったんだけど、実写の俳優はアフレコに慣れている。
なんでかって言うと、ロケ地で撮影すると、画面には映ってないけど、後ろでは車がいっぱい通っていたり、風が強すぎてマイクが使えなかったりするんですよ。そういう時は、スタジオでアフレコ。全編、アフレコなんていう実写映画もあります。
「だから俳優でいいのだ」ということではなく、あまりに偏見がキツすぎるように思うので。
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私に恋愛シミュレーション・ゲームを教えてくれた友人が言っていたんだけど、「恋ゲーやると、声フェチになるよ」。確かに、そうなんだよね。『トゥルーラブストーリー2』で沢田さんにハマった後、もう長沢美樹の声を聞くたびに、ドキドキしてたからね。『エヴァ』はもちろん、『青の6号』だって、冷静に見られないよ。『MS IGLOO』さえ、興奮して見てましたから。
あと、『ラブプラス』に皆口裕子が出ると知ったとき、「香坂先輩が出るんだ!」と、嬉しかったよ。
『ときめきメモリアル2』で、伊集院メイにハマったおかげで、田村ゆかりの名前を覚えたしね。そのお陰で、『ガオガイガーFINAL』を楽しく見られた。
――こういう思い出を書いてると、すごく童貞っぽくて、楽しいんだけど。
だからね、少なくとも、女性声優の声に耽溺するっていうのは、プライバシーに属するというか、パブリックなものではないんだと思う。
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例えば、どうして『ハチミツとクローバー』の主演声優が「セブンティーン」のモデルだったのか? もちろん、ノイタミナ枠に、パブリックなイメージを持たせる戦略でしょう。
大人だったら、たった1クールで2億かかるビジネスで「勝つ」ための戦略ぐらい、ちょっとは分かってあげましょうやって程度の話です。劇場公開だと、P&A費がかかるから、もっと危険な戦いを挑まないといけない。
アニメ・ファンが何万人か来場してくれればペイできる、なんて甘い商売ではないわけです。
思うに、アニメの中でしか通用しないコードが、あまりに多すぎる。それを解きほぐして、アニメ・ファンも、アニメを滅多に見ない客も、仲良く客席に座れる状態が、好ましいとは思う。
あるいは、両者の深い溝は、あえて埋めずに置くべきかも知れない。常に沸点へ向かっているような、不安定な状態、常に何がしかのジレンマを抱えていた方が、文化は活性化するから。
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コメント
『REDLINE』、キャストに青野武さんのお名前を拝見してからテンションダダ上がりの私は、きっと少数派なんでしょう(汗笑)
青野さんのようなベテラン声優さんは、ほとんどが舞台俳優としてのキャリアを積んでいらっしゃいます。
そうした肉体性こそが、実は声の演技に必要なのではないでしょうか。
単なる「声芸」に終わらない「人格の具現化」を求めるなら、わざわざ「声に特化した演技ジャンル」を設ける必要はないと思います。
問題なのは、演技力の無い役者が演出プランの甘い作品に「客寄せ」としてキャスティングされること。
これは「声専門」であろうがなかろうが同じです。
木村氏の演技を見たことのない私には、どのような作品になるか予想がつきませんが、鑑賞後に自ずと答は出てくるでしょうね。
投稿: やや矢野屋 | 2010年6月15日 (火) 13時49分
『レッドライン』、去年の夏にロカルノで2度観ましたが、なかなかに味わい深いものでした。二方プロデューサーの「今日の(野外)上映は大音響ですから、ホテルに帰っても眠れませんよ(はぁと)」という言葉、石井さんの「随分長く待たせましたが、お見せできる日が今日来たんです!」というけれんみたっぷりの言い方もあいまって、印象深い作品です。も一度みたいもの。
投稿: 地元記者(ナ) | 2010年6月15日 (火) 15時59分
■やや矢野屋さま
青野武さんが配役されているのは、石井克人監督(今回は脚本ですが)が、ちゃんとアニメ文化にリスペクトしているからだと思います。過去作でも、アニメ多用してますしね。
>肉体性こそが、実は声の演技に必要
そうだと思います。もともと声優ではなくて、皆さん「俳優」でしたからね。
そして、ベテランの方で「声の区別がつかない」人なんて、いませんよね。代えがきかない。
ただ、実写映画でも、いっぱいお金のかかった映画は、有名俳優を配して「客寄せ」しますよね。特に、局主導の映画は、そうです。やっぱり、映画はショー・ビジネスなんですね。
そういう文脈で考えると、僕はテレビ・スペシャル的につくられた実写映画は、それだけで見に行かないですね。嫌悪感があります。
そして、『みつばちハッチ』のキャスティングには、本当にハラハラしてます。でも、見に行きますよ。
■地元記者(ナ)様
2度も見たんですね。僕、一回だけでお腹いっぱいでしたけど、何だか、もっと見たくなってきちゃいました。
二方プロデューサーも、粋なことを仰いますね。こちらの場合、試写室だったから、あんまり大音響じゃなかったもので……。
投稿: 廣田恵介 | 2010年6月15日 (火) 18時51分
週末にマイマイオールナイトやるビルの上の方で何かのアニメ特集があり、そこで石井克人の擬人化CG漫才アニメを見たことあります。石井克人自身が声優をやってて絶妙だった。併映の方を目的で行ったのに、インパクトありすぎて何を見に行ったのか忘れてしまった(笑)。
投稿: zapo | 2010年6月17日 (木) 03時47分
■zapo様
ひょっとして、『HAL&BONS』じゃないですか?
劇場公開なんて、してたんですね(笑)
僕、石井克人の映画ってよく分かんなかったんですけど、友達から「だから、あれは人体を使った金田パースだよ!」と力説され、ちょっと納得した記憶があります。
投稿: 廣田恵介 | 2010年6月17日 (木) 05時40分
記憶が不確かなんで調べてみたらコレでした。
http://www.cinemavera.com/bc.html?mode=view&no=10
シネマヴェーラの夏休みアニメ特集。『ニュー ハル&ボンス』ってやつ。
しかし、こうして見ると『アリーテ姫』も入ってるし、そうそうたるランナップですね。
投稿: zapo | 2010年6月17日 (木) 16時36分
■zapo様
いや、これはすごい。
この企画を知らなかった自分が、恥ずかしいです。
人形アニメは、別ジャンルという気がしなくもないのですが、「とりあえず見とけ!」な作品ばかりですね。
いや、お恥かしい。
投稿: 廣田恵介 | 2010年6月17日 (木) 22時10分