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2010年6月30日 (水)

■6月のメモ「この世界は、砂漠なんだよ」■

夕方に原稿が出来てしまったので、レイトショーでしか上映してない『さんかく』へ。
100629_20290002何しろ、『純喫茶磯辺』の吉田恵輔監督ですからね。田畑智子と小野恵令奈、今回の配役も、パーフェクトだ。これで、何も起こらないはずがない。

まず、ファースト・カットがいい。小野恵令奈が、電車の座席で、ウトウトしている。右側の男性の肩に、頭をもたせかけてしまって、「ごめんなさい」。でも、男性はかわいい子だから、怒れない。
小野恵令奈、今度は左側に座っている男性の肩に、頭をもたせかけてしまう。で、頭をガラス窓にゴチンとぶつけて、やっと目が覚める。ここまで、ワンカット。

これだけで、小野がどういう性格の女で、これから何をするのか、すべて説明できている。
もう、ファースト・カットが、ネタバレなの! 書いちゃったけどさ。あとの物語は、壮大な注釈といっても、いいぐらい。


実際、小野恵令奈の存在感は、すごいよ。比喩ではなく、画面から圧力を感じる。
誰もが驚いただろうけど、声の威力ね。未完成な色っぽさ。成人女性には、出せない声。
100308_sankaku_sub2小野が、今後も映画に出ても、こんな蠱惑的な役は、できないと思う。この映画では、女優として仕事を完遂した。でも、次の映画では、アイドルのままかも知れない。その瀬戸際っぽい危うさも、役に貢献していた。

でも、やっぱり田畑智子なんだよな。ヒロイン役は。キングギドラが出てきても、やっぱり、主役はゴジラじゃない?


予告編やキービジュアルに騙されて、明るくお茶目なラブ・コメディを期待していると、それは、前半だけなんだよね。
『純喫茶磯辺』もそうだったけど、「この世に、女神はいないのか……も知れない」という映画。ラストのラスト、田畑智子が何かセリフを言ってしまったら、おそらく、女神は現出したのであろうよ。

たとえ女神がいなくとも、男たちは、倦怠と戦っていかねばならない。この世界は、砂漠なんだよ。だから、井戸が見つかったからといって、安心しちゃダメよ。
案に相違して、厳しい映画でありました。しかし、吉田監督の次回作は、万難を排して、見にいくよ。


もう一本。日曜邦画劇場で、しつこく再放送していた『ビルと動物園』。
080719_bill_zoo_sub1なんで録画したのかな、と思ったら、坂井真紀だった。当時、38歳。設定も同い歳ぐらいのOLで、21歳の大学生と恋に落ちる。

何がいいって、坂井真紀が「酒に強い」というところ。初デートの居酒屋で、生中を飲み干して、すぐさま「ぬる燗で」。自宅のシーンでも、ずっと日本酒を飲んでる。
『好きだ、』の永作博美の本物の飲みっぷりには、ちょっと及ばない。でも、俺は坂井真紀の日本酒シーンを見られただけで、AOK(オール・オッケー)だったな。

坂井が『イデオン』フリークで、「『エヴァ』がかすむ」と発言したことに義憤を感じた人たちがいるようだけど、例えは悪いけど、目くそ鼻くそレベルでしょ。
『エヴァ』をおとしめる目的で、『イデオン』を使うよりは、ぜんぜん良くない?


『さんかく』を見にいくため、電車に乗っていたら、なんと河森正治監督が、真正面に座った。
「ちょっと見かけた」とかじゃなくて、いきなり真正面に座るところが、この方らしいなあ、と。超多忙な監督は、お仕事で移動中だったのですが、僕は「えーと、『マイマイ新子と千年の魔法』という映画がありまして…」と説明するところからはじめて、「見てください」とまでは言えなかったなあ、さすがに……。

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2010年6月27日 (日)

■川越紀行■

行って来た、川越スカラ座
100626_11550001映画館の外といい、中といい、とにかく手描きポップが多い。とても、読みきれない。こういうところが、単館は面白い。

とりあえず、お金を払って入場。巨大ポスターがちゃんと貼ってあるのを確認。感想ノートには、めちゃくちゃ上手い新子と貴伊子が、描いてあった。
廊下で次の上映を待っていると(上映中の音声が廊下まで聞こえてくる! この懐かしい感じ!)、エイベックスのO女史が現れた。近くの喫茶店で、監督たちが打ち合わせしているというので、特に用もないのに、くっついていく。

その喫茶店で、ようやく、メールでやりとりした番組編成の方と、お会いできたのだった。支配人の方ともご挨拶できたのだが、とにかく、単館を運営されている方たちは、明るくて元気。新潟も吉祥寺も、そうだった。

さて、その席で判明した美しい事実なのだが、川越での上映を実現させたのは、ボランティアで手伝いに来ている、日芸の学生なのだという。
『新子』を見たのは、昨年10月25日、日芸で行なわれたDLP試写だというから、僕も同席していた。確か、女性だと思ったけど、その学生が「上映しませんか」と働きかけたのだという。

……なんだか、『新子』はこういう話ばかりで、いろんな意味で、泣けてくるのである。配給会社の営業は、ちょっと見習ってほしいね。


さて、『新子』は26回目。場内は、お世辞にも客が多いとはいえないけど、なんかもう、これでいいんです。こんなレトロな映画館で、岩瀬プロデューサーと話していると、ひょっとしたら、ここが旅の終着点なのかな、と思えてくる。

早く来たおかげで、舞台挨拶を二度見ることが出来た。
二度目のほうで、監督が映画館の映写システムについて、話されていた。映写機がひとつしか稼動していない理由。新潟シネ・ウインドで見せていただいたけど、今の映画館は、何本かに分かれて搬入されてくるリールを、一本に繋げる。だから、映写技師に送る合図(画面の右上に出る小さな丸)が、最近の映画にはない。
映画館の雰囲気も手伝って、ちょっとノスタルジックな話題でありました。

上映の間、僕は、1950年代につくられたクラシックを見ているような、不思議な気分になった。何度も見ているせいもある。映画の舞台が50年代だから……と言ってしまえば、それっきりなのだが、古典的なエレガントさが、このフィルムには、ある。
それが、「10年後に見たい」という欲求の、正体なのかも知れない。

本日から、川越スカラ座では、来場者に缶バッジ(新座で配られたものと同じ)とポストカードが配布中だそうです。


川越を離れた後は、メイン・イベントである「新座での『新子』上映おつかれ会」。
100626_19170001新座で上映したのって、まだほんの一ヶ月前なんだなー。
(写真は、新座上映のためにつくられた資料をファイルしたもの)
会場は、「吉田類の酒場放浪記」に出てきそうな、庶民的な居酒屋でした。

ガンバ春雨さんが、『ゲド戦記』に関して、やけに高度な批評を展開していて、かなり驚きました。確か、『シュナの旅』をどうして引用したのか?とか、そんな話も出ていたような。
あと、お姉さんの飲みっぷりが、素晴らしかったです。

『新子』には、ドカン隊長はじめとして、アニメに関して濃い知識をもった人たちも関わっていたはずなのに、そういう話を、じかに話したことって、なかった。
とにかく、状況をどうにかできないか? どこと交渉すれば、何が出来るのか? 実務的な話が、9割。それがおそらく、僕と『新子』の思い出。

いま考えていることがあるけど、今回の経験が、その遠い動機になっていると思う。


明日は、ガイナックス取材。
立川の『宇宙ショー』の最終回には、間に合わなかった。さみしい日曜日の夜を、もっともっと、さみしく過ごしたい。

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2010年6月26日 (土)

■6月のメモ「運命」■

内緒にしておくのも後ろめたいので、書いてしまおう。
今夜は、『マイマイ新子』新座上映おつかれさん飲み会です。映画の関係者は一人も出席しませんが、そういう、内々の飲み会なので……。

それで、会場が川越から近いので、川越スカラ座さんに寄ってこようかと。ポスターの件で、お世話になっていることだし。
今度こそ、最後の『新子』です……いや、僕にとっては。
というのは、7月17日から、ラピュタ阿佐ヶ谷さんで、(おそらく)最後のレイトショーが始まるので。

なので、巨大ポスター、またデリバリーするかも知れないし、「もう、いいかな」という気もするし。
石井支配人と、「どうしましょうか」って相談するのも楽しいだろうし。


本日から、アニメ映画『宇宙ショーへようこそ』の上映が始まります。
100326_uchushow_main私の大好きな立川シネマシティで上映されるので、いつ行こうかな、と思案中です。

私の古い知り合いが、『新子』のような前例があるから、初日動員に貢献したい、と言っていました。
『新子』のような前例とは、初日2日間の動員が悪ければ、早期に打ち切られるかも知れない……ということでしょう。僕は、「そりゃ大丈夫でしょ?」と楽観しています。配給が、マニア心を熟知したアニプレックスだからです。

私も、配給会社なんて気にしはじめたのは、『新子』からです。
だから、素人目かも知れないけど、T・ジョイ系でやるし、MOVIXでもやるし、ぜんぜんフットワーク、軽そうじゃないですか。
怖いのは、梅という配給会社なら、梅の系列館だけで上映して、梅系だけの成績で判断されて、梅系だけが損しないように、いっせいに終わるというパターン……昔の、ブロック・ブッキングみたいな体制だと思います。

ただ、あえて損するのも、会社の判断としては正しいそうです。それがたまたま、『新子』だったという話だと、僕は理解するようにしています。
なんで落ち着いてられるかというと、配給会社が損なら損を決め込んだ後、ファンの大逆襲が始まったからです。だって、いまだに、今日、今からだって見に行けるんですよ? 関東なら、『新子』と『宇宙ショー』、ハシゴできちゃう!

見たい映画、応援したい映画があったら、まず配給会社をチェック!
それがもし、梅だったら、僕の中では「ヤバイ、早く行かないと」。東宝だったら、「まあ、慌てることもないだろ」。アニプレだったら、「年内にDVD出るだろ」とかね(笑)。


ただ、『新子』で知り合った人たちが、「『宇宙ショー』、見てね!」って連呼してると、やっぱり楽しいです。
いいじゃないですか、「配給会社によって映画の運命が変わるかも知れない」っていう、新しいお楽しみが増えたんだから。

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2010年6月24日 (木)

■6月のメモ「枯渇」■

やっと、DVDをレンタルする余裕ができたので、コメント欄で教えていただいた『SR サイタマノラッパー』を。
Sr03まず、ロケ地がいい。埼玉の人には悪いけど、「こんなところには住んでいたくないな」と思わせる風景ばかり、選んでいる。
これは実写の強みだよ。アニメって、何もない寂れた風景を描いても「きれいな場所だな」となってしまうから。

この風景にラップ、というだけで、すでに何かを語っていると思う。
何の飾り気もなく、唐突に終わるストーリーも、実に味わい深かった。短い映画は、だいたい、いい映画が多い。


唯一の女優は、みひろ。元AV女優という経歴を、そのまま生かした役。
20090104_620502彼女は埼玉の田舎町を出ていくんだけど、その理由や背景が、一切説明されないのが良かった。この映画を見ている人が「だいたい、こんな理由だろうな」と頭の中に浮かんだら、それが答えなんだよ。

で、みひろが、重たい旅行カバンを抱えて、寂れた駅の階段をのぼる。それを背中から撮っている。何人かの男子高校生が、みひろとすれ違った後、「誰、あの美人!?」という感じに騒ぎ立てる。
ああ、これが、この娘の一生なんだなあ……と、殺伐とした気持ちになるよ。
明るい未来なんて、ないんだよ。でも、希望がないわけじゃない。保証がないってだけで。


枯渇してないと、何も生まれないんですよ。抑圧が必要。充足は、創造の敵だから。

あと1ページで原稿が終わるという夜、マイクロソフト様の素晴らしいソフトが、1ページ丸々、消去してくれたんですよ。自動バックアップも機能させずに。
「こりゃもう、酒だな。飲んで忘れて、明日、シラフになってから書きゃいいだろ」と思って、キャバ嬢に「今から店に行く」とメールですよ。幸い、嬢は休みで店に出てないそうなので、黙々と1ページ、書き直しましたけどね。
――よりにもよって、夜中に泣きつく相手が、キャバ嬢しかおらんのか、と。お前、キャバクラで飲んで、本当に心が埋まるのかよ、と。
やっぱり、一人で、黙々と仕事する以外、何も埋める方法はないんだよ。

だから、枯渇しているとき、すぐそこにコップ一杯の水がある…なんていうのはダメであって、かなり遠いけど、大きな泉がある、と知っておいた方がいい。
その泉というのは、幻想ではなくて、ちゃんと地図にのっていること。それが条件だ。
それなら、一緒に旅してくれる仲間が、あらわれるだろうしね。目的は、遠くて確実なほうがいい。

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2010年6月23日 (水)

■6月のメモ「疲労困憊」■

ほぼ連日シメキリの中、ようやく『ヴィンランド・サガ』9巻を入手。
100623_14430001前巻のオビでは、思い切りネタバレしていたが、今回も何やら、ズバリ言い切っている。

取材旅行のついでに、わざわざ当時のヴァイキングの服を身に着けてみた、という幸村誠は、優れて宮崎駿的だと思う。


日本テレビ版『ギャラクティカ』S2は、最終回ひとつ前。「大気圏内にジャンプ」する戦法は、スターバックの発案。S3で、アダマ提督が換骨奪胎するわけだ。ちゃんと、ラプターが摩擦熱で燃えてたもんね。

スパドラで放映の『ギャラクティカ』S4は、圧巻の最終回三部作が、今夜からスタート。

実写版『イデオン』と呼ばれた、クーデター二部作が一番よかった、という人もいるかも知れない。軍法会議のために弁護人を押しつけられたロモ・ランプキンのセリフが、ふるっていた。「私が、君のいう正義へのツアーをパスするなんて言ったら……、そこの海兵コンビの標的にでもするんだろうな」。


アニメは、キッズステーションで『紅』をやっているので、三周目だけど、見ている。
「クホーイン」「オクノイン」という、語の響きがいい。「サミダレソー」も、耳に気持ちいい。語感が、世界観をつくっている。

紅香さんの、鼻にかかった話し方が好きだ。大人の女――というか、非処女がこれだけ出てくるアニメも珍しいが、いずれも甲乙つけがたく魅力的。声の響きあいに、聞きほれる。
それは、会話(掛け合い)が面白いというよりは、声質の重なり合いやテンポのズレ具合が、気持ちいいんだと思う。

九鳳院での小さな会話ひとつとっても、演劇のような広がりを感じる。


原稿の合い間、合い間に、粘土細工は実行中。ヘラは、インレタ用を転写する道具が、一番いい。左右で形が崩れすぎないか確認するため、百均で小さな鏡を買ってくる。
「道具がない」などとボヤいている間に、どんどん自堕落になっていく。粘土細工も、真剣勝負だ。


いろいろ悪だくみをしているので、7月は、多くの人と会うことになりそう。


『マイマイ新子』上映中の、川越スカラ座さんから、連絡きた。巨大ポスターは、入り口すぐのところに掲示中とのことで、ひたすら感謝。これは、川越まで行かねばなるまい。

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2010年6月21日 (月)

■6月のメモ「粘土」■

近所のTSUTAYAに行ったら、『ゼーガペイン』が3~8巻まで借りられていた。
100621_15080001色あせた背表紙が、4年間の戦いの歴史を物語る。消されるな、この想い。

18日にプレスリリースが送られてきたので、ニュースとしては遅いんですけど、聖地・舞浜でトークショーとブルーレイ上映が行なわれるそうです。
しかし、期日が7月4日。来週です(笑)。取材という形で行こうにも、時間がなさすぎ。応募締め切りは24日(木)なので、注意しましょう。

僕も考えてることあるので、もっとゆっくり、年末にBD発売ぐらいだったら、いろいろ出来るんですけどね。夏の間にサッと終わってしまいそうで、ちょっと不安。
例えば、次号グレメカの発売時には、もうぜんぶ終わった後なんですよ。


一仕事おわったので、『ヴィンランド・サガ』を買いにいったら、『アオイホノオ』の4巻が出100621_15370001ていた。まだ最初の方しか読んでないけど、トンコさんに接近されたホノオが「もしかしたら、トンコさんは俺のことが、好きなんじゃないのか!?」と勘違いするシーンで、ギクリとした。

だって、キャバ嬢が会話中に、「ん? 聞こえない?」とか言って、顔を近づけてくるのに、よく似てるもの。
で、客はみんな、「俺だけは特別」って思ってるから、好意を持たれていると勘違いしてしまう。
「俺は、そんなことないよ。お前みたいにコロッとだまされやしないよ」というヤツがいたら、ちょっとキャバまで来い。最低でも1セットは、おごるから。


主人公のホノオは、自分がヒーローである以上、ヒロインが必要だと信じている。
第20章の表紙で、トンコさんがクラリスのコスプレをしているけど、俺に言わせれば、これはキャバ嬢の着ているドレスですよ。

キャバクラというのは、とにかく「男を錯覚させる」「勘違いさせる」サービス。
だから、先日、嬢の方から「カラオケ、行こうよ」と誘われたけど、それって、俺に優越感を抱かせるシステムなんだなーと気がついて、そう思うと、何だか後味は良くない。

お店の後で、どっかへ遊びに行く「アフター」は、お店にお金が入るわけじゃないから、システムとは呼びがたいんだけど、「明け方近い時間に、そこそこ可愛い子とカラオケ店に入る」シーケンス全体に、優越感がある。
だって、店員たちや他の客は、「この2人、付き合ってんのかな」と勘違いするし、そう思われるのが、嬉しいわけだから。

つまり、これは社会ぐるみの勘違いシステムであり、キャバクラは、その一部を間借りしているに過ぎないんだよ。
「騙されている」んじゃなくて、「勘違いさせられている」わけだから、これは厄介だぞお。


だから……というわけでもないんだけど、ひさびさに粘土を購入。
100617_22490001新宿の世界堂まで行かないと、手に入らない「ファンド」だ。
自分で手を動かさないと、何も進まない状態って、必要なんだよ。

怪獣のウロコなんて作っていると、細部へいけばいくほど、辻褄が合わなくなってくる。そういうところは、僕の文章に似ている。
粘土をいじると、自分の欠点も、よく分かるよ。

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2010年6月19日 (土)

■6月のメモ「自由」■

防府より、地元記者(ナ)さんが、上京。渋谷で3軒ハシゴした。
「おみやげです」といただいたのは、『マイマイ新子』関係の新聞記事をスクラップした同人誌100618_19260001「マイマイみらくるっ!!」 さすが、映画の完成前から、海外にまで足を伸ばして『新子』を追いつづけた生き証人。こういう人を、もっと大事にせねば。

同人誌をめくると、最初の記事は、平成19年3月3日。まだ、『新子』は「アニメ化予定」となっており、おそらく地元での第一報だったと思われる。
まだ、この映画の運命が決まる前の出来事が、詳細にレポートされている。

美しくリニューアルされた公式サイトを見ていると、「俺たち、やったよね? ちゃんと戦ったよね? 俺たちは、つまらないことなんか、しなかったよな?」という、『無敵超人ザンボット3』のセリフが、胸に去来する。

途切れかけた糸を、結び合わせるぐらいのことは、やってみせたはずだ。
僕は、同人誌のお礼に、吉祥寺版のチラシと新潟版のポストカードを、お渡しした。これらだって、自主制作なのだ。


今夜、(ナ)記者は、オールナイトの椅子に座っているはずである。
話によると、『ピアノの森』ではなく、『ホッタラケの島』を上映する予定もあったとか? それだったら、俺、行ったかも知れないのに(笑)。

それと、現在上映中の川越スカラ座さんでも、監督の舞台挨拶が決まり、原画と美術ボードの展示が、行なわれているそうで、そういうのが、僕にとっての『マイマイ新子と千年の魔法』です。細くて、長い糸なんです。


さて、またキャバクラ話で、恐縮です。
そろそろ自粛しようと思っていたのに、またもや、いつもの店で、いつもの嬢。

この嬢、やはり人気があるらしく、2度も指名がかかった。その間は、客が退屈しないよう、ヘルプの嬢がつくんだけど、その場つなぎの会話が、また楽しい。
「前に、ついたことありますよ」と、ヘルプの嬢が、俺を指差す。「へえ。どんな話をしたっけ?」 しかし、せっかく思い出してもらった話を、俺はまた忘れていく。こうして、すべてを真っ白にしていくのだ。


席に戻ってきた嬢が、「ねえ、カラオケ行こうよ」と言う。営業時間中だが、延長料をもらったから、店外で遊んで、そのまま帰っていいんだそうだ。
えーと、ようするに。「快適な空間で、お酒を飲ませる」のではなく、「きれいなお嬢さんとお話させてもらえる」部分にのみ、俺はお金を払っているわけね。ふぅん。

カラオケ屋で、嬢は2人分のビールを頼む。きっちり2本立てられた指のシルエットだけ、やけに鮮明に覚えている。
僕は、妻が車の中で聞いていた曲ばかり、選ぶ。「いい曲だなあ」と、嬢がいう。
結婚生活に未練はない。だけど、妻の好きだった曲を覚えている自分は、ちょっとカッコわるい。

「自由」とは、ただボーッとしているのではなく、積極的に何かを捨て去っていく行為なのだと思う。自由な状態にこそ、意志が必要なのだ。

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2010年6月17日 (木)

■6月のメモ「静かな会話」■

バンダイチャンネルで、明日18日から、『ゼーガペイン』が無料配信されます。
といっても、6話まで。7/12までなので、BD化プロジェクトの後押しとして企画されたのでしょZega01_05うが、すでに2千人分の予約は集まっているそうなので、BD化は決定ですね。

でも、僕はライトユーザーに広まってほしいので、今回のストリーミングは賛成です。
ストリーミングでアニメを見ることが習慣化しているかは疑問だけど、「そんなに盛り上がっているのなら」と、興味をもってくれる人が増えることの方が大事であって。
ソフト化が、作品の墓場とならぬよう、祈るばかり。


ソフト化といえば、来月で『ギャラクティカ』も完結。
最終話「黎明期」は、いただいたサンプル版でも3話構成、スパドラのサイトを見ても3話構成(全21話)なんだけど、DVDは2話構成(全20話)になっている。
……DVDでは、最終話だけ90分となっているので、スパドラでは、単に放送時間枠の都合で、2話に分けたらしい。なるべく、放送したのと同じ状態で欲しいんだけどなあ。

Rental4th_vol02ところで、『ギャラクティカ』S4は、レンタル版のジャケットが、すごくいいんです。
でも、DVD-BOXを買っても、このビジュアルは手にはいらない……。ポストカードのような形でもいいから、手元に残せないものだろうか。

グレメカでの連載のおかげで、ジャケットの画像データもお借りできるんだけど、そういうことじゃなくてね。


眠れない夜は、ケーブルで邦画を鑑賞。池脇千鶴の代表作『ジョゼと虎と魚たち』。
Qe印象的なシーンだけ見返そうと思っていたら、結局、すべて見てしまった。

この映画は、結婚している頃に、妻が「見たい」と言い出し、2人とも傑作だと思ったのに、それを語り合える言葉がなかった。2回ぐらい見たように思ったけど、やっぱり「良かったね」とさえ、言わなかった気がする。
そりゃあ、離婚もしますわな。


池脇千鶴は、ジョゼという役を生きたんだ、と思う。
どのシーンでも、カメラの存在を意識してない。何かをつくるよりも、何かを捨てることが女優の仕事じゃないか、という気がしてくる。

撮影も編集も、初見時に比べて、ずいぶん荒く感じたんだけど、ジョゼが初めて旅行に出るとき、ブックオフが映るんですよ。でっかく「本」と書いてある。
ジョゼは本が好きなので、ちょっと嬉しかったんじゃないかな、と想像したりしてね。
いや、適当に撮ってきたフィルムを繋いだのかも知れないよ? でも、そういうアンビギュイティ、「そうかも知れない」という解釈の多様性を、心の中に持っていたい。
映画のテーマは、つねに自分の人生の中に存在している。


またもやキャバクラ話で、恐縮です。
友達から「近所に来ている」と電話があったので、原稿も一段落したし、居酒屋で語らってから、真夜中のタクシーで、いつもの店へゴー。

もう3回も指名しているのに、嬢の顔が覚えられない。「あれ、この前と別の子じゃないの?」と口に出してしてしまう。
酔いにまかせて、ホラ話をしていたら、「話したこと忘れるのはいいけど、ウソはやめて」と真顔で言われた。「……わかった、ごめんよ」とシュンとなってしまった。
前にも書いたとおり、「約束を守る」。これが、キャバクラという世界で唯一、美しいルールだからだ。

この嬢とは家が同方向なので、いつも2人でタクシーで帰る。「でも、今日はお店の車に送ってもらうよ」と言われ、またもやシュンとなる。
ところが、しばらくすると、不意に「やっぱり、タクシーで送ってくれる?」と言い出した。理由は分からない。一緒に帰ることが営業なら、営業でも構わんさ、と思う。

玉川上水ぞい、白々と明けはじめた、ほの明るい並木道を走りながら、近所のスーパーマーケットの話などする。
ああ、こんな静かな時間を買うために、今夜があったのだな、と納得する。
相手がキャバ嬢であれ、僕がボッタクられているのであれ、こんな静かで平和な会話は、もう、何年もしたことがなかったような気がする。

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2010年6月15日 (火)

■6月のメモ「声優考」■

EX大衆 7月号 発売中
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●『機動警察パトレイバー』完全クロニクル
TV版のストーリー全話解説、名セリフ、トリビアなど。トビラはもちろん、野明のアップで「婦人警官をナメるなよ!」
なんでグラビア誌が、『パトレイバー』にページとるのかっていうと、担当編集が好きだからですよ。BD-BOXが出る、なんていうのは副次的理由であって。もちろん、メーカーからお金も出てない。
広告じゃないから、すごく自由に誌面をつくれますよ。

その代わり、アンケートで評判が悪かったら、同様の企画は二度とできません。この本ね、グラビア・アイドルの等身大ポスターとか、組み立て式グラビアうちわとか、ありとあらゆる工夫をしてくるんです。
そんな中でアンケートの上位に食い込ませるには、やっぱり編集者の意見を、よく聞いたほうがいい。「とにかく、テキスト多く」」とか「なるべく図を入れる」とか。だって、責任とらされるのは、企画を通した編集者なんだもん。


『REDLINE』の声優の評判を、twitterで検索してみたら、やっぱり……と、ちょっとガックリ。別に、石井克人を知らなくても、『Grasshoppa!』を知らなくても、いいんですよ。
まず、否定から入るでしょ。とりあえず批判する。批判的な文章ばかり目にしているから、癖みたいになっているのかも知れない。

あと、あまり知られてないのかな……と思ったんだけど、実写の俳優はアフレコに慣れている。
なんでかって言うと、ロケ地で撮影すると、画面には映ってないけど、後ろでは車がいっぱい通っていたり、風が強すぎてマイクが使えなかったりするんですよ。そういう時は、スタジオでアフレコ。全編、アフレコなんていう実写映画もあります。

「だから俳優でいいのだ」ということではなく、あまりに偏見がキツすぎるように思うので。


私に恋愛シミュレーション・ゲームを教えてくれた友人が言っていたんだけど、「恋ゲーやると、声フェチになるよ」。確かに、そうなんだよね。
2top『トゥルーラブストーリー2』で沢田さんにハマった後、もう長沢美樹の声を聞くたびに、ドキドキしてたからね。『エヴァ』はもちろん、『青の6号』だって、冷静に見られないよ。『MS IGLOO』さえ、興奮して見てましたから。
あと、『ラブプラス』に皆口裕子が出ると知ったとき、「香坂先輩が出るんだ!」と、嬉しかったよ。

『ときめきメモリアル2』で、伊集院メイにハマったおかげで、田村ゆかりの名前を覚えたしね。そのお陰で、『ガオガイガーFINAL』を楽しく見られた。
――こういう思い出を書いてると、すごく童貞っぽくて、楽しいんだけど。
だからね、少なくとも、女性声優の声に耽溺するっていうのは、プライバシーに属するというか、パブリックなものではないんだと思う。


例えば、どうして『ハチミツとクローバー』の主演声優が「セブンティーン」のモデルだったのか? もちろん、ノイタミナ枠に、パブリックなイメージを持たせる戦略でしょう。
大人だったら、たった1クールで2億かかるビジネスで「勝つ」ための戦略ぐらい、ちょっとは分かってあげましょうやって程度の話です。劇場公開だと、P&A費がかかるから、もっと危険な戦いを挑まないといけない。
アニメ・ファンが何万人か来場してくれればペイできる、なんて甘い商売ではないわけです。

思うに、アニメの中でしか通用しないコードが、あまりに多すぎる。それを解きほぐして、アニメ・ファンも、アニメを滅多に見ない客も、仲良く客席に座れる状態が、好ましいとは思う。
あるいは、両者の深い溝は、あえて埋めずに置くべきかも知れない。常に沸点へ向かっているような、不安定な状態、常に何がしかのジレンマを抱えていた方が、文化は活性化するから。

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2010年6月13日 (日)

■6月のメモ「江口のりこ」■

グレートメカニックDX13 15日発売
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●90~00年代に何が起きたのか
『勇者王ガオガイガー』と『ゼーガペイン』を比較・検証する企画、全10ページ。
絵だけ見ていれば大丈夫とは思いますが、BS11で初めて『ゼーガ』を見ている人は、せめて15話を見おわるあたりまでは、読まないでください。
あと、ミナトさんとスワン・ホワイトに誌面を割いているのは、趣味です。

●ギャラクティカNOW Vol.9
最終回まで、あと3話。もし、この連載が次号もつづくとしても、最終2話には、触れません。ここでネタバレさせて、見た気になって欲しくないんですよ。

●ロボット演出事始 第四回
今回のお題は『ジャイアントロボ』92年版。前回は、明らかな勘違い記述があり、ご迷惑おかけしました。

●オヤヂ酒場
『マイマイ新子と千年の魔法』と『第9地区』です。『新子』は、ちょうどいいタイミングで語り合えたんじゃないかな。

●グレメカ人生波止場 第6回
今回は、石黒昇監督の登場です。このコーナー、アニメ業界の偉い人たちに、人生観・仕事観を聞くという趣旨なので、メカ目当ての読者には、興味ないかも知れません。でも、今回は『ヤマト』と『マクロス』の裏話が、とても面白いですよ。


最近は、ケーブルで録りためた邦画ばかり、見ている。
Tukitoタナダユキ監督、江口のりこ主演の『月とチェリー』。タナダユキと江口のりこ。この組み合わせだけで、傑作確定でしょう……。
予想はしていたが、江口はベッドシーンあり。何度もあり。男だったら、江口のりこを色っぽく撮ろうなんて、考えもしないだろう。

江口に童貞を食われた主人公に、彼女ができる。平田弥里。「可愛いだけで、つまんない女」って、いっぱい、いるじゃない。その感じが、よーく出てるよ。恋愛のメンドクササとか、その辺の描写も、容赦ない。
結果、江口のりこと身体だけの関係を結んでいたほうが、無理して平田弥里と付き合うより、有意義だろ?という逆説にたどりつく。
これは、痛烈。男としては、恋愛観やセックス観について、しばし考えこんでしまう映画だ。

その後、『ハッピーフライト』をちょっと見たけど、田畑智子といえば、『さんかく』。これは、絶対に見に行くよ。
とにかく、トレーラーを見ただけでも、小野恵令奈の存在感がモノスゴイもの。


かなり前、極秘(?)試写会に呼んでいただいた『REDLINE』、ようやく10月に公開
T0007908その時は、声優の名前はクレジットされておらず、「もし誰だか気がついても、言わないでください」とのお達しがあった。

「また俳優、使うのかよ!」とゴネている人は、騒いでくれてありがとう、という感じ。やっぱり、俳優を使うと話題性が増すんだなあ、とニコニコしてしまう。
アニメの芝居って、監督じゃなくて、音響監督が指導するんだよ。そんなことも知らずに文句だけ言うのは、ワイドショーで芸能人のスキャンダルを語るのと、レベルが同じなんですよ。
ようは、プロの「仕事」から目をそむけ、周辺状況を言っているにすぎないから。

肝心の本編。一秒たりとも止まらない作画の凄さに腰を抜かすんだけど、ヒロイン。ヒロインが、ちゃんと可愛いところが良心的だった。ヒロインの可愛さは、商業アニメの必須条件だから。

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2010年6月12日 (土)

■6月のメモ「太客」■

まんだらけの批評系×資料系同人誌の担当さんが、POPをつくって下さいました。
550「なんだか良く分からないんだけどなんだか見逃せない情報がごった煮的に詰まってます!」  相変わらず、「その通り!」とヒザを打つ、名コピー。

中野ブロードウェイ4Fのマニア館のレジ前にて、販売中とのこと。憧れの、レジ前! ありがとうございます。
通販もありますので、よろしく。

ちなみに、石黒昇監督からは、プラモ恋愛小説「ハネダ模型店」を誉めていただきました。
「読後、不思議な透明感が残る」と仰っていただき、恐縮至極です。


編集者が「原稿はやくて、助かってます」と、お酒をおごってくれた。
だけど、彼は終電前に帰っちゃったので、ちょっと早めに、一人でキャバクラへ。先週と同じ店、同じ指名。

彼女の年からいって、キャバ歴は数年ぐらいじゃないかと思う。他の客からも、指名されてた。この店は、手錬れが多いですね。
そして、私はヘルプの嬢にも、かならずドリンクをオーダーさせる。カラオケを歌いたいと言われたら、歌わせる。しかも、必ずラストまでいる。太客ですね。


だからといって、俺が指名した嬢は、まったく、営業メールをしてこない。自分が気に入られている、という自覚と自信があるんだと思う。

あと、約束を守る。「この次は、ごはん食べて帰ろうよ」と言っていたのだが、閉店後、ちゃんと朝までやっている居酒屋へ、直行してくれた。
約束を守る……これはキャバクラという「ごっこ遊び」の中で、唯一、尊いルールなのではないだろうか。

100602_05140001さて、その嬢があまりに何度も指名されるため、ヘルプの子が多くついた。そのうちのひとりと、なりゆきで手をつないだら、「私以外の子と、手えつないだら、ダメ!」
出ました。ヤキモチの「ふり」。3回しか会ってない客に、本気でヤキモチやくわけ、ないからな。でも、ここは、そういう「気分」に、お金を払う場所なんだよ。

だから、「キャバクラ嬢なんて、みんな、お金のために演技してるんだよ」と指摘されても、「完全にその通りだが、そこが面白い」としか答えようがない。
騙されるために、行くわけ。覚めた夢を、お金で買うんだよ。本物の夢じゃないよ。「これは夢なんだ」と分かっている夢。

業界用語で、キャバ嬢のことを「キャスト」って呼ぶんですよ。映画のキャストと同じこと。


しかし、ひとつだけ気になることがある。
先週と同じ嬢を指名したはずだけど、なんか、先週とルックスが違ったような。髪も短かったし、もっと痩せてたと思うんだけど……。酔ってたから、間違って、別の嬢を指名したのかもしれない。
でも、そんなこと確認するのも、めんどうなわけ(笑)。だって、何もかもが、覚醒した夢なんだから。

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2010年6月11日 (金)

■6月のメモ「吉祥寺発、川越行き」■

吉祥寺→新座→阿佐ヶ谷と渡り歩いてきた『マイマイ新子』巨大ポスターを、19日から上映の川越スカラ座さんに送ろうと、電話してみた。
O0197030010559382650「もし大きすぎて貼れなかったら、着払いで、送り返してください」とお願いして、とりあえず承諾をいただいた……が、電話では、とてもこのポスターが旅している経緯までは説明できず、なかなかどうして、不審がられました(笑)。
ちゃんと手紙を書いてから、土日に送ることになりそう。

実際に、ポスターを印刷してくださったチョー!さんのブログ


もうひとつ、新座での上映に協力してくれた人たちで集まろうよ、という話が、とんでもなく大きく、ディープになりつつある……(映画の正式スタッフは、一人もいません。念のため)。

女の考えることってのは、メチャクチャだ。寛容というか、鷹揚というか。
男は、手前の沽券だの矜持だのに、気をとられすぎ。

それまでに、原稿ぜんぶ終わらせて、川越スカラ座まで行ってみようかな。彼女を『王立宇宙軍』に連れていった、痛い思い出の映画館だし。


またもや変な時間に起床してしまい、録画してあった『子猫の涙』という邦画を見る。
Konekononamidaオリンピックで銅メダルをとった実在のボクサーの半生を、娘の視点から描く。
ということは、子役がメインである。藤本七海。口さがない大阪弁が、耳に気持ちいい。冒頭、父親ゆずりのボクシングで、男子をボコボコにするところからして、よかった。

だけど、なんで俺、こんな映画、録ったんだろ?と思っていたら、映画の途中で分かった。広末涼子が、出てるんだ。
しかも、ホステスの役。「触っても、減るもんじゃなし」と客に腕をなでられ、カッとなって、アイスペールを投げつける。「目ん玉に五寸クギ打って、カレンダーぶらさげたろか!」 ――やっぱり、こういう役、やってくれないと。
だって、アップにならないと、広末だって分からないもの。だから、単に「広末涼子」を見たい人は、この役はイヤなんじゃない?

とは言え、藤本七海が、片思いの少年に、ボクシング教えるシーン。ここに尽きるな。
別に、片思いを強調したような、甘いシーンじゃない。カメラは引き気味だし、セリフも「今度は後ろに下がるで」「もういっぺん、やってみよか」とか、そんな程度。
そのドライさが、逆にキュートなんだ。映画の印象というのは、映画と僕とがつくるものだから。

そういうシーンこそ、死ぬまで覚えているもんなんだ。

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2010年6月 9日 (水)

■6月のメモ「どついたるねん」■

DVDのジャケットも公開されたし、そろそろ話してもいいでしょう。
Ca270208昨年の文学フリマの頃、片渕監督から左のようなプレゼントをもらいました。ピンクの字で「ともだちはすてきです。」と刷ってあります。
右下には、小さく、監督のサインと「非売品」の文字が……。
世界に2枚しかないそうなので(もう一枚は防府にある)、今まで、ブログで自慢するのを控えていました。

このカットは、プレス向けの膨大なデータの中にもなく、けっこう希少に感じたものです。
同時に、「これを安い額縁に入れるだけでも、商品になる! みんな、喜ぶのに!」と思いました。
だけど、それを提案するのもはばかられるような沈痛な空気が、去年12月初旬の頃は、支配的だったのです。

僕は、ガラガラの映画館で、一人で映画を見るのが好き。
だから、『新子』も「う~ん、売れなかったねえ」と苦笑しつつ、ブックレットすら付いてないようなDVDが、忘れた頃に出る……それでも、良かったんです。
でも、さっきも書いた、ただならぬ「沈痛な空気」が、僕の背中を押したんでしょうね。


僕らは、よくもまあ、百年以上も、こんな奇妙な娯楽に付き合っているなあ!と、たまに可笑しくなります。
観客は、映画を見る前に料金を払い、内容がつまらなくても、手ぶらで帰る。お金を払っているのに、トイレに行くのを我慢し、死体のように暗闇でジッとしている。
でも、たった2時間座っていただけなのに、人生が変ってしまったりする。

あるアーティストが、映画のスクリーンをスチルカメラで撮影したんです。123分の映画なら、きっちり123分、露光しつづける。すると、どの映画も真っ白なんですよ。場面なんて、映らない。
止まった絵を錯覚して、「動いている」と認識するのは、人間だけなんです。いわば、「光学的に騙されている」とも言える。

だから、僕は「映画と関係を結ぶ」という言葉を、好んで使います。
映写機とわれわれとが、共謀して、合意のもと、契約の上に、そこに物語を成立させるんです。
だから、自分のことを、棚上げできないはずなんですよ。どんな映画に対してもね。

――まあ、僕は女優目当てなので、そんなに誠実じゃないですけどね。


へんな時間に起きてしまったので、録画してあった麻生久美子の『eiko』。
ラスト近く、麻生が、別れてしまった沢田研二を思い出す。その時、恋する少女の顔になっている。
それなりに辛い恋愛をしてないと、ああいう表情は出来ない。その表情が見られただけで、AOK(オール・オーケー)。

その後、ちょっと仕事してから、明け方に『どついたるねん』。相楽晴子の登場シーンだけ、見ようとDotsuitarunenしたけど、結局はぜんぶ見てしまった。

1989年公開。興行形態からしてメチャクチャで、屋外にテントを張っての上映だった。当時は「荒戸源次郎事務所」と聞くだけで、ドキドキした。邦画が、上り調子になってきた頃の作品。
阪本順治のインタビュー読みたさに、雑誌を買ったりもした。この頃の阪本監督は、女優の色気を引き出すことにかけては、世界一だった。

相楽晴子は福島出身なので、関西弁は、この映画のために特訓したはずである。阪本順治は、『どついたるねん』のためだけに、相楽の才能を目覚めさせ、再び眠りにつかせてしまったわけだ。
それは、「再起不能のボクサーが、一試合のためにだけ、奇跡的に復活する」プロットにも、通じる。

「タオル投げられて負けるぐらいなら、リングの上で、舌かみきるわい」。赤井英和のこの一言にガツンとこない奴は、本当の人生を生きてない。


そして、そろそろ、80年代後半~90年代初頭の『ノーライフキング』『櫻の園』などのアルゴ作品群、『夢みるように眠りたい』にはじまる林海象作品(もっと言うと、一瀬隆重プロデュース作)ふくめ、何か呼び名が欲しい。
あの時代を、リアルタイムで体験した世代が、きっちりまとめるべきではないか、という気がしてきた。

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2010年6月 7日 (月)

■6月のメモ「バカが一人いれば…」■

オトナアニメ別冊 シャフト超全集!! 10日発売予定
O0800113910574487068
僕の仕事は、『化物語』特集の記事の、再録分だけですね。
なんか、評判よかったらしく「別のアニメで、似たようなページできないか」って、何度か相談されんですけどね。

でも、再録分の原稿料を出してくれる「オトナアニメ」さん、良心的。


まんだらけ中野店さんへ、同人誌版「550 miles to the Future」を納品に行く。
批評系×資料系同人誌のご担当者から、熱いラブコールをいただいたので、残存27部のうち、20部をおあずけしてきた。
ただし、店頭販売はなく、通販オンリーでの販売だそうなので、お気をつけください。

その後、ラピュタ阿佐ヶ谷へ寄って、吉祥寺→新座→阿佐ヶ谷と旅してきた『マイマイ』巨大ポスターを、無事に確保。
次は、6/19からの川越スカラ座へ送りたい。果たして、受け取ってくれるんだろうか……と、こういうドキドキも、この映画ならではの楽しみだった気がする。
(不在だった石井支配人から、ご丁寧なメールをいただきました)


『ゼーガペイン』、ついにBD化の全貌が明らかに
Zega_head_2いろいろ思うところはあるのだが、なぜBS11の放映終了まで、待たなかったんだろう? そのタイミングなら、「結構よかったから、いっそBD買っちゃうか」という新規ファンも、発生していただろうに……。

BS11の掲示板を見ると、「初めて見た」って人は、チラホラいますよ。そういう人たちの気持ちの行き先は、考えなくていいのかな、と。
僕が、グレメカDXにわがまま言って記事を書いてるのは、そういう意味なんだけどね。

さて、そのBS11の放映だが、まだ第9話。新房作品でお馴染みの高山カツヒコ氏、初参加。
キョウは「現実」である戦場と「仮想現実」の日常を、等価値に捉えて安定しているが、むしろ仮想現実のほうが、ウシオやハヤセとの距離、カミナギとの行き違いなど、絶えず変動している。そうしないと、後々しかけられている、残酷なギミックが生きてこない。
キョウに「今のままでいいじゃん」と言わせておいて、来週から、視点をカミナギに移す――この作品は、徹頭徹尾「キミとボク」の話だから、カミナギが揺れると、キョウは安定していられなくなる。この冷徹な構成。見れば見るほど、面白い。


アニメ絵本『ホッタラケの島』を買ったけど、いっそ、「遥・写真集」でも出せばよかったんだよ。
100606_20070001この、微妙に怒っている表情は、ちょっと発見だった。……まあ、ほとんどはオーバーアクションだし、ラブドールと呼ばれても仕方ないんだけど、このキャラに伸び代があったのは、間違いない。

だって、ピクサーが老人や子供をつくっている間に、日本では女子高生をモデリングしてたんだから。その文化の特異性を、もっともっと、誇りに思うべきだ。
語弊を怖れずにいえば、この映画の現場に「バカ」が一人いれば、確実に化けていたと思う。

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2010年6月 5日 (土)

■6月のメモ「遥」■

昼間、新しくお付き合いする雑誌の編集者と打ち合わせ。
その後、吉祥寺へ『マイマイ新子』を見に来てくれた主婦の方(美人!)と、彼女を連れてきてくれた友人と、地元で酒。
その翌朝には、キャバ嬢とタクシーの中にいた。いや、帰る方向が同じだったから。


さて、『ホッタラケの島』の話でもしますか。去年のアニメだけど。
比較的、最近の記事によると、やっぱり制作スタート時は、混乱していたそうで、そういうのは、完成した映画に出ちゃうよね。

あの世界観にしても、『たまごっち』のデザイナーを参加させたのには、どういう意図があったのかな、と。
でもまあ、その辺はどうでもいいんです。文句を言うつもりも、ないです。
「映画は女優、アニメはキャラクター」だと、僕は思ってるんで。
Nah20090605_hrz4nvsantw_0ようは、子供向けファンタジーアニメのはずなのに、主人公が女子高生である、という奇形性が、『ホッタラケ』の味わいぶかいところであって。

主人公の遥ってのは、グッズにできない。遥のまわりの小動物・ぬいぐるみたちは、たくさんグッズが出ているのに。マーチャン展開で、二度おいしい企画だろうに、主人公をグッズにできない。女子高生だから。
冗談ぬきに、「子供に売る商品に、パンチラがあってはならない」と、そういう話なんだよ。


僕は見ている間、「これはパンチラさせないよう、方針を徹底してるんだな」と思っていたんだけど、詳しい人に言わせると、何度かチラしているらしい。
僕はそれ、「どっちかにしようぜ」と。いっそ、パンチラ目当てのポリゴン萌えの人たちに向けてつくっておけば、新しい地平が開けたはずなんだよ。

だって、PIXIVで「ホッタラケ」を検索すると、遥のイラストが多くて、びっくりするよ。
需要は、あるんだよ。

ストーリー後半、敵に引き裂かれた、ぬいぐるみのコットンを抱いて、遥が落下するシーンがある。いつもはヘアピンでまとまっている遥の髪が、風圧で海草のように乱れている。エロいですね。
でも、それ以上に、コットンを見つめる遥の泣き出しそうな笑顔。あれは、ひょっとすると、2Dでは出来ない。フェイシャル・モーションだから、あの顔がつくれたんじゃないかな。
モーションキャプチャじゃなくて、ぜんぶキーフレームで打ったのが、良かったんだと思う。

モーキャプでやると、『プラトニックチェーン』になっちゃうから。
Anime_1086『プラチェ』は、もうブルセラじゃないですか。場所、渋谷だし。僕らオタクは、渋谷で女子高生が何してようが、そんなの一番、興味ない。
その点、遥は、不気味な小動物と異世界を旅する、『不思議の国のアリス』でしょう。むしろ、「リアリスティックな女子高生」というキャラクターが、新鮮に見える。

僕らは、もっと遥というキャラクターを、厳粛に……いや、貪欲に受け止めるべきだったと思う。


もうひとつ、遥の声を演じた綾瀬はるか。
Img20080725234732彼女のフィルモグラフィを見ると、『僕の彼女はサイボーグ』、『おっぱいバレー』。前者は、すでに人間の役ではない。後者は、とにかく「本当に綾瀬はるかは脱ぐのか」と、そこにしか話題性がない。ザ・性の商品化。
で、本当に脱いだらダメだったんですよ。脱がなかったからこそ、「欲望の象徴」として昇華されたわけで。

そういう女優が、ポリゴン・キャラの声をアテる。
生身の肉体を捨てざるを得なかったような女優が、100パーセント人工物の声をアテる。
その企てに僕は、神々しさを感じる。そのマッチングの確かさは、芸術である。

映画って、主人公の造形や声だけで、十分に価値があるんだよ。脚本や演出が映画の本質だと思ったら、それは大間違い。

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2010年6月 3日 (木)

■6月のメモ「声優」■

『カラフル』で、宮崎あおい、麻生久美子、南明奈が、声優をつとめることになった。
T0008372……うーん。麻生久美子は、絶対いいと思う。というか、私は麻生の声が聞ける、というだけでモチベーションが上がった。

少なくとも、前二者は女優だから。絵であろうが実写であろうが、与えられた仕事を、的確にこなしてくれると信じている。
(余談だが、『カラフル』は中原俊が一度、実写映画化している)

しかし、さすがの私も、『みつばちハッチ』のキャスティングを見ると、「真面目にやってくれ」という気持ちになるな……。
これはもう、「お茶の間の気分を、そのまま引きずったまま、映画館へお越しください」というメッセージでしょう。素直に、チラシを見て「見よう」と決意した人間も、いるんだけどね。


でも、俳優やタレントを使ったことが理由で失敗したアニメって、何かあったかな?
(『ICE -アイス-』はね、あれはああいう作品だから。あれはあれで、いいんです)

1032例えば、『ホッタラケの島』は、綾瀬はるかの声で救われたような作品だと思う……いや、救われてないかも知れないけど、綾瀬の声が、見つづけるモチベーションにはなった。
(『ホッタラケ』については、いろいろ思うところあるので、そのうち書く)

『サマーウォーズ』なんて、カズマの声が谷村美月じゃなかったら……?と思うだけで、ゾッとするでしょ?

最初に、「タレント声優、結構いいな」と思ったのは『となりのトトロ』の糸井重里だった。『耳をすませば』の立花隆も、絶品だった。
記憶をたどっていくと、『王立宇宙軍』の森本レオ。あの呟くような声のトーンが、作品全体の基礎になっていたから、ベテラン声優が出てくると、むしろ違和感があったぐらい。その点、将軍役の内田稔は、グーだった。
若者向けアニメ映画の主人公に、森本レオを連れてくるというセンス。そこにシビれたから、『王立』以降、僕はタレント声優に好意的なんだと思う。

さらに遡ると、1980年の『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』で、森本レオは、ハン・ソロの声やってたんだよ。78年のドラマ編レコードでは、羽佐間道夫。
どちらにセンスを感じたかは、言うまでもないでしょう。アニメじゃなくて、「映画」が見たかったわけだから。

当然、『ダイ・ハード』の吹き替えは、村野武範派。


「タレント声優の起用は、単なる客引き」という主張は、「テレビと同じ感覚で、アニメが見たい」という欲求以上のものではないと思うから、あまり、正面から聞く気になれない。
だから、『マクロスF』の映画版に、グラビア・アイドルを出すのは、さすがに間違いなんだよ。

ただ、アニメというのは「映画」になった時点で、公共性を帯びる。マニアの占有物では、なくなると思う。社会に投げ出される、というかな。
そういう意味から、「映画」に「マニアのお約束」として、人気声優が出ることの方に、僕は違和感がある。


同人誌版「550 miles to the Future」、COMIC ZINさんの通販コーナーで紹介されてた。そのImgp2269うち、通販可能になるのでしょう
(通販可能になりました。よろしく)

文学フリマに出店したとき、「資料性博覧会」のパンフレットを頂戴した。次回開催が11月22日か。その時まで待って、残り20数冊を売り切ってもいい気がするし、申し込み用紙に記入して、流れるまま、委託販売してもらってもいいし……。

どちらにしても、早く終わらせないと、次へ進めない気がしている。
それと、抑圧がないと、エネルギーのあるものは、つくれない。


山下リオの数少ない映画出演作、ということで『MW-ムウ-』を借りてきた。
この直後に出た『RIZE UP』というのが、ほぼ主役級の扱いらしいので、そっちも探してみよう。

一人でもいいから、女優の仕事を追ってみると、結果的にいろいろな映画を見ることになるから、飽きないよ。

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2010年6月 1日 (火)

■マイマイ小史■

天気もいいので、ラピュタ阿佐ヶ谷さんに、ご挨拶に行って来た。
前岡和之さんデザイン・発案による、巨大ポスターを掲示していただいているので、主に上100601_15330001_2映後の段取りを話し合うためだ(製作委員会のものではないため、誰かが管理しなくてはらない)。

ラピュタに着いた15時半が、ちょうど『新子』の上映時間だった。
子供連れのお客さんが入場するのを見て、何だかホッとする。
石井支配人がおっしゃるには、今は客層も変わってきて、かなり、女性客が増えているとのこと。
それに、朝から並ばなくても、チケットがとれるようになった。
健全な状況だと思う。


署名の成果がラピュタでの上映、と誤解している人もいたようだが、それは違う。
ラピュタに話を持っていったのは、マッドハウスの松尾プロデューサーであり、それは署名活動開始前の話だ。
石井支配人から、その前後の経緯もお聞きしたが、かなり戸惑われたそうである。

僕は、「ラピュタは“情”で上映している」と、この映画館を責めた。だが、その後、新潟シネ・ウインドさん、吉祥寺バウスシアターさんと話を詰めていくうち、「お金」だけでは、とても立ち行かない、ミニシアター経営の厳しさも、少しずつ感じられていった。

静岡のシネマe_raさん、シネプレックス新座(および角川シネプレックス本社)さんも、上映に踏み切った動機の半分は、“情”であったろうと推察する。

そこから照らし返すと、情け容赦なく、興行2日目で上映短縮を「英断」した配給会社へ、矛先を向けざるを得ないのだが、ここではさておく。

僕は400字で「私の見たマイマイ小史」を書いたが、石井支配人にも、同じ課題が出されているはずである。
「どうしよう、本音を描くべきかしら」と苦笑されていたので、「ぜひ!」と、僕は念を押しておいた。


最後に「このポスターは、とても頑丈なので、これから先、どこへ行っても、ずっと持ちますよ」と、石井支配人は、励ましてくださった。
Niigata_005(←こちらは、新潟で展示されていたもの)

こんな言い方を、彼は嫌がるかも知れないが、文字通り、前岡氏は「心血を注いで」このポスターを作製した。
個人が時間を削り、貯金を切り崩して、宣材をつくる(何しろ、配給会社が、チラシ70枚しか支給してくれない場合すらあったのだ!)。
われわれの理不尽な献身の中には、さまざまな、相反する意味や感情が込められてしまった。

映画は、商材である。本来は、情や献身によって、助けられるべきではない。
「我々は、いったい何をしたのか、あるいは“させられたのか”」。自らやったつもりで、実は「させられていた」点が、厄介だ――それを解き明かすには、膨大な時間を要するだろう。
しかし、当事者たちが放置してしまったら、必ずまた同じことがおきる。

ともあれ、しばし時間をおこう。
阿佐ヶ谷は快晴、きれいな空だった。

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