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2010年5月31日 (月)

■5月のメモ「世界の本質に触れる」■

明け方、録画してあった『きみにしか聞こえない』を見てから、夕方、立川シネマシティで100531_17050001『書道ガールズ!!』を。成海璃子をめぐる小旅行も、これで一段落。

だけど、『書道ガールズ!!』は、山下リオの映画だった。『シムソンズ』でいうと、藤井美菜がやっていたような「才能はあるんだけど、ネガティブな事情から、仲間とは距離を置いている」役。
いわば、「陰」のヒロイン――いい役だね。
そうすると、もう成海璃子は「陽」にしかなりえない。そのぶん、成海が損してしまうのは、もう仕方ない。

山下リオは目鼻立ちもクッキリして、『魔法遣いに大切なこと』の頃のはかなさは、もう感じられない。
にもかかわらず、『武士道シックスティーン』では、北乃きいの友達役を演じている。北乃と成海の周回軌道に、はさまれたようなもんで、かなり意識してないと、山下リオだと気がつかないぐらい。
そんなチョイ役と同時期に、陰なるヒロイン役をも演じる。そういう時に、女優はグッと伸びるんですよ。

成海璃子を見るため、『武士道~』と『書道~』に行ったのに、山下リオを発見してしまった。
しかし、平日20時すぎの立川シネマシティは、ダメだ。繁華街が煌々と明るくにぎやかで、日曜23時ごろの侘びしさに親しんだ身には、別世界に感じてしまう。


『チェ 28歳の革命』を、ようやくレンタルで見られた。
二つだけ、面白いカットがあった。ひとつは、建物の壁をハンマーで打ち抜くところ。「5軒もあるぞ。とても無理だ」って、ハンマーを振り上げたあたりで、別のシーンへ飛ぶ。
再びシーンが屋内に戻ってくると、4つぐらいの穴の向こうで、さっきの男がハンマーを振るっている。
その省略のしかたが、しびれるほどカッコいい。

もうひとつは、チェがギブスしたまま、ライフルを構えて移動するショット。
123401678280616204790_chelargentin左手のギブスの上にライフルを固定して、そのまま手前の車ごしに、横へ歩いていく。それをカメラが、ドリー移動で追う。車にチェが隠れて、一瞬、見えなくなったりする。――この緊迫感ね。
どちらも、「縦の構図」って呼ばれるカットですね。

こういうカットを二つも見られて、僕はかなり満足。ここで「でも、脚本が……」とか、言っちゃダメなんだよ。映画でしか起こり得ないものを、見たいわけだから。
「そのカットが、作劇の中でどんな効果があったの?」と聞かれても、おそらく、直接の効果はないんだよ。


ひとつひとつのカットが、すべて映画の全体に奉仕しているかというと、そんなことはない。そんな見方をしているから、減点法で映画を見てしまう。
まるっきり意味がないんだけど、心臓をグッとつかまれる瞬間って、あるんだよ。

『書道ガールズ!!』のクライマックスだって、もう何万回も見せられたようなアクシデントが生じるんだけど、それでも思わず息を呑む。
何度となく見てきた演出だし、撮影も編集も、うまいとはいえない。でも、急に「映画」という形式がブッ壊れて、魂のようなものが、こちらに触れてくる。

そういう瞬間を、待ちつづけているんですよ。


『ギャラクティカ』S4、DVD-BOX上巻が届いた。
100530_14320001だけど、シーズンのオープニングとしては、S3の「ニュー・カプリカ脱出作戦・4部作」の悲壮感には、かなわない。

特に、2~3話のアダマとリーの会話かな。
最後まで作戦に反対しつづけるリーに、「センチュリオンは、人型サイロンを個別認識できないらしい。知ってたか?」と理詰めで抵抗するアダマ。
とうとう根負けしたリーを見送るとき、「ペガサス司令官、離艦!」と敬礼するところも、カッコいい。

だけど、最終回まで見ると、やっぱり、スターバックにメロメロになってしまう。罪なシリーズだ。

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コメント

『武士道シックスティーン』も『書道ガールズ!!』も『シムソンズ』の匂いがしました。
成海璃子さんのブレない演技が良いですね。
静の主役は狂言廻しのようで周りが引き立ってしまい損な役回りですが、周りが弾けると逆に安定感が増して見えます。

『書道~』の5人のバランスが良かったです。
動の二人が頑張っていたと思います。

「私を見つけてくれてありがとう」
『シムソンズ』以来ほかの作品を見ていてもよく思い出します。

『マイマイ~』を見に北見へ行きたかったなぁ。
もちろん「流氷パフェ」を探しに。(笑)

投稿: イルカのおかげ | 2010年6月 2日 (水) 04時10分

↑ 「常呂まで足を延ばして」が抜けてしまいました。

投稿: イルカのおかげ | 2010年6月 2日 (水) 07時05分

■イルカのおかげ様
女子チーム部活モノは、マンガチックな『シムソンズ』か、『がんばっていきまっしょい』のような、リアリズム路線の二種類に分かれると思います。
『書道~』は、せっかく実話なんだから、もうちょっとリアルでも良かったのに……と思いました。

あ、かなりキャラクターを類型化した『シムソンズ』も、実話でしたね。
あれも、ご当地色が強いので、確かに常呂まで行きたくなります。
あの映画は、奇跡的に、加藤ローサが作品のトーンを決めてたと思うんですね。

投稿: 廣田恵介 | 2010年6月 2日 (水) 16時28分

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