■5月のメモ「世界の本質に触れる」■
明け方、録画してあった『きみにしか聞こえない』を見てから、夕方、立川シネマシティで『書道ガールズ!!』を。成海璃子をめぐる小旅行も、これで一段落。
だけど、『書道ガールズ!!』は、山下リオの映画だった。『シムソンズ』でいうと、藤井美菜がやっていたような「才能はあるんだけど、ネガティブな事情から、仲間とは距離を置いている」役。
いわば、「陰」のヒロイン――いい役だね。
そうすると、もう成海璃子は「陽」にしかなりえない。そのぶん、成海が損してしまうのは、もう仕方ない。
山下リオは目鼻立ちもクッキリして、『魔法遣いに大切なこと』の頃のはかなさは、もう感じられない。
にもかかわらず、『武士道シックスティーン』では、北乃きいの友達役を演じている。北乃と成海の周回軌道に、はさまれたようなもんで、かなり意識してないと、山下リオだと気がつかないぐらい。
そんなチョイ役と同時期に、陰なるヒロイン役をも演じる。そういう時に、女優はグッと伸びるんですよ。
成海璃子を見るため、『武士道~』と『書道~』に行ったのに、山下リオを発見してしまった。
しかし、平日20時すぎの立川シネマシティは、ダメだ。繁華街が煌々と明るくにぎやかで、日曜23時ごろの侘びしさに親しんだ身には、別世界に感じてしまう。
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『チェ 28歳の革命』を、ようやくレンタルで見られた。
二つだけ、面白いカットがあった。ひとつは、建物の壁をハンマーで打ち抜くところ。「5軒もあるぞ。とても無理だ」って、ハンマーを振り上げたあたりで、別のシーンへ飛ぶ。
再びシーンが屋内に戻ってくると、4つぐらいの穴の向こうで、さっきの男がハンマーを振るっている。
その省略のしかたが、しびれるほどカッコいい。
もうひとつは、チェがギブスしたまま、ライフルを構えて移動するショット。左手のギブスの上にライフルを固定して、そのまま手前の車ごしに、横へ歩いていく。それをカメラが、ドリー移動で追う。車にチェが隠れて、一瞬、見えなくなったりする。――この緊迫感ね。
どちらも、「縦の構図」って呼ばれるカットですね。
こういうカットを二つも見られて、僕はかなり満足。ここで「でも、脚本が……」とか、言っちゃダメなんだよ。映画でしか起こり得ないものを、見たいわけだから。
「そのカットが、作劇の中でどんな効果があったの?」と聞かれても、おそらく、直接の効果はないんだよ。
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ひとつひとつのカットが、すべて映画の全体に奉仕しているかというと、そんなことはない。そんな見方をしているから、減点法で映画を見てしまう。
まるっきり意味がないんだけど、心臓をグッとつかまれる瞬間って、あるんだよ。
『書道ガールズ!!』のクライマックスだって、もう何万回も見せられたようなアクシデントが生じるんだけど、それでも思わず息を呑む。
何度となく見てきた演出だし、撮影も編集も、うまいとはいえない。でも、急に「映画」という形式がブッ壊れて、魂のようなものが、こちらに触れてくる。
そういう瞬間を、待ちつづけているんですよ。
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『ギャラクティカ』S4、DVD-BOX上巻が届いた。だけど、シーズンのオープニングとしては、S3の「ニュー・カプリカ脱出作戦・4部作」の悲壮感には、かなわない。
特に、2~3話のアダマとリーの会話かな。
最後まで作戦に反対しつづけるリーに、「センチュリオンは、人型サイロンを個別認識できないらしい。知ってたか?」と理詰めで抵抗するアダマ。
とうとう根負けしたリーを見送るとき、「ペガサス司令官、離艦!」と敬礼するところも、カッコいい。
だけど、最終回まで見ると、やっぱり、スターバックにメロメロになってしまう。罪なシリーズだ。
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