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2010年1月22日 (金)

■永作博美目当てに行ったら、郷里大輔さんの声が聞こえてきて、驚いた■

『かいじゅうたちのいるところ』の日本語吹き替え版の上映館が少なくて、まいった。
この手の映画の吹き替え版は「子供向け」扱いで、例によって、午前~昼過ぎが中心になってしまうのだ。俺のように、永作博美を目当てに行くフリーの中年男性のことは、もちろん考慮されていない。

で、ちょっと早起きして、新宿で見て来た。
Where_the_wild_things_are永作博美、これは普通の演技であって、怪獣の声になってないよ。というか、映画自体、大人の怪獣たちが悩んだり、喧嘩したりする内省的なもので、明るく楽しいものじゃないから、仕方ないんだろうけど。
唯一、ふいに鼻筋がキュンとなったのは、郷里大輔さんの声が、聞こえてきたときだった。怪獣らしい声だし、しかも、優しい性格。こういう役をやれる人が、減ってしまったのだなあ。
ちゃんと「怪獣の声」を出せていたのは、郷里さんだけだった。

「ガンダムの常識」にも書いたけど、あの頃、オッサン役の声優さんたちは、みんな意外と若かった。今は、どうですか? キンキン声しか出せない女性声優は論外として、「渋いオッサンを演じたい!」という、若い男性声優はいるのか? 「ドズル・ザビみたいな役に憧れてます!」「郷里さんの分、この俺が埋めますよ!」という、生きのいい若手声優が出てこないものだろうか。


僕が声優インタビューを避けるのは、単純に、得るものがないからです。
編集から求められる課題も、「なんかアフレコ時の楽しいエピソード、聞き出してください」とか、そんな程度のものです。
アフレコを後ろで見ていて、「コンテ撮ばかりで、よく複雑なシーンをイメージできますね」と、本気で感心してインタビューしても、メーカーさんがカット。「コンテ撮ばかり」と書くと、制作スケジュールが破綻してるように聞こえるから、イカンのだそうです。だったら、破綻さすなよ。そんなことだから、アニメ誌が、どんどんつまんなくなっていくんだよ。

コンテ撮、原画撮でアフレコするのって、そんなに恥なことだろうか? 絵が間に合ってないのに、ちゃんと感情を込めて演技できるのって、すごい技術じゃないの? だけど、それを書いたらNGなんだよ。
郷里大輔さんだって、「絵が間に合わない。だけど、それでも演じる」という状況の中で、あれだけの仕事を、残してきたはずなんだ。それを寄ってたかって糊塗して、「声優は華やかな職業」みたいに粉飾するから、俺たちは何度も何度も「惜しい人を亡くした」と嘆かなくちゃならない。

「惜しい人を亡くした」時、本当は何が悲しいのか、よく考えてみよう。声優の層が薄くなり、アニメの企画が、やせ細っていくのが悲しいんじゃないだろうか?
(だからって、『ボトムズ』『ヤマト』新作で、オッサン成分補給……とか、そういう単純な問題ではないんだよねえ)

郷里さん、意外なところで、いい演技を見せていただき、ありがとうございました。


本日22日は、打ち合わせの時間さえ繰り合わせられれば、阿佐ヶ谷で『マイ新』の予定。そろそろ、「8 1/2」というフェリーニなメシ屋にも、行ってみたい。
本日無理でも、来週は『ミツバチのささやき』→『マイ新』という軽やかな流れで、見られないものか。

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コメント

コンテ撮のことは「プレスコ」って言えばよいんだと思うんですがねえ。
アフレコでは最早ないだろ、と思うし、あれはあれで、(場合としてはごくわずかですが)声の芝居が作画を引っ張ることになる一面もないわけじゃないんです。

映画学科にギャラクティカのウインドブレーカー着て行ったら、廣田さんの先輩にあたるT教授が盛んに羨ましがってました。彼も、はまってるんです。

投稿: 片渕 | 2010年1月22日 (金) 06時49分

「8 1/2」は、『マイマイ新子』の前後で時間があれば立ち寄る習慣がついてしまいました。
金額と量から学生向けかなと思っていたのですが、スーツ姿を多く見かけますね。
かく言う私もですが。

「スタミナ野郎丼」ってかなり興味を惹かれるんですが、胃が小さくなってしまった今では
腹ペコでいかないと食べ切れなさそうで、まだ注文したことがありません。

投稿: bokusatchii | 2010年1月22日 (金) 06時55分

■片渕さま
プレスコだと、『おもひでぽろぽろ』みたいな例を指すことになってしまうんでしょうか(作画に入る前に、声だけ録っておくという……)。
テレビアニメだと、『紅』が全てプレスコだったそうですね。

>声の芝居が作画を引っ張る

なるほど。音響監督さんに聞くと、それと似た話が出てきますね。
芝居に合わせて、原画を直したりとか……

>T教授

何だ、そうだったんですか(笑)。
まだ着てないウインドブレーカー、T教授にあげちゃおうかなあ。

■bokusatchii様
あの店、やけに評判いいんですよね。ラピュタ阿佐ヶ谷に、最も近いメシ屋だからでしょうか。他は、飲み屋ばかりですし……。

>「スタミナ野郎丼」

せっかく、店名がフェリーニなのに、そんなメニューがあるんですか(笑)。
チケットがとれなくても、昼過ぎぐらいに行ってみます。

投稿: 廣田恵介 | 2010年1月22日 (金) 10時19分

>まだ着てないウインドブレーカー、T教授にあげちゃおうかなあ。

大喜びすると思いますよ。ものすっごく欲しそうでしたから。

Tさんとはひとつの教室で同じクラスを教えてるんですが、このあいだはTさん、『ギャラクティカ』のことを学生に向けて話してましたし。
その翌週、今度は僕が『ギャラクティカ』の映像を見せて解説するということをやったんですが。

投稿: 片渕 | 2010年1月22日 (金) 10時57分

■片渕さま
T教授、授業で話すまでに『ギャラクティカ』が好き(笑)。

>その翌週、今度は僕が『ギャラクティカ』の映像を見せて解説するということをやったんですが。

おお。日芸では、当たり前のように『ギャラクティカ』が教材として使われてるんですね。
素晴らしい。

これで、学生たちが『ギャラクティカ』を最初から見てくれれば、かなり心強いのですが……。
例のインタビューの話も進めていますので、よろしくお願いします。

投稿: 廣田恵介 | 2010年1月22日 (金) 11時14分

次に行くときは、ラピュタの上の山猫軒で一番安いランチでも挑戦しようと思ってましたが、81/2評判がいいのですか。心が動きます。

レコミンツはフジヤカメラの系列なのですね。昔高校の頃、既に特撮(再撮影やコマ撮り)に適した8mmカメラがあまりなく、中古を求めて船橋から中野まで部活の仲間と買いに行った記憶があります。(まるで「けいおん!」) ここも行かなくては。

ちなみに「ミツバチのささやき」なのですが、「2009/01/24」になってますよ。去年の上映の履歴ページではないでしょうか。
「マイマイ新子」もユーロスペースでやってもぜんぜんおかしくないよなあ。

投稿: zapo | 2010年1月22日 (金) 12時16分

上の方も書かれてますが、ユーロスペースの情報は昨年のものですね。ただし、1/31(日)に新文芸座で上映されるそうなのでお時間があえばそちらに行かれてみてはいかがでしょうか。私もyoutubeで予告を見かけて貴伊子ちゃんばりに「見たい!見たい!見たい!」と思っていたので助かりました。
http://www.shin-bungeiza.com/schedule.html

そういえば、劇場サイトにはまだ載ってませんけど、ユーロスペースが会員向けに送ってくる年間ラインナップに高畑勲監督の『セロ弾きのゴーシュ』が入っていました(今夏、ニュープリント上映だそうです)。片渕監督のコラムを読んで久しぶりに見たいと思ってただけに、昔の作品がDVD発売後もまたふたたび劇場で公開されるというのは嬉しい限りです。

投稿: eichi | 2010年1月22日 (金) 21時25分

すみません。去年の情報でしたか。あとで修正しておきます。ご親切に、ありがとうございました。

■zapo様
山猫軒は、いつも入ろうとすると、いっぱいなんですよ……。そして、今日は急ぎの用があったので、「82/1」にも寄られませんでした。うーん、次こそは!

>レコミンツはフジヤカメラの系列なのですね。

お詳しいですね!
僕も、8ミリ絶滅期に、フィルムを回しておりました。カメラはもちろん中古、フィルムの現像もどんどん遅くなっていって(最終的に海外で現像)、ついには店頭在庫のみ……そういう時代でしたね。
90年代初頭ぐらいを舞台に、『けいおん!』みたいな映研アニメがあったら、結構いいかも知れませんね(笑)。

『マイ新』がユーロスペース……いいですね。岩波ホールよりは、ユーロという感じですよね。

■eichi様
貴重な情報、どうもありがとうございます。URLまで貼っていただいて……。

>1/31(日)に新文芸座

これは絶対に「見たい見たい見たい! よーし!」ですね。あの「よーし!」で、いつもホロリときます。
しかも、ユーロで『セロ弾きのゴーシュ』ですか……何だか、『マイ新』の影響かと思ってしまいますね。片渕監督が、観客の整理をしたという、曰くつきですからね(笑)。

>昔の作品がDVD発売後もまたふたたび劇場で公開されるというのは嬉しい限りです。

同感ですね。DVDやBD発売を持って、その作品は終了……では、悲しすぎます。ソフトも、ずーっと生産するわけではありませんし。
ちゃんと、フィルム上映してくれる人がいる、ニーズがあるというだけで、希望がもてますね。

投稿: 廣田恵介 | 2010年1月22日 (金) 22時56分

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