■1月のメモ「マイマイ本」■
正月二日目、「ほうふ日報」の縄田記者から、元旦2部の「『マイマイ新子』と昭和30年代の防府市」が届いた。
スキャナに乗せ切れないサイズなので、中途半端な紹介になるが、12月13日に行なわれた「片渕須直監督と歩く『マイマイ新子と千年の魔法』探検隊2」の詳細なレポートが、メイン。
片渕監督のコメント、そして(無記名ではあるが)縄田記者の筆により、ラピュタ阿佐ヶ谷でのアンコール上映の件も報じられた。
こういう記事を読んでいると、単純に『マイマイ新子』の世界に没入できた日々を思い出す(縄田記者、粋なお年賀、ありがとうごさいました)。
しかし、防府ワーナー・マイカル・シネマズでは、8日で上映終了の模様。翌9日からは、ラピュタ阿佐ヶ谷で二度目のレイトショーがスタート。シネコンで惨敗、ミニシアターで満席。客層がはっきり分かって、いいじゃないかと思う。
(当地では、大量のタンス券が発生したとも仄聞するが、この21世紀に、まだ団体動員に期待してたの?とビックリしてしまう)
まだ一度も上映されたことのない地域の方が、問題だと思う。『マイマイ新子と千年の魔法』って、東京のアニメ業界の人にすら「聞いたことない」って、いまだに言われるの。信じられないだろうけど、事実です。
※大阪のシネ・ヌーヴォのスケジュール。1/30~2/12 連日20:20~
2/11(祝)のみ、12:20から1回追加上映あり。
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知名度のなさゆえの不幸、ということで言うと、『ギャラクティカ』も例にあげておきたい。
元旦に発表された実写版『ヤマト』のPVの評判がいいけど、あのSFXは、かねてより『ギャラクティカ』を絶賛していた山崎貴監督が、『ギャラクティカ』を意識したもんでしょ? ↓これが『ギャラクティカ』。
俺は、日本アカデミー賞を獲った監督に「パクるな」とは、一切言わないよ。
ただ、これから『ヤマト』が公開されるまでの一年間、『ギャラクティカ』の知名度UPには貢献します。『ギャラクティカ』が知られてないばかりに、実写版『ヤマト』のSFXが過剰に持ち上げられるという状況は、フェアじゃないよ。
東宝系公開なんだから、大ヒットして日本アカデミー賞獲るのは、もう誰の目にも明らかじゃない。でも、審査員の方々が『ギャラクティカ』を見てませんでした、というアホな事態だけは、カンベンして欲しい。十分にあり得る事態だから。
というわけで、『ギャラクティカ』ファイナルシーズンは、2月7日よりスーパー!ドラマTVで放映開始。最低でも、第1話にあたる『ギャラクティカ/序章』は見てないと、実写版『ヤマト』についてコメントする権利は、一切ない。
山崎監督だって、フェアな状況で戦いたいはず。
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今日は中野に行って、コミケでの預かり物を、受け取ってきましたよ。
ウエダハジメさんの『マイマイ新子』本、富野ネタも加味されていて、面白い。本だけではなく、ポップに使われていたA3サイズのカラーコピーまで、貰ってしまった(同人誌より、こっちの方が貴重だよ)。
あと、『どこでもいっしょ』のカレンダー。これは、どなたが下さったのでしょう? カレンダーなくて困ってたので、ありがたく使わせていただきます。
それと、レゴビルダーの直江さん宛てのプレゼントは、責任もって、ご本人に届けておきます。
コメント欄にも書きましたが、『メガゾーン23』同人誌を買いたい方は、廣田までメール(YIV00571@nifty.com)くだされば、そのまま発行人に転送します。
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スタジオジブリの新作に、ほとんど興味のない自分に驚いた。NHKで、宮さんと養老先生が対談していても、「ふーん、そうですか」としか思えない。
『マイマイ新子と千年の魔法』が評価されない国で、ジブリが何をどうしようと、それらはすべて形骸なのです。そもそも、新作には東宝・日テレと代理店が2社のほか、海外の映画会社まで出資している。シャア・アズナブル風に言えば「これで勝てねば、お前は無能だ」という状況の何が面白いの? フィルムが真っ白でも、ヒットするよ。
『マイマイ新子』が、レイトショーでじわじわ広がっていく方が、僕にとっては、圧倒的に面白い。
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コメント
こんばんは。
>コミケでの預かりもの
あ、カレンダーは私です。
メモで持つけてお渡しすればよかったのですが、お使いいただけるようでありがたいです。
『ギャラクティカ』は、大抵のTSUTAYAに入っているだろうし、見ようと思えば見られる状況にありながら見られていない(?)のがもどかしいですね。
おそらく年内には完結するので今から見始めても間に合うと勧めたいところです。
投稿: SCAMP | 2010年1月 4日 (月) 00時46分
■SCAMP様
いえいえ、会場に二日酔いで行けなかった私がダメなんです。
でも、ありがとうございます。早速、予定を書き込んだりして、有意義に使わせていただいてます。
>『ギャラクティカ』は、大抵のTSUTAYAに入っているだろうし
今ならニコニコ動画でも見られるんですよ。削除されないうちに早く!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7565807
実は、私もニコ動で見始めて、今ではDVD-BOXを全巻買うまでになりましたから。
このドラマが評価されないまま、「ヤマトすげー」とか言われてしまったら、山崎監督も不本意だと思います。
投稿: 廣田恵介 | 2010年1月 4日 (月) 01時07分
マイマイ新子について
この作品でまず問題なのはキャストにタレントを起用している所だろう
本職の声優を使ったほうが作品の完成度が上がる事は周知の事実だし
それに逆らってタレントを使うのはメディアに対するアピールのためだと思う
しかし現在の状況を見るとその効果が反映されているようには見えない
関係者が声の力についてどんな考えを持っているかは知らないが
個人的には作品そのものよりも広報活動を優先した判断に思えるし
だから続映署名などを偶然目にしても
ユーザーを蔑ろにしたあざとい手段をとる人達を応援する気にはならない。
制作者は何よりも真っ先にするべきことをしていないと言いたい。
投稿: nasu | 2010年1月 4日 (月) 22時23分
nasu様
nasu様はこの映画をご覧になりましたか?
この作品には「本職の声優を使ったほうが作品の完成度が上がる事は周知の事実だし」は通用しないと感じます。
なぜならそれぞれのキャストがそのキャラの魅力を120%引き出しているからです。
逆にタレント=ダメ、声優=良いという見方は楽しみ方を狭めてるような気がします。
ちなみに自分は何の予備知識も無くマイマイを見て作品世界に取込まれました。
声優がどーのという考えはあの作品からは何も感じられませんた。
投稿: ギムレット | 2010年1月 4日 (月) 22時47分
■nasu様
はじめまして、コメントありがとうございます。
どこから話せばいいのか……まず、『マイマイ新子と千年の魔法』の主役二人を演じたのは、福田麻由子と水沢奈子といいます。このお二人の名前は、ご存知ですか?
僕の周りでは、誰も知りませんでした。つまり、「メディアに対するアピール」としては機能していないわけですね。
>しかし現在の状況を見るとその効果が反映されているようには見えない
仰るとおりです。
主役を演じたお二人には失礼な発言になりますが、集客力に及ばない女優を、実力重視で選んでしまったがゆえに、「広報活動を優先」できないのです。
僕は、この作品を記事にしましたから、本気で困りましたよ。
挙句、署名を訴える始末です。笑ってやってください。
議論は、おおいに結構です。
そのために、コメント欄を開放しているのですから。
投稿: 廣田恵介 | 2010年1月 4日 (月) 22時49分
廣田様、あらためてこちらでも明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
>スタジオジブリの新作に、ほとんど興味のない自分に驚いた。
>NHKで、宮さんと養老先生が対談していても、「ふーん、そうですか」としか思えない。
同じ様な感想を持ちました、その対談番組録画して見てはいるんですが、ああまた、森のある環境はいい、保育園とか、こんな感じかで終わってしまいました。
どうも思うのですが、自分も含めて、マイマイ新子を見て感銘を受けた人たちは今までジブリ映画が好きと言いつつも、常にどの作品でも心のどこかに引っかかっていた「どうしても共感出来ないある種の違和感」の正体に気がついたんじゃないかと思っています。それが「ふーん」て今の感想に繋がってるのではないかと。
なんというかジブリって常日頃から「子供達の為の映画を作りたい」と言ってはいるんですが、「子供達の映画」を作っていないんです。トトロ、ポニョに代表される心地よい閉じたユートピア、善良な大人に庇護される世界、何より出てくるキャラは子供なんだけど、「同世代の子供達のコミュニティの話」は今まで全く描いていない。だからマイマイ新子を見たときのあの目の覚める様な子供の世界が広がる感覚はこの映画を「見て良かった作品」から「こんな映画が見たかった」に引き上げたと自分は考えています。(もちろん片渕監督は「ラッシー」の時点で、その子供達のコミュニティを描く物語の作り方という事を充分にやっているので決して驚きではなかったのですが)
この対談番組では宮崎さんは「(子供を育てる装置として)トトロが基準では困る、矛盾してますけど」とおっしゃられているので自覚はあるのでしょう、ならばそういう子供達のコミュニティを描く映画を作ってほしいとは思うのですがどうも(宮崎監督の内向きな生い立ち的にイメージすることすら)無理っぽい、もちろん高畑さんなら出来るでしょうが、宮崎フォロワーのスタッフの新作ではとんど興味が持てないのも当然の成り行きじゃないかとも思ったりします。見ないで否定するのは反則なので、もちろん見には行きますけど・・・もうそっちはいいからミリタリーマニア歓喜のエンタメ映画さえ作ってればそれ以上は・・・ってくらいです(酷い本音ですが)。
ただ、一方で気になるのはマイマイってホントの意味での児童文学を読む様な(例えば、僕の情けないくらいに少ない児童文学読書歴で言えば今江祥智さんの「ぼんぼん」シリーズとかあの辺ですが)台詞や作画での芝居の中から台詞にされてない心情を感じ取る事を要求される映画で、子供が見るとしたらその辺のスキルが無い子には辛いんじゃないかなって危機感も感じるんです。何故そう思うのかと言うと先日の文学フリマの後、ふと思い立って大阪の紀伊國屋書店を覗いてみたんですが、以前はかなりあった日本の作家さんの高学年児童向け作品というのがことごとく店頭から消えていたという事があるんです。ラノベに食われた、とは言いたくありませんが、この実態はけっこうショッキングでした。これが僕の読書をしてる子供達の実態への過小評価であればいいんですが、やはりマイマイは親を巻きこんで子供と語り合う作品になって欲しい。じゃあどうするか、ミニシアターでの上映はこのまま続けられる可能性があるにしても、一般劇場へもう一度戻すという運動はアリだとしても、ネットでこれだけ評判になっているにもかかわらず、地方で遅れて公開された劇場の現状報告を見てると(防府を除くと)また同じ事を繰り返す様な気もするんです。(相変わらず上映時間は午前中だけだったりしてますし)もう次の段階として、作品の文学的要素を武器にして、DVD発売までは日本中の読書サークルなどの上映会にかけまくる(それこそ毎週日本のどこかでやっているくらいに)などの方法で知名度を広げるなどの方法を検討する段階に来てるんじゃないかと思うのです。そしてどんどん親子で語り合って欲しい。ラピュタ阿佐ヶ谷の片渕監督や製作スタッフのみなさんが先頭に立ってお客さんと毎晩交流する光景は涙が出る程美しいものでしたが、冷静に考えると何か本質が違う、宣伝不足で劇場でふるわなかった分、営業さんにはそれこそフィルムを抱えて日本中飛び回るくらいの意気込みを期待しているのです。
>実写版『ヤマト』のPVの評判がいいけど、
私もmixiで褒めちゃいましたけどあくまであの「復活編」と比べて思ったより良かったって話ですから、ギャラクティカと比較出来るレベルとは思いにくいですし、さすがに日本アカデミー賞はないのでは?ギャラクティカに関してはあまり熱心な視聴者ではなかったですので今年はもう一度ちゃんと見てみたいと思っております。ただ他の作品もそうですがスーパードラマTVの放送形態は他のアニメのCS局と比べてもホントに把握しにくい!これはなんとかして欲しいものです。
長文にて失礼致しました。
投稿: Miya-P | 2010年1月 5日 (火) 12時02分
■Miya-P様
あけましておめでとうございます。今年は、一緒に何かやりましょう!
『ヤマト』に関しては、気にしないでください。世論に対する牽制ですから。でも、日アカ賞は獲ると思います。あれは、賞ではなくて、業界内のご挨拶だと思うんです。「ALWAYSの監督に無冠なんて、失礼だろ!」ということで、撮影賞ぐらい獲るでしょう。
さて、本当にいい事を書いてくださいましたね。
簡単に言うと、宮さんには(愛着をこめて、こう呼ばせてもらってます)「長年ご苦労さまでした。MG誌の連載は頑張ってください」という気持ちです。
今のような資本体制は、ジブリの誰も望んでなかったと思います。もはや搾取と呼んでもいいですよ(笑)。作品の中身とは、一切関係なくヒットします。夏公開ということは、東宝の勝負作ですから、これから夏にかけて、壮絶な宣伝展開になりますよ。ゾッとしますね。
『マイマイ』に関して。この作品が、かつての児童文学の肩代わりをしてくれるんじゃないか、ということですよね。
僕も自腹で全国回って、上映会やるぐらいやる覚悟でいたのですが、フィルムを借りるための配給元との交渉になると、おいそれと個人で出来るものではないのです。
もっと著名な、それこそ養老孟司さんが推してくれれば、ちょっとは状況が変わるかも知れません(『河童のクゥ』の時、少しコメントされてましたね)。本当は、今からでも「業界人向け試写会」をやりたいぐらいです。高畑勲さんが、レイトショーになってから、ようやっと現れるようでは……。
>ラピュタ阿佐ヶ谷~冷静に考えると何か本質が違う
そうなんです。あれがベストってことでは、断じてないですね。
あの一週間こそ、観客の根性試しを兼ねた「試写会」だったように思います。
そこから先は、僕も出来る限りのことをしますが、「この映画はいい」「広めたい」と思った方たちが、実効力のある方法で理想を実現するほかないと思います。
もう、「映画会社が何とかしてくれる」時代じゃないのです。だから、単にクレームをつけているだけでもダメで、抜本的に考えを改める必要があるのです。
投稿: 廣田恵介 | 2010年1月 5日 (火) 13時03分