■12月のメモ「数字」■
「大人のためのマイマイ・ナイト」は完走したし、そろそろこのブログも平常運行に……と思っていた矢先、朝9時に目がさめてしまいました。毎朝、この時間に飛び出して、チケットを確保していたので、体が覚えているという。
二度寝していたら、昨夜、見に来てくれた友達が「あまりにも、自分の子供時代と自分の娘とが、新子とシンクロしすぎて、長女のイタズラをしかれなくなってしまった」と、涙ながらに電話してきました。『マイマイ新子と千年の魔法』、ちゃんと主婦も救ってるぞ!
「アニオタ保守本流」さんのコメント欄から引用させていただくと、「こんな素晴らしいアニメ作品をこの国のアニメファンが広く見れないのは歴史的な不幸であると痛感し」……オーバーでなく、歴史的不幸だと思います。しかし、今なら巻き返せます。
■
新子のセリフで好きなのは、タツヨシにかける言葉かな。「そこのいてー」「手つどうてー」と、彼女にしては珍しく、ちょっと甘える感じがあって。
あと、「福田麻由子、すげえなあ」と思ったのは、タツヨシが新子の家を訪ねてくるシーン。「鈴木鈴木……ああ、鈴木タツヨシか。なーにー?」ってやつですね。こんなだらしない声を、意図的に出せるのが凄い。「中身、チョコレートじゃ!」も、元気な食欲を感じさせて、良かった。ラスト近くの「へっへーん、ちゃ」も、可愛い。
貴伊子のセリフは、もうすべて良かったような気がする。いや、ぜんぶ良かったな。ひづる先生の話をしていて、「うん。いい匂いだった」と「た」を力強く言う、あそこがベストかな。
福田麻由子が気になった人は、『Little DJ ~小さな恋の物語』を観るのが、一番いいと思う。何しろ、監督が永田琴さんだから。
永田琴監督といえば、『渋谷区円山町』。仲里依紗と原裕美子の、女同士の友情物語という点では、『マイマイ新子』に似ていなくもない……が、こっちは軟弱でセンチメンタル(もちろん、そこが良い)。でも、永田監督は、女優でも男優でも、本当にいい部分を取り出す天才なので、仲さんの主演作ではベストじゃないかな。この頃の仲さんは、まだ「小柄でか弱い美少女」を演じられたんだよなあ。今は無理だけど。
もともと、俺は女優を目当てで邦画を見るのが、大好きな男なんですよ。この後も、仕事用に蒼井優の主演作を見るし、そういう時間が至福なんです。ホントは、演出なんてどうでもいい。女優を、うまく撮れていれば。
じゃあ、貴伊子役の水沢奈子は?というと、主演作は『赤んぼ少女』だけですからね。ほとんど叫んでるような役なので、そのうち、もっとセリフの多い映画に出てね。
■
10月に公開されたハリウッド版『ATOM』のブルーレイとDVDが4月に出るのはいいとして、DVDは1万円もするプレミアムBOXも出ると聞いて、ちょっと驚くでしょう? そんなにヒットしたっけ?って。いやいや、ヒットしたんですよ。公開第一週で興収ベスト10位に食いこんだのだから。そりゃ、豪華版DVDの制作予算も組めるわけですよ。
昨夜、10年ぶりに『アリーテ姫』を見たのですが、レンタル屋に置いてないという声を聞き ます。僕もレンタル屋でDVDを探して、はじめから入荷してないことを知って、買うことにしたんです。で、ふとアニメ棚を見ると、『ミヨリの森』が2本もある。
なんでかと言うと、『ミヨリの森』はフジテレビで高視聴率をマークしたからですよ。『マイマイ新子と千年の魔法』より、『ミヨリの森』の方が有名だという、この現実。この世の中。
■
成田亨さんは、大学時代、「映画は芸術か、商品か?」を巡って、仲間と大激論したそうです。得られた結論は「映画とは、極めて芸術性の高い商品である」。
このエピソードを読んだとき、僕は日大の映画学科にいたので、おおいに首肯したものです。内容的に「おいおい、ちょっと待て」という映画でも、数字がとれれば優遇される。
ラピュタ阿佐ヶ谷さんが、奇跡的な大入りとなりましたが、売り上げ的にどうだったのかな、と計算してみると、入場料が1,300円でしょ。キャパは48席だから、一日6万2,400円。興行は8日間だから、49万9,200円が興収。その半分を、配給会社さんがトップオフするのが通例ですから、24万9,600円が、ラピュタさんの取り分となります。契約内容によって変動するとは思いますが、『マイマイ新子』の収益全体からすれば、なかなか厳しい数字であったはずです。
せっかく、アンコール上映が決まったのに、水を差すようなことを書いてしまって、白けた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、数字で価値を測られてしまうのが、映画ビジネスなのです。だから、僕は数字で押し返せる「署名」という形で、サポートすることにしたのです。署名活動を副産物的に「話題性」として扱っていただけたのは、幸いでしたが、問題は数字なんです。
「儲かんなかったけど、いい作品だったよね」という評価は、この世界では、悲しいかな、負け惜しみでしかありません。今から上映規模を拡大し、最終的ヒットに導くしか、この映画は救えないのです。
――こんなこと、本当は書きたくないんですけどね。「映画に点数をつけるな」と口癖のように言っている僕も、署名に関しては「数が勝負」と思っています。
ご理解いただけましたら、こちらへお願いします。もちろん、ラピュタさんの尽力で、光明が差してきたからこそ……のお願いです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
今日12月28日21時からの「ガリレオφ」のオープニング付け足し部分(新規撮影部分ともいう)に仲さん出演。
>この頃の仲さんは、まだ「小柄でか弱い美少女」を演じられたんだよなあ。
役はふてぶてしいお姉さん。
あまりに普通なんですぐに気づかず。
エンディングのクレジットで確認。
録画しとくのでしたよ。
(ブログに告知あったのに!)
ともあれ「時をかける少女」楽しみですね。
投稿: DH98 | 2009年12月28日 (月) 23時47分
■DH98様
すみません、相変わらずテレビドラマには興味が持てなくて……。
「テレビで経験を積んだら、早く映画に出ておいで」と思ってしまいます。
>ともあれ「時をかける少女」楽しみですね。
仲さんにとっては、一時代の終わりを象徴する映画だと思います。
「あの『時かけ』の続編なんだ」と、肩ひじ張らないで見るのがいいんでしょうね。
投稿: 廣田恵介 | 2009年12月29日 (火) 04時26分