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2009年12月26日 (土)

■マイマイ・ナイト8日目■

いつもより早いぐらいの時間に、ラピュタ阿佐ヶ谷に着くと、館の外に長い行列が出来ており、宣伝プロデューサーの山本さんが近所の主婦に、「マイマイ新子というアニメの映画でして……」と、申し訳なさそうに説明していました。
オープンと同時に、館内で列の整理を始める山本プロデューサー。カメラ片手なのは、記録を残すためでしょうか。気がつくと、出入り口に片渕監督の姿も……。
今朝の阿佐ヶ谷は、曇天でした。この8日間で、晴れなかったのは初めてだと思います。

チケットは、30番台でした。
Ca270201片渕監督が講師の「アート・アニメーションの小さな学校」に申し込んでいたつもりが、予約受付メールをなくしてしまったらしく……代わりに家で、『アリーテ姫』を見てから、行くつもりです。
せっかくDVD買ったのに、見る時間がぜんぜん、なかったもので。

それでは、夜、阿佐ヶ谷で。


昨日、トラックバックをいただいた「アニオタ保守本流」さんの『マイマイ新子と千年の魔法』~しかし、すぐそこにある希望~【局地的大ヒットにつき続映を望む】 、瀑布たる大文章。いま、何が起きているのか、これを読めば分かります! こういう文章を読むと、僕が始めなくても、誰かが署名をやっていた、と確信するのです。
ただ、文章中、「TOHOシネマズ」とあるのは、「新宿ピカデリー」の誤りでしょう。それか、松竹系列のMOVIXだったはずです。
嫌味でも皮肉でもなく、新宿ピカデリーは、シネコンの中では最もお気に入りです。あのスクリーンに『マイマイ新子』が返り咲く日を、僕は固く信じています。


Twitterでは大騒ぎになっていますが、本日のレイトショー後の舞台挨拶で、『マイマイ新子091226_23040001 と千年の魔法』の延長上映が発表されました。来年1月9日から、3週間。開映時間は、ちょっと早まって連日20時50分からです。

ラピュタ阿佐ヶ谷での上映が、いかに重要か力説してくれた宣伝チームのMさんがロビーにいたので、「何だか、まだ夢見てるみたい。明日から、ようやくレイトショーが始まるような、変な気分です」と呟いてしまいました。
なぜなら、Mさんこそが「このレイトショーが失敗したら、もう今度こそ終わり」(だいぶ意訳してます)と、電話で力説してくれた張本人なんですね。
あと、アニメージュ編集部のK女史がいたり、シネマトゥデイの取材が入ったり、僕もデジカメとICレコーダー持参で取材モードだったし(この現象を見逃したら、もうアニメ雑誌なんていらないよ)、まるで今日が初日みたいな賑わいでした。
091226_22480001朝、行列の整理をしていた山本宣伝プロデューサーは涙目で、片渕監督と抱き合ってました。まるで、『スター・ウォーズ』のエンディングみたいでしたよ!
(舞台挨拶に並んだ作画スタッフ、プロデューサー陣。最後は監督の音頭で、場内総立ちで三本締めでした)


8日間を一緒に走り抜けた、友人のギムレット氏は、頭部装着用マイマイ・カードを自作してきて、091226_20070001監督にプレゼントしてました。
そのギムレット氏が、今日は新しい友達を招待して、僕も8年ぶりに会う女友達を呼んで……彼女は、「自分の子供たちが、急に愛おしくなった」と言って、ロビーに常設された「マイマイ感想ノート」に長文を書き綴ってました。

こういう言い方をしてもいいと思うんだけど、この映画は、第一回戦で惨敗したのです。ラピュタ阿佐ヶ谷が決まったとき、「そんなことより、全国の直営館でバタバタと終わっていく状況を何とかしようよ」と思ったのですが、今日は松竹のプロデューサーから「初動で、その映画の運命が決まってしまうのが、シネコンなのです」と、反省の弁が聞けました。それだけでも、かなりの前進ですよ。配給・興行サイドが「欠点もある」と認めたわけですから、素晴らしいです。
だったら、映画やアニメの消費の仕方を、『マイマイ』から考え直していこうよ……と、思うんです。そのことを含めての署名なんです。ここで変わらなければ、「地味な良作」が現れたとき、また同じ轍を踏むことになる。DVDやブルーレイを待望している方も、署名で訴えていただきたい。その理由は、ここには書けないのですが、「ロードショーで惨敗した映画のソフト化が、スムーズに行くわけがない」とだけ言っておきます。「せいぜい、DVDが数千本ぐらい出れば、いい方では」とは、この映画を見た他社のプロデューサーの言です。


阿佐ヶ谷からの帰り道、頭の中でコトリンゴさんの「こどものせかい」が流れていました。もう何回目か数えてないけど、思いがけないところで涙がこみ上げてくる、本当に油断ならない映画。でも、まだまだ、圧倒的に世間の認知度が足りてない……。
年明けの三週間のアンコール上映、さすがに毎日は行かないけれど、友人には「今度こそ見て!」と薦めまくります。うるさいですよ、僕は。


たしか僕は、この短い特報を見て、取材を決めたんだった。

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コメント

みなさん8日間おつかれさまでした。
片渕監督やスタッフのみなさんも結局連日会場にいらっしゃったみたいですね。ほんとに作り手の方と観た方に愛されている映画だと思います。
アンコール上映は嬉しい限りです。観たいのに観られなかった方々にチャンスができて本当に良かった。この8日間の実績やアンコール上映をキッカケに、まだまだ広がって行ってほしいと願っています。

投稿: $0.5 | 2009年12月27日 (日) 00時30分

■$0.5様
すみません、今日の更新は、なかなか終わらなくて(笑)。
片渕監督と宣伝チーム、エイベックスやマッドハウスのプロデューサーや広報さんは、8日間ぶっ通しでした。休みナシです。

>この8日間の実績やアンコール上映をキッカケに、まだまだ広がって行ってほしいと願っています。

まったく同感です。「ラピュタ阿佐ヶ谷で成功したから、別にもういいや」では、あまりに東京中心すぎますからね。
まだ、いちども上映されていない地域もあります。今回の成功を契機に、よりよい環境が全国的に生まれてくれるのが理想ですね。
ハードルは高いけど、僕ら観客も主張しないと、何も変わらないと思います。

投稿: 廣田恵介 | 2009年12月27日 (日) 00時51分

本当に幸せなひと時でした。
こんなにも作り手と売り手とお客さんが一つになってる光景なんて二度と見られないかもしれません。
というか普通ありえないですよね(笑

アニメの未来は明るい!誰ですか衰退するなんて言ってる人は!

アニメの力を信じられる。そんな作品でした。
廣田さんもお疲れ様でした。そしてありがとう!んでまだまだ頑張りましょう!

投稿: sasa | 2009年12月27日 (日) 00時52分

やりましたね、廣田さん。
上映存続おめでとうございます。
1日遅いクリスマスプレゼント、しっかりといただきました。
これは奇跡ではなく、これまでの上映存続活動やブログ・Twitterを通じたファンの口コミによる当然の帰結だと思っています。

欲を言えばもっと大きな劇場での上映までもっていきたいですね。
ラピュタ阿佐ヶ谷は小ぶりで家のような雰囲気で、それが上映存続に貢献した部分もあると思います。
ただ、実際にラピュタでご覧になった方ならわかると思いますが、
正直音の状態があまりよくありません。
上映環境の整った映画館でぜひマイマイの世界に浸って鑑賞したい。
その日まで、私も応援させていただきます。

投稿: bokusatchii | 2009年12月27日 (日) 01時15分

8日間ありがとうございました。
駆け抜ける事が出来て嬉しい気持ちでいっぱいです。
「ただもっと見たかった」
この気持ちだけですね。
もっともっとみんなに見て頂きたいです。

マイマイカードは〜
この映画を見終わった人は絶対に貴伊子のように「マイマイが欲しい」と思うはず。
そういった想いを満たす為のアイテムです。
でも今現在世界に7枚w
しかも1000枚に1枚の割合で「貴伊子マイマイ」がシークレットで存在します(ォィ世界に7枚じゃないのか?)
1枚はあくまでファンとしてこの作品を応援し続ける廣田さんに。
残りの6枚は片渕監督にお渡ししました。
監督は早速頭にかざしてくれました!!
作った甲斐がありました。
自分なりのファンレターです。

投稿: ギムレット | 2009年12月27日 (日) 01時23分

■sasa様
何だか、本当に夢みたいでしたよね。片渕監督だけかと思ったら、もう来られる関係者は全員集合!みたいになっちゃって。

>アニメの未来は明るい!誰ですか衰退するなんて言ってる人は!

いや、本当に。一部、衰退してると思いますが(笑)。「うーん、これを映画館にかけますか?」という作品もやってますし。
『マイマイ』という作品が、どうアニメを変えていくか――まずは、「見る人が増えること」だと思うんです。まだまだ世間では認知されてないので、頑張りましょう!

■bokusatchii様
写真、すごく良いポジションから撮れてますね! 僕は、ぜんぜんヘッポコでした。
仰るとおり、もう「メーカーや配給が決めたことなんだから、仕方ないよ」という時代では、ないと思います。

確かに、ラピュタ阿佐ヶ谷さんは、ところどころ(あるいは日によって)音がチョット……という不満はありましたね。
そこをアット・ホームな雰囲気でカバーしてるのが、良さだとも思うのです。儲かってくれたようで、よかったです。

新宿ピカデリー・クラスの映画館に凱旋できるかどうかは、今後にかかっていますね。松竹さんも、今やってるアレをやめて(笑)、『マイマイ』やれば?とか思います。
まずは、今夜から、真のスタートですね。でも、本当にクリスマス・プレゼントだったよなあ……。すごい夜でしたね。

投稿: 廣田恵介 | 2009年12月27日 (日) 01時43分

廣田さん、今日は本当にありがとう。
あっと言う間の90分でした. . . . 

子供のころの自分はまさに新子タイプだったみたいだし、そのDNAを受け継いだ長女の中にある「こどもの世界」を、大人の都合で押さえつけていた自分を嫌だなと思った。

1月になったらまた観に行くし、旦那も会社の帰りに見てくるように薦めます。できるだけ沢山宣伝します〜。

投稿: ごんちゃん | 2009年12月27日 (日) 01時46分

■ギムレット様
もう、どういう経緯で、あなたに『マイマイ』を薦めたのか、覚えていません。
ただ、レイトショーの二日目に、ふらりと現れたとき、「この人、マイマイを気に入ってくれたんだ!」と感激したのを覚えています。

>「ただもっと見たかった」

僕も、ラピュタ阿佐ヶ谷から駅までの間、「うわ、もう一回見たい!」と思ってました。さっき見たばかりなのに(笑)。

監督は、サインぜめにあってましたね。あれだけ、初対面のお客さんが声をかけやすい監督さんも、珍しいかも知れません(笑)。

なんだか、とても不思議ですね。ギムレットさんと8日間つづけて、同じ映画を見ていたなんて。あるいは、こうして、「僕も、あの場にいましたよ」という方が書き込んでくださるなんて。

投稿: 廣田恵介 | 2009年12月27日 (日) 01時54分

■ごんちゃん様
僕も、今日は「新子って、あんたに似てるじゃん」と思いながら、見てました(笑)。

僕のように、実際に子供がいない人間でも、自分の「子供の世界」は確実に持っていたはずで、それを全肯定してくれる映画でした。

ぜひ、そっちのネットワークでも広めてください。日本人なら、誰でも分かるんじゃないか、という気がします。

投稿: 廣田恵介 | 2009年12月27日 (日) 02時03分

アンコール上映決定おめでとうございます
署名開始の頃はまだ小さな輪でおぼろげだったマイマイ新子の未来が
確信を持てるものに育ってきましたね。
でもまだ一歩前進にすぎません。この輪をどう全国に広めるか、またアイデアを考えないといけませんね。
関西でもこういう形でみんなに見てもらえる場所が出来る事を期待しています。
今回は行けませんでしたが年明けアンコール上映には兵庫から東京遠征してみようかと、またその前に公開中の岡山辺りに見に行ってみようかとも思っています。

投稿: Miya-P | 2009年12月27日 (日) 04時06分

■Miya-P様
確かに、まだ東京圏だけの話です。大都市圏だから、これだけ動員したのだろうと言われると、確かにそうかも知れないのです。
目先の数字だけが欲しいのなら、あちこち興味を示してくれるとは思います。

>関西でもこういう形でみんなに見てもらえる場所が出来る事を期待しています。

仰るとおりです。他の区域に広がっていかないと、阿佐ヶ谷で成功した意味がありません。
いくつか、話は漏れ聞いているのですが……いずれも、関東中心の話ですね。
岡山というと、MOVIX倉敷ですね。いきなり朝9時でなければ、いい兆候なのですが。

投稿: 廣田恵介 | 2009年12月27日 (日) 04時30分

延長上映、よかった!
スタッフの方も嬉しいでしょうね。

マイマイ新子と千年の魔法、私の住んでいる北海道の田舎での上映は、相当厳しいと思います。ですが、こういった映画が東京でもむごい仕打ちというのは、あまりにも悲しすぎます。

これは推測なのですが、廣田さんは仕事上、公に出来ない事を多々知っていると思います。恐らく、この映画については、動かなければならない事態が起きているのではないか。もちろん単なる想像ですが、そう思ってます・・・ ってのは、深読みしすぎでしょうか。

以前、廣田さんはランバ・ラルみたいな声だと、ここに書き込んだことがありました。ブログを読んでいると、廣田さんは不当に評価されていたり、弱い側に付く事が多い気がします。やはり似てると思いますよ。いえ、声ではなくて。

投稿: 浜長和正 | 2009年12月27日 (日) 11時31分

■浜長和正さま
ご無沙汰してます。「ランバ・ラルみたいな声では?」という書き込み、とても良く覚えてます(笑)。それで、つい最近、仕事でラルのことを書いたんです。彼は不利な立場に立たされても、文句を言わず行動で示しました。でも、僕は彼のように立派ではないですよ。文句、言ってますから(笑)。

>深読みしすぎでしょうか。

いえ、その通りなんです。だから、上映延長も前から知ってはいましたし、それぞれの事柄にまつわる、細かいニュアンスも感じとれてしまうんです。
それを鑑みると、署名を集めて、製作委員会に訴えるしか方法がない。その判断は、いまだ変わりません。

本当に、この映画は変わっていまして、「みんなに見せたい」「何度でも見たい」と思わせてしまうんです。
浜長さんの住んでらっしゃる地域にも、フィルムを焼いて、持っていきたい気持ちです。

投稿: 廣田恵介 | 2009年12月27日 (日) 13時41分

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