■マイマイ・ナイト5日目■
昨日は雲がありましたが、今日の阿佐ヶ谷は快晴です。(←こんな看板が、駅前にあります)
帰宅してから、署名サイトのお知らせを更新しました。署名いただいた方にはメールが送信されたと思いますが、なるべく「お知らせ」回数は減らします。
あとは、この百ページぐらいになる署名嘆願書をプリントアウトして、4セットずつコピーして……という仕事が待ってます。
※署名は、引きつづき、受け付けています!
うまいことに、レイトショーが終わる週末ぐらいから、次の仕事が入ってきます。そのために、邦画ばかり5本、レンタルしてきました。何だかんだで、昼間はいろいろとやることがある……。
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あまり、『マイマイ新子』と関係ないかも知れないけど、テレビをつけたら、メイド喫茶を取材していた。
昔は「こんな程度のもので、癒されるなよ」と苦々しく思っていたけど、親や教師に誉められなかった子供たちは、大きくなってからメイド喫茶で労をねぎらってもらう以外、やるせない社会なのだと思う。どうしてアニメなのか、どうして少女の言うことの方が信じられるのかというと、リアルな大人の言うことに、説得力がないから。予備校で、生徒に「死ね」と言う講師がいるような社会を、信用できるわけがない。
『マイマイ新子』では、大人の言うことを、新子や諾子が依り代のように媒介して、解釈しなおしている。だから、聞きやすいんだと思う。とても重要なことだ。本当は、新子が千年前をリアルに想像するのは不自然なんだけど、そういう手続きが必要なんだよ。
「女の子を出しておけば、ウケる」とか、そういうことでは、一切ない。80年代はそうだったかも知れないけど、いまはもっと切実なんだ。
あと、唯一の授業シーンが「自習」だったことにも、大きな意味があると思う……。まあ、あとは見てから考えますか。
では、今夜も阿佐ヶ谷でお会いしましょう。
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ラピュタ阿佐ヶ谷のトビラをくぐると、「満席です」と断られて出て行く女性と、すれ違いました。あまり、ネットの情報など見ないで来られた方なのかな。本日は、遠方から来られた方も含め、初めて『マイマイ新子~』を見るお客さんが、多かった様子。
まだ3日あるし、年が明けてからも、観るチャンスはありそうです。
上映前、片渕監督が、お知り合いの方がワンオフで作った「マイマイ・グラス」を見せてくれました。舞台挨拶でお披露目するのかと思ったら、見せないで終わってしまったので、写真をとるチャンスは無し。
デザインは、群青色に透けたグラスに麦の穂があしらわれており、底にはシルエットの新子と貴伊子(エコバッグと同じ)がいる。「これでビールを飲んだら、うまそうだなあ」という、完全オトナ仕様。こういうグッズこそが、この映画には似つかわしい。署名が集まれば、製品化も可能かも知れない、と煽っておきます。いや、本当に。
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途中で数えるのを忘れてたんだけど、今夜で13回目か。
一部のレビューでも読んだし、見た人から聞かされたことなんだけど、この映画は後半に行くに従って、現在のシーンと千年前のシーンが分離していく。僕は一回目を見る前から、「後半で、おかしなことになりますよ」と聞かされていたので、そんなには驚かなかった。
しかも、分離した二本のストーリーを、セリフで繋ごうとしてるのが、また具合が悪い。だけど、それこそ魔法や何かを使って、二本の話を有機的に上手くまとめ上げられたら、それはそれでイヤ。
万人が納得する脚本というのは、民主的に解決しただけであって、それ以上のものではないと思う。映画の脚本というのは、何人ものプロデューサーを何段階にも説得しなきゃいけないから、多数決的にならざるを得ない。大作になればなるほど、そうですよ。
『マイマイ新子』の欠点は、最初から分かっていた。だけど、ウェルメイドな、教科書的な、型どおりの作品は、年に何本もあるから、僕が推す理由にはならない。
他の誰も愛しそうもないから、ひとりでプッシュしはじめたつもりが、ふしぎな形で話題作になりつつある、というだけです。本来の観客層が、この映画に「形」を与えはじめたところじゃないでしょうか。
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コメント
廣田さん、はじめまして。
私も連日劇場に通っています。
私は貴伊子にやられた派です。
あの白い肌で泥だらけになられたら・・・反則です。
自分の備忘録的ブログでも署名活動のブログパーツ貼らせていただいています。
この活動の成功が『マイマイ新子』だけでなく、日本のアニメーションの未来に大きくかかわっている、そんな気がしています。
というわけで、今夜も貴伊子たちに会いに行きます。
ところで廣田さんはTwitterはやられないのでしょうか。
宣伝を兼ねて片渕監督とTwitter上での対談も面白いかと。
投稿: bokusatchii | 2009年12月23日 (水) 16時40分
■bokusatchii様
こんばんは、はじめまして。
僕も、最初の感想は「貴伊子を見るために、もう一度……」でした。そこが入り口でした。
しかし、マイマイ・ナイトは通っている人が何人かいるようで、驚いています。やっぱり、何度見ても、新しいところを見つけてしまいますよね。
>署名活動のブログパーツ
大変ありがとうございます。すごく綺麗に貼って下さってますね。僕は、こんな綺麗に貼れないので、記事の中で触れて、リンクするようにしています。
今回の件を通して、DVDやブルーレイの存在意義や映画館で続ける意味、いろいろ考えさせられますね。アニメの見られ方は、このままでいいのか、と思います。
>Twitter
なんか、24時間ハマりそうで怖いんですね。あと、知らない人から見えない場所で叩かれるし(笑)。
僕は世界中、どこからでも見られるこのブログが、性に合ってるようです。ただ、『マイマイ』をここまで押し上げたのは、Twitterの力ですね。それだけは、間違いないと思います。監督がTwitterやってらして、助かっています。
投稿: 廣田恵介 | 2009年12月23日 (水) 18時36分
自分は「マイマイ・グラス」で麦茶が飲みたいと思いましたw
売るとしたら7000円くらいになるとおっしゃられてましたよね。
この映画をみて何かを自分の手元に残しておきたいと感じた大人の人にはピッタシのグッズかもです。
前半の1000年前は新子の空想。
後半の1000年前は貴伊子の空想。
最後の草笛でまたひとつになるというのが好きなんです。
投稿: ギムレット | 2009年12月24日 (木) 01時04分
■ギムレット様
7千円なら、逆に限定生産で赤字が出ないような出し方もあるように思います。ジブリ美術館のお土産では、それぐらいの高額製品はざらに売ってますし。
>前半の1000年前は新子の空想。
>後半の1000年前は貴伊子の空想。
後半のシーンに、新子がまったく関与してないのが、また読み取りにくい原因ではあると思います。
分かりやすい解決法は、二人で千年前の世界に行って、諾子と友達になって、ひづるを連れて帰るとか(笑)。そんな便利な映画だったら、僕はこんなに支持してないですけどね。
投稿: 廣田恵介 | 2009年12月24日 (木) 08時12分