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2009年12月31日 (木)

■12月のメモ「大人の務め」■

アニメ業界の友人から、「あんたは『マイマイ新子と千年の魔法』については、十分に役割を果たした。だから、そろそろ手を引くべきだよ」と強く言われたのだけど、前岡和之さんのブログ「B2/P.I.L」を見て、やはり大人しくしてはいられなくなった。以下、引用。

現在の署名数を見て欲しい。


署名されたかたがたのことを愚弄する気は、
殊更ないのは理解して頂きたい。

ね、たった1000人ですよ。
たかが1000人の署名しか集まってないのですよ。

ご覧になったかたには、わかりますよね。
そんなスケールで語れる内容の作品でしたか?


これって何を表しているか考えましょうよ。


『ザ・シンプソンズ』の声優変更問題のとき、署名運動をやっておられた方から、マイマイ署名について、励ましのお便りをいただいた。その後、『ザ・シンプソンズ』の署名者数が3,000名を越していたことを知る――。
もちろん、署名は強制じゃないし、僕の考えに賛同できなければ、署名しなくても構わないんです。でも、それなら、署名の代わりに、作品に対して何をしてくれたのかな、と思う。
上に引用させていただいた前岡さんは、DVD化が絶望視されていた『ガンヘッド』を、パッケージからメニュー画面まで、全て自作したんですよ。彼が優れたお手本を示したお陰で、ほぼ同じ仕様で、DVDが発売されました。
あるいは、僕がパンフレットに関わった『ROBO☆ROCK』の話をしましょうか。この映画は、『マイマイ新子』より過酷な上映規模だったにも関わらず、地方の熱烈なファンたちが、配給会社に何度もメールを送り続け、ついには地方上映を実現させてしまったんです。

この『ROBO☆ROCK』がいい例だと思うけど、まず、そんな映画のタイトル、知らないでしょ? 監督とスタッフと3人で観に行ったら、僕らを入れて、観客は6人だったから。地方での上映が決まっても、東京での上映は酷いままだった。
その後、DVDが、何度か仕事させていただいたメディア・ファクトリーさんから出ると聞いたので、担当の方を紹介していただいたんですよ。
でも、ブックレットひとつ作らず、明らかに安上がりのDVDが発売されて、それで終了ですよ。まして、制作予算のかかるブルーレイなんて、出るわけがない。興行成績の悪かった映画の末路なんて、そんなもんです。
ヒット作・話題作ばかり追っかけてたら、こういう現実も見えてこない。

先日も紹介したけれど、札幌のシアターキノに『マイマイ新子』の上映リクエストをしたtegitさん。彼は、売り上げに貢献するため、シアターキノに足を運んだっていうじゃない。「とにかく上映してくれ」じゃなくて、映画館にも、いい思いをしてもらう。みんなで幸せになる。tegitさんは、それを実践してるんですよ。
誰かが、後を引き継いでくれるなら、僕はもう『マイマイ新子』のことは書かないし、余計なことはしないよ。
だけど、前岡さんの言葉を借りるなら、「子供に見せたい」と思ったら、「子供に見せられる環境をつくる」のが、大人の務めってもんでしょ? 僕たち大人が、ちょっとずつ何かをサボってきた結果が、今の状況なんだ。『マイマイ新子』だけの問題じゃないですよ。


前から書こうと思っていたけど、『王立宇宙軍』って、今でこそアニメ史に残る名作になって、ブルーレイも出ているけど、興行面では苦戦したんですよ。ただ、前年公開の『天空の城 ラピュタ』よりは、ちょっとはマシな成績を残せた、と聞いたことがある。
思い起こせば、『王立宇宙軍』の新聞広告に、宮崎駿が「最大級の賛辞を贈る」とコメントしたんだった。それで、ちょっと持ち直したのかな、という気がする(宮崎アニメがブレイクするのは、その後の『魔女の宅急便』だけど)。
何しろ、『王立宇宙軍』は、映画の地味さにビビったバンダイが「ロボットだけでも出せないか」と打診したぐらいだから。バンダイの情報誌「B-CLUB」に、何ページもわたって「とにかく観に行ってくれ」と書かれていたのも、公開前の不安が高じた結果だったのかも知れない。
こういう話は、負の遺産なのかも知れないけど、学ぶべきところは多い。誰かが語り継がなければいけないと思う。


今から、何本か邦画を見て、原稿を書きます。某アニメ誌編集部、編プロなどが、年末年始も絶賛営業中。頼もしい。
ウエダハジメさんのマイマイ本、友人が入手したので、ちかぢか見せてもらうことに。楽しみ。  

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2009年12月30日 (水)

■12月のメモ「大阪公開」■

『マイマイ新子と千年の魔法』、大阪シネ・ヌーヴォでレイトショー決定!
1月30日からだそうなので、ラピュタ阿佐ヶ谷(1月9~29日)と入れ違いですね。しかし、座席数は69席と、ラピュタ阿佐ヶ谷より多い! 劇場顧問も、錚々たるメンバーです。
全国で同時多発的に、このような動きが活性化して、春にはほぼ日本全国で……という状況になって欲しい!
そうすれば、夏には関連商品が出る!という話も、だんだん夢ではなくなってきますよ。

いつか役立つと信じて、マイマイ署名は期間延長するつもりです。
追記:エイベックスの岩瀬プロデューサーが、郵送した署名について「製作委員会として、この件を深く受け止め、今後の興行プランにおける重要な資料として大切に扱わせて頂き、署名頂いた方々の思いを実現できる方向で検討を進めたいと思っております」 とコメントして下さいました!→公式ブログ
でも、署名は2万人目標に、まだまだ続けます。


コミケで、ウエダハジメさんが『マイマイ新子』本を出していたとのこと。
まよいマイマイじゃないよ、マイマイ新子だよ。これには、かなり驚いた。こういう著名な方たちが、イメージリーダー的に引っ張っていってくれれば、かなり知名度が上がるのでは……。

昨年、あれだけ『ポニョ』を布教した竹熊健太郎さんは、『マイマイ新子』はご覧になってないのでしょうか?と思ったので、メールでお知らせしておきました(コミケでお忙しいとは思いますが……)。
萩ツイン・シネマさんには、寄付金を送っておきました。『マイマイ新子』のために、役立ててください。


それはそうと、昨日は、川崎に『アバター』を観に行ってきた。
劇場入り口で、アニメ業界のお知り合いを見かけたので、感想を聞くと、『もののけ姫』とのこと。なるほど、似た感じのストーリーではありました。万物に魂がある、という世界観が、そもそも東洋的だし、人類側が占領に失敗して敗残するプロットは、歴史的反省の上に立ったものと思う。
Avatar_02こうした反アメリカ的なストーリーが、ビッグ・バジェットの娯楽映画で成り立ってしまうのが、ハリウッドの底知れなさ。
かつて、エイリアンを核攻撃で殲滅しようと主張したシガニー・ウィーバーが、『アバター』では異文化の理解者として登場する。このキャスティング自体が、ひとつの思想になっている。

映像も、ゴリゴリのリアリズムでなくて、適度に作り物っぽい質感で、それが目に優しかった。説明ナシで、完全な異世界に没入させるアトラクション性とも、マッチしていたし。
何より、こんなハードサイエンスな設定世界を、SF小説なんて読まないようなライト・ユーザーが見に来るというのが、最大の驚きだった。友達も「バロウズの世界だ」と言っていたし、僕はスターリングの短編を思い出したし……それが、万人向けの見世物映画として成立してるのが、スゴイんだろうな。


『アバター』では、ヴァーチャル・リアリティが「映画の内部」に、設定として存在している。逆を言うと、設定としてしか存在していない。だから、映画と観客を物理的にリンクさせる装置として、3D上映を採用したんじゃないか。
だけど、またしても『マイマイ新子と千年の魔法』を例にあげると、あれは、観客の記憶と映像がダイレクトにリンクするからね。主体が、座席に座っている自分の肉体なのか、スクリーンの中なのか、ちょっと混乱する瞬間があった(特に麦畑を二人が駆けるシーン)。
あの郷愁的感覚は何かに似ていると思ったら、ヴァーチャル・リアリティというか、サイバーパンク小説に近い。『マイマイ新子』がシャレにならないのは、映写機とスクリーンだけで、観客と映画とを、ダイレクトに繋げてしまったことだと思う。

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2009年12月29日 (火)

■チラシをマイてみよう■

もし、コミケで『マイマイ新子と千年の魔法』の見知らぬチラシが配られてるとしたら、それは私とギムレット氏の仕業だ!
Maimai_chirashi_2
まずは『マイマイ新子と千年の魔法』というタイトルから、知ってもらおう!
みんなも、チラシをつくってみてはどうだろうか。しかし、映画のロゴや場面カットなどの使用は「ご遠慮ください」とのことなので、手づくりで!
イラストを描ける人は、新子や貴伊子を描いてみるといいかも。

スーパーフェスティバルの廣田恵介ブース(I Floorの23卓)では、このチラシの進化バージョン(イラスト入り?)を配ることになりそう。
廣田同人誌には、手づくり『マイマイ』チラシが、強制的に挟み込まれてますから、ヨロシク。


自分で、見て欲しい映画のチラシをつくるなんて、それだけで楽しい。
そういう一方で、クールに「数字」というものを意識していかないといけないと思う(少なくとも、署名の発起人は)。
何度も引用して恐縮だけど、アニオタ保守本流さんのコメント欄から。

1月からのラピュタ阿佐ヶ谷で続映は3週間ということですので、単純計算で1,300人強(しかし重複組が相当居るでしょうから実数で1,000程度)、これらが一斉にブログで宣伝を行えば!と期待します。

こういう、実効力のある方法を計算できる人がいると、大変心強いです。
『ゲド戦記』って、610万人も見てるんですよ。『マイマイ新子』は、その何百分の一だろうか?と考えたくもないでしょうけど、誰かがこの冷徹な現実と、対峙せねばならんのです。
署名も、まだまだお願いします。1,000名ならば、1,000名なりの使い方を考えます。無駄にはしません。

「意志の強い者が、勝つ」。片渕監督もお好きな、『バトルスター・ギャラクティカ』のセリフです。


「恐怖の大予言ミステリー99」 1月発売
57530188
お馴染み、双葉社のコンビニ500円本です。
僕は、「予言映画」の解説文を書きました。『ノウイング』とか、これからDVDが出ると思うけど、スゲエ面白かったですよ。『2012』の試写も見られたし、『グランドクロス』も傑作だった。

「キャリア10年で、まだこんな仕事してんのか」って笑われるだろうけど、こんな仕事でも真面目にやってきたから、10年も食えてるわけで(笑)。

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2009年12月28日 (月)

■12月のメモ「映画館」■

忘れないうちに書いておくと、蒼井優の『百万円と苦虫女』は良かった。
1210572154_529x354タイトルから、ブラック・コメディを想像していたが、タナダユキ監督は前作より、視線が優しくなったように思う。そうした視点の中に置かれると、蒼井優のはかなげな存在感が、引き立つ。映画によって、まったく表情が変わるのが、いい女優。映画に隷属するということは、映画を背負って立つということだから。
これ、もう去年の夏の映画か……。興収は2億数千万円と、大健闘したそうなので、内容が良くて、ヒットもしたわけだ。こういうのを、「幸せな映画」と呼ぶんだと思う。

ともあれ、女優モードに頭が切り替わったので、今夜は寝落ちするまで、邦画を見まくる。
そして、正月休み中に、全12ページ書かなきゃ。


昨夜、30日にコミケで売られる『メガゾーン23』の同人誌を、近所まで届けていただいた。
091228_21210001 これはもう、何かの果たし状ですか?というぐらい、殺気ただよう一冊になっている。板野一郎監督の全11ページに渡るインタビューが、すべてのページに影響を与えてしまっている。

なので、もう一回、宣伝しておきます。12月30日、西館1ホール「れ-15b」サークル【時祭組】にて、一冊1,000円。

この同人誌の編集長氏と、『マイマイ新子と千年の魔法』のグッズの話を、妄想する。
僕は『マイマイ』ヴィネットが欲しい。原型師を雇って、単価安くして、もちろん当日版権もとって、一種類だけなら、僕のポケットマネーで生産できるんじゃないか? どのシーンを立体化するか考えるだけで、ワクワクする。


結局、『マイマイ新子』の話になってしまうんだけど――。
署名サイトを積極的に支援してくれている、ブログ「こづかい3万円のひび」のtegitさんが、札幌市にある映画館「シアターキノ」の掲示板に、『マイマイ新子』の上映希望を書き込んだ。
さっき見たら、ちゃんとシアターキノさんから、「正月明けたら松竹に聞いてみます」と返事が書いてある!
だったら、1,000名分の署名を、日本各地のミニシアターに送ってリクエストする、という活用法もある。tegitさんの行動力が、いいヒントになりました。ありがとうございます。

もうひとつ、26日から『マイマイ新子』を上映中の萩ツインシネマさん。一日3回上映、ちゃんと夜からの回もある! それで、この映画館はボランティアで運営されているNPOなんですよ。ここまで『マイマイ』をプッシュしてくださるんなら、わずかな額ではありますが、寄付させていただきましょう。

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2009年12月27日 (日)

■12月のメモ「数字」■

「大人のためのマイマイ・ナイト」は完走したし、そろそろこのブログも平常運行に……と思っていた矢先、朝9時に目がさめてしまいました。毎朝、この時間に飛び出して、チケットを確保していたので、体が覚えているという。

二度寝していたら、昨夜、見に来てくれた友達が「あまりにも、自分の子供時代と自分の娘とが、新子とシンクロしすぎて、長女のイタズラをしかれなくなってしまった」と、涙ながらに電話してきました。『マイマイ新子と千年の魔法』、ちゃんと主婦も救ってるぞ!

「アニオタ保守本流」さんのコメント欄から引用させていただくと、「こんな素晴らしいアニメ作品をこの国のアニメファンが広く見れないのは歴史的な不幸であると痛感し」……オーバーでなく、歴史的不幸だと思います。しかし、今なら巻き返せます。


新子のセリフで好きなのは、タツヨシにかける言葉かな。「そこのいてー」「手つどうてー」と、彼女にしては珍しく、ちょっと甘える感じがあって。
あと、「福田麻由子、すげえなあ」と思ったのは、タツヨシが新子の家を訪ねてくるシーン。「鈴木鈴木……ああ、鈴木タツヨシか。なーにー?」ってやつですね。こんなだらしない声を、意図的に出せるのが凄い。「中身、チョコレートじゃ!」も、元気な食欲を感じさせて、良かった。ラスト近くの「へっへーん、ちゃ」も、可愛い。
貴伊子のセリフは、もうすべて良かったような気がする。いや、ぜんぶ良かったな。ひづる先生の話をしていて、「うん。いい匂いだった」と「た」を力強く言う、あそこがベストかな。

福田麻由子が気になった人は、『Little DJ ~小さな恋の物語』を観るのが、一番いいと思う。何しろ、監督が永田琴さんだから。
Sima2永田琴監督といえば、『渋谷区円山町』。仲里依紗と原裕美子の、女同士の友情物語という点では、『マイマイ新子』に似ていなくもない……が、こっちは軟弱でセンチメンタル(もちろん、そこが良い)。でも、永田監督は、女優でも男優でも、本当にいい部分を取り出す天才なので、仲さんの主演作ではベストじゃないかな。この頃の仲さんは、まだ「小柄でか弱い美少女」を演じられたんだよなあ。今は無理だけど。

もともと、俺は女優を目当てで邦画を見るのが、大好きな男なんですよ。この後も、仕事用に蒼井優の主演作を見るし、そういう時間が至福なんです。ホントは、演出なんてどうでもいい。女優を、うまく撮れていれば。

じゃあ、貴伊子役の水沢奈子は?というと、主演作は『赤んぼ少女』だけですからね。ほとんど叫んでるような役なので、そのうち、もっとセリフの多い映画に出てね。


10月に公開されたハリウッド版『ATOM』のブルーレイとDVDが4月に出るのはいいとして、DVDは1万円もするプレミアムBOXも出ると聞いて、ちょっと驚くでしょう? そんなにヒットしたっけ?って。いやいや、ヒットしたんですよ。公開第一週で興収ベスト10位に食いこんだのだから。そりゃ、豪華版DVDの制作予算も組めるわけですよ。

昨夜、10年ぶりに『アリーテ姫』を見たのですが、レンタル屋に置いてないという声を聞きPict01 ます。僕もレンタル屋でDVDを探して、はじめから入荷してないことを知って、買うことにしたんです。で、ふとアニメ棚を見ると、『ミヨリの森』が2本もある。
なんでかと言うと、『ミヨリの森』はフジテレビで高視聴率をマークしたからですよ。『マイマイ新子と千年の魔法』より、『ミヨリの森』の方が有名だという、この現実。この世の中。


成田亨さんは、大学時代、「映画は芸術か、商品か?」を巡って、仲間と大激論したそうです。得られた結論は「映画とは、極めて芸術性の高い商品である」
このエピソードを読んだとき、僕は日大の映画学科にいたので、おおいに首肯したものです。内容的に「おいおい、ちょっと待て」という映画でも、数字がとれれば優遇される。

ラピュタ阿佐ヶ谷さんが、奇跡的な大入りとなりましたが、売り上げ的にどうだったのかな、と計算してみると、入場料が1,300円でしょ。キャパは48席だから、一日6万2,400円。興行は8日間だから、49万9,200円が興収。その半分を、配給会社さんがトップオフするのが通例ですから、24万9,600円が、ラピュタさんの取り分となります。契約内容によって変動するとは思いますが、『マイマイ新子』の収益全体からすれば、なかなか厳しい数字であったはずです。

せっかく、アンコール上映が決まったのに、水を差すようなことを書いてしまって、白けた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、数字で価値を測られてしまうのが、映画ビジネスなのです。だから、僕は数字で押し返せる「署名」という形で、サポートすることにしたのです。署名活動を副産物的に「話題性」として扱っていただけたのは、幸いでしたが、問題は数字なんです。
「儲かんなかったけど、いい作品だったよね」という評価は、この世界では、悲しいかな、負け惜しみでしかありません。今から上映規模を拡大し、最終的ヒットに導くしか、この映画は救えないのです。
――こんなこと、本当は書きたくないんですけどね。「映画に点数をつけるな」と口癖のように言っている僕も、署名に関しては「数が勝負」と思っています。

ご理解いただけましたら、こちらへお願いします。もちろん、ラピュタさんの尽力で、光明が差してきたからこそ……のお願いです。

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2009年12月26日 (土)

■マイマイ・ナイト8日目■

いつもより早いぐらいの時間に、ラピュタ阿佐ヶ谷に着くと、館の外に長い行列が出来ており、宣伝プロデューサーの山本さんが近所の主婦に、「マイマイ新子というアニメの映画でして……」と、申し訳なさそうに説明していました。
オープンと同時に、館内で列の整理を始める山本プロデューサー。カメラ片手なのは、記録を残すためでしょうか。気がつくと、出入り口に片渕監督の姿も……。
今朝の阿佐ヶ谷は、曇天でした。この8日間で、晴れなかったのは初めてだと思います。

チケットは、30番台でした。
Ca270201片渕監督が講師の「アート・アニメーションの小さな学校」に申し込んでいたつもりが、予約受付メールをなくしてしまったらしく……代わりに家で、『アリーテ姫』を見てから、行くつもりです。
せっかくDVD買ったのに、見る時間がぜんぜん、なかったもので。

それでは、夜、阿佐ヶ谷で。


昨日、トラックバックをいただいた「アニオタ保守本流」さんの『マイマイ新子と千年の魔法』~しかし、すぐそこにある希望~【局地的大ヒットにつき続映を望む】 、瀑布たる大文章。いま、何が起きているのか、これを読めば分かります! こういう文章を読むと、僕が始めなくても、誰かが署名をやっていた、と確信するのです。
ただ、文章中、「TOHOシネマズ」とあるのは、「新宿ピカデリー」の誤りでしょう。それか、松竹系列のMOVIXだったはずです。
嫌味でも皮肉でもなく、新宿ピカデリーは、シネコンの中では最もお気に入りです。あのスクリーンに『マイマイ新子』が返り咲く日を、僕は固く信じています。


Twitterでは大騒ぎになっていますが、本日のレイトショー後の舞台挨拶で、『マイマイ新子091226_23040001 と千年の魔法』の延長上映が発表されました。来年1月9日から、3週間。開映時間は、ちょっと早まって連日20時50分からです。

ラピュタ阿佐ヶ谷での上映が、いかに重要か力説してくれた宣伝チームのMさんがロビーにいたので、「何だか、まだ夢見てるみたい。明日から、ようやくレイトショーが始まるような、変な気分です」と呟いてしまいました。
なぜなら、Mさんこそが「このレイトショーが失敗したら、もう今度こそ終わり」(だいぶ意訳してます)と、電話で力説してくれた張本人なんですね。
あと、アニメージュ編集部のK女史がいたり、シネマトゥデイの取材が入ったり、僕もデジカメとICレコーダー持参で取材モードだったし(この現象を見逃したら、もうアニメ雑誌なんていらないよ)、まるで今日が初日みたいな賑わいでした。
091226_22480001朝、行列の整理をしていた山本宣伝プロデューサーは涙目で、片渕監督と抱き合ってました。まるで、『スター・ウォーズ』のエンディングみたいでしたよ!
(舞台挨拶に並んだ作画スタッフ、プロデューサー陣。最後は監督の音頭で、場内総立ちで三本締めでした)


8日間を一緒に走り抜けた、友人のギムレット氏は、頭部装着用マイマイ・カードを自作してきて、091226_20070001監督にプレゼントしてました。
そのギムレット氏が、今日は新しい友達を招待して、僕も8年ぶりに会う女友達を呼んで……彼女は、「自分の子供たちが、急に愛おしくなった」と言って、ロビーに常設された「マイマイ感想ノート」に長文を書き綴ってました。

こういう言い方をしてもいいと思うんだけど、この映画は、第一回戦で惨敗したのです。ラピュタ阿佐ヶ谷が決まったとき、「そんなことより、全国の直営館でバタバタと終わっていく状況を何とかしようよ」と思ったのですが、今日は松竹のプロデューサーから「初動で、その映画の運命が決まってしまうのが、シネコンなのです」と、反省の弁が聞けました。それだけでも、かなりの前進ですよ。配給・興行サイドが「欠点もある」と認めたわけですから、素晴らしいです。
だったら、映画やアニメの消費の仕方を、『マイマイ』から考え直していこうよ……と、思うんです。そのことを含めての署名なんです。ここで変わらなければ、「地味な良作」が現れたとき、また同じ轍を踏むことになる。DVDやブルーレイを待望している方も、署名で訴えていただきたい。その理由は、ここには書けないのですが、「ロードショーで惨敗した映画のソフト化が、スムーズに行くわけがない」とだけ言っておきます。「せいぜい、DVDが数千本ぐらい出れば、いい方では」とは、この映画を見た他社のプロデューサーの言です。


阿佐ヶ谷からの帰り道、頭の中でコトリンゴさんの「こどものせかい」が流れていました。もう何回目か数えてないけど、思いがけないところで涙がこみ上げてくる、本当に油断ならない映画。でも、まだまだ、圧倒的に世間の認知度が足りてない……。
年明けの三週間のアンコール上映、さすがに毎日は行かないけれど、友人には「今度こそ見て!」と薦めまくります。うるさいですよ、僕は。


たしか僕は、この短い特報を見て、取材を決めたんだった。

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2009年12月25日 (金)

■マイマイ・ナイト7日目■

「このイベントは、誰かが完走すべきだ」とはやし立てられ、いよいよ7日目。
チケットを買って、快晴の阿佐ヶ谷駅ホームに立つと、「今日、『マイマイ新子と千年の魔法』が見られるんだ!」と、新たな気持ちになれます。この感覚は、ホントに不思議。ひょっとしたら、まだ予告編しか見てないのではないか?という錯覚に陥る。
酩酊感があるんだよなあ……特に、麦畑を二人が走るシーンは、酔える。文学フリマで、監督の口から語られたように、あのシーンはスピルバーグの『カラーパープル』です。ぜんぜん、気がつかなかった。

1:40ぐらいに、「トンテンカン」のカットもあります。
こういうのを見てると、映画的堆積によっても、『マイマイ新子』は成立してると分かります。

貴重なチケットが余ってしまったので、どうしようかと悩んでいたら、数年ぶりに電話した友人が「見たい」と言ってくれたので、何とか無駄にせず、すみました。本当に今回のレイトショーは、出会いと再会の毎日です。今から、阿佐ヶ谷です。


少し時間があるので、「狂人ブログ~旅立ち~」さんから、引用。岩国に住んでらっしゃるそうですが、明日から始まる『マイマイ新子』の上映が、「朝9時からの一回のみ」だそうです。

 こんならー、はー、ぃよぃよトボケでよ。あれだけ「こりゃ大人向けなんよ。夕方からやらんにゃー、客が入らんのんよ」ってネットで言いよるのに、全然見ちょりゃーせんのじゃのぉ。
 ラピュタ阿佐ヶ谷さんなんて見てみんさい。昨日なんか、はー午前中にはチケット完売したって言いよろうが。もちっと、モノを考えてやらんにゃー。


……まったく仰るとおりです。「朝9時」が悪評だったから、東京では「夜9時」に変えたはずなのに。なぜ、また失敗例を真似るのかな、と。
ラピュタ阿佐ヶ谷が、今どれほど活況を呈しているか、「山口に伝えなければ」と、東京のスタッフは焦っている最中なんですよ。監督ご自身が「俺がカメラ、担ごうか」って言ってるぐらい。製作委員会の一社である山口放送には東京支社がありまして、1,000人分の署名を送ったばかりです。気づいてくれることを、期待しております。

やはり、こんな状況は、何とかすべきなのです。賛同してくださる方は、どうか署名をお願いします。


今夜は、遠方より来てくれた友を待たせるわけにいかず、ゲストのMinako“Mookie”Obataさんのサイン会には並ばず(ちゃんとCD持っていったんだけど)。しかし、トークは会話の中にメロディを織り込んだチャーミングなもので、なんとセンスのいい方だろう、と文字通り、見上げてしまった。

ラスト近くの、天地を貫くような天の河を見ると、いつも「もう大丈夫だ」という気持ちになる。天にも地にも、川がある。そのことに、安心する。

明日の最終日も、懐かしい友人を呼んであるけど、もっと多くの人に見て欲しい。
フォーラム那須塩原に遠征しようかと思ったが、連日朝9時10分からの一回のみ(笑)。だから、東京での成績が、地方にも波及すると言ったんだが……。「夜からやれば、儲かりますよ」と教えてあげないと、ダメなのでしょうか。


あまり告知が徹底してないっぽいので、【時祭組】の最新刊の話。
Vol2_hyousi12月30日、コミケで売ります。西館1ホール「れ-15b」だそうです。
ことぶきつかささん、夢野れいさんらが参加しているのも素晴らしいのですが、僕はレゴ・モデル・ビルダーとして有名な直江和由さんにイラストを描いていただきました。

僕自身は、ゲーム『青いガーランド』やラジオドラマに立ち会った時の、トホホな裏話を書きました。こういうダメな例をたくさん見て来たので、僕は「作品を世に送り出す」という工程に、興味が向くのだと思います。

そして、【時祭組】のブースに、廣田同人誌のプレビュー版を、90枚ほど置いてもらうことになりました。本自体は、1月10日のスーパー・フェスティバルにて販売します。

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2009年12月24日 (木)

■マイマイ・ナイト6日目■

クリスマス・イブの阿佐ヶ谷も、いい天気です。
091224_09220001今朝は平日だというのに、何だか行列ができるのが早かったような……。
ウィスキー・ボンボンの数、足りるんだろうか。『マイマイ新子と千年の魔法』がマイナーだった頃……というか、今もほとんど世の中に知られてませんが、人影もまばらな試写室で、ウィスキー・ボンボンのシーンだけは笑いが起きていたなあ、と懐かしく思い出します。

クリスマスに、恋愛にまつわる何がしかの予定を入れなきゃいけないというのも、おそらく80年代に生じた悪弊で、今はストレス要因でしかないと思う。
結局、「クリスマスが勝負」だとかいう物言いも、形骸化した「男らしさ」の残滓だよなあ……。少なくとも、僕らには『トランスフォーマー・リベンジ』がありますから。あれは、男がひとりで見るべき映画。怪獣とロボットは、男を裏切らない。

そうは言いつつも、今夜は『マイマイ新子と千年の魔法』という予定が入ってます。阿佐ヶ谷で会いましょう。


余談ですが、『マイマイ新子』に出てくる大人キャラでは、多々良権周防介が、初見の時からお気に入り。「姫は、みゃーた、一人で遊びなさるか」という小山剛志さんの豪放で優しい喋り方と、とぼけた表情がすごく良い。小山さんは、僕と同じ42歳で、そこにも親近感をおぼえる。多々良権周防介の昔話を、諾子が「千年後にも、誰かおる」と解釈する流れが、とても綺麗。
今夜は、片渕監督自らがアフレコした役も、聞き逃さないようにしなくては。水沢奈子の声に、もだえてる場合じゃない。


ラピュタ阿佐ヶ谷の、本日分のチケットが、朝11時に売切れてしまったとか……。さすがの僕も、明日以降はチケットが取れる自信はありません。ここで、パッと「急遽、200席の劇場を用意しました!」とは、いかないわけですね。

『マイマイ』聖地の山口県に住んでらっしゃる方のブログ「日記さん」から、引用させていただきます。

とはいえこっちでも今日は12:10からというお昼ごはんどきに
1回きり。

名作やんこれ!
最初の5分だけで、作った人の本気さがわかりました。

映画館にほかの映画のパンフレットはあったのに、この映画の
だけなかったし、なんでこんなに扱い冷たいんやろ?


以上、引用終わり。年明けまで上映が続く、日本一恵まれた山口県でも、こんな感じなんです。やっぱり、何かがおかしい。僕が署名活動を始めようとした気持ちも、分かるでしょう?
署名に賛同できない方は、然るべき筋に意見を送るなりしていただけると、ありがたく思います。そして、改めて上映延長・規模拡大署名へのご協力を、伏してお願い申し上げます。署名サイトはこちらです。


阿佐ヶ谷から戻りました。
091224_20210001これが、昨日、話に出した「マイマイ・グラス」です。
ラピュタ阿佐ヶ谷さんは、本当に『マイマイ新子と千年の魔法』に理解が深く、展示物も増えていました。
さらに言うと、この映画はミニシアター向きであって、シネコンとは徹底的に相性が合わないのでしょう。

この映画館に来ると、断片的な情報も洩れ伝わってきますから、そういうアレコレが頭にうずまいて、かなりスクリーンに対して心理的距離をもっての鑑賞となりました。それでも、ただ目の前を流れていく色や形を見ているだけで、十分に気持ちいいんですよ。

署名データのコメント欄を印刷したものを、片渕監督に手渡してきました。監督は、声の出演も無茶苦茶、上手かったです。

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2009年12月23日 (水)

■マイマイ・ナイト5日目■

昨日は雲がありましたが、今日の阿佐ヶ谷は快晴です。
091223_10040001(←こんな看板が、駅前にあります)
帰宅してから、署名サイトのお知らせを更新しました。署名いただいた方にはメールが送信されたと思いますが、なるべく「お知らせ」回数は減らします。
あとは、この百ページぐらいになる署名嘆願書をプリントアウトして、4セットずつコピーして……という仕事が待ってます。
※署名は、引きつづき、受け付けています!

うまいことに、レイトショーが終わる週末ぐらいから、次の仕事が入ってきます。そのために、邦画ばかり5本、レンタルしてきました。何だかんだで、昼間はいろいろとやることがある……。


あまり、『マイマイ新子』と関係ないかも知れないけど、テレビをつけたら、メイド喫茶を取材していた。
昔は「こんな程度のもので、癒されるなよ」と苦々しく思っていたけど、親や教師に誉められなかった子供たちは、大きくなってからメイド喫茶で労をねぎらってもらう以外、やるせない社会なのだと思う。どうしてアニメなのか、どうして少女の言うことの方が信じられるのかというと、リアルな大人の言うことに、説得力がないから。予備校で、生徒に「死ね」と言う講師がいるような社会を、信用できるわけがない。

『マイマイ新子』では、大人の言うことを、新子や諾子が依り代のように媒介して、解釈しなおしている。だから、聞きやすいんだと思う。とても重要なことだ。本当は、新子が千年前をリアルに想像するのは不自然なんだけど、そういう手続きが必要なんだよ。
「女の子を出しておけば、ウケる」とか、そういうことでは、一切ない。80年代はそうだったかも知れないけど、いまはもっと切実なんだ。
あと、唯一の授業シーンが「自習」だったことにも、大きな意味があると思う……。まあ、あとは見てから考えますか。
では、今夜も阿佐ヶ谷でお会いしましょう。


ラピュタ阿佐ヶ谷のトビラをくぐると、「満席です」と断られて出て行く女性と、すれ違いました。あまり、ネットの情報など見ないで来られた方なのかな。本日は、遠方から来られた方も含め、初めて『マイマイ新子~』を見るお客さんが、多かった様子。
まだ3日あるし、年が明けてからも、観るチャンスはありそうです。

上映前、片渕監督が、お知り合いの方がワンオフで作った「マイマイ・グラス」を見せてくれました。舞台挨拶でお披露目するのかと思ったら、見せないで終わってしまったので、写真をとるチャンスは無し。
デザインは、群青色に透けたグラスに麦の穂があしらわれており、底にはシルエットの新子と貴伊子(エコバッグと同じ)がいる。「これでビールを飲んだら、うまそうだなあ」という、完全オトナ仕様。こういうグッズこそが、この映画には似つかわしい。署名が集まれば、製品化も可能かも知れない、と煽っておきます。いや、本当に。


途中で数えるのを忘れてたんだけど、今夜で13回目か。
一部のレビューでも読んだし、見た人から聞かされたことなんだけど、この映画は後半に行くに従って、現在のシーンと千年前のシーンが分離していく。僕は一回目を見る前から、「後半で、おかしなことになりますよ」と聞かされていたので、そんなには驚かなかった。
しかも、分離した二本のストーリーを、セリフで繋ごうとしてるのが、また具合が悪い。だけど、それこそ魔法や何かを使って、二本の話を有機的に上手くまとめ上げられたら、それはそれでイヤ。

万人が納得する脚本というのは、民主的に解決しただけであって、それ以上のものではないと思う。映画の脚本というのは、何人ものプロデューサーを何段階にも説得しなきゃいけないから、多数決的にならざるを得ない。大作になればなるほど、そうですよ。
『マイマイ新子』の欠点は、最初から分かっていた。だけど、ウェルメイドな、教科書的な、型どおりの作品は、年に何本もあるから、僕が推す理由にはならない。
他の誰も愛しそうもないから、ひとりでプッシュしはじめたつもりが、ふしぎな形で話題作になりつつある、というだけです。本来の観客層が、この映画に「形」を与えはじめたところじゃないでしょうか。

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2009年12月22日 (火)

■マイマイ・ナイト4日目■

今朝も、9時30分にラピュタ阿佐ヶ谷に着いてしまいました。
091222_09410001 (←ロビーに「ピクトアップ」誌の切抜きがありました。『マイマイ新子』を「福田麻由子の映画」と捉えている人は、なぜか少ない。この衣装は、僕が取材した日と同じっぽいな)

一時帰宅すると、マイマイ署名が、1,000名達成です。この数字で「意思表示」は出来ると思います。しかし、事態を動かすには、万単位でないと無理だと思います。引きつづき、よろしくお願いします。
(製作委員会には、いったん、提出します)


朝、「マイマイ・ナイト」のチケットを買ってから、『時をかける少女』のマスコミ試写に行ってきました。
2009102800000005flixmoviview000昔の僕なら、ボロクソに言っただろうけど、公開前の映画が不利になる発言は、慎むべきかと、最近は考えが変わりました。他でもない、仲里依紗の主演作だし、仲さんマニアとしては、見るべきカット多数。これぐらいの歳の女優って、ここ5年ぐらいの顔の変化を、一本の映画に込められる。そういう意味では、かなり面白いよ。より迫力を増した体形も含めて(覚悟はしてたけど、すげえ驚いた)。
アニメの『時かけ』と比較する目的で見に行って、仲さんという女優を知って帰ってもらってもいいだろうし(それだけで、人生かなり楽しくなるよ)、映画って、そういう役割もあると思う。

ただ、実写の企画って、アニメより難しいと思う。いろんな思惑が絡むから、監督の自由が効かなくなっちゃう場合もあるし……「どうしても、この脚本家を使え」とかさ。
でも、今回の『時かけ』の旗色が悪くなるとしたら、俺は味方に回ると思うよ。
そんなことを考えながら、今夜も阿佐ヶ谷。マイマイ・ナイト4日目です。


阿佐ヶ谷から戻りました。
今夜は、高畑勲監督が客席に見えられていて、驚きました。
このたびのレイトショーは、僕も誰かしらとお知り合いになったり、再会したり、思いがけない「出会いの場」となっています(もちろん皆さん、お客さんとして来てます)。
それは、映画のテーマと、はっきり重なり合いますね。ひとりでDVDを見るのと、映画館で見るのとは、やはりハッキリ違う。

そして、過重なストレス社会であり、自殺大国であるこの国で、ただ、「明日も遊ぼう」と約束を交わすだけの映画が生まれたことに、心から驚きを感じます。
日本は、まだまだ大丈夫じゃないか?と思えるんです。
この映画がアニメーションである意味、女の子が主人公である意味、映画の役割などなど、昼間見た『時かけ』と合わせて、いろいろ考えました。ちょっと話はズレますが、試写会で映画を見たマスコミ関係者には、何がしかの義務、ノブリス・オブリージュが発生していると思います。タダで見といて、「30点」とか採点して、何かした気になっちゃいけないんですよ。


今日は、コメント欄で「マイマイ・ナイトで会いましょう」と約束していた前岡和之さんから、『ガンヘッド』のDVDを、お借りしました。
091222_23350001『ガンヘッド』のDVDなら、2007年に東宝から発売されたじゃないか……と思われるかも知れませんが、これはDVD化が絶望視されていた2005年に、前岡さんが自主制作したものなんです。
前岡さんの言葉をお借りすると、「そうだよ、ないもんは作る。」 「こういう方法でのアピールもあるかもと思った次第。」
実は、僕は、こういう人たちに背中を押されていたんですね。前岡さんには、与党精神があります。ただ、座してメーカーが動いてくれるのを待つのではなく、自分から出来ることをやる。無力ぶらず、ボヤきもしない。
気がついた人間が、その瞬間にやれることをやる。それが文化の本質だという気さえするんです。名前なんか残らなくてもいい。それは、明日のためにやるんだから。十年後、百年後に、誰かが接ぎ木してくれればいいわけで。

好きな作品が不遇な目にあってるのに、そこで必死にならなくて、いつ必死になるんだよ? でも、それを他人に強要するわけにはいかないから、せめて自分の出来ることだけは、やり通すのです。
明日も、朝から阿佐ヶ谷です。クリスマスは、部屋でひとりで『トランスフォーマー・リベンジ』を見るつもりでしたが……そういう時は、DVDってありがたいんですけどね。

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2009年12月21日 (月)

■マイマイ・ナイト3日目■

今朝の阿佐ヶ谷も、快晴です。
091221_09310001発券時間まで時間があったので、ロビーの写真を。日替わり特典のアートカードも飾られています(非売品)。
本日は、平日だったせいか、昨日と同じぐらいの時間に並んで、整理番号1番でした。さすがに、今日は昼過ぎで完売ってことは、ないように思います……たぶん。

今日は、小学校の同級生で女社長、モデルとしても活躍しているmarikoさんに、ブログで『マイマイ新子と千年の魔法』を宣伝してもらいました。アニメなんて、普段は見ない人にも、ぜんぜん訴求できる映画だと思うので。
ところで、ラピュタ阿佐ヶ谷の受付のお姉さんは、綺麗ですね。面と向かっては言えないので、ここに書いておきます。

今日は、マイマイ署名の集まりが良好で嬉しいな、と思っていたら、阿佐ヶ谷が凄いことになりそう。あと、marikoさんのブログ記事が、さっそく監督に察知された……などなど、土日とは、また別の盛り上がりです。それでは、今夜もマイマイ・ナイトで!


本日は、20時すぎに、何席か残っていたそうです。最終的には満席となりましたが、平日は、無理して朝早く並ぶ必要はなさそうですね。
091221_22550001←ロビーにて。制作進行の方の描かれた、貴伊子の1歳の時の絵が展示してありました(原画)。実際のフィルムでは、ハーモニーで質感を出しているそうです。

さて、本日は舞台挨拶で、良いニュースがありました。
「ラピュタ阿佐ヶ谷かどうかは不明ですが、26日で終了ではなく、以降も上映は続く」……ちょっと前から、小耳に挟んではいたので、決定事項でしょう。
まずは喜びたいのですが、僕はこの映画を見るべき人が、まだ日本に数千万人規模で、潜在していると思いますので、そうそう楽観はしていません。東京以外でも、上映すべきだと思います。そのために、署名は、まだ続けます。
あ、あと、パンフレットが売り切れてました。明日、入荷するのかしら。サントラ買う予定の人も、ラピュタ阿佐ヶ谷でお買い求めを! 映画館にも幸せになって欲しいので。
それと、24日はウィスキー・ボンボンが配られるそうなので、みんなで乾杯です。


今日、気がついたのは、貴伊子の髪留めですね。あれは、いわばマイマイの「封印」とし0147_2_00077 て、意図的にデザインされたんだと思います。新子のマイマイがある部分を、貴伊子は、自ら封印してしまっている。だから、あのクライマックスが生きてくる。

もうひとつ、貴伊子が「私一人では、もうあの場所に戻れないよ」と、新子と走り回った麦畑を回想します。そのワンカットの中で、千年前の風景が重なり、さらに現代の同じ場所・同じ時間にオーバーラップする。ワンカットで「回想→千年前→現代」を表現している。場所は明示する反面、時間に関しては、ほぼ区別せずに描いてるんですね。
そこが、『マイマイ新子』の分かりづらさでもあり、面白さでもある。
例えば、ラスト近くで、新子が「明日も明後日も」と言いますが、あれは「数百年後も、千年後も」という意味以外の、何ものでもないでしょう。

……と、こうやって自説を重ねていくのが、また面白いわけで。「アンタの思い込みだ」と言われれば、それはそうなんです。でも、そこが面白いんだから、しょうがない。


明日は、仲里依紗バージョン『時をかける少女』の試写会、最終日です。なぜかいい評判は聞かないけど、仲さんが出てるんだから、傑作に決まっている。
そして、夜は阿佐ヶ谷。マイマイ・マラソンの4日目です。

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2009年12月20日 (日)

■マイマイ・ナイト2日目■

本日も、阿佐ヶ谷は快晴です。
091220_10580001昨日よりも早くラピュタ阿佐ヶ谷に着いたのですが、10時すぎの発券時間には、けっこう列が出来ていました。
いまごろになってパンフを買ったけど、試写会用のプレスシートと全然ちがう。これは買って良かった。
ラピュタ阿佐ヶ谷さんにも、儲かっていただかないと。

阿佐ヶ谷駅に着くと、「いよいよ、『マイマイ新子と千年の魔法』を見られるんだ」と、初めてこの映画を見るような、晴れやかな気持ちになる。それは昨夜も書いたように、予想不可能な「白紙」が、目くらましのように混ぜてあるからだと思う。だから、何度も見たくなる。

風邪と戦いながらの仕事は終わったし、家で『花よりもなほ』と『インスタント沼』を見てから、夜は阿佐ヶ谷です。


『インスタント沼』、麻生久美子の美しさは、人間国宝級。
京都で「麻生久美子ナイト」という特集上映があったらしいんだが、東京では女優中心の「ナイト」ってあるのかな。そろそろ、「初期の仲里依紗」とか総括してみたい。「仲里依紗Blu-rayボックス」なんかもいい。07年ごろの出演作は、もうDVD生産してないだろうし。


阿佐ヶ谷から戻りました。
通算10回目ですが、まだ飽きない。でも、僕はクソつまらない『スター・ウォーズ』一作目を劇場で12回見た男ですから、まだ10回……という感じですね。

ファーストシーンが「鏡」から始まるというのが、おそらくひとつのトリックで、「わしらも、そろそろ行こうか」というセリフが、観客を映画の中に誘いこむ効果を持っていると思うんだけど……だって、「わしら(観客)も、行こう」ですから。タイトルが出る頃には、もう映画の中に取り込まれてますよ。いまだに鳥肌が立つ。
「鏡」は、貴伊子の変身シーンにも、効果的に使われてますね。

あとは「グリコの扇風機」の使い方。新子は、貴伊子に会う言い訳に「グリコの扇風機」と二度、口にする。あれは、大人を寄せつけない呪文なんだと思う。子供のフリをする、というかな。

だけど、僕の個人的体験よりも、この映画をもっと広範囲に知ってもらうには、どうしたらいいのか……。署名は、現在の10倍集まれば、何らか効力を発揮します。引きつづきお願いしたいのですが、それは映画の知名度を上げることとは、やや目的が異なります。
今日は、ネットで知り合った方たちともお話したのですが、単館系でいいから、日本全国あちこちで小さく長く上映している状況が、作品のテイストにマッチしているのでは……と。なるほど、と思いました。
とにかく、これ以上、狭くマニアックな方向へ持っていくのは、どうも違う……などなど。

とりあえず、ひとりで行くよりは、アニメに興味ない友達を誘ってみようかと。
幸い、阿佐ヶ谷から数駅のところに住んでいて、昼間も自由に動ける(チケットが取りやすい)わけだから。 


シアターカルチャーマガジンT. [ティー] 発売中
Scan20001
特集:発表! 最高のゼロ年代映画はこれだ
押井守監督のインタビューを担当しました。
この雑誌は、TOHOシネマズでしか売ってないそうですが、えらくお金のかかった本です。
押井監督の写真も、すごくカッコよく撮れてるはずです。『アサルトガールズ』の話は、例によって3行ぐらい。インタビューとしては、すごく面白いものになってるはずなんだけど……。

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2009年12月19日 (土)

■マイマイ・ナイト初日■

ラピュタ阿佐ヶ谷、10時ちょっと前に到着。
091219_11070001正確には、10時10分すぎから、チケット販売開始でした(私は友人の分も含めて、3枚買いました)。
一番前に並んでらした方は、別の映画のチケットを買われていたので、行列が出来ていても、どれほどの人が『マイマイ新子』のチケットを買われたのか、不明です。

念のため、劇場の方に聞いてみたら、「平日でも、レイトショーのチケットは、朝から販売する」とのこと。夜から行かれる場合は、電話してからの方が良さそうです。
……というわけで、今から仕事して、仮眠して、夜また阿佐ヶ谷です。
ひとりで、新子役の福田麻由子さんを取材しに行った日が、夢のようだ。こんな、お祭みたいな日々が来るなんて。


日付が変わりました。上映後の舞台挨拶によれば、50人以上が入れなかったとか……それについては、「要検討」とプロデューサーも監督も仰っていたし、平日になれば、少しはマシになるかと思う。
091220_00480001アートカードを入れるために、防府市文化財郷土資料館から、レアなクリアファイルが届いた。素晴らしいプレゼントだ。マーチャン展開ゼロ(というか不可能)なこの作品にとっては、クリアファイルだって有り難いよ。

それで、9回目ともなれば新しい発見もあるまい、と思ったら、やっぱりある。ラストのほうき星が、実はちゃんとふたつ流れていたり(一回目で気がついた人は凄い)、スズメの鳴き声が、現代パートから千年前のパートにまたがっていたり……そのすべてが、僕らの立っているのと同じ、この大地で起きていることに、改めておののきを感じる。


だけど、そんなことよりも大事なのは、クライマックスで予想される大立ち回りや壮大なロマンを、ひょいと交わしてしまうところだ。上映後に友達と話したけど、かなりミスリードしていると思う。「どうせ、映画ってのは、こうやって盛り上げるんだろ?」という刷り込み、先入観を解除してしまう。
戦わなくてもいいし、乗り越えなくてもいい。そういう葛藤なんて、別に交わしたっていいじゃない。敵なんか、いない。この世にあるもの、一切合財が味方なんだよ。
そんなドラマが成立可能なのかというと、どうも、そういうことなのだから、しょうがない。心が大地と一体化したような気持ちになる。


でも、脚本が巧妙にミスリードしているから、何か見落としたような気持ちになるのも確か。来るべきクライマックスが来ないから、「ここが、いいんだ」と明瞭に指摘できない。あえて言うなら、「クライマックスが抜けてるから、そこが気持ちいい」。
逆を言うと、僕らは、いつも「クライマックス」を探してしまっている。なかば義務のようにクライマックスを探し、あまつさえ、映画に点数すら付けようとする。この映画って、そんな僕らの愚かな習性を、キャンセルしちゃうんだよ。

こんな自由でおおらかな映画が広まれば、自殺者は激減するよ。そういう意味でも、署名がコツコツと増えていくのは、喜ばしいことだと思う。上映延長・拡大の嘆願署名はこちら
点数をつけるために映画を見るんじゃなくて、点数なんかつけなくてもすむために映画を見たい。僕は、そう思っている。

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2009年12月18日 (金)

■明日も遊ぼう■

いよいよ明日に迫った、ラピュタ阿佐ヶ谷の「大人のためのマイマイ・ナイト」、いくつかサービスが用意されているそうです。

・毎日終映後に、舞台挨拶あり
12/19(土)片渕須直(監督)
12/20(日)丸田順悟(エグゼクティブプロデューサー)
12/21(月)上原伸一(美術監督)
12/22(火)世弥きくよ(初枝役)
12/23(水・祝)香月邦夫(演出)
12/24(木)片渕須直(監督)
12/25(金)Minako"mooki"Obata (音楽)
12/26(土)片渕須直(監督)

・毎日、アートカードをプレゼント(8日間で毎日図柄が変ります)

アートカードは監督が手づくりするようですが、僕の知るかぎり、監督の手づくりグッズで、ハズレはありません。的確にツボをついてきます(笑)。
※追記しましたが、舞台挨拶が、とんでもないことになっています!
8日間、通う人も出てきそうですが、そもそも座れるのか不安……カードは欲しいですよね。

仕事が峠を越えて、あと14ページ。初日には、何とか間に合いそう。でも、僕が座れないぐらい混んでてくれると、とても嬉しい。複雑な気分ですね。

※整理番号付きチケットは当日の朝10:15より劇場窓口にて販売


さて、『マイマイ新子と千年の魔法』ですが……。
一部で「絶賛しているのは、中年男性ばかり」と揶揄されているけど、それは可愛い女の子が出てくるからというより、いま一番、自信を喪失しているのが30~40代の社会人男性だから……という気がする。昔ながらの男らしさが瓦解して、頼るべき価値観がない。『ラブプラス』が高年齢に受け入れられたのも、同じ理由である気がする。
社会人男性が、社会で最も認められてないんじゃないか。
「百合」がジャンルとして受け入れられているのも、古典的「男らしさ」の空洞化が原因だと思う。『けいおん!』のように男子不在のアニメがヒットしたのも、「男らしさ」に代替するものがない(なくとも良い)という理由で、納得できる。そこにしか、気持ちを預けられないんだよね。
例によって話が脱線してきたけど、旧態依然とした「男らしさ」なんて、瓦解してくれて結構だと僕は思っている。

いま、仕事の関係でファースト・ガンダムを見ているけど、あの中で求められる「男らしさ」は、すでにレトロになりつつある。あえて例に出すけど、宮崎アニメで繰り返し描かれる理想の男性像、女の子をエスコートする男の子が、もはや重荷になってきている。
そこで、奇しくも『マイマイ新子と千年の魔法』は、女の子同士の友情を描き、それが一番元気のない、社会人男性の胸にヒットした。それは、時代相とマッチしている。
今の時代、熱烈に支持される作品は、受け手のコンプレックスをくすぐり、おおらかに許してくれるものだと思う。

ここまで書くべきかどうか悩むけど、一番男らしいタツヨシくんの「男らしさ」が、完全な挫折をするでしょう。だけど、物語は、彼の挫折を許す。「かくあるべし」という強要はしないんですよ。あそこで、宮崎アニメみたいに「そこで、女の子をお姫様だっこして、全力疾走! それが男ってもんだろう!」とか言われたら、死んじゃいますから(笑)。
『マイマイ新子』は、あるがままを描いて、美化せずに「許す」。だから、自分の人生が祝福されたように感じるんだと思う。
「自分が生きてきたのは、無駄ではなかったんだ」と、疲弊した人間こそ、思いたいわけですよ。疲れた人間に「頑張れ」ではなく、「明日も遊ぼう」。これは、今の時代に効く。

そういう映画をこそ、全国津々浦々に行き渡らせるべきだと、僕は思います。
「だったら、レンタルDVDでいいじゃないか」って言われそうだけど、レンタル屋さんは同じ日に『マクロスF』が入荷するなら、そっちを2本、仕入れる。『マクロスF』と『マイマイ新子』を一本ずつ、とは考えないわけです。
レンタル屋さんのシビアさは、検索システムでマイナー映画を探すと、よく分かります。いちど入荷しても、どんどん入れ替える。だから、何とか声をあげないと、本当に埋もれてしまう。署名運動は、そこまで見越してのことです。

とりあえず、ラピュタ阿佐ヶ谷から再起して、未上映地域に可能性の種を蒔くのが先決で、署名が後押しして、上映拡大してくれると嬉しい……と思っています。→こちら
明日は、何時から並べばいいんだろう。その前に、仕事を終わらせないと。

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2009年12月17日 (木)

■ラピュタ阿佐ヶ谷で会いましょう■

今日で終わってしまうのに、『マイマイ新子と千年の魔法』を見に行けない。
新宿がダメでも、板橋には行けるだろうと思っていたが、土曜いっぱいまで仕事しなければならないので、そっちも無理。鑑賞9回目は、ラピュタ阿佐ヶ谷になりそう。
これでラピュタ阿佐ヶ谷がなかったら、他県まで遠征していたよ。映画館でないと、イヤなんだ。この映画に限っていえば、DVDもブルーレイも代替物だと思う。映画館という「場」が必要。

映画館にかかれば、何でも映画だというものではない。テレビの再編集や続編は、やはりテレビに依ってたつイベントなのだと思う。『踊る大捜査線』の劇場映画化は、もう10年以上も前の手法なのだが、アニメの世界では、まだ有効なようだ。
(話は完全に脱線するが、『踊る~』のプロデューサーが「あれは『パトレイバー』をやろうとした」と言ったときは、耳を疑った。押井さんは、もっと真摯に映画とは何かを考えているし、自分の劇場第一作『うる星やつら オンリー・ユー』を「ただの、でっかいテレビ」だと猛省したじゃないか)
テレビと映画ということで言うと、『サマーウォーズ』の製作総指揮は奥田誠治さん。日本テレビの映画事業部の一番えらい人。局が出資してると強いんだな、と改めて思う。フジの『ブレイブ ストーリー』でさえ、20億いったんだから。
『マイマイ新子』より、『ブレイブ ストーリー』の方が圧倒的に有名なんですよ(笑)。そんな状況、何とかしようぜって気持ちにもなるでしょう。

署名の方は、ようやく1000名に手が届きそうです。1000名を越えたら、途中経過報告ということで、製作委員会に提出しようと思います……が、まだまだ受け付けています。
署名サイトのコメント欄でも、「見たかったのに終わってしまった」という声がチラホラ。東京圏の方は、ぜひともラピュタ阿佐ヶ谷の「大人のためのマイマイ・ナイト」へ。
ラピュタ阿佐ヶ谷が連日満席ならば、そこから巻き返せるかも知れないわけです。

お金をいっぱい持った大人から、作品を与えられるのを待つ時代では、もはやないと思います。
『ブラック★ロックシューター』のように、ファンの熱烈な声の中から、企画が立ち上がる、そういう時代になったんだと思います。ネットの反響で、『マイマイ新子』のレイトショーが決まるなんて、実はこれは凄いことなんですよ……。

だから、『マイマイ新子』って(百合アニメという評価も含めて)、うまいこと時代と足踏みを揃えてしまった気がします。だからこそ、旧来の興行スタイルにマッチしなかったんでしょう。作品が、観客が、最適な接し方を模索している真っ最中なのだと思います。


こんな具合なので、20日の秋葉原フリマにも出られそうもありません。廣田同人誌のプレビュー版は、コミケで配布します。

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2009年12月15日 (火)

■みんなで幸せになろうよ■

『マイマイ新子と千年の魔法』公式ブログで発表されたましたが、ラピュタ阿佐ヶ谷での大人のためのマイマイ・ナイトの舞台挨拶に、片渕須直監督が登壇されるそうです。
いまのところ、初日の19日と最終日の26日の上映後ですが、その他の日も交渉中だそうです。

先週末、「新宿ピカデリーが満席だった」というニュースは聞きましたが、ワーナーマイカルシネマズ茨木も、ほぼ満席とアニ横と一緒+(プラス)さんに、記事が出ていますね。
ロケ地の防府を探訪する「マイマイ新子探検隊2」も、予定参加者を大きく上回る70名という盛況だったそうです。
報じる「アニメ! アニメ!」さんの記事は、「『マイマイ新子と千年の魔法』の上映は、地元山口県以外では殆ど終了したが、東京では19日よりラピュタ阿佐ヶ谷でレイトショーが始まる。このほかの地域でも、ネットでの反応を受けたリバイバル上映が熱望されている。」と、相変わらず熱烈なプッシュ。


上映延長・拡大の署名は、引きつづき受け付けています。→こちら
いろいろなご意見をいただいたり、見て回ったりしましたが、目標としては「みんなで幸せになろうよ」という一点につきます。
製作委員会も、ちゃんと儲かってくれないと、いくら上映を延長・拡大しても、意味がないと思います。送り手が損をしつづけるのは、上映打ち切りと同じぐらいに、間違っていると考えます。
せっかく観客の要望どおりに、上映スケジュールを組んだラピュタ阿佐ヶ谷さんも、お客さんが集まらなければ「なーんだ」となってしまい、まして上映拡大なんて、夢の彼方に遠のいてしまいますよね。

かくいう僕も、新宿ピカデリーに行けない可能性が出てきたので、ラピュタ阿佐ヶ谷に頼るしかなくなってきました。パンフレットも入手してないので、「物販もお願いします」と宣伝チームに伝えておきました。


ふとしたことから、片渕監督が『バトルスター・ギャラクティカ』を好きで見てらっしゃることを知ったんですが、この番組も良さを伝えにくい……という点では、『マイマイ新子』と共通しています。
「作品がいいんなら、自然にヒットするはず」というのは、やはり違う。どう露出するのがベストか、模索する必要がある。僕が雑誌に書く仕事だから、そう考えるのかも知れないけど。
「あんまり興味はないけど、お仕事でやりました」って記事は、パッと見てバレてしまう。あらゆるもの、すべてそうですね。本気じゃないものって、無理してるのが分かっちゃう。
『マイマイ新子』を、アニメ誌がスルーするのは間違ってると思ったから、記事をねじ込んだわけだし。(ヒットしている作品を記事にするのは楽チンで、知られてない作品をサルベージするのが、記者の務めと思う)
どっかの段階で誰かが気がついたら、気づいた人間が最善をつくすしかないんだ……とか、いろいろ思います。
以降は、『マイマイ新子』と関係ない、仕事の報告です。


グレートメカニックDX 11 発売中
Isbn9784575464498
●グレメカ人生波止場
前号の神山健治監督につづいて、師匠・押井守監督の登場です。タツノコ時代からスタジオぴえろ、『アサルトガールズ』まで、振り返って語っていただきました。『アサルトガールズ』については、数行ですけどね。

●『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』
日本人で初めて『スター・ウォーズ』を監督した男、ということで、竹内敦志さんにインタビューしました。なぜか今号のグレメカは、プロダクションI.Gづいてます。

●ギャラクティカNOW
今回は、日本版DVD展開のキーマンである、清水節さんにインタビュー。シーズン4の先行カットも公開。シーズン4は、ちゃんと放映しますよ!

●オヤヂ酒場
藤津亮太さんとの雑談コーナー、今号は「宇宙戦艦ヤマトを振り返る」と『トランスフォーマー・リベンジ』です。怪獣映画の肩代わりをしている『トランスフォーマー』は、このブログでも語りたいのですが……。

●ターミネーター特集
確か、『ターミネーター3』のレビューを手伝いました。

●ロボット演出事始
連載第二回は『星の鼓動は愛』より、横PANの効果について。


誰も待っていない廣田同人誌は、先週末に入稿しました。ひょっとすると、年内に届くかも知れないし、届かないかも知れないし……。
いずれにしても、プレビュー版は、週末の秋葉原UDXのフリーマーケットと30日のコミケ(【時祭組】のブース)にて配布します。


追記。『バトルスター・ギャラクティカ』シーズン4は、2/7に第1話先行プレミア放映。2/17から本放送スタートだそうです。ソースはスパドラさん。

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2009年12月12日 (土)

■大人のためのマイマイ・ナイト■

『マイマイ新子と千年の魔法』、公式ブログで、ラピュタ阿佐ヶ谷でのレイトショーの件が伝えられました。記事のタイトルはなんと、「マイマイ新子」の上映を続けるために
記事を書かれたのは、製作委員会の一社であるエイベックス・エンタテインメントの岩瀬智彦プロデューサーです。岩瀬Pいわく「興行の結果次第では『マイマイ新子と千年の魔法』の持つポテンシャルを再認識して頂くチャンスとなり、全国のまだ上映されていない地域での興行に繋がるかもしれません。」

実は昨日、『マイマイ』宣伝チームの一人と電話でお話し、阿佐ヶ谷ラピュタでのレイトショーが、どのような意義を持つのか、うかがいました。
宣伝会議では、毎回、単館でレイトショーを行なうべきではないのか、検討されていたそうです。朝一回のみの上映は、当初の計画どおり主婦層をターゲットにしたもので、別に空いているスクリーンで、デタラメに上映しているわけではない……というのが真相で、それについては私も暴言を吐いてしまい、申し訳ありませんでした。

新宿ピカデリーでの上映が、「18日まで」から「17日まで」に短縮された理由は、ラピュタ阿佐ヶ谷での上映が、「19日から」スタートするためだそうです。阿佐ヶ谷は新宿圏内ですから、「新宿で1800円の映画が、明日から阿佐ヶ谷では1300円で見られる」という事態を避けるための、やむをえない措置とのこと。なるほど、納得です。

岩瀬さんが書かれているとおり、ラピュタ阿佐ヶ谷が連日満員となれば、他の映画館が興味を示すかも知れませんし、未上映地域にも、売り込みやすくなるでしょう。
つまり、ラピュタ阿佐ヶ谷は「レイトショーで集客力があるかどうか」のテストケースと言えるわけで、この興行が不成功に終われば、あらゆる可能性が閉じられてしまいます。――ということが、ようやく私にも理解できました。ラピュタ阿佐ヶ谷が、一気に聖地となったわけですね。
「大人のためのマイマイ・ナイト」は、12月19日~26日の夜9時より上映。連日満席ならば、もちろん、ラピュタ阿佐ヶ谷も儲かります。配給・興行・観客、みんなで幸せになるのが理想に決まっています。
製作委員会の皆様、ありがとうございます。数々の暴言、お許しください。

署名活動は、もちろん続けていきます。東京だけで終わらせたくありませんから、引きつづき、お願いいたします。
相乗効果で、みんなが幸せになる興行形態が実現できたらなあ……と切に願っています。署名サイトは、こちらです。

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2009年12月11日 (金)

■あちこちから引用■

年内に3本の仕事を終わらせなければならないので、今日はblogやtwitterからの引用だけにしておきます。


だから、この映画を観た人は、他人に対してこの映画を薦めざるを得ないと思うんです。興行として、成功してないわけですよ。ってことは、新子の、貴伊子の、片渕須直の「物語」が、届いてないんですよね。それってやっぱり間違ってるじゃないですか?
ブログ「恋愛」より「マイマイ新子と千年の魔法」~物語は死なず、負けない~

他人に対して、薦めざるを得ない――その理由は、本文を読んでください。
僕は靴の裏を舐めるかどうかは分からないけど、『マイマイ新子』を見たいという方なら、10人分は、平気でおごりますね(笑)。いや、20人でもオッケーです。


なんでこんなに力説してくれるんだろう、と考えたとき思い至るのはやはり、この映画はすでに「作り手の私有物」ではないんだ、ということです。
片渕須直監督のtwitterでの発言より

twitterは、引用の仕方が難しいというか、仕組みを分かっていないのですが、大事なことだと思ったので。
同じく、片渕監督の発言より。

出版社に部数が保証できるかどうか、なんです。映画にたくさんお客が来ていただければ、可能になるかもしれないですし。そこまで見据えての廣田さんの署名運動なんですよ。RT @ tenkao マイマイ新子同人誌の内容や設定などを収録した本、絵コンテ本などが出版されれば嬉しいんですが。

署名活動の前から、「学生の買える値段で、絵コンテ集を出したい」と、監督はおっしゃってました。

もちろん、それは誰がどんな形で出してもらってもいいわけで、署名運動だって、僕がやらなければ、ほかの誰かがやっていたと思います。
もっと言うと、「お前じゃ信用ならん」と、署名の成果をもって、他の方が交渉にあたってくれても構わないわけです。

監督、防府まで、いってらっしゃい。新子や貴伊子たちが、あの場所にいるように思えてならないです。


 観客は、広告屋が大金と職能を賭けて作った宣伝を見て、映画館に行き、帰りにお茶の一杯も飲んで、おしまい。映画の興行スケジュールに、観客が注文をつけることなど、思いもよらぬ所業である。
 ところが、ウェヴの普及で、市井の人が不特定多数に発言できるようになったおかげで、映画の上映期間を延ばしてもらおうじゃあないか、会社員が鑑賞できるよう、上映時間にも気を使ってもらおうじゃないか、と考え、行動に打って出た人がいる。観客は、映画に対してそこまで身体を張らなければならないのか? と驚き、ネットで署名をやったところで相手にされるものかいな、と自分自身は効果の程には疑問を持っている。しかし、これはこれで面白い事じゃあないか? と考え直してみる。

「兵器生活」の「事件だ!実験だ!ウェヴの実力ってヤツを見せてもらおーじゃあないか」より

管理人の印度総督さんは、考証協力で『マイマイ新子』に参加された方です。
本文をぜひ読んでいただきたいのですが……いや、読んでください。印度総督さんは、別に署名の太鼓持ちをしているわけじゃ、ないんです。
しかし、僕以上に、今回の署名活動の意味を、分かってらっしゃる。


署名してくださった皆さん、ありがとうございます。しかし、圧倒的に足りていません。
ラピュタ阿佐ヶ谷でのレイトショーは、マッドハウスの方たちが熱心に動いた結果、決まったんですね。50席しかないとはいえ、ここが満席にならないと、それはやっぱりピンチなんです。

署名の提出先は製作委員会ですが、別に訴訟を起こそうって話じゃないんです。ケンカ売ってるわけじゃないので、そこは皆さん、誤解なさらず……。署名してもいい、という方は、こちらにお願いします。「見てないけど見たい」「ちょっと興味がある」方だって、大歓迎です。

全国的に『マイマイ新子』上映が終わっていく日、東京は雨です。

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2009年12月10日 (木)

■マイマイ、あれこれ■

本屋が開くのを待って、「アニメージュ」買って来た。
もう、僕からすれば、『マイマイ新子と千年の魔法』全力応援特集号といえる内容。
「この人に話を聞きたい」「アニメの鍵」と、自分でもビックリするぐらいの集中力で、一気に読みきった。お世辞じゃなくて、それだけ面白かった。どちらの記事も「映画を観てから、読んでほしい」旨、前置きがしてあるけど、「この人に~」は原作小説を読んでいると、さらに理解が深まると思う。
091210_11130001「アニメの鍵」には、僕が日芸の講義で見て「欲しい」を連発した、新子と貴伊子のキービジュアルが使われていた。

このキービジュアルは、静謐な色気があって(このカットの原画は、柳沼和良さん! 納得! 辻 繁人さんの作監修正でした。申し訳ありません)、このまま額に入れて飾りたいぐらいなんですよ。十分、売り物になる。
署名活動の先にあるビジョンは、そういう製品が出せるぐらいに、メジャー化したいんだ、ということ。今のままでは、販売目標なんか立てられないと思う。
興行的な失敗は、10年も20年もついて回る。大げさに聞こえるかも知れないけど、僕は実例を間近に見て来た。自社作品でも「ああ、あのリクープできなかったタイトルね」と、冷たく言いすてられてしまう。「あの作品の話題は、出さないでくれ」とかね。
だから、気分で署名お願いしているわけじゃないんですよ。「作品への愛」なんていう抽象的なものでは、何も動かせない。作品を応援している人の「数」が必要なんです。


何も動いてないわけじゃないのですが、まだ報告できるレベルのものは、ありません。

○可能なかぎり多く、署名を集めること。
○ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーを大入り満員にすること。

この二つが、事を動かす必要条件です。ラピュタ阿佐ヶ谷だって、「ほっといても、人が集まるだろう」なんて、僕はタカをくくってません。12月19日(土)~26日(土)の夜9時です。
26日夜から、片渕監督の講義があるので、申し込みました。場所はラピュタ阿佐ヶ谷ですから、講義後に、僕も一観客として鑑賞します。


新宿ピカデリー、僕は年末進行真っ只中なので、行けるのは、17日最終日になってしまいそう。
そして、明日11日で終わる映画館は、
MOVIX亀有
MOVIX昭島
川崎チネチッタ
TOHOシネマズららぽーと横浜
MOVIX橋本
MOVIX柏の葉
エクスワイジー・シネマズ蘇我
MOVIXさいたま
MOVIX三郷
MOVIX川口
MOVIXつくば
MOVIX宇都宮
MOVIX伊勢崎
札幌シネマフロンティア
なんばパークスシネマ
MOVIX八尾
MOVIX京都
MOVIX六甲
MOVIXココエあまがさき
MOVIX橿原
名古屋ピカデリー
MOVIX三好
ミッドランドシネマ名古屋空港
TOHOシネマズ岐阜
ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
TOHOシネマズトリアス久山

……新宿ピカデリーは、今週末が勝負かな。最高の音響設備で見たい方は、是非!
(追記:というかねえ、見たがっている人が大勢いるのに見づらい時間に上映して打ち切りって、客を逃がしていることに気がついてるのかね? そろそろ我慢ならなくなってきた。叫びたい)


読売新聞9日付夕刊で、『マイマイ新子』コラム記事。「実はこの映画、ネット上では大きな評判を呼んでいるものの、興行成績がふるわず公開館数は縮小傾向。上映継続を求める異例の署名活動も始まりました。自信を持ってお薦めしますので、未見の方はぜひご覧ください!」(福田 淳)
新聞に載るとは、思わなかった……。署名サイトは、こちら。交渉までへの道は、まだかなり遠いです。ご協力、よろしくお願いします。

(追記2:発作的に読売新聞に電話したら、福田淳さんって、文学フリマで俺の横に座っていた方でした。ブログに署名サイトへのリンク貼ってくださっていました。感謝です。それでも、現状に対して叫びたい気持ちは変わりません)

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2009年12月 9日 (水)

■これは自分の好きな作品、あるいは防府を描いてくれた作品を守る戦いだ■

『マイマイ新子と千年の魔法』続映への署名、ありがとうございます。コメントは、すべて拝読しています。現在の情報を総合すると、やはり、まだまだ足りないのです。
配給・興行サイドが「数」を重視するなら、観客サイドも「数」を示すしかないのです。より一層のご協力を、お願いいたします。

【マイマイ新子と千年の魔法 続映希望署名サイト】
http://www.shomei.tv/project-1385.html
http://www.shomei.tv/mobile/project.php?pid=1385 ←携帯用

エントリのタイトルは、「ほうふ日報」誌を拠点に、海外での上映まで『マイマイ新子』を追いつづけてきた盟友・縄田記者の記事から、拝借しました。
縄田記者は、連日のように、署名活動のことを現地で報じてくれています。もちろん、誰かに頼まれたわけじゃない。言わざるを得ない状況だから、言うんです。


評判が広まっているのに、朝一回しかやっていないので、観られる人が、とても少ない。
伝わるべき人に、伝わっていない。回路が断線している。これはおそらく、アニメや映画だけの話ではないんです。社会全体の話だと思います。何も改善されないのは、僕らがだんまりを決め込んでいるから。だから、ナメられる。快適な状況を望むなら、声を上げないとダメですよ。
今まで黙りつづけてきたツケが、「朝一回のみ」「未上映地域多数」という惨状だと思います。

『マイマイ新子』は、いまだに気合いの入ったレビューがネットに書かれています。
ブログ「プカプカ散策記」の『全身で感じろ』、これは圧倒的です。『マイマイ新子』は、いったい僕らに何をくらわせたのか……魔法なんて、かわいいもんじゃなかったんじゃないか。やっぱり、もっと見たいよなあ。
「どうせDVDが出るから、そちらでどうぞ」とは、一言もいってないところも素晴らしい。「アニメってのは、DVDで回収するんだから、それでいいんだよ」と考える人は、システムに洗脳されている。
今こそ、観客サイドからモノを申すべきとき。「こんな状況は、もうウンザリだ」と。


「アニメージュ 1月号」は、奇しくも『マイマイ新子』ファン必読の号となっている。
61vkttnng4l__ss500_ひとつは 小黒祐一郎さんの「この人に話を聞きたい」で、片渕須直監督インタビュー。藤津亮太さんの「アニメの鍵」でも、『マイマイ新子と千年の魔法』。
今月号は、編集部に「見本誌くれ」などと言わず、本屋で買います。
小黒さん、藤津さん。署名へのご協力、ありがとうございます。氷川竜介さん、リンクを貼ってくださり、非常に勇気づけられました。

読売新聞8日号、『マイマイ新子』原作者の髙樹のぶ子さんインタビュー。
誌面では、髙樹のぶ子さんの記事の上が、マイケル・ムーア監督のインタビューで、彼はこう言っていた。「立ち上がって誰かとつながることが大きな力になる。誰もがその可能性を持っている」


まったく話題は変わりますが、コミケの話題。
Vol2_hyousiSikisiサークル【時祭組】は、通算三冊目になる「フェスティバル・タイムズ Vol.2」を発行します。
『メガゾーン23 PARTⅡ』特集ということで、板野一郎監督が全面バックアップ! 購入特典の「限定23枚のサイン色紙」も板野監督自らによるもの。

購入特典は先着23名様ですから、あっという間になくなると思います……販売は12月30日、西館1ホール「れ-15b」。
板野一郎さんの、歯に衣きせぬインタビューが壮絶で、ファイトが出ます

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2009年12月 8日 (火)

■まだまだ、これから■

『マイマイ新子と千年の魔法』、署名にご協力いただいた方、ありがとうございます。
一日で目標の1%を少し越えましたから、あと100倍のエネルギーを必要としています。まだまだ、署名受付中です。
【マイマイ新子と千年の魔法 続映希望署名サイト】
http://www.shomei.tv/project-1385.html
http://www.shomei.tv/mobile/project.php?pid=1385 ←携帯用

どうか、上記URLを広めてください。ブログパーツもあります。
よろしくお願いいたします。


ラピュタ阿佐ヶ谷で、12月19日(土)~26日(土)までレイトショーが決まったそうです(夜9:00より連日1回上映)。
しかし、それは前から「交渉中」と聞いていた話なので、署名の目標とは着弾点が違います。もっと広域というか、メジャー化を狙っていますので、署名よろしくお願いします。
(北陸地方でまったく上映してない……などと聞くと、そっちの方が大事じゃないかと思うのです)

文学フリマ(片渕監督トークイベント)のあと、宣伝会社の人と話したのですが、映画館での興行が悪いままだと、やはりソフト化に予算がかけられず、宣伝費はさらに小さくなって、苦戦する一方だそうです。当然、地方の映画館にも売り込みづらいとのこと。
それを聞いて、もう一度、新宿ピカデリーへ行く決意がつきました。映画館に、リピーターの底意地を見せつけて、なおかつ動員に貢献したいからです。
ついでに、mixiで「映画に行ったついでに、口頭で要望を伝える」というナイス・アイデアもいただきました。黙って帰ってくるよりは、圧倒的にいいですよね。


「映画興行とは、こういうもんだ」と言われもします。それは百も千も承知なんですよ。
僕は、「現状が気に入らない」という動機で、署名を始めたわけですから、常識に反していると自覚しています。でも、何か出来る立場なのに何もしないのは、それだけで罪なんですよ。
「すごく見たいのに、うちの地域じゃやってない!」という人に向かって、「いい映画ですよ」とは、僕には言えません。言える状況をつくって、「やっぱり、映画館で見て良かった」と笑い合えるのが、僕の理想です。


そろそろ、友人の同人誌(『メガゾーン23』ですけど)を紹介したいなあと思ったり、自分の同人誌も(『エヴァンゲリオン』が表紙ですけど)大詰めだし、でも、そういう話題は書きづらいですね。ちょっと前まで、下品なこと、いっぱい書いてたんですけど。
このブログはもう放置していいですから、署名サイトのURLをがっちり広めていただければ……。


署名でいただいたコメント等は、エクセルデータで保存してあります。
ちらほら知った名前もお見かけしますし、コメント欄の、熱意ある書き込みも拝見しています。どの署名も、等しくありがたいです。
また、ブログなどでリンクを貼って下さっている方々、心より感謝いたします。
引きつづき、よろしくお願いいたします。あと、100倍必要です。

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2009年12月 5日 (土)

『マイマイ新子と千年の魔法』続映にご協力を!

こんなこと、始めてやるんですが、『マイマイ新子と千年の魔法』の上映を継続するため、署名を集めることにしました。
http://www.shomei.tv/project-1385.html
http://www.shomei.tv/mobile/project.php?pid=1385 ←携帯用
署名受付、開始しました!

片渕須直監督から「あと2週間で終了」と知らされて、署名活動をすることにしました。「これから上映予定の地方もある」と当ブログで書いたばかりですが、東京での興行成績は地方にも波及します。ソフト化のとき、潤沢な予算がかけらない場合があります。「DVDをレンタルして見るから、いいや」という方、レンタル店に入荷しない可能性だってありますよ。
興行成績が悪くて、何かが好転することは、ひとつもありません。

Twitterを見ると分かりますが、「見たいけれど、見られない」人が、かなりいらっしゃいます。ほぼ全国で、一日1~2回上映に規模縮小してしまいました。個人ブログでも「今年、一番」という高評価が多く聞かれる中、観客の声を無視するがごとく、何とも見づらい興行になっています。挙句の果てに、もうすぐ上映が終わってしまう……。こんな状況、間違っています。
いい加減、「お客さん」として待っている状況から抜け出して、愛する映画のために、立ち上がるべき時ではないでしょうか。
『マイマイ新子と千年の魔法』を、「見たいときに、見たい人が見られる興行スタイル」にして欲しい。製作委員会に提言したいと思います。その裏づけとして、皆さんの声を貸していただきたいのです。
どうか、上記URLを出来るだけ多くの方に広めてください。私も頑張ります。


私自身は、この映画には試写会で出会い、一度取材しただけの関係です。宣伝会社からは片渕監督の講演に呼んでいただいたり、かなりサービスしてもらいました。でも、だから上映継続を訴えるわけではないんです。
ただひたすら、この力強く美しい映画が、杜撰な扱いをされていることに、我慢がならないんです。ここまでネットで評判が広まっているのに、「見たい」と思った人が、見られない。だから、結局、映画館に人が集まらない。「興行的に苦戦している」などと言われていますが、それは映画館が、観客のニーズに応えきれていないだけの話です。興行サイドが、自ら悪い状況をつくっているだけではないでしょうか。そんなバカな状況に、『マイマイ新子と千年の魔法』を置いておきたくない。

「後年、評価されるだろう」とか「知る人ぞ知る傑作」とか、そんなのはイヤなんです。「とても見たいけど、時間が合わない」「興味はあるけど、上映期間が短すぎる」……そんな理由で、人と映画が出会えないなんて、おかしいです。
今、気持ちが盛り上がって「見たい」「もう一度見たい」「何度でも見たい」と思った人に、大きな画面で見て欲しい。細かいところまで、じっくりと。
「映画と人の関係」を、最善の形にしたい……。

もう一度、言います。興行成績が悪いと、業界で「アレは駄目な映画だった」と烙印を押されてしまい、後々、ずっとマイナス・イメージが付きまといます。
その悪循環から『マイマイ新子と千年の魔法』を救い出すためにも、署名にご協力ください。
皆様、何卒よろしくお願いいたします。

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2009年12月 3日 (木)

■マイマイ新子、8回目~We are not alone■

昨夜、取材と打ち合わせを終えて帰って、ヘロヘロになりながら、いつものようにTwitterで「マイマイ新子」を検索したら、みんな大絶賛。中には自分のHPに特設ページをつくった人までいて、とにかく「観に行け」と(笑)。
091203_11560001初心に帰って、雨の中、新宿ピカへ。こんな寒い中、平日の真昼間から誰が来るんだろうと思っていたら、20人ちかく座っていたので、ビックリした。
今回ほど、Twitterの威力を見せつけられたことはない。


俺は通算で8回目になるけど、「人に見せたい」と同時に「何度も見たい」と思わせる何かが、この映画にはある。
いくら狭いスクリーンに追いやられたとはいえ、音響は素晴らしく、新子に声をかけられたタツヨシが「ん?」と返事をしているのを、今回初めて知った。新子から貴伊子への耳打ち「向こうの川に、おったよ」も、初めて聞き取った。


ちょっとメモしておくと……
・ひづる先生の自転車は、「夕陽よりも赤い」。
・ラスト、蛍に混じって、千数百年前と同じ流れ星が見える。
・もんしろ蝶は、新子が遅刻して学校へ走るとき(つまり、新子と貴伊子が出会う日)、足元に二羽、まとわりついている。
・麦畑を走る2人の足元にも、二羽の蝶が飛んでいる。
もっとあったんだけど、見ながらメモしないと駄目だ。すごい速さでシーンが切り替わるので、あれよという間に映画が終わってしまう。
もんしろ蝶の暗喩は、けっこう表層に埋まっていたんだな、という印象。ラストで流れ星が多々良山に落ちるのも、初回で見抜いている人、大勢いると思う。

0829_1_00081カメラワークを「子供の目線」と言っている人がいたけど、確かにクライマックスのロアナプラ(めんどくさいので、こう呼ぶことにする)のシーンまでは煽りが多い。ロアナプラで、急に俯瞰になる。ロアナプラを出て、新子とタツヨシが話している間に、だんだん目線が低くなる。初歩的なことのようだが、これも人から言われないと、気がつかなかった。
「映画評論家ぶる初心者は、必ずカメラアングルのことを言う」そうだけど……。


この映画って、麦畑を海にしてみたり、金魚に先生の名前をつけたり、「見立て」を響き合わせることで、あたかも、日常に奇跡があるように見せているんだと思う。川を堰き止めてダム~とか。ラストの人形遊びも「見立て」だし。妄想じゃなくて、根拠がある。
貴伊子が、お母さんの写真と同じポーズをとるのも「見立て」かも知れない。僕は、埋立地でママゴトしている子供が「おいしい」と言っているのを聞いて、ウッと涙腺がゆるんだ。
世界が、ガーンと広がった感じがするんですよ。この映画。

年末進行なので、年内に見に行けるのは、これが最後かも。とりあえず、文学フリマへの予習は出来たし、お客さんが増えてて良かった。


先日、『赤毛のアン』のOPは「馬の頭がワイプになっている」と書いたけど、何度も見ると、そういうわけじゃないみたい。背景は2カットに分かれているとは思う。
ようするに僕も、昔のアニメをそんなには見てなかったということ。でも、自分で歩かないと、自分の道は出来ていかないので……とにかく、見る。歩く。


5oomttf_flyer_004_091203jpg廣田同人誌。12月20日の秋葉原フリマでは、本誌のプレビュー版(コピー)を配布します。
A4一枚に、記事のダイジェストをぎっしり。そのダイジェスト文を今から書いて、それから、朝まで仕事です。そんな師走。

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2009年12月 1日 (火)

■アニメ映画バブルの片隅で■

『フランダースの犬』。風車小屋の風車だけがセル、というところが、たまらなくカッコいい。とまっている時は、もちろん風車も背景と化す。「世界って、そういうもんだよなあ」と思う。
001_mainあと、アロアのレース編み。完成した瞬間は、おそろしく緻密に模様が描いてあるが、カットが切り替わって引きの絵になると、当然のことながら、そこまで細かくはない。でも、最初に細かく描いてあるのを見せられているので、その印象は持続している。
今だったら、テクスチャを貼るとかして、破綻をなくそうとするんだろうけど、「隙を見せまい」とする発想そのものを、つまらなく感じる。

『赤毛のアン』のOP、冒頭では地面が背景の置き換えなのに、馬の頭がワイプがわりになって、セルの背動になるところが好き。質感はつながってないんだけど、映像に弾みがつき、広がりが出る。
同じ被写体なのに、いきなり質感を変える。それは、実写映画には絶対に真似できない、セルアニメだけの特権だ。その特権を、今のアニメのほとんどは、手放してしまったように見える。


新宿ピカデリーへ『マイマイ新子と千年の魔法』を見に行こうと思ったら、一日3回に減らされていた。12月5日以降は、なんと午前中2回に変更される。夜一回にした方が、確実に集客を見込めるのに、映画館って作品の中身は見てねえんだな、と痛感する。
テレビの人気番組を映画化……それは、かつて邦画バブルの辿った道じゃないか。いまブームのアニメ映画は、全部そうなってる。つまり、数字だけで、実質がない。

せっかくブロックブッキングがなくなったのに、今度はコンビニのように「売れる商品だけ大量入荷」という事態になってしまった。アメリカから来たシステム(シネコンのこと)は、結局、ロクなもんじゃねえな、と思う。
しかし、どういうわけか、この作品が酷な目にあえばあうほど、愛情は増す。なんとしてでも、見に行ってやろう。


すでに『マイマイ新子~』を見た方、今さらだけど、Minako“mooki”Obataさんライブの映像です。お馴染みのメロディが流れるのは、2:55あたりから。

この映像を見ていると、『マイマイ新子~』は、さまざまな「重なり」から出来ていると感じる。考えてみれば、アニメというのはセル(レイヤー)を重ねて、絵をつくるものだ。
過ぎ去っていく時間より、重なり合う場所、意識。そういうものに抱かれていると感じるから、『マイマイ新子~』は安心するし、何度も見る=重なり合わせると、さらに心地よい作品なのだと思う。


明日は、またもや押井守監督の取材。もう毎週会ってるよ、あの人とは。

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