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2009年10月28日 (水)

■10月のメモ「偶発性」■

『マイマイ新子と千年の魔法』、なんと前回のエントリが片渕監督のブログからリンクされSgmdx06__2ておりました。がっつり「百合」というファイル名のキービジュアルともども、ありがとうございました。
←原画を転用したものだそうですが、新子の表情が抜群です。

覚え書き程度に書いておくと、『マイマイ新子~』は、今風に3Dの背景動画もあります。その他に、作画でマスクをつくって、テクスチャを貼りこんだり、ようするにマチエールが豊富だということ。「乗り物はぜんぶCGで」とか決めてしまったら、それはテンプレであって、表現じゃないと思う。
いろんなマチエールの混じった、カオスな面白さに加えて、すごく気になってるカットがあって……主人公の新子の頭に、サイダーの蓋がコン、と偶然に当たる。3回目までは「当たった」と思ってたんだけど、先日の4回目の試写で「あれ、当たってないぞ?」と気がついた。
で、目の前に監督が座ってらっしゃるじゃないですか。「ひょっとして、サイダーの蓋は新子の頭に当たってないんでしょうか?」って聞いてみたら、「ああ、当たったように見えたでしょ」……やっぱり、当たってないんだ!

もっと深く聞いてみると、ようはアニメという表現は偶然が起きにくい(原理的に起きない)ので、あえて不明瞭な「どっちだろう?」と思わせるカットを狙ったとのこと。
実写では何テイクも同じ演技を撮って、それがNGテイクでも「面白いから、使っちゃおう」という場合がある。それが、アニメではあり得ないわけだよね。はっきり言ってしまうと、「偶然がない」ことは、アニメの欠点でもある。
でも、そのサイダーの蓋が新子の頭に当たったように見えるカットでは、作画や音のタイミングを工夫して、「意図的なNGテイク」をつくったわけだ。どこまでカッコいいんだよ、このアニメ!

……何だか、『マイマイ新子と千年の魔法』は、僕の好奇心や興味を、シャベルカーのようにガーッと掘り起こしてくれるのです。11月21日公開です。


こんなことばっかり書いてると、えらくマニア向けのアニメみたいだけど、『マイマイ新子~』は普通に笑えて泣けて……という人情劇です。
でも、例えば一時期の黒澤明の作品というのは大衆向け娯楽映画なんだけど、現場で何があったのか、何をどう工夫したのか、いくらでも深く切り込んでいけるでしょう。今は、ちょっとでも変わった見方をすると「マニアですね」と言われてしまう。何かにちょっと詳しいと、「マニアックですね」。勉強や努力を放棄した人間の言いぐさだ。
何を見ても「感動」か「最悪」のスイッチしか持ってない。そういう人間の方が、俺は怖ろしいけどね。

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