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2009年10月15日 (木)

■男は一人で、怪獣映画を■

『フレフレ少女』って、地上波で放映したのか。今ごろ、DVDで見たよ。
最初の10分はバラエティ番組かと思うくだらなさだが、淡々とした特訓シーンのあたりから、不思議な品のよさが出てきて、新垣結衣がガクラン姿になってからは、もうメロメロですよ。本当はあちこちバランスよくして、シナリオも練りこまなきゃいけないんだろうけど、完成度なんてクソくらえだ。魅力的な箇所がひとつでもあれば、百点だよ。
Photo161092とにかく、ガクラン姿で登校してくるガッキーは「俺の待ってた新キャラ登場!」ってくらい、衝撃だった。性差の垣根をぶち壊しているから。だって、ガクラン姿で高校生活を送らなきゃいけないガッキーに、下級生の「女の子の」ファンがつくんですよ? 何、この倒錯的カッコよさ?
ガクランという抑圧の象徴が、彼女を性から解放するんだよ。

しかもだよ。チアガール部のキャプテンを男優が演じてるんだぜ? チアガールの服装をした男に、ガクラン姿のガッキーが土下座するんだぜ? 何この映画、超カッコいいじゃん……。性差を飄々と飛び越えてる、いやブッ壊してるよ! クライマックスは今ひとつ盛り上がらないんだけど、そんなこととは関係なく、俺はドキドキしながら涙を流していた。

もちろん、僕は応援団なんていう男臭い題材は、好きじゃない。でも、この映画はキャスティングを工夫するだけで、性別を無効化し、「男臭さ」に新しい価値を与えた。監督は「オカマのチアガール」のつもりで、ギャグとしてキャスティングしたのかも知れないが、そんなこと関係ない。映画のテーマなんて、自分で決めていいんだよ。人生の目的を、自分で探すのと同じことだ。


先日のつづき。怪獣のいいところは、出てきたと思ったら、いきなり敵怪獣に飛びかかるか、街を破壊するところだよね。画面に映っている間、ずーっと戦ってる。84年版『ゴジラ』がダメなのは、なんか理屈つけて、ゴジラが寝ちゃうでしょ? 出てるんなら、戦ってないと。怪獣はさ。

84年といえば、僕は高校の生徒会副会長で、規約を無視して文化祭実行委員長を兼任し、生徒会主催で54年版『ゴジラ』を上映したんだ。なんて素晴らしい生徒会なんだろうな。
しかし、何より重要なのは、84年の文化祭当時、僕が童貞だったことだ。それをなぜだか、今では誇らしく感じる。結局、その時に副委員長をやっていた子が、僕の童貞を奪っていった。

怪獣の思い出は、異性と相性がいいのか悪いのか、もうひとつは別れた妻と結Ch070婚する前。平和島に出来たばかりのシネコンに、何か真面目な映画を見に行ったら、『ゴジラ×メカゴジラ』のポスターが貼ってあって、僕はそのダイナミックな構図と「砕け散るまで戦え!」というキャッチコピーに、胸の底を熱くした。
なのに、元妻は「何これ? メカゴジラって……もう、ワケ分からん」と、うんざりした顔をしていた。実際に『ゴジラ×メカゴジラ』を見たのは数年後、妻と別れた後だった。もちろん、すげえ面白かったですよ。

やっぱり、怪獣映画は男が一人で見るものだ。今度、女にふられたら、絶対に怪獣映画を見るよ。ずーっと戦ってるやつね。

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コメント

面白い. . . 戦ってなんぼ。
確かに近所の小学生男の子なんて、「架空の戦い合戦」をずう〜っとしてるよ。面白いよ。相手が居なければ、電信柱に向かって、「だっ!」とか言って。。。(笑)もう女の子には理解不可能な世界。怪獣映画は男一人で観るってのは正解!でも私はジュラシックパーク大好き!ラストなんか最高〜本物みたいな恐竜が見せたかった、それだけって映画な所ががいい。私はだからちょっと男の子っぽい感覚みたい。

投稿: ごんちゃん | 2009年10月15日 (木) 10時09分

■ごんちゃん様
確かに、『ジュラシック・パーク』のT-REXは、「出てきたら襲う」だけの存在だったからね。ラストで咆哮するのも、全然意味なかったし(笑)。
あの「どうだ、凄いだろ?」という、妄想の中での暴力性・自己顕示欲は幼児(というか童貞)に特有のものだと思う。

今だと、『トランスフォーマー』あたりが怪獣映画の代替物として機能してると思うけど……日本映画でも「とにかく戦う」やつ、つくって欲しいけどね。

投稿: 廣田恵介 | 2009年10月15日 (木) 13時59分

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