« ■9月のメモ「怖れ」■ | トップページ | ■9月のメモ「悪魔祓い」■ »

2009年9月26日 (土)

■9月のメモ「マイマイ、二回目」■

『マイマイ新子と千年の魔法』、試写2回目に行ってきた。
もう、冒頭のショットと音楽が流れはじめるだけで、鳥肌が立つ。初見のときは、ずいぶん暗く理不尽な話だと思ったが、クライマックスの力強い作劇(あのタイムトリップ演出、今回は合点がいった)に涙が出た。酷い目にあった子供が、「俺だけは、ちゃんとした父親になってやる」という、その言葉のスケールの大きさに圧倒される。
福田麻由子は、映画を見ている間、本人の顔がちらつかないのが、改めて大した女優だと感心した。

前回も、「うぅむ、素晴らしい」と唸った貴伊子の演出。
090925_18460001登場シーンからして、スカートの下からペチコートがちらちら見える。あるいは、真っ白な靴下が、赤い靴の上にキッチリ、2枚たたんである……フェティッシュだ。前にも書いたけど、足穂っぽい。
水沢奈子のか細い声に、どんどん筋が通っていって、最後には叫ぶぐらい太くなっていく。新子より、難易度の高い役を、よく演じきった。

あちこちで、ロリだとか百合だとか言われているようだけど、どうしてもピンと来ないな。
ピーター・ジャクソン監督の『乙女の祈り』に似たシーンもあるんだけど、ああまで背徳的な方向へは行ってないし、監督がブログで言ってる「ガーリー」は、また違う意味に受けとめられるし……何か見落としているのかと思い、今回は気合いを入れて見たけど、仲のいい二人が手をつないだら、友情じゃなくて百合なんですか? うーむ、分からん。


百合というなら、これぞ本格レズビアンSF『ギャラクティカ』スピンオフ・ムービー『RAZOR』のDVDが届きました。ケイン提督がレズだという設定、すごく納得しましたけどね。
090925_18280001(外箱を取ると、左のようなジャケット)
旧作『ギャラクティカ』が好きな人は、旧サイロンが大活躍するので、この作品から見てもいいのかも知れない。バルター博士の内面とか、面倒な説明の必要な描写は出てこないしね。

面白いのは「そうここに願う」という、シリーズの名セリフを、ペガサス艦では「復讐を誓う」という意味に使っていること。ひとつの価値観に落ち着きそうになったら、それを一回、叩き壊す。だから、予定調和に陥りたくない人には、向いたドラマなんだと思う。
日本で流行らないのも、なんとなく分かるような気がする。


福田麻由子が出ているので、『L change the world』を見た。怪獣映画みたいで、面白かった。
10073064643何より、工藤夕貴が良かった。僕らの世代で言えば、『台風クラブ』『逆噴射家族』ですよ。ATG系の女優なので、『ミステリー・トレイン』で脱いだときも、さほど驚きはしなかった。それが、こんな大物になって帰国してくれて、嬉しいかぎり。なにしろ、悪の親玉ですからね。『ギャラクティカ』でいえば、ナンバー6みたいな役(すげえニッチな例え)。
ひとつのジッと黙った表情の中に、焦りとか憎しみとか、だいたい、三つぐらいの感情が混じっている。ラストで、血の涙を流すところも良かった。くやしいとも、ありがたいともとれる複雑な表情で。

その工藤夕貴が、ジャームッシュの最新作に出ているというから、素晴らしいよね。
でも俺は、こういう『L』みたいな、いわばくだらない映画が存在しつづけることは大事だと思うよ。何もかも芸術映画だったら、旧ソ連みたいじゃない。こういう雑多な、笑ってしまうような映画は、何かをクソミソにケナしたい人のサンドバッグにもなってくれている。

例えば、「100点中5点」と点数をつけて、先生ごっこしているヤツとかね。映画という自由を与えれたのに、採点という不自由でしか反応できない。映画に点数や順位をつける人は、義務教育から乳離れできてないんだと思う。
……ああ、ヒロイン役の福田麻由子の素晴らしさについて、一言も書けなかったよ。


今日は取材後、地元で同窓会です。飲みます。

|

« ■9月のメモ「怖れ」■ | トップページ | ■9月のメモ「悪魔祓い」■ »

コメント

『RAZOR』のDVD確保して、見終わったとこです。
season1 しか見てない私が見てはネタばれになるので、良くないかな?と思いはしたのですが。
いらぬ心配でしたね。
シリーズの補足であり、独立したエピソードとしても成立してますね。
暗く、重く、そしてしっかり作られてます。
確かに今の日本では流行らないかも、です。
season2の地上波放映が楽しみです。

投稿: DH98 | 2009年9月26日 (土) 23時17分

■DH98様
確かに、『RAZOR』一本で大満足できるんですよね。戦闘シーン(というか、ペガサスが一方的に攻撃されるシーン)など、体感映像のような出来ですしね。『スター・ウォーズ』ごときの比ではないですね。

>season2の地上波放映が楽しみです。

うーん、来年以降になりそうですね。
それがライトユーザーを作れない原因にもなっています。もう、僕がレンタル代を払ってもいいから、とにかく見てくれ!という感じです。

※追記:映像特典は、シーズン3を見終わった人向けなので、ご注意を。

投稿: 廣田恵介 | 2009年9月27日 (日) 03時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■9月のメモ「マイマイ、二回目」■:

« ■9月のメモ「怖れ」■ | トップページ | ■9月のメモ「悪魔祓い」■ »