■生物としての可能性の8割ぐらい■
EX大衆 10月号 15日発売
●山本梓 グラビアポエム執筆
今回のポエムの執筆過程は、冬に出す同人誌に載ります。
編集者から依頼のメールが来るところから、ぜんぶ写真に撮りました。これを読めば、誰でもグラビア・ポエムが書けます。
「え、こんな非効率的な書き方してんの? 頭悪いんじゃない?」とバカにされるとは思いますが、「かける恥は、すべてかく」のがコンセプトの同人誌なので……。
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メモ。吉田すずか展が、16日水曜で終わってしまう。メアリー・ブレア展は、10月4日まで。
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07年時点での仲里依紗のポテンシャルを『渋谷区円山町』でMAXまで引き出した、永田琴監督の『Little DJ ~小さな恋の物語~』をレンタル。主演は、『マイマイ新子と千年の魔法』の福田麻由子。
ちょっと気がついたのは、永田監督のユニフォームに対する、妙な愛着というか、癖。『渋谷区円山町』では、ラブホテル備え付けのパジャマを仲里依紗が着ると、原裕美子が「手術着みたいだぞ」と笑い転げる。
『Little DJ』では、福田麻由子が、無菌服を着て「給食の服みたいでしょ」と照れ笑いするシーンがある。
永田監督は、男を色っぽく撮る天才だが、同時に、少女がダサいユニフォームを着る姿に、一種の萌えを感じているのではないだろうか。
素敵な感性だと思う。
さて、『Little DJ』。福田麻由子の、時おり見せる10代前半とは思えぬ色っぽさも見ものだが、広末涼子、西田尚美と、キャスティングは充実している。男優陣も良い(特に、原田芳雄)。
永田琴監督の演出したテレビドラマ『妄想姉妹』も見てみたけど、テレビドラマは、やはり映画とは違う。それは尺とかスクリーンの問題じゃなくて、制作工程というかプロダクション(スタッフの数とか撮影日数とか)が、違うからだろう。
アウトプットではなく、実務レベルで、映画とドラマは別のメディアだ。
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先日、「体育が出来ない男子は、男子失格」と書いた。
ちょっと補足すると、体育が出来ないというのは、算数や国語が出来ないのとは、ワケが違うのです。生物としての可能性の、8割ぐらいを否定されることだから。別の見方をすると、労働力として実用に耐えるかどうか、成人前にテストされているとも言える。
「お前は、生き物として使いものにならない」と、生まれて10年もたたないうちに宣告されるわけ。だから、体育の出来ない男子の生き方は、サバイバルですよ。何しろ、ケンカになったら、確実に負けるわけだし(笑)。それでも、相手を殴らなければならない、という葛藤は『宮本から君へ』や『ボーイズ・オン・ザ・ラン』に、執拗に描かれているよね。
たまに、オタクが無茶をやらかすのは、義務教育で公然と奪われた8割の可能性を、何とかして、取り戻そうとするからです。どうせなら、創造的で、人の役に立つリベンジを成し遂げたい、と僕は思っています。
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コメント
実際社会にでると運動神経とか、全く関係ありませんよ。
精神的な粘り強さとか、忍耐力とか、そっちのほうが重要だったりします。
運動できて人気者になれるのは小学校から高校まででは??
投稿: F | 2009年9月14日 (月) 07時19分
体育が苦手=男子失格という烙印を押すような風潮は、他の男子からも結構聞いてます……。大丈夫、廣田さんだけじゃないハズ。
私は高校時代、家庭科の授業には出ませんでした。女性だけがどうして?という思いでひとりでボイコットしてました。
こういうことにひっかかりを持たなければ、もっとスムーズに生きられるのだなあと思う次第です。
……
投稿: 眼鏡屋 | 2009年9月14日 (月) 09時57分
■F様
Fさんが言うと、なかなか説得力がありますね。
しかし、力仕事のアルバイトでは、体力のないヤツは厄介者です。社会に出ても「体育の時間」は、やっぱり続いてるんだな、と何度も感じました。
>運動できて人気者になれるのは小学校から高校まででは??
高校・大学まで来ると、「人気者」どころではありませんね。今度は、大人たちが彼らを優遇しはじめますから。社会に求められてるんですよ、運動に秀でた人材というのは。
■眼鏡屋様
>大丈夫、廣田さんだけじゃないハズ。
ありがとうございます。確かに、僕だけじゃないと思うんですけど、なんでみんな黙ってるんでしょうね(笑)。
>私は高校時代、家庭科の授業には出ませんでした。
正しいことだと思います。大人たちのつくった価値観には、常に疑問符を叩きつけていくべきなんです。
いま、この歳になって思い返すと、学校というのは収容所でしたね。教師の一存で、労働に駆り出されることも、よくありましたしね。
やられっぱなしはくやしいので、お互い、頑張りましょう。
投稿: 廣田恵介 | 2009年9月14日 (月) 12時08分
運動が出来ない男子は存在が否定されるというお話、自分の過去そのものですので、耳が痛いですね。
人間の構成要素のほぼ大半が動物と同じである以上、結局プリミティブな生命力こそが存在価値であっても不思議は無いのですが、そこから見放された我々(すいません…)が自己を肯定するのはなかなかに難しい。
だから、自分はアホほどポンチ絵を描いたり、プラモを吐くほど作ってきたんだと、そう思います。
それが復讐なのか逃避なのか自己回復なのかは判然としませんが。
あ、高校は中途半端に進学校だったので、勉強も出来ない私は周囲に完全にクズの烙印押されて、美術室に入り浸ってましたね。
やっぱ逃避かも(笑)
投稿: べっちん | 2009年9月14日 (月) 16時56分
■べっちん様
ようやく賛同者が現れてくれて、嬉しいです。みんな、どんどんカミングアウトすればいいのに(笑)。
体育授業の非道さについて、黙っている必要もありませんしね。「飛び箱を飛べないなら、飛べるまでやれ。休み時間も、続けろ」ですから。それのどこが教育だ、と。
僕も、べっちんさんと同じように、絵を描いたり、プラモデルを作り込んでいましたが、「勉強とは関係ない」と親から取り上げられもしました。教師に「プラモデルのテストはない」と全否定されたことも、よく覚えています。
思春期を含む10年以上、そんな環境にいたんですから、僕らは、よっぽど抵抗もしたし、逃避もしたし、頑張ったんだと思います。
投稿: 廣田恵介 | 2009年9月14日 (月) 18時23分
>「勉強とは関係ない」と親から取り上げられもしました。
私は庭で燃やされました(笑)
サザビーとνガンダムが逆シャアのクライマックスよろしく燃えていましたよ、ええ。
で、迫害が酷いほど、ナニクソと。
親の教育的には完全に逆効果ですね。
まったく因果なものです。
投稿: べっちん | 2009年9月14日 (月) 19時11分
■べっちん様
結局、親や教師に隠れてやったことが、今、よっぽど役に立っているんですよね。
じゃあ、めぐり巡って、今は幸せなんじゃないかというと、そうでもないんです(笑)。
実は、肉体的コンプレックスが、今の自分のかなりの部分を占めていると気がついたんです。
忘れてしまわないうちに、胸を張って言っておきたいんです。40を過ぎて、アニメや模型に思い入れるのは、僕が出来損ないだからだ、と。
投稿: 廣田恵介 | 2009年9月14日 (月) 21時39分
はじめまして。
いつも、拝読させていただいております。
ギャラクティカの伝道師としての活躍、一ファンとしても、力強い限り。
で、体育オンチの劣等感を抱える者として、
体育嫌い~の話題、ギャラクテイカ、無限のリヴァイアスの艦内生活を連想しました。
言うならば、アニメ『無限のリヴァイアス』
を観た人に、ギャラクティカを紹介する時は
「おとなリヴァイアス」。
逆にギャラクティカを観て、リヴァイアスを観てない人には
リヴァイアスって「こどもギャラクティカ」みたいな話だよ。
と、紹介したくなるというか。
つまり、学生生活=軍隊生活=サバイバル と、いう事で^^;;
そうゆう経験を、大なり小なり、人生のうちでする事になる・・・
かもしれない。と。
それは、良くも悪しくも、忘れられない、長く引きずる記憶となる。と。
投稿: もとみや | 2009年9月15日 (火) 09時59分
■もとみや様
はじめまして。コメント、ありがとうございます。
『ギャラクティカ』のイベントは、本編も見てないのに庵野さんに釣られてきただけのマスコミ人もいて、ガッカリしましたけどね。
実は、『無限のリヴァイアス』のデザイナー、山根公利さんも、『ギャラクティカ』ファンだったりします。
>学生生活=軍隊生活=サバイバル
これは、確かにそうかも知れません。学校というのは、兵隊を育てるような場所ですから(笑)。
『ギャラクティカ』は、過酷な労働環境や、法の形骸化をも描いている点が、秀逸です。実生活に影響を与えるドラマですよね。
投稿: 廣田恵介 | 2009年9月15日 (火) 10時24分
私も体育だめだったな。体も貧弱だし。
体を使うことが苦手-不器用で、音楽、図画工作、技術家庭科も苦手だった。(でも、プラモデルは作ってた。)
たしかに「出来損ない」ですよね。
その分思い入れが強かったりして、それでまた痛い思いをしましたね。
でも、これまでやってこれて運が良かったですよ。
「ヤマト」「ガンダム」「マクロス」「エヴァ」ときて、今は「ギャラクティカ」「化物語」が進行中ですもん。
投稿: DH98 | 2009年9月15日 (火) 22時16分
■DH98様
>その分思い入れが強かったりして、それで
>また痛い思いをしましたね。
音痴なのに、アニソンだけは歌ったりね(笑)。
アニメのサントラ買ってると、周囲から笑われたし、情熱の強い分、またきっちり、ツケを払わせられるんですよね。
だから、脱オタなんてことも考えましたよね。
仰るように、紆余曲折あったような、なかったような按配で生きてきて、今はいい作品に出会えた分、めっけもんではありますね。
投稿: 廣田恵介 | 2009年9月15日 (火) 22時38分