■9月のメモ「悪魔祓い」■
編集者が取材の帰り、「NHKに細田守が出てたけど、ハウルの話のとき、涙目になってませんでしたか?」と言うのだが、俺はそんな真剣に見てなかった。とにかく、カズマ主演のスピンオフ(20分くらいの)をつくってくれたら、俺はそれでいいよ。「主演:谷村美月」、いいじゃないか。しかし、季節は夏にしてくれ。あのタンクトップがいいんだから。
ようは、アニメ・キャラって、「このキャラは女の子」と断言しないかぎり、どっちでもないんだよな。性別がない。だから、「実生活で、自分の性に自信がない人」でも入りやすいメディアなんだと思う。何しろ、『どろろ』が女の子なんだから。『ビバップ』のエドが女の子なんだから。あの可愛い『バンビ』だって、オスなんだから。なんて自由な世界なんだろう。
『11人いる!』(原作)では、フロルが好きだったな。どう見ても美少女なのに、生物学的に男でも女でもない。アニメ版は見てないんだけど、声は河合美智子だって。えっ、『ションベンライダー』に出てた子? ああいう役こそ、男の声優にやらせればいいのに。
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『化物語』の最終回は、前回のつづきを完全無視したところが、まるで打ち切りみたいでカッコよかった。何より、戦場ヶ原のセリフが良かった。俺は、「戦場ヶ原、蕩れ」だから。
いつも演出がどうのと書いているけど、キャラクターが可愛いとか、そのキャラが好きだとか、声優目当てで見ているとか、それらをひっくるめて「アニメを楽しむ」ということだと思う。
だから、僕は「アニメージュオリジナル」の創刊号に、ランカの原画を大量に載せた。「キャラが可愛い」ことこそが、あの作品の本質だと思ったからだ。
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土曜日は、いいインタンビューだった。
27歳年下の女優に、人生を教えられた。グレイス・パークの時より緊張した分、得るものは大きかった。
その取材の帰りが飲み会だったので、ICレコーダーをなくさないか、すごく不安になった。生まれて初めて「俺が車にはねられて死んでも、レコーダーが無事ならいい。誰かが後を継いで、記事を書いてくれる」と思った。
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クラス会があった。
酔っ払った女の子(40過ぎても女の子だ)が、僕の親友のことを「彼の高校の学力では、○○大学に入れるはずがない」と言い出したので、ムカッときて、一人で帰った。彼は努力したから、その大学に入れた。学びたいことがあったからだ。
僕は四年制大学を出たが、そのことで社会で優位に立てたことは、一度もない。モデラーからライターへ移行する一年間は、中卒の仲間と同じ工場でアルバイトし、一緒に酒を飲んだ。大学の名前で待遇が決まるのは、「軍服どの」の世界だけだと思う。
教育の実質は、偏見を刷り込むことだ。僕は、親や教師が「偏差値から言って、無理だろう」と言った高校に入った。努力したからだ。そして今度は、入学した高校や予備校で、「あの大学こそが一流だ。あそこを目指せ」と刷り込まれた。まるで、養豚場の豚扱いだよ。
さて、いざ社会に出てみたら、「学習する」という自由が待っていた。大人たちから受けた刷り込みは、学習によって打ち崩せる。「学習する」というのは、別に大学に入りなおして……ということだけではなく、仕事を通して、真に実利的な知識・能力を学んでいくこと。そして、学習の目的の半分は、偏見という悪霊を祓うことにある。
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