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2009年8月30日 (日)

■8月のメモ「思い込み」■

先日の、『ギャラクティカ』トーク・イベントでの庵野秀明、樋口真嗣両氏の発言については、『俺のギャラクティカ』が、最も的確かつ詳しいです。
Sgmdx06p4240011(←撮影・俺)
思ったんだけど、庵野さんの年代のオタクって、いい部分は徹底的かつ具体的に誉めるけど、ダメなところに対しては、本当に冷淡なんだよね。テープを聞き返して記事を書いたけど、『ギャラクティカ』ファンとしては、ムカつく発言が多数あった(笑)。でも、それは作品を見た上での「これは余計」「ここは素晴らしい」という、「オタク・庵野秀明」の意見だからね。純粋に、オタク目線で見ている。そこが良かったね。

しかし、『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』がつくられた国で『ギャラクティカ』を見られるなんて、俺たちはアメリカ人より、圧倒的に贅沢をしていると思う。気になる人は、今からレンタルで見ても遅くない。
完結編のシーズン4は、2010年放映予定。ファイナル・カウントダウン企画も予定されています。


先日、あるOVAのネガが行方不明、という話を書いた。
これについて、監督ご自身からメールをいただいた。僕は「上映用のプリント」を何とか間に合わせた、という話だと思っていたのだが、飽くまで「ビデオ用のマスター」の話だった。ネガがワンカット足りないので、(特報フィルムではなく)編集用のラッシュを転用したとのこと。編集用だから傷だらけなんだけど、ブローアップして何とか修復し、マスターにはめ込んだそうです。
「ネガがなくても、何とかなるんだ」と当時のデジタル技術に感服した、という話だった。

どうも、僕はフィルムだとかセルだとかに、変な思い入れがある。それで、話を曲解してしまった。無知だから、ロマンで補完しちゃうんだろうな。


そんな俺ですが、明日は『ATOM』の試写に行ってきます。そういえば、03年版『鉄腕アトム』は、35ミリで撮ってたんだよね。


『化物語』第八話、するがモンキー編、完結。
忍野が話しているシーンで、「忍野台詞(OFF)」ってインサートがあったけど、これはもう、絵コンテがそうなってんだろうな。(ひょっとすると、仕事がらみで、絵コンテを見せてもらえるかも知れない……楽しみだ)
Bakeようは、すべての演出指示は文字表記可能なわけだよね。それを絵にするかしないか……で、「しなくてもいい」という判断を、『化物語』は採用している。
アフレコ現場に行くと、コンテ撮のラフな絵に、色のついたボールドが重ねてあって、声優さんはそれだけで演技できちゃう。だから、今回の「忍野台詞(OFF)」なんて、ようはボールドですね。ボールドを、カッコよくデザインしたという(笑)。

もっと言うと、本編冒頭に出てくる文字列。あれは、シナリオの文面をデザインしている。そうやって、工程を極限まで遡って、工程の段階ごとに、美を見出している。昔、テレビの『エヴァ』で似たようなことをやっていたけど、『化物語』の方が、アクティブだ。「どこまで遡れば、どこまで解体すれば、アニメでいられるのか」を試しているように、僕には見える。


仲里依紗のカラオケの持ち歌は、「ロック、パンクなどやかましい曲ばかり」。……いいっすね。『時かけ』の頃に、すでにそうですからね。みんな、騙されましたね。

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2009年8月28日 (金)

■8月のメモ「生アンノ」■

昨夜は、『ギャラクティカ』スピンオフ・ムービー、『RAZOR』上映会とトーク・イベント。
庵野秀明さん(ここはやはり、さん付けで)、樋口真嗣さん、まるで実の兄弟かのようなコ090827_17460001ンビネーション。特に、「艦」と書いて「ふね」と読む男・庵野さんは、素晴らしかった。ウソをつかないし、作品を誉めすぎず、ケナしすぎず。『帰マン』の例え話は、ちょっと分からなかったけどね。とても正直な人。
庵野さんお気に入りのエピソードは、シーズン2の『スカー』だそうで、「ラストシーンのキャットの演技が良かった。ジョッキを両手に持って、うるうるしてる」……いや、さすがの俺も、そこまでは見てなかった。

この手のトークショウでは、ダントツの面白さ。ちゃんと録音してきたので、次号の「グレートメカニックDX」をお楽しみに!
ちなみに、シーズン1の頃に「ギャラクティカ、1ページでもいいから取り上げませんか?」と提案したところ、ガン無視してくれた雑誌が、今ごろ取材に来てました。……まあ、がんばってください(笑)。
『RAZOR』は、スーパー!ドラマTVで、9/5に放映されます。トーク・イベントの様子は、番宣などに使うみたいですね。


アニマックスの夏休み特番で、『宇宙船サジタリウス』を放映していた。
ハイセンスなEDアニメーションに、今さらながら、心打たれた。

「何だ、ただのリピートじゃん」とか言ってはいけない。こういうのを、いい作画って言うんだ。
海面に沈んだ瞬間、ロケットの炎(ブラシ)が消えて、色トレスに切り替わり、泡を噴射する作画が入る。それを、ランダムにくり返すだけでもカッコいいのに、「海中」は作画されていない。「海面」だけなのね、セルで描かれているのは。背景は、星空一枚。
「過不足ない」というか、非常に機能的、メカニカルだよね。枚数も少ない。なのに、不思議な情感を醸すから、アニメは面白いわけでしょ。じんわり楽しめる、いい作画ですね。
背景動画マニアの人は多いけど、「リピートマニア」の人もいるんじゃない?

あんまり関係ないけど、P.A.WORKSの吉原正行さん『作画のとび箱』、面白い。「でも実は原画って動きのピンポイントを探しているところだぜ」とか、言葉づかいがカッチョエエし、勉強になります。


全国で、二人ぐらいから期待されてるかも知れない、廣田の個人誌「550 miles to the Future」。パクパクと制作中です。
フライヤーは、中野タコシェと新宿ロフト・プラスワンに、置いてもらっています。
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今、何人かの方たちに手伝ってもらいながら、本誌の制作を進めているんだけど、初期の頃は、ガッカリするパターンも多かった。
その典型例は「お返事の出来ない人」。こういう人は、仕事で出会っても、最悪です。「○○やってもらえませんか? ご検討ください」と打診しても、ずーっと無視してる。「お返事ないようなので、またの機会に……」と断ると「いえ、ちゃんと考えてましたよ! 考えた末にメールするつもりでした! 私は、そんないい加減な人間ではありません!」って、そういう時だけ即レスなんだよね。
ダメならダメで、そう言ってもらえれば、こっちは代打を考える。なのに、ジーッと沈思黙考していて、その時間、お互いにとって、まったくの無駄なんだよ。

愚痴は、これぐらいにしとこう。世間で「同人誌」って言っても「雑誌ですよね」と解釈されてしまうね。「雑誌の取材は、お断りです」なんて言われてしまう。「僕が個人でお金を出して、印刷所と一緒につくる本です」と説明しても、「ほら、雑誌じゃないですか。商業利用は、お断りです」。
もう、タダで配ってやろうかな、と半ば本気で考えてます。

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2009年8月24日 (月)

■8月のメモ「新規オープン」■

東京ウォーカー 09年9/1号 発売中
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●『ホッタラケの島』 映画紹介
ほんの小さな記事ですが、どうしても「谷村美月」の四文字を書きたかったので、ちょこっと書きました。綾瀬はるかが主演だけど、彼女はキャラっぽい二次元ボイスも出せるから、「いつかアニメに出ればいいのに」ぐらいには思ってました。

谷村は『サマーウォーズ』で頂点を極めてしまったので、後は実写に専念して欲しい。仲里依紗も同様。あの体形が見られず、声だけなんて、俺は寂しい。


編集者と打ち合わせ後、I 監督のスタジオへ、ご挨拶に。「ブログ、見てますよ。よくキャバクラに行く人だなあ、と思って」。いえいえ、最近は、行ってませんので。
しかし、I 監督の声は、声優をやってもいいぐらい深くて、いい声であることに気がつく。年輪のある声、というか。

その後、小学校の同級生たちと合流して、地元にオープンしたお店の開店パーティ090822_21430001ーへ。
ワインでいい感じに酔ったところで、やはり同級生の経営する焼き鳥屋へ移動。だらだらと三次会、四次会まで飲み歩く。

僕は感傷癖のある男なので、子供時代を共有した面々とは、しみじみ飲みたいのだが、彼らと飲んでいると、思い出とかノスタルジィとかが、どんどん踏み荒らされていく。この感じは、悪くない。


酔いが覚めたところで、I 監督からうかがった話をメモっておく。
80年代に発売され、映画館でも上映された某OVA。僕は勝手に、16ミリで撮影して劇場公開時にブローアップしたんだろうと思っていたのだが、「いや、撮影も35ミリだったよ。ものすごく、デカかったから」。
その話から始まって、「納品の数時間前、ワンカット足りないことに気がついた」という話へ。「えーっ、そんことあり得るの?」というアクシデントだ。セルはある。でも、当時は撮影したら現像しなきゃならないから、もう間に合わない。どうしようか、って時に「そのカットなら、特報フィルムの中にありましたよ」と、編集マンが思い出した。そこで、特報フィルムのデュープ・ネガをチョキチョキ切って、本編に繋いだという話。

当時は、似たような事故が、いっぱいあったと思うんだよね。
工程がデジタル化された現在では、そういう物理的クライシスは、発生しづらい。その緊張感の欠如が、完成作品に出てしまうんだ、とのことだった。


業界の方と話していて、「こんな話もありますよ」的に出てきた『ギャラクティカ』の映画化。ただし、僕が熱中している『ギャラクティカ』とは、まったく別の作品となるようです。でも、映画版の方がメジャーにはなるだろうから、「すごく評価が高いのに、観てみたらガックリ」なんて言われて、テレビ・シリーズにとばっちりが来そう。製作中止になんないかな(笑)。

『ギャラクティカ』といえば、『RAZOR/ペガサスの黙示録』の上映&トークイベントは、今週Sgmdx06razor_11ですね。プレス席に、猫背のハゲが座っていたら、それが僕です。
本編は、日本語吹き替えの全長版を、サンプルで一足先に見ちゃいました。やっぱり、シーズン3を見終わったタイミングじゃないと、ちょっと「?」ってところがあるかも。でも、初めて見る人にも、『ギャラクティカ』の重厚さは十分に伝わるはず。


ひさびさに、本日のティンカー・ベル。
090821_14350001セガのプライズ物で、やけに大きなタンブラー。3センチほどのフィギュアが付いているが、そっちの方がグラマラスで、ティンクらしくはある。
どうも、タンブラー本体に印刷された黒目がちなティンクは、セガ社内で描き下ろした気がする(他のプライズ物にも、反転して使われている)。少なくとも、国内のデザイナーじゃないかな。

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2009年8月20日 (木)

■8月のメモ「夏休み」■

20代の夏は、ビール片手に、あてずっぽうに下町を歩いていたが、今回は、有能なガイド付きで歩090819_16360001く。
喫茶店なのに、なぜか金魚すくいの出来る珍店がある。コロッケのうまそうな肉屋の前では、タモリさんが番組ロケをしていた。
最後は、30年ぶりぐらいに、ジェットコースターに乗ってみた。今日は夏休みの最終日なんだな、と思う。時速127キロで、夏が終わっていく。


10歳年下の子に『メガゾーン23』の話をしていたら、「これを思い出しました」と教えてもらったのが、NHKデジスタの『80'sガール』
090725_ent01南家こうじのセンスを、不器用にパクったアニメを見ていると、なんともくすぐったいような気分にさせられる。この作品に関しては、「俺の知っている80年代と、ちょっと違うぞ」などとつっこんだ時点で、負けだと思う。

僕はこれなら、お金を出してグッズを買ってもいいな。80年代リバイバルだから、というより、この作者のオトメ心が気に入ったから。
ダサくても下手でも、自分にウソをつけない人が好き。


友達が、『吉田類の酒場放浪記』の吉田類さんの行ったお店、ということで「スナック ルチル」を教えてくれた(←リンク先では「ルチルのテーマ」が流れるので、要注意)。
ママが占い師、というスナックは珍しくないが、メイド服に定食、モーニング……と、何をやりたいのか分からない。かなりの「意思疎通不可能性」を感じるお店。友達は「同人誌用に、取材に行ったら?」と言うが、さすがに怖い。
ママは「ZガンダムのDVDを全巻持っている」そうだし、取材してもいい。でも怖い。


『マイマイ新子と千年の魔法』の特報が、UPされていた→こちら 
本上まなみが声優で出演するが、磯村一路監督作『群青色の夜の羽毛布』。これは本上が主演のうえ、『好きだ、』の野波麻帆も出ている。
ちょっと古い作品なので、TSUTAYAにあるかなあ……。『マイマイ新子』は、非常に楽しみ。

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2009年8月17日 (月)

■アヤナミより多く「ありがとう」と言えた一日■

日曜日はコミケ。とりあえず三冊目が出せるぐらいは売れたそうで、お買い上げくださった皆様、ありがとうございました。
090816_08530001
売り場には、色々な方に訪れていただいたが、僕はブースの外でお客さんの相手をしなくてはならないので、十分にお話できず、ずいぶんな失礼をしてしまった。
初対面では、『モスピーダ』好きでもないのに長年愛読しているYacologさんに、お会いできた。驚いたのは、宮武一貴さんが声をかけて下さったこと。『ガブリエル』イベントで最前列に座っていたという、時祭組の組長の顔を覚えていたようだ。僕らみたいな無名の若造に、おおらかに話しかけてくれる宮武さんは、器がでかい。

以前、Vシネマの撮影現場で、毎日、タレントの方たちを送迎していたことを思い出した。緊張する余裕もなく、ずっと話しつづけなければならない。『エヴァ破』以降、どこか不安定な精神状態だったが、コミケ最終日で、なぜかストンと落ち着くことが出来た。
ああ……分かった。綾波より多く、一日に何十回も「ありがとうございます」と言ったせいだな(笑)。キモイと思うかも知れないが、マジにそう思う。
そんなキモい廣田の個人誌も、ニギニギと制作中です。


『化物語』の、戦場ヶ原の部屋は、大島渚の『絞死刑』じゃないかと思っていたのだが、見当はずれかな。しかし、実写でやったら噴飯物の演出を、アニメで成功させているのは上手い。逆を言うと、実写に置き換えても、容易に成立するような演出を、避けている。
Sgmdx06bakemonogatari7例えば、芝居の流れとは関係なく、八九寺の表情がインサートされる。いわばそれは、彼女の内面の表情だ。実写では、内面の変化を俳優の演技で見せるんだが、アニメではそこまで表現できない、というのが『化物語』の見解なのだろう。

活字のインサートについては、あの文字が「どこに在るのか」ってことだよね。『エヴァ』で「松代第2実験場」とかスーパーが出たら、その文字は間違いなく「物語の内部」にある。逆に、『化物語』の文字って、物語すべてを包含している気がする。活字で語り足りない部分を、映像で表現している。だから、「赤齣」や「黒齣」は、句読点だったり、改行だったりするんだろうな。
(「黒齣」=「クロコマ」は、文字通り、フィルムの中の「黒いコマ」のこと。本来は真っ黒な絵になるはずだが、このアニメでは演出指示をそのまま文字化しているわけだ)

今回は「時間経過」ってコマもあったか(笑)。普通、風景や何かをポンと入れるところだけど、文字で事足りるなら、絵にする必要ないってことだろう。


来週は取材ウイークとなりそうで、ひさびさに女優さんにインタビューできるので、楽しみ。グレイス・パークの時は、通訳を介してたけど、今回は日本語だしね。

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2009年8月15日 (土)

■8月のメモ「前日」■

いよいよ、コミケ(最終日の)前日となりました。
『フェスティバルタイムズ』は、「西地区/ほ‐24a」の【時祭組】にて、販売します。値段を書き忘れてましたが、一冊1,000円です。あと、『航宙ファン』も売ります。こちらは、500円。


昨夜は、都内某所で、不思議な縁で出会った方々と飲み。
090814_17370001一人では逆立ちしても出てこないような豪快なアイデアが、当たり前のように出てくる。ただ、商業本でやるには、切り出すタイミングが難しい。
「猫と女は、呼ぶと来ない。呼ばない時こそ、やって来る」と言うが、これは仕事でも同じことだ。うるさく売り込むと、相手は引く。あきらめた頃、向こうから声をかけてくれたりする。それは駆け引きや戦略とは別で、企画にも運命がある、ということじゃないだろうか。


仲里依紗は、ファンからは普通に「子豚ちゃん」とか、「子豚の貯金箱」とか呼ばれて、親しまれてるんだね。なんだか、ホッとした。
『アイランドタイムズ』の予告編を見てみるといい。少年と並んで座ってるシーン。やっぱり、仲の方が肩幅が30パーセントぐらい広い。ちょっと、ギョッとしてしまうぐらい、広い。そういうところを発見するのも、女優を見ていく楽しみだと思う。


「伏線をしっかり、回収している」というのは、映画の評価ポイントになるんだろうか。どちらかというと、僕は映画という様式を使いながら、既存の価値観を破壊してくれることを期待している。なので、「映画の様式」がいかに完成されているかなんて、どうでもいい。
『サマーウォーズ』の感想を読んでいて、思ったこと。


『犬と私の10の約束』は、適度にぶっ壊れた映画だった。ひとつのことしか考えられないとImage_1いうか、ある事件が起きると、進行中だった事件は忘れ去られてしまう。あらゆる難題が、容易に克服されていく脚本なので、最初から何もなかったと言えば、何もない。犬が出ているんだから、とにかく犬を見ろ。そういうことなら、かなり突き抜けた映画だ。

「俺、なんで、こんな映画を見たのかな?」と首をひねったのだが、藤井美菜が出てるからだ。ほとんど通行人に近い役だったから、気がつくのに時間がかかった。藤井美菜を説明する時、「長髪大怪獣ゲハラに出てた人だよ」と言わなくてはならないのが、ちょっと寂しい。


モデラーのBUBBAさんのブログを、ひさびさに見てみたら、フィギュアを使ったアニメーションを作っていた。

「ぜんぶ見てられない」という人は、最後の方だけでも見て欲しい。ちょっと、まばたきする辺りね。髪だけでなく、体も動いてる。このエロチシズムは凄い。ダーガー的なものを感じる。実際には、二人がかりの突貫作業でつくったそうだけど、淫靡だ。作業中、どんな会話が交わされていたのか、ちょっと気になったりする。

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2009年8月12日 (水)

■夏コミ、田畑、カネゴン■

夏コミで売られる、『メガゾーン23』Evolving Magazine『フェスティバルタイムズ Vol.1』、最後の宣伝です。
12377今回は、きみづか葵さんの表紙。実は中にも、きみづかさん描き下ろしイラストがあります。
R-AREAによる、『メガゾーン23』のPART1とPART2をブリッジする連載コミック、『メガゾーン23』リアル世界年表、オリジナルTシャツのメイキング記事、4コマ漫画、『ロボテック』関連の情報、今回もプロアマ混在、石黒昇監督も、チラリと顔見せしています。
何よりイイのは、皆さん、かなり毒舌というか、商品や現状に対する不満を、隠さずに書いているところ。この自由奔放さが、同人誌の強み。

僕は、短編小説を書いたのですが、タイトル・ロゴを、台湾人の知らないグラフィッカがつくってくれた(笑)。こ668038305_240れは本当に、思いがけない関わりで、その間を取り持ってくれた台湾在住の子が、表紙用のポエムを英語で書いてくれたり……と、なぜか太平洋をまたいだりもした本です。
(←内容一部抜粋)

●8月16日東京ビッグサイトコミッケマーケット76 3日目、西館「西地区/ほ‐24a」  サークル名【時祭組】にて。
前号(Vol.0)も再販します。


田畑智子の数少ない出演作なので、『黄色い涙』を借りて見た。
Kasshiiしょっぱなから、香椎由宇が出てくるので、かなりお得感あり。でも、香椎という女優は「規格外」の役をやらせた方が、いい。この映画では、料理屋の娘なんだよ。庶民は似合わない。
「規格外」な役は、高橋真唯がやっている。軍人の家に生まれて、インテリなのに、頭がおかしくなっちゃった女の人の役。
この二人に加えて、田畑智子が出てくるんだから、どんな散漫な脚本でも、もう気にならないよね。田畑は、過去に主人公と一緒に漫画のアシスタントをしていて、元恋人……というか、最初のセックスの相手。いい役だ。しかも、現在は人妻。うーん、いい役だ。
どっかやっぱり、「残念感」を背負った役どころが似合うのが、田畑智子という女優。


もう一本、田畑智子が二番目に名前を連ねている『ブタがいた教室』。
原田美枝子の演じる校長先生は、素晴らしくキュートな見せ場があるんだが、若い教師役の田畑智子は、まあとにかく出ない出ない。出たと思ったら、セリフは一言。何かその、遠慮したような役どころが、また田畑智子らしいんだよね。
9ad64ca2b9e7036a6313f2018c6b1742あと、『コドモのコドモ』で主役を張った甘利はるなが、転校生役で出ていた。
クリスマスの日、男の子とちょっといい雰囲気になるシーンがあって、はにかんだ笑顔が、どこか本音を隠しているようで、なかなか良い。子役たちはアドリブで演技しているため、そのシーンも、地が出ちゃったのかも知れないけどね。
甘利の目標とする女優は、「谷村美月」だそうですが、うーん……考え直した方がいいね(笑)。


凄腕モデラーの平田英明さんが、僕が原型を製作したカネゴンのソフビキットを組み立てて、色も塗ってくれた。やっぱり、平田さんほどの人が見ると欠点丸分かりだろうし、恥ずかしい。ちなみに、説明図は、「プラモのモ子ちゃん」の藤田幸久さんで、ちゃんと「原型/広田恵介」と手描きしてくれてる……なんか、夢みたいだ。

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2009年8月 9日 (日)

■サマーウォーズは、谷村美月の映画■

18時30分、新宿バルト9着。上映開始まで、45分。しかし、オンライン予約しておいたチケットが受け取れない。受付で聞いたら、「一時間前にお越しいただかないと、キャンセルされます」だって。一時間も前だったら、普通に並んでチケット買うって(笑)。
しかもだよ、予約番号の表示された画面をプリントアウトさせて、「ここに、あなたのパスワードを書いて、映画館までお持ちください」だって。パスワードの意味、ないんじゃないの(笑)。この「KINEZO」ってシステム、『サマーウォーズ』とコラボしてるんだけど、大丈夫なのかね。

『サマーウォーズ』は、谷村美月の声が聞こえた瞬間、なぜか涙が出てきた。「えっ、俺って、ここまで谷村美月が好きだったの?」と、自分で自分に驚いた。
Summerwars_top_2ちょっと、『神様のパズル』に近い役だったね。そもそも、谷村美月って「これぞ谷村向き」って役が、ない人なんだけどね。むしろ、「こんな役、誰がやんの?」って役を押しつけると、ビシッとハマる。
『コドモのコドモ』で、主人公のお姉さん役をやってるんだけど、制服姿でダンスの練習なんかしてる、普通の女子高生。似合わない。そんな、誰でも出来る役、やっちゃだめ。あなたは、「映画の無理」を成立させるためにいるのだから。
今回、谷村の演じたキャラは、アバターのデザインもカッコよかったし、大満足。あんなカッコいいのに、壁に叩きつけられた時、一瞬、「きゃっ」って女の子ボイスになってる。最高だよね。

仲里依紗のメタボおばさん役は、僕の「仲里依紗=子ブタ説」にとっては大きな一歩なんだけど、ちょっと似合いすぎ。仲にとっては、楽勝キャラだったんじゃないかな。あ、『ストリートファイター』のDVD出てるんだよな。仲が春麗の吹き替えなんだよな。

ゲーム会社にいた頃、『ぼくらのウォーゲーム!』を自主上映して、みんなで勉強会をやったことがあった。あれはバディ物で、一人が熱くなったり、アタフタする役。もう一人が、何がどうなってるのか推理・説明する役。後者はゲームマスターであって、「こうすれば、勝てる」と断言しちゃえば、物語はそっちに走らざるを得ない。そいつが「もうダメだ」ってギブアップしたら、観客は困るわけだ。
あ、『サマーウォーズ』の話か(笑)。谷村美月が好きなら、見る義務がある映画だね。


先日の「アニメの作画は、いつから厳しい目で見られるようになったのか」について、友達がメールを寄こした。貼り付けてあったリンクを見たら、ヤシガニだった。だから、キャベツとヤシガニ抜きで語ろうねって言ったろ(笑)。


『サマーウォーズ』を一緒に行った友達が、ちょっと面白いものを持ってきてくれた。
090808_17200001何だと思いますか、これ? 放送当時、発売されていた『ザブングル』のケシゴム(消せないけど)。エナメル・シンナーに浸して、カチカチにしたもの。大きさは3センチちょっと。
色なんか着いてないから、その彼が塗装したんだけど、ちゃんとネジ目になってるのがスゴイ。

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2009年8月 7日 (金)

■ゲームの中のアニメ■

劇場版『空の境界』第七章 パンフレット
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いつものように、メイキングページを担当しました。
07年末に第一章が公開だから、僕自身は2年半ぐらいのお付き合い。
公開前日の本日、関係者試写でした。割と、僕は「お仕事」的スタンスで付き合ってきたつもりでしたが、ラストは本気で泣けました。原作と同じなんだけど、この幸福感は、映像じゃないと出ないと絶対に思う。
今までの血みどろの七本は、このラスト10分のためにあったのか……と。

でも、この七本の映画を並べても、『空』の局所的ヒットの理由は、絶対に分からない。「原作が同人(ウェブ)小説として発表された」ことを考えると、根なし草のようにバラバラに浮遊していた作家とファンたちが、ウェブなりコミケなり、非商業的な現場で出会ったことは重要。でも、出会った彼らが「ぜひ、アニメ化を!」と糾合したわけではない。『空』のアニメに満足した彼らが、また似たようなアニメを求めるわけでもない。そこが、今までのヒットと決定的に違う。
この現象を、(僕も含めた)部外者は、まだ誰も解明してないんじゃないかって気がする。


『空』を見て、今から友達と『サマーウォーズ』。


上記二作品とは直接の関係はないけど、今の若い人たちって、いつ頃から作画にうるさくなったんだろうか。
92年ごろ、まだモデラーだった僕は、ある作家の方とアニメーション企画の持ち込みをくり返していた。その時、メーカーさんの紹介で、以前はアニメ会社で監督までこなしていた編集者の事務所へ、企画書を持って訪れたのだった。
その方が、「今のアニメって、動かなくても文句が出ないんですよ。スーパーファミコンの格闘ゲームに慣れてるから、あの程度の動きで、みんな満足しちゃうんでしょうね」と仰っていたのを思い出したわけだ。その時は「なるほど」と納得したんだけど、92年ごろのアニメってどうだったかな。そんなに動いてなかっただろうか。

あの頃、ゲームで遊んでいた子供たちが、今のアニメファンの中核じゃないかと思うんだけど……だとしたら、今のテレビアニメがOVA並に(この比喩も一考の余地あり)進化した過程を、ずーっと見てきたはずでしょう。95年に、『エヴァ』がソフト・メーカー主導でつくられて以降、映像そのものを売っていくため、天井知らずにアニメのクオリティは上がっていった……と、僕は思い込んでいた。
でも、コスト・パフォーマンスを重視した『エヴァ』は、むしろ作画枚数を抑えたアニメだったはずで、じゃあ、今のように、ファンが作画にナーバスになった理由、キッカケは何なんだろうか。

すごく、安易な仮説。94年にセガサターン、プレイステーションを筆頭とする次世代機が発売されたこと。絶対に絵の崩れないポリゴンキャラの出現と、ハイエンドな作画のオープニB00005uoig_09_lzzzzzzz ング・ムービーの定番化。……ま、ハイエンドとは程遠いのもあったけど、近藤和久氏がすべての原画を手がけた『玉繭物語』なんて、オープニングのために買ったぐらいだからね。
あと、『ファイナルファンタジーVII』が3DCGになって、業界騒然となったでしょ。あれは「日本の映像すべてをレベルアップさせた」といっても、過言ではない。だから、97~98年あたりの「ゲームの中のアニメ」が、テレビアニメのハードルを高くしちゃったんじゃない? でもまだ、97年あたりだと、セルを使っていた時代だし、ぬるい作画でも許すような、牧歌的ムードが漂っていた。
工程のデジタル化は大きいと思うけど、受け手の意識は、いつ頃から厳しくなっていったんだろう。キャベツ(06年)とか言わないでね。 

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2009年8月 6日 (木)

■8月のメモ「子ブタ化」■

「GALACTICAサーガ補完計画」なる、なんか10年前の『エヴァ』を意識したようなデザインのプレスリリースが送られてきた。よく見ると「庵野秀明、ギャラクティカ緊急乗艦」「樋口真嗣、ペガサス再出撃」などと書かれている。
Sgmdx06razor_68月27日に新宿バルト9で行なわれる『ギャラクティカ』トークイベントに、なんと今回は、庵野秀明が出演するのだ。いま、熱心に『ギャラクティカ』を見ているらしいのだが、ファンの前に姿を現すのは、どれくらいぶり? イベント詳細はこちら
上映作品『RAZOR/ペガサスの黙示録』は、シーズン2中盤、ペガサス艦が登場したあたりのエピソード。イベントに参加される方は、『ギャラクティカ』シーズン2の10話~12話を、レンタルで見ておくことを推奨します。

獲れる賞は獲りつくしただろう、と思っていた『ギャラクティカ』だが、今度は「テレビ批評家協会賞・最優秀テレビ番組賞」を受賞。記事はこちら。そうか、アメリカでは完結したんだよなあ。


仲里依紗の名前が三番目に出ていたので、『ガチ☆ボーイ』を見てみた。記憶障害でありNakaながら、学生プロレスに挑む主人公の妹役。これ、怪作『ちーちゃんは悠久の向こう』と同じ2008年の映画なのか。急速に、仲の子ブタ化が進行していった時期だな。だって、同年の『純喫茶磯辺』は、完全に子ブタ・キャラを生かした、ぶちゃむくれ女子高生だったからね。
(←『ちーちゃんは悠久の向こう』の取材に応える仲。僕が「子ブタ」と呼びたくなる気持ちも、分かるでしょ?)

確実に「小柄で可愛い」と言えるのは、『渋谷区円山町』のイジメられっ子役のみ。しかし、あれは原裕美子という長身のモデルと、常に並んでいたから、小柄に見えただけだろう。でも、あの頃は、子ブタではなかったんだよ。

『ガチ☆ボーイ』で何より衝撃的なのは、主人公の惹かれている女子大生(サエコ)と、仲が、並んで座るシーンだ。仲の方が、確実にでかい。二回りほど、巨体なのである。
090806_00180001いや、待ってくれと。実年齢もサエコの方が上なのに、もうスケール感が違うんだ。「妹、でかすぎる」と誰もが驚いてしまうはず。
多分、スウェーデン人の血の混じっている仲は、骨格が違うんだろうと思う。横顔を見ても、エイリアン並に前後に長いものな。
つまり、仲里依紗の子ブタ化は、生物として完成されつつある、ということなのだろう。『渋谷区円山町』の頃の仲は、幼生ですから(妖精じゃないよ)。「あれは、別の生き物だったんだ」と納得して、俺は子ブタな仲を愛しています。
(時間たってから読み返してみたら、茶化してるようにしか読めないな。好きであれば好きなほど、こういう文章になっちゃう……仲を好きでなかったら、『ガチ☆ボーイ』なんて絶対に見ないよ!)


同人誌版『550 miles to the Future』のチラシ、320枚が届く。早い。

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2009年8月 4日 (火)

■8月のメモ「盗む」■

ツラツラ思った事をメモしておきますと、NHK-BS2の「ガンダム宇宙世紀大全」で放映された『ガンダム0083 ジオンの残光』、これ、十年ぶりぐらいに見たけど、意外や良かった。熱かった。
090803_22190001話は相変わらず中二ガンダムなんだけど、もう、作り手の「俺たちのガンダムを手に入れて、ここで終わらせる」覚悟が、画面からほとばしり出てる。新解釈のコロニー落としもやって、ソーラ・システムも付けてやらあ! それで富野ガンダムに無理やり繋げて、しかも「全記録抹消」で無かったことにするんだから、これぐらいやらせてくれよ!みたいな。ラストの、ガトーとコウのくどいくどいくどい、く・ど・い戦いなんて、男子一生の「悔いの残らない仕事」そのものですよ。
あの戦闘シーンを見て、何も思わなかったら、どうかしてます。
ガトーが残存した兵士に、「一人でも多く生きのびて、この戦いを後世に」ってムチャクチャを言うけど、分かる! あれは「このアニメを終わらせたくない」「忘れて欲しくない」というスタッフの叫びだ!
総メカ作監の佐野浩敏氏は、この時、30歳になるかならないかぐらい。いい仕事、残したよなあ。

キャラでは、シーマに利用されたデラーズの泣き顔ね。瞳が潤んでるだけで、涙を流してはいないんだけど……なんて純粋な心を持ったハゲなんだ、と。あの表情を見ただけで、今までの、どこか幼稚っぽい言動は、すべて許せる! みんな大人になったんだから、中二ガンダムを許容する心意気を持とうぜ!(←茶化しているようですが、けっこうマジで泣けました)


しつこく、『化物語』第5話のカット繋ぎ。カット割り、と言った方が適切なのか、そうでないのか。

実際の画面を使って説明できないのが歯がゆいんだけど、Bパート。戦場ヶ原が長ゼリフを言う。カットが四つに分かれている。バストショットに近い正面顔、目元のアップ(動画あり)、唇のアップ(これはバンク)、閉じた目元のアップ(止め)。この4カット、セリフは継続しているのに、ぜんぜん繋がってない。同じキャラの顔なのに。
もうひとつ、ラスト近くで、戦場ヶ原と阿良々木のやりとり。単純な切り返しなんだけど、戦場ヶ原だけ、刻々とポーズが違っている。ワンカット、足元の重心移動が入るものの、「この短時間に、こうまでポーズ変わるかな?」と、ちょっと引っかかる。
これらを実写でやったら、「編集に失敗した自主映画」ですよ(笑)。普通、1分の会話シーンを、カットを割って撮るんなら、1分以上はカメラを回す。それを編集で上手く繋いで、架空の「1分」をつくるわけだ。ロングの絵とアップの絵が繋がらなかったら、その「1分」は崩壊してしまう。トータルで「1分」になっていても、それはもはや、お芝居を見せるための「1分」ではなくなっている。何か別の意味を持った「1分」なのだ。

つまり、各カットが「時間に奉仕してない」んですよ。解き放たれた絵の集まりでしかない。時間という縦方向を無視して、空間的に散らばっていく。『化物語』が観念的・抽象的に見えるのは、色や背景の効果ばかりでなく、ひたすら時間を拡散させていく、編集のせいなんじゃないかと思う。30分が、30分ではなくなっていくんですよ。
だから、見終わったとき、すげえ疲れるんだけど(笑)、でも、僕らの知らない何かが、目の前で生成されていく――それが、『化物語』の快感かなあ。友達は「泣かせるストーリーだ」って言うんだけど、僕は泣きはしないな。それは、人それぞれ。

実写の世界で、今でもそう言っているかは分からないけど、「盗む」という符丁がある。
例えば、1.5メートル離れて話していた男女を、別アングルから撮るとき、二人の距離が近すぎたりすると、「もう、50センチ離れてくれる?」と指示して、2メートル離して、芝居を継続させる。これを「盗んで撮る」という。
ようするに、空間に対してウソをつくわけだ。その「盗む」に近いことを、『化物語』は編集の段階でやっている。


同人誌版『550 miles to the Future』、フライヤーの紙を選んで、印刷発注。
090803_23250001安く上げるため、余った紙を使わせてもらうんだけど、「絶対に、ベージュがいい。白はイメージじゃない」と意地を張ったら、「だったら、いい紙があります」と、奥からイメージどおりの上質紙を出してきてくれた。でかいんだけど、2枚ずつ刷って、半分に切ってくれるという。
本誌の方は……はっきり「NO」と言ってくれれば、ちゃんと別ルートへ舵きりできるのに、態度を留保する人が多くて、ちょっと困っちゃう。

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2009年8月 2日 (日)

■実写の『ガンダム』があるとしたら、監督は貴方だ!■

ちょっと前に、『化物語』の作り方は、意外に古典的なんじゃないかと書いた。
先週の放映では、カットナンバーを画面に入れてきた。それは、絵コンテの存在を意識させることだし、この作品が「作り物」であることを、視聴者に再確認させることにもなる。普通、カメラの前で起きたことを「事実」と錯覚させるよう、映画はつくられる。テレビアニメも、基本的には同じはず。カットを重ねて、その連なったカットが「芝居」「シーン」として、認識される。
090801_19310001その約束事を、『化物語』は避けているんじゃないだろうか。カットを重ねるごとに、「シーン」を解体しているかのように見えてきた。少なくとも、芝居がカットをまたぐことは、このアニメでは、ほとんどない。つまり、カットの独立性が高い。カットひとつが、過剰に意味を持たされている。
たまに「黒齣」「赤齣」が挿入されるが、これらはカットとカットを分断させる役割を持っている。それに早く気がつくべきだった。
何だか、『化物語』は、「アニメ」というピースを使って、別の何かを組み立てているように、僕には見えてきた。実に、エキサイティングだ。


去年の大ヒット映画を今ごろDVDで見るのって、ちょっと恥ずかしい。でも、書く。
矢口史靖って、あんまり好きじゃなかったんだが、『ハッピーフライト』って、何だこのメカフェチ映画(笑)。航空機って、たった一機で飛んでるんじゃなくて、人と物を組み合わせた巨大なシステムなんだな。考えてみれば、自動車だって、ガソリンスタンドや道路を含めた広域な「移動システム」だよね。やっぱり、お台場ガンダムには、カタパルトや整備士が必要だったんじゃないの?
つまり、空気や天候をもシステムとして取り込んだ、巨大な移送メカニックが航空機である。それに気がついた矢口史靖、実写の『ガンダム』があるとしたら、監督は貴方だ!

しかし、『エヴァ破』以来、変なスイッチが入ってしまい、綾瀬はるかが機内でケーキを焼いて、汚名返上するシーンで、泣いてしまった。食事シーンを大事にする映画は、無条件に肯定してしまう。
Hf_004女優的には、やはり田畑智子が最高でしょう。あのヒラメ顔。フラれたと思ったら、実は……というオチが、「ちょっとしたご褒美」って感じで、良かったね。あと、地上勤務という地味さ加減が、田畑智子という女優にピッタリ。女優という花にも、いろいろな咲きどころがあるってことだ。

とにかくね。「旅客機を飛ばす」という技術、思想、職業に対する敬意が、すみずみまで行き渡った映画だ。人類って偉大だなー、と素直に思える。こんな盲目的に、文明礼賛でいいのかなって思うけど、そのヤバさも魅力なんだよなあ。


年末に出すつもりの同人誌、フライヤーをつくってもらってます。
090801_21340001 「責任編集」という言葉だけは避けたかったのですが、デザイナー氏が入れてしまったので、「お前、逃げんなよ」的な戒めとして、残すことにしました。
あと、誌名はこのブログと同じタイトルです。なんか、新たに考えてハズしたら嫌だな、と思って。

このフライヤーは、コミケ最終日、【時祭組】のブースで配ります。

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