« ■「俺が誰であれ、俺の望む男は、それだ」■ | トップページ | ■お台場ガンダム、ジオラマ感覚■ »

2009年7月20日 (月)

■『化物語』は、映画史と交差している■

『メガゾーン23』への愛に貫かれた同人誌、『フェスティバルタイムズ Vol.1』の情報を、もうちょっと。
1228343276_25左は、R-AREAによるマンガ『メガゾーン23 SECRET GAMES』の、予告カット(本編のコマを繋ぎ合わせたもの)。結構、ガーランドが出てくる模様。あと、ロゴがカッコいいですね。原作のイメージ残しながら、新しくしようとしている。

今回の本は、きみづか葵さんによる表紙、原健一郎さんによる裏表紙(80年代を意識させるハードジョークになってます)のみカラーで、中身はモノクロ。その代わり、ページは増えています。
12377参加メンバーを列挙します。R-AREA、魚谷 潤、Adrian Lozano、きみづか 葵、ギムレット、佐伯 ゆずる、正太、トーマス107、Tomson、中村 征太郎、ナンディ小菅、原 健一郎、廣田 恵介、ぷぅ、めがってぃ、Yacolog(敬称略)。
今回はスタッフ・インタビューがない代わりに、資料性のあるページが用意してあるとのこと。8月16日、東京ビッグサイト・コミックマーケット76の3日目、西館「西地区/ほ‐24a」にて、販売。サークル名は【時祭組】。

周囲の人に勘違いされるのですが、僕が個人でつくっている同人誌は、また別です。
そっちを少しずつ作っていても感じるんですが、やっぱり、他人と話した方がいいですね。未完成のテキストでも、とりあえず読んでもらうと、すごく大きなヒントをもらえます。


『化物語』、第3話。これは一体、何が起きているのだろう。
前話まで、蟹にとりつかれていたヒロインが、主人公の横に座る。「蟹」という漢字がインサートされ、右上の「刀」だけが消える。主人公は、ヒロインの胸を見る。「刀」という部分を失った「蟹」の字は「触」に変化している――まるで、エイゼンシュテイン。
090719_10090001
古い/新しいで言うと、『化物語』は、意外に古典的な演出をやっているような気がしてきた。カットを重ねて意味を持たせる、という基本に立ち返っている。先にあげた漢字の分解など、主人公の心理を効率的に伝えるため、「仕方なく」やっているんじゃないだろうか。だから、やけにビビッドというか、鮮烈に伝わってくる。
ヒロインの胸元を見て、ポッと主人公が赤くなって「さ、触りたい」なんてモノローグ言わせても、そんなもんは演出じゃない、と『化物語』は言っているように思う。そんな演出は、マンガからの借り物だ。

ブレッソンが、演劇が映画に侵入したことを嫌ったように、尾石達也は、マンガの技法がアニメ演出に根を下ろしている現状を、けっこう警戒しているんじゃないだろうか。『化物語』の原作は、絵に頼ったライトノベルではないので、陳腐化した演出法をリセットするのに、格好の題材だろう。


時間がないので、短い映画を見たいと思い、オムニバス『TOKYO!』を借りてきた。
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノという豪華な監督陣。カラックス、まだ映画を撮ってたのか。『ポンヌフの恋人』を楽しみに待っていた頃が懐かしい。やっぱり、この人はジュリエット・ビノシュがいないと、ダメだねえ。作家って、そういうもんだと思う。

ミシェル・ゴンドリーの作品は、相変わらず、軟弱な恋愛ヘッポコ映画で、藤谷文子も加Tokyomain2_jpg_rgb瀬亮もグダグダしっぱなしで、可愛くてしょうがない。加瀬亮のグダグダ度は、他の映画に比べてもダントツ。藤谷文子、いい顔になったよなあ。後半でばっさり脱いでますけど、なかなか良いおハダカしてらっしゃる。
ポン・ジュノは、『ほえる犬は嚙まない』『殺人の追憶』『グエムル』、すべて面白かったが、今回は、蒼井優という素材を手に入れた割には、ちょっとなー。やっぱり、この人の映画には、ペ・ドゥナが出てないとアカン……と、勝手な法則を立ててみる。

ゴンドリーは今回、藤谷文子にベタ惚れだったそうで、監督と女優って、そうじゃなきゃいかんよな。だって、ジュリエット・ビノシュと恋愛関係だった頃のカラックスの映画は、生き生きしてたものな。


TSUTAYAが百本の作品を百円でレンタル、というキャンペーンをやっている。Tポイント欲しさに、ある作品のレビュー書いちゃいました。もし見つけても、見なかったフリをしてください。


本日のティンカー・ベル。
090616_14470001アパレルとか、寝具とかに手を出したら、もう泥沼だと思うんだけど、これはポーズと表情がいいので、つい、うっかり買ってしまったTシャツ。
Tシャツも、いいヤツはメチャクチャいいんだよね。

|

« ■「俺が誰であれ、俺の望む男は、それだ」■ | トップページ | ■お台場ガンダム、ジオラマ感覚■ »

コメント

ご無沙汰しております。
廣田さんの文章を読み、化物語を見て、大興奮し書いています。
うわー、エイゼンシュテイン。なるほどです!

映画史と交錯していますよ。巨匠たちの肩の上にたっている。文化を感じますもん。
技術や創意工夫を感じる映画やドラマ、アニメにはたびたび出会いますが、文化を感じるアニメには滅多に出会えない!
と、今日、初めて喋った人にいきなり力説してしまいました。

投稿: ユキサダ | 2009年8月 1日 (土) 00時19分

■ユキサダ様
やはり、スチールでもいいから、実際にカメラを回していた人から見ると、『化物語』の居る場所が分かりますよね。あのアニメって、カットをまたいで演技させてないんです。全部、トメに近い絵で繋いでます。これは、編集経験があれば「なかなか、キツイ」と分かりますね(笑)。
実写でも、材料がないと、後から撮り足したりしますよね?

ユキサダさんのように、実際に映像をいじっている人から見てもらえれば、『化物語』の苦労も、報われますね。どんどん、力説してください(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2009年8月 1日 (土) 00時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■『化物語』は、映画史と交差している■:

« ■「俺が誰であれ、俺の望む男は、それだ」■ | トップページ | ■お台場ガンダム、ジオラマ感覚■ »