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2009年7月 2日 (木)

■同人感覚/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」第6夜■

ここのところ、取材ラッシュで、尊敬していた方に「ブログ、見てますよ」と言われて、愕然としたりする。こんな、パンツがどうだとか、欲望がどうしたとか……こんなブログ、見ないでくださいよ。もうちょっと、頭よさげなこと書きたいですよ、俺だって。
しかし、誰も記さないことは、どこかのバカが記録しておかねばならないのです。シリーズ、続行します。

さて、前回はガレージキットの複製技術によって、落書きレベルのフィギュアまで「商品」として出回りはじめたことを書いた。
090701_13120001ちょうど年号が入っているから引用すると、左のようなイラストが、模型雑誌「ホビージャパン」に寄せられるようになったのも、この頃。少なくとも、82年ごろには、「ロボットの外装を、どこの誰でもない女の子が着用する」イラストが、一ジャンルとして定着していた。

この「ロボ鎧モノ」のルーツは、ガンプラの一種として発売された「MSV」に封入されていたデカール「グフ・レディ」とされている。
グラマーな女の人が、モビルスーツの装甲を鎧のように着ている。これが人気を呼び、ガレージキットとして立体化された。「ホビージャパン」1983年10月号の「ムラタ模型」の広告を見ると、9,800円で売られている。(C)が無いから、無許諾商品だった模様090701_13280001 (ガレージキット創成期は、無許諾商品なんてザラにあった)。しかも、商品名が書いてない。「グフ・レディ」なんて書いたら、確実に版元から怒られるから。

でもね、こういうのは無許諾で、個人商店が勝手に売ってたりするから、面白いわけね。オフィッシャルになってしまうと、ガレージキット特有の「遊び心」が、そがれてしまう。
ところが、ユーザーの意識を汲み取りすぎるメーカー、バンダイは、ちゃんと版権とって、プラモデルにしてしまったんだよね……「ロボ鎧モノ」を。
090628_09160001090628_09150001それが、この「アーマード・レディ」シリーズ。ガレージキットではなく、インジェクション成形です。
左が「ガンダムMk-Ⅱレディ」、右が「マクロス バルキリーレディ」。ガンダムMk-Ⅱは『Zガンダム』のメカだから、85年以降の製品だ。巷のガレージキットのクオリティも、かなり向上していた時期。

なので、「ガレージキット感覚の新しいプラスティックモデルキットです」と、苦しい言い訳がしてある。ようは、手足の間接がバラバラなので、好きなポーズに組めますよ、と言いたいらしい。
090628_09170001090628_09200001そんなこと言っても、中身がこれじゃあ……。別パーツになっているフトモモなんて、明太子みたいな形。
そんな明太子のくせして、やたら説教くさい説明書なんだよね。「まずは単純ではあるが決まるポーズを鏡の中の自分、もしくは写真の中、アニメのひとコマ等から見つけ出すことが大事。フィギュアモデル造りは奥が深いのですぞ!」って、この底の浅いキットに、そんなことだけは絶対、言われたくないよ。なんか、腹立ってきた。

「1/12 ハイ・スクール ラムちゃん」で、パンツに飾りをモールドしたバンダイは、確実に当090628_09190001時のガレージキット・シーンに衝撃を与えた。スカート別パーツなんて、インジェクション成形でないと、出来ない(当時の技術では)。そのバンダイが、今度はガレージ・キット・ブームに便乗している。「形から入っている」「形だけ真似ている」の典型例でしょう? 
もしチャンスがあったら、ガレージキットの実物を見てごらんなさい。写真ではなく、パーツ状態のものを手で触ったほうがいい。ものすごく、形に対して貪欲なんですよ。自分のリビドーを、全解放している。そこには「恥」がある。「恥」が感じられないものは、すべてニセモノです。
そして、バンダイの、パンツ履いたラムちゃんには「恥」があったんだ。高価なベリリウム銅の金型に、職人の「恥」を刻印した。素晴らしいよね。

だけど、今回紹介したキットは「恥知らず」ってやつですよ。
どれだけ、自分の恥をさらせるか。人間の価値も、プラモデルの価値も、それで決まるような気がする。
最近の、緻密なガンプラを組んでいると、「たかがガンプラに、こんなに本気になっちゃって、まあ」と苦笑してしまう瞬間がある。そういう時、バンダイへの愛おしさを感じますけどね。「ガンプラの、ここが恥ずかしい」というノロケ話も、いずれしてみたい。


あまりに友達が熱心に勧めるので、早起きして『スター・トレック』鑑賞。現バウスシアター、旧ジャブ50にて。
090629_10320001最後にジャブ50で観たのは、イタリアン・レアリズモ特集の『無防備都市』だった。20年近く昔のことだ。
今まで、どの映画やテレビを観ても、なかなかノレなかった『スタ・トレ』。今回は、OVA版の『宇宙の戦士』同様、未来なんだけど、風俗は50'sという素敵な世界。農地の真ん中に、いきなり宇宙船の造船所がある「絵」には、ガツンとやられた。

SF設定的には、難解すぎる部分があったけど、キャラクターたちは若々しく、愚かなまでに前向き、すがすがしい。その後、夜中近くまで取材だったけど、元気でいられた。

邦画も、『プラネテス』ぐらい実写化しようよ……宇宙工学を前提にした、ちゃんとしたやつね。


この一ヶ月で、部屋がこんなになってきた。
090701_02570001ティンカー・ベルのコレクターは多いので、僕は、このジャンルではB級でかまわないんだ。

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コメント

>しかし、誰も記さないことは、どこかのバカが記録しておかねばならないのです。

誰も記録しなかった、記録に値しないと忘却された事柄にこそ、当時の切実な気分が極めてリアルに内包されてたりしますしね。

いや、本当に貴重だと思います。

投稿: べっちん | 2009年7月 3日 (金) 01時34分

■べっちん様
いつも、ありがとうございます。しかし、順調にアクセス数は下がってきております(笑)。

次回あたり、最終回だと思いますが、本当は「グフ・レディ」だけで単行本3ページ分ぐらい書けます。
メカ少女ムーブメントにしても、もうちょっと精緻に検証したいんですけどね。もともと日記ブログですから、これぐらいが限界ですね。

投稿: 廣田恵介 | 2009年7月 3日 (金) 02時43分

あとはツクダのフィギュアキット群、ミンキーモモ、サザンクロス、メカブルドッグあたりで一区切りですかね?

スタートレックは素直に面白かったです。
上映が終わって外に出たら空にロミュラン艦のドリルを幻視したくらい入り込めました。
ガメラ大怪獣空中決戦の時に東京の夜空にギャオスを見た、その時以来です。

投稿: てぃるとろん | 2009年7月 3日 (金) 11時59分

■てぃるとろん様
用意してあったネタは、それぞれ「現在のフィギュア・ムーブメントに繋がる」商品なんです。90年代にも、注目すべき商品はあったんですよ。
一応、方向性を明確にするため、「パンツ」って切り口を持ってきたんですよ。

>スタートレックは素直に面白かったです。

ノスタルジアが、上手く前向きに機能してましたよね。
SFとか何とかいうより、青春映画でしたね。

投稿: 廣田恵介 | 2009年7月 3日 (金) 19時15分

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