■「優しい人」なんて、この世にいない■
仕事の都合もあり、再び邦画を見るようにしている。『デトロイト・メタル・シティ』。この映画を加藤ローサ目当てに見た人は少ないと思う。ローサの悪口を言うなら、『シムソンズ』を見てからにして欲しい。
よく考えたら、原作の若杉公徳さん、企画の川村元気さんに取材したまま、丸一年間も放置してたんだよな……。でも、川村さんの言っていた『スパイダーマン』のようなヒーロー映画、という感覚は、よく分かった。
原作を上手に切り取って、普遍性あるテーマに仕上げたと思う。コスチュームもメイクも、金をかけるべきところはかかっている。ただ、加藤ローサがね。衣装がね、あんまり良くない。『シムソンズ』は、奇跡的にハマったんだよね。あの役は、加藤ローサ以外に出来ない。役って、めぐり合わせだなと思う。
映画でうまく行かなかったら、別に無理して出ることはない。まだまだ、引き返せるよ。
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『バトルスター・ギャラクティカ』シーズン3、第13話『選ばれし者』(なんとも、仰々しい邦題だ)。このドラマには、今までさんざん泣かされてきた。それは主に男っぽい地味なエピソードについてだったが、今回は、温厚なロズリン大統領(メアリー・マクドネル)が激昂するシーンに圧倒され、涙が出てきた。人類を裏切ったバルター博士に向かって、穏健なはずの大統領が裏声で怒鳴り、感情むき出しで戦没者の写真を叩きつけ、罪人を廊下に引きずり回す(廊下には、大虐殺で死んだ人たちの写真がギッシリと貼られている)。
ようするに、「優しい人」なんて、この世にいないんだ。激しい憎しみや、理不尽なまでの怒りを持った人が、他人と接する局面で優しさを見せるから「優しい人」という印象が生じる。普段は、憎しみや怒りを自分の胸の奥に、そっと隠している……少なくとも、僕はそんな孤独な人を「優しい人」と呼びたい。そう信じたい。
バルター博士の尋問に「臨死体験を与える幻覚剤」が使われたけど、あれはLSD(精神展開薬)だろうな。さっきの「優しい人」の話と同じで、生まれながらに悪質な薬なんてのは、ない。すべて、本人との「関係」次第なんだ。悪しき関係を結べば、毒になる。いい関係を結べば、救われる。人間関係とまったく同じことだ。
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最近、ハマりつつあるのが『吉田類の酒場放浪記』。タイトルそのまま、あちこちの酒場を巡り歩くだけの番組(BS-TBSの中で、一番制作費が安いという)。いつも鯨飲してしまう僕は、こういう穏やかな酔い方を見ると、癒される。公式サイトの書き込みが、やけにアツいところもグー。
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