■LOOK! ここは火星だぜっ♪■
「フィギュア王」 No.135 本日発売
●飯島真理 ロング・インタビュー Vol.1
短期集中連載です。何年ぶりかでお会いした飯島真理さんに、ぐっと濃いインタビューを行いました。これは、それなりに人生密度がないと出来ない仕事だし、途中で事務所が意味不明の直しを入れることもなく、ご本人ともしっかり話し合って、納得のいく記事になりました。
こういう幸福な仕事には、そう何度もめぐり合えるものではありません。しかも、次号以降に続きます。
しかし、今月の表紙はすごいな……完全にオヤジ向け仕様ではありませんか。
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『バトルスター・ギャラクティカ』シーズン3、第8話『英雄の証』。
深い。40代前半なんて、まだまだ子供なんだと思い知らされた。自分の来し方について、振り返らずにおれない重厚なエピソード。アダマ艦長の過失を通じて、自らも復帰に向かうタイ大佐、という図式にも説得力があった。人生は長い。それなりに失敗も経験し、周囲の評価とのギャップを憂える年頃のオッサンなら、ぐっと心に染み入るエピソードのはずだ。僕はまだ、若造だな。
(バトルスター艦“ヴァルキリー”の登場は、オタク的には嬉しいところ)
あっちこっちへ話がとっちらかっていたシーズン1に比べ、シーズン3は一本の幹が通っている。シーズン1は制作当初、テレビ局と意見の差もあり、色んな方向性を探っていたんだそうです。日本テレビでの「シーズン1の放映」は来週で終わりですが、待ちきれない人はネット配信かレンタルでシーズン2へ!
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10年前、狂ったようにハマっていた『電脳戦機バーチャロン オラトリオタングラム』がXbox360で配信直前だそうで……。ひさびさに『バーチャロン』公式サイトをのぞいて見たら、女性型メカ“フェイ・イェン”のグラビアポエムばりの「機体解説」が、まだ残っていた。以下、コピペ。
エゴイストはビバ・マーズ!
荒れ狂う火星の大地をまたにかけて
出ました、伝説のビビッド・ガール!!
イー味出まくってる色使い!
トータルテイストでフル装備、
やたらカッコつけちゃうよ!
いつでもスポットライト浴びてたいから
ハンパなしの存在感を身につけたいの!
真の女の子らしさを見せつけちゃうから
LOOK! ここは火星だぜっ♪
もっと読みたい、という方はこちらへ。いいですか、これ、「メカの機体解説」なんですよ? 「シックに決めず、ファンシーに行くのがギャル流です!」なんて(リンク先参照)、ガキ向けファッション誌でも言わねーよ!
僕もいまだに『ガンダム』関連の仕事で「モビルスーツの機体解説」を書くことはあるけど、この『バーチャロン』ポエムは、そうした「架空の兵器体系をテキスト化して楽しむパロディ文化」の、さらに逆説的なパロディだったんだよね。個々の言葉はダサくても、ダサさも臨界を越えるとカッコいいと思える……思えるんだよ、グラビアポエムを書く仕事をしてると!
あとは、ちょっと前に話題になったスーパードルフィーのイメージ・ポエム。「駆け抜けてみるか今夜!」の名フレーズで話題になった、ドール・シリーズ。こっちも、「恥の上塗り」的相乗効果で、シラフでは到達できないテキスト遊びになっているのが、実にうらやましい。
もうひとつ、95~97年ごろの「モデルグラフィックス」誌で、『エヴァ』の作例になると自作ポエムが添えられてたよね? 俺は決して忘れてませんよ、編集さん。
オタク領域に属するポエムって、さっきの『バーチャロン』でもスーパードルフィーでも、最も遠くに存在しているオシャレ文化圏に、にじり寄っていく「悪あがき」だと思う。ルサンチマンを持った文化には、仮想敵に「勝とう」とする意志があるのだ。それは見苦しいけど、愛すべき葛藤だし、正しい道であるような気がする。
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「アニメージュオリジナル」Vol.3、藤津亮太氏による『エウレカセブン』空戦シーンの記事が白眉。「原画」「動画」「タイムシート」の関係を、ここまで機能的に理解させる記事は空前絶後だと思う。
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コメント
“フェイ・イェン”のポエム、いいですね。ドーピングでもして書いたような文章!言葉を絞り出して書いた苦労が伝わってくるようです。女の子言葉で書いているのに、最後になって「Look!ここは火星だぜ!」ですよ。シビレますね(謎
スーパードルフィーもすごいですね。「東京少年物語」なのに、これからロスに行きそうな勢い。少女マンガ誌の編集者がこれを見たら、いろんな意味でイスから転げ落ちるでしょうね。
「フィギュア王」の表紙、クリーミー・マミですよ! オヤジ狙いの、確信犯ですね。
実際は、けっこう20代前半の若い子も知っていたりするんですよ、マミ。話を聞くと再放送を見ていてで知っているとかで。
投稿: きゃてぃーなかぢま | 2009年4月24日 (金) 18時57分
■きゃてぃーなかぢま様
そうそう、まさにドーピングでもしたかのような異様な文章(笑)。そのくせ、フッと正気に戻りかけたかのような一瞬が感じられるんですよね。
スーパードルフィーの方も「どうしたんですか、一体?」と心配になるほど、正気を失っていますよね。
どちらも、かなりテンションを上げないと書けない文章だと思います。
クリィミーマミって、特集するほどオモチャ出てたのかな……まだ見本誌が届いてないので、分かりません。
投稿: 廣田恵介 | 2009年4月24日 (金) 19時30分