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2009年4月23日 (木)

■30年スパンで見よう■

アニメージュオリジナル Vol.3 明日発売
Amori_cv3
●子供文化からの再出発 ~90年代ロボットアニメの軌跡~
ロボットアニメだけで話をするのは無理があるので、『スレイヤーズ』の話をちょこっと出しました。

●3DCGロボットの現在形(『バスカッシュ!』『RIDEBACK』)
「3DCGが作画に接近している」というのが、取材を通して見えてきたテーマなんですけど、ロボットアニメ特集という枠の中で、どこまで伝わるかしら。

●神山健治の楽園はどこにあるのか
『東のエデン』関連のインタビューでは、現時点、一番面白いはず。

●河森正治の足あと 第二回
いよいよ、今回から『地球少女アルジュナ』を取り上げます。まず、放映版とDVD版の比較から入ります。


前回の話のつづき。
「何で最近のアニメって、こんなにドキドキしないの?」「30分見て、スッキリするようなアニメがないじゃん!」――例によって、業界周辺をうろつくアラフォー男が集まると、こういう話になる。いや、『けいおん!』は30分見れば、ひとつの疑問も残らないように出来てるよ(笑)? ドキドキするといえば、『東のエデン』にときめいてるよ、俺は。

思えば、『エヴァ』を初めて見た時の印象は、「うわ、オタク向けの恥ずかしいOVAが、夕方からテレビでやってる!」だった。メーカーが出資して番組をつくる、というのは、つまり9b8f18be019e8aa2OVAをテレビで流すようなものだ。だから、「こういうマニアックなアニメは、オタクだけが部屋でこっそり見るもんだろう?」と違和を感じたのは、あながち見当違いでもなかったと思う。
何でもそうだと思うけど、何かひとつ成功すると、その後に長い苦難の時が待っている。もう、ハードルが下げられなくなってしまうから。それまでは、「一週流せば、それで終わり」だったアニメ番組が、「ビデオで繰り返し、何度でも見られる商品に」と、基準が変わってしまった。だから、美術なんてやみくもに密度が上がってしまって、いまや写実的な描きこみが当たり前でしょう。かつてのOVA並のクオリティを維持しないといけないわけだから。
ソフトを買えるようなハイターゲット向きに、中身も流行を取り入れないといけない。女の子たちが、まったりお茶を飲むアニメが売れたら、みんなそれを真似するよ。『マジンガーZ』の超合金が当たったから、70年代のロボットアニメは、みんな似たようなデザインになったじゃないか。それと同じだよ。超合金が、DVDやブルーレイになっただけのこと。
だから、『けいおん!』がいかに薄っぺらでも、僕には責められない。みんなでよってたかって、30年かけてこういう状況をつくったんであって、何かが急に悪化したなんてことはないんだよ。

とにかくも、10年前から、みんなテレビでOVA商品を見せられるようになった。そりゃあ、作画にうるさくもなりましょうよ。声優目当てで見るようにもなりましょうよ。「たまにはロボットも出せ」と注文も出ましょうよ。そんなマニアックな見方ばかりしてきたんだから、テレビアニメから普遍性が失われても当然だと思う。構造的に無理なんだよ。
Akagi_logoその反動から出てきたのが、非マニア層向けの日テレ深夜枠やノイタミナでしょう。例えば、『アガキ』は、『あしたのジョー』をやろうとした。テレビアニメの普遍性を復権させるには、保守反動に近い立場で、アッパーカットのように作品を打ち出していくしかない。

『宇宙戦艦ヤマト』本放送、すなわちアニメ・ファンの発生から35年――30年スパンで、ものを見られるぐらいの年齢になったら(いや、実は年齢なんて関係ない!)、今の状況に、おいそれと文句は言えないはずなのだ。
「30年」という歴史を念頭において見れば、どんなアニメだって違って見えてくるはずだよ。そういう想像力のない人は「今期ナンバー1」とかいう、飼いならされた価値観で作品を見ていくしかないんだろうけど。

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コメント

最近のアニメにも良作は多いんですが、ほとんどが完全なマニア向けですね。予備知識がないと楽しめない作品が多過ぎるし、最初からファン&ファン予備群以外ははなから相手にしていないものばかりです。

期待していた今川版『マジンガーZ』も最初からマジンガーを知っているマニア向けの作品でしたし。たしかによく出来てるけど「この作り方で新たなファンを取り込む魅力があるか?」という点ではちょっと疑問が・・・。

このままでは30年後にはアニメは養老院で爺婆が昔話をするために見るだけのものになったりするかも。それはそれで悲しいですね。

投稿: ドラゴン山崎 | 2009年4月23日 (木) 04時04分

■ドラゴン山崎さま
『マジンガー』は、原作の知識の深さによって、反応がばらばらですね。でも、そういう予備知識の格差も「OVAだから」と考えれば、すごく合点がいくわけです。

だけど、今、ネットでアニメ評論やレビューをやっている人たちには、「最初からマニア相手に企画された商品をテレビで見せられている」という自覚が薄いように思います。
だから、70年代や80年代のアニメが、いかに破天荒だったかを力説しても、彼らは自分の足場が見えてないから「はあ?」となる。

「みんなで共有できるアニメがなくなった」というのは、そういうことなんです。……って、なんか話がズレてしまってすみません。

投稿: 廣田恵介 | 2009年4月23日 (木) 04時44分

日本のアニメは縮小再生産とその反動の繰り返しな印象です。
特に80年代のOVA爛熟期以降に縮小再生産が進展して、
TVアニメがOVAの濃い要素を取り入れた以降、
一般人がついてこれなくなった気がします。
反面、反動の方はイマイチ弱かった印象です。

20年アニメを見てますが、マニア向け作品の乱立状態になるとは
思ってもみなかったですが、作り手も客もその流れに乗っかったのが
今日のアニメの現況を作り上げたのだと思います。

問題はそういう流れに加担した人達が
「最近のアニメは・・・」と言ってしまう事かもしれませんね。

投稿: ohagi | 2009年4月23日 (木) 08時30分

■ohagi様
まさに、流れに加担した、明らかにマニアな人たちが「最近のアニメはマニアすぎる」と言っているように思います。

>TVアニメがOVAの濃い要素を取り入れた以降、

構造としては、メーカーが出資しソフトの売り上げで回収しようとしてつくられたアニメは、13本だろうが26本だろうがOVAですね。
高いお金を出してソフトを買うようなマニア相手の商売ですから、内容が濃くなるのは仕方ないです。そこで、一般の人には「アニメはマニアの見るもの」という印象が生まれたわけで、それは間違ってはいません。

ただ、そういう、おかしな文化に立ち合っているんだと自覚すれば、楽しみ方も変わってくると思うんですよ。

投稿: 廣田恵介 | 2009年4月23日 (木) 12時28分

非常に納得のいくエントリーでした。
30年スパンという視点で見れば今のTVシリーズを責めるのはあまりにも酷というもの。
今の視聴者はわかりやすさばかりを重視する傾向があるように感じます。今期○○という書き方をして、自分を納得させると同時に何故だか他者からも認識を共有してもらいたいように訴える。
ネットの弊害のようにも感じますが…どうしようもないのでしょうね。

投稿: tatsu | 2009年4月27日 (月) 04時16分

■tatsu様
コメント、どうもありがとうございます。とてもいい事を書いてくださったと思うのですが、ネットを媒介したアニメファンの「共有願望」が年々、強くなってきていますね。ニコ動のコメント欄も、「見ているのは俺だけじゃない」と思いたいからこそ書き込むのでしょう。

「分かりやすいアニメ」を、「なるべく意見の衝突しないアニメ」と言い換えても良いかも知れません。主題歌が重視されるのも、共有するのに適しているからでしょう。アニメは、みんなで共有するためのツールでしかなくて、だから今期が終わったら来期、と切り替えも早い。
みんな、寂しいのですよ。どうして、みんなそんなに寂しがり屋になってしまったのでしょうね。

※リンク先、非常に興味深く拝見しました。これだけの理解者がいらっしゃるのなら、『バーディー』は十分に幸福なアニメだったと思います。

投稿: 廣田恵介 | 2009年4月27日 (月) 04時50分

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