■メイドキャバに行って来た■
友達と、『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』に行って来た。立ち見客でいっぱい。予約しといて良かった。体育会系の『グレンラガン』、文系・草食男子の『エウレカセブン』って感じだな。なんか、いろいろ難しいこと考えて、お洒落にまとめようとしているんだけど、伝える手段が拙い。それをキュートだと思うほど、僕は寛容ではなかった。
まず、あんなピカチュウみたいな、便利な奇跡を起こしてくれる小動物を平然と出せる神経が理解できない。生き物と一緒にいる、というのはその死をも見届けるってことじゃないのか? アニメだから考えなくていいってか? 謎はあるけど、神秘がないね。『河童のクゥと夏休み』のクゥはグロテスクだけど、だからこそ敬虔な気持ちが起きるわけでしょ。『エウレカ』に出てくる小動物は……というか、登場人物すべて、コンビニで売ってるグッズみたい。生産工程が分からない、人の匂いがしない、ただ綺麗で便利なだけ。人間の生理、身体感覚から遠いものばかりで構成された映画。
しかし、TVシリーズを見ていなかった友人は「思ったより、面白かった」。ただ、どうしても『エヴァ』に見えて仕方ないそうで、言われてみれば、過去に起きた大惨事、偉い人たちが極秘裏に進める謎の計画、深読みを強いる思わせぶりなセリフ……確かに、ここまで『エヴァンゲリオン』というフォーマットから抜け切らない作品も、今どき珍しいかも知れない。もう、コピーのコピーのコピーって感じだ。
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もうひとつ。一緒に観に行った友人が中学時代にハマっていたのが『イデオン』で、「やっぱり、発動編を越える劇場アニメは存在しない!」と言い張るんだけど、確かに作家性むき出しで完全新作でテレビの続きをやる、しかも局の考査課なんて無視できるから、もうやりたい放題やる……という飛び道具的な劇場アニメ化は、『イデオン』だけだった。
今年、ケーブルテレビで放映していたから観直したけど、『イデオン 発動編』は怖いです。『河童のクゥと夏休み』も、子供に見せたら泣いちゃったという話をよく聞く……あれも怖いアニメなんですよ。10年前の『エヴァ』も怖かったよね(安心・快適な新劇場版は論外)。
ようするに、劇場アニメに限らず、観客に畏怖の念を抱かせることが出来れば、「しょせんは絵でしかない」アニメは、とりあえずの勝利を獲得できるのかも知れない。
今は、そういう「本気すぎて怖いアニメ」が減ってきたような気がする。大声で怒る大人もいないしね。目に見える「怖さ」が減ってきたのは、「怖いもの=悪いもの」という幼児的な感覚が広まってきたせいかも知れない。
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何だか物足りなかったので、友人と別れてから近所のメイド・キャバクラへ。
メイドという高下駄を履かせた割には、お得感がない。もともと、この界隈のキャバにしては、料金設定が高すぎるんだよ。嬢がメイド服を着ている他は、他のキャバと対応は変わらない。黒服の代わりに、メイド服の女の子が、延長の確認やアイスペールの交換に来るぐらい。だから、嬢が『ハルヒ』の歌をうたっても「今の曲って何?」と聞き返す、非オタクの客がいる。
一応、嬢たちは普通よりちょっとはアニメに興味があるとか、クリエイティブなことに興味がある、という子たちが多かった。でも、それは店に来てまで話すほどではない。夜のお店に付き物の、バクチ的要素がないんだ。やっぱり、普通のキャバクラ・ドレスを着た嬢が、予想もつかない話題を出してくるから面白いのであって、最初からオタクな話OKです、という保険が付いてると、逆に覚めちゃう。初めから嬢の連れ出しOKなデートクラブと同じ。手練手管や交渉のプロセス、運や偶発性までもが、パッケージ化されちゃってる。
メイド服より、何の変哲もないキャバクラ・ドレスの偉大さを実感させられた夜だった。
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