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2009年3月 8日 (日)

■時祭、ニュー・カプリカ■

3月15日開催のHARU COMIC CITY 14にて、『メガゾーン23』トリビュート・マガジン『フェスティバル・タイムズ』が再販されます(東3ホール 【ゲ-5b】)。
530626056_195プロのイラストレーターが、実名・仮名で参加しているのも贅沢なんですが、何より石黒昇監督のインタビュー。これは、商業誌だったら「カットしてください」と問答無用で切られるところまで話してらっしゃるので(もちろん、監督ご本人のチェック済み)、ぜひ読んでいただきたい。
いま読み返してみたけど、業界に対する苦言が容赦ない。静かな怒りのようなものさえ感じる。


『ギャラクティカ』シーズン3の第一話『ニュー・カプリカ』を、4回ほど繰り返し見た。
286944115_a93f50a627すっかり乗員の少なくなったギャラクティカの艦内を、アダマ艦長が一人で歩いている。整備デッキに、機械の部品が落ちている。艦長は無言でそれを拾い、もとの場所に戻す。省電力のためだろうか、蛍光灯の消えた暗い廊下を歩く。小さなペンライトで手元の書類を照らしながら、黙々と歩く――。この数カットだけで、ギャラクティカの人力が低下していることが分かる。そして、艦長ともあろう身分で、部下が床に落としたままの部品を拾う。暗い廊下でも文句ひとつ言わず、自分の仕事をこなしていく。
たったこれだけで、アダマ艦長がどういう人間なのか伝わってくる。悪化した現状に耐え、自分に出来ることは余すところなく遂行する。背筋を正したくなるような演出だ。

先日から、偉そうに「ギャラクティカ/シーズン3はイラク戦争」と書きたててきたが、他の方のブログを拝見すると、イラク戦争というより、古今東西の「占領」の歴史を意識してシナリオが書かれたとのこと。恥ずかしくなって、「ヴィシー政権」「ヨルダン川西岸地区」などを検索し、それらに関する映画や文献はないか、探している。
ついうっかり、手近なところに答えを見つけようとしてしまう。いい/悪いの判断を下す時でさえ、自分の蓄えた知識や経験が後押ししているはずなのに、当事者意識が薄い。あら探しが大好きで、他人の失敗にはひどく敏感――ネットで見かける悪癖に、気がつくと自分もおかされている場合がある。気をつけよう。


DVDやケーブルで見た映画は、井上春生監督『音符と昆布』など数本。邦画はしばらく休んで、今は身になる洋画を見たい。

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コメント

Season3の前半はあまりに暗くて重くて
どうにもやり切れなかったですが、
いつの時代のどこの国による「占領」をモデルにしたにせよ、
占領下の人々の生活はこうなるのだとアメリカ人に見せるには
大きな効果があったのだと思います。
バルターが大統領に選ばれた時の一連の攻防戦なども
アメリカの大統領選を髣髴とさせるものでしたし、
サイロン対人間の対立は
人種間の対立にたとえることも出来ますし、
BSGは良い意味でも悪い意味でも
アメリカ社会の様々な側面を映し出したドラマだと思います。

投稿: ELLIE | 2009年3月10日 (火) 02時27分

■ELLIE様
「序章」が放映されたときも、味方側が敗走するシチュエーションが画期的だと言われましたね。エンターテイメントの中で、自国のネガティブな歴史を描く姿勢がすごいと思うのです。
コロニアル船団の大統領選でも、視聴者が感情移入しているロズリン候補の方に不正を犯させましたからね。そっちの方が深刻度が増しますよね。自爆テロにいたる描写も同様で、人類側が抑圧されていたから説得力が出たのだと思います。
僕は、作り手の良心を感じました。日本でこれに匹敵するコンテンツといえば、「NHK 映像の世紀」ぐらいです。

投稿: 廣田恵介 | 2009年3月10日 (火) 13時39分

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