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2009年3月31日 (火)

■ポエム化するアニメ■

メガミマガジン 5月号 発売中
Megami_0905
●声優さんインタビュー
内容に関しては、ノーコメント。
一応、スケジュールさえ合えば、こういう小さな仕事も請けてます、ということで。



怪作『空を見上げる少女の瞳に映る世界』の最終回で、画面では壮大なエフェクト・アニメーションが展開しているのに、主人公の少女のモノローグだけで物語やテーマが「解説」されるのを聞いて、失笑した。「私たちの未来が」とか「信じる気持ちが」とか……まあ、OVAの再編集モノだし、話がまとまらなかったのかな、程度に思っていた。
ところが、『とらドラ!』『ガンダム00』の最終回を見て、モノローグで「思い」を説明するのが、ひょっとして流行ってきているのかと不安になった。
キャラクターが意志表明しないと、お話が終りづらくなってきている。そういうアニメが増えた、というより、そうしないと分からない人たちが増えてるんじゃないだろうか?
『とらドラ!』に関しては、長めのモノローグは「ポエム」と揶揄されているようだ。ただ、「原作がライトノベルだから、ある程度、仕方ないのでは」という意見を読んで、やや納得した。だけど、『ガンダム00』は「ポエム」で逃げおおせたよね。劇を組み立てる意志が感じられなかった。

『鉄腕バーディー:02』のラストで、バーディーが時空の彼方へ消えてしまった恋人に「私、待ってるよ」と呟く。このセリフを「伏線になってる」「第3期につながるんじゃないか」と解釈している人がいて、だいたい何が起きてるのか分かってきた。キャラクターの言うことを、額面どおりに受け取っているわけだ。
もう恋人に会えないと覚悟しているバーディーに、あえて「待ってるよ」と言わせるのがドラマなんだよ。なのに、はっきり「もう会えないのね」と言わせないと、キャラの感情をつかめない人がいる。そういう人たちが増加するとしたら、「ポエム」はどんどん流行ると思う。
これは、アニメの表現がどうとか言うより、コミュニケーション・スキルの問題だろう。

ちょっと思い出すのは、紀里谷和明監督の『CASSHERN』。あの映画でも、登場人物が今の自分の感情をポエティックに説明するのだが、紀里谷監督が言うには「ここまで喋らせないと、伝わらないもの!」 結果、『CASSHERN』は15億のヒットとなった。
『LIMIT OF LOVE 海猿』は、絶対的危機状況の中で、主人公が携帯電話で恋人にプロポーズするシーンが延々と続いた。失笑必至のシーンだが、それでも、71億円というメガヒット。
『CASSHERN』が04年、『海猿』が06年だから、ひょっとしてアニメ界に今、そういうウェーブが来ているのかな、と冗談半分に思う。

「言外に匂わす」というテクニックが、文化が、もう通じなくなってきている。日本人の物語読解力が、ガンガン落ちてきている。
だけど、そういう時には、必ず別の何かを獲得しているはずなんだよね。それが何かは、まだ分からない。


最近見たディズニーアニメは、ゼロックス・プロセスを初導入した『101匹わんちゃん』。ゼロックス・プロセスはマシントレスと同じような意味かと思ったら、ようはコピー&ペースト。101_dalmatians_rough_puppies 一度描いた原画を、同じカットの中にコピーしていく。ちょうど、ウォーホルがキャンベルスープなんかを描いていた頃ですよ。それを考え合わせると、ゼロックス・プロセスの導入自体に、時代の空気を感じる。
ゼロックス・プロセスの欠点は、コピーした原画の線がかすれてしまうことだが、『101匹わんちゃん』はそれを見越したポップな絵柄になっている。背景に実線があったり、わざと平面的な絵づくりにしているのがカッコいい。
これは、別セルに分けるなんて無理だろうから、同じセルに数匹の犬をコピーして、斑点の位置だけ変えて複数に見せてるんだろう。アニメの考え方って、50年前からデジタル的だったんだよね。

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コメント

この間、友人と似たような話をしてました。映画もドラマもニュースもアニメもバラエティーも音楽のつけかたが、説明的すぎやぁしねーか? みたいなことを。そういう世の中だから『沸騰都市』が面白かったりするねとかなんとか。やっぱ、口にだせないコトとか口に出しちゃいけないコトを映像とか音楽に乗せて欲しいもんです。せっかく色々できるジャンルなんだから。

投稿: 渡辺トモヒロ | 2009年4月 1日 (水) 00時08分

■渡辺トモヒロ様
とりあえず、説明した方が楽ですからね。「だって、そう言ったじゃないか」という言い訳が成り立ちますから。
『沸騰都市』の着眼点は面白いですね。やっぱり受信料を払おうと思えます。

そう言えば、『バーディー:02』は人種問題に端を発するドラマでした。しかし、そんなドラマは歓迎されないのでしょうね。アニメでは、特に。

投稿: 廣田恵介 | 2009年4月 1日 (水) 00時51分

『銀河鉄道999』(TVアニメ)の高木均さんのナレーションはポエムでした。ただし三人称客観のです。最近のアニメのナレーション=ポエムは一人称主観なのですね。文学史でいうと私小説に近づいているのかもしれません。『ガンダムoo』については脚本家の方の作風にも思えますが。

投稿: Nishinomaru | 2009年4月 1日 (水) 16時14分

■Nishinomaru様
鋭いところをついて来ますね。確かに、『999』は三人称視点のポエムでした。一人称ポエムは、どこまでいっても自己完結なんですね。物語を強制終了させるには、都合のいいテクニックなのかも知れません。

>『ガンダムoo』については脚本家の方の作風にも思えますが。

『ハチクロ』ではないのだから、僕はそんな作風は許しません(笑)。
ちゃんと提起した問題をストーリーに落としこんでいるのなら、いくらポエムをやろうと構わないのですが。

投稿: 廣田恵介 | 2009年4月 1日 (水) 17時17分

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