■アニメは、実写映画の嚙ませ犬か?■
『マクロスF』公式同人誌『娘秘(にゃんクレっと) File 1』 TAFにて販売
●俺のメモを読め! ~葛西励プロデューサーのメモ帳から『マクロスF』制作現場を解析~
今年のTAFでは何も仕事してない、と思ったらコレがあった。サテライト制作の公式同人誌の読み物ページです。『創聖のアクエリオン』公式同人誌でも同じことをやったのですが、葛西プロデューサーのメモ帳をお借りして、あちこちツッコミを入れてます。
アニカン Vol.70 TAFにて配布
●『バスカッシュ!』河森正治ロングインタビュー
河森さんに話を聞けるというので、ひさびさにアニカンの仕事を受けました。『バスカッシュ!』は、『鉄コン筋クリート』なんだけど『アクエリオン』っぽくもあるごった煮路線で、『マクロスF』よりよほど河森カラーが出ていると思います。ビジュアル的にはロマン・トマさんの世界だし、監督は作画の弾んだ作品にばかり関わってきた板垣伸さんなので、とにかく元気のいいフィルムになっています。
船頭が多すぎて不安を感じないでもないんだけど、その不安も込みでエンターテイメントになっているところが、河森さんらしいです。
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新聞を見ていたら、シネマ・アンジェリカで上映中の『ルパン三世 1.st TVシリーズ』のトークショーで、佐藤嗣麻子監督が「私の場合は、実写映画にアニメや漫画の技法を取り入れている」と語ったという。ホームページを見てみたら、同様の趣旨のコメントが寄せられていた。
このコメント自体は、謙虚でよろしいんだけど、いい加減に「今の映画は、アニメの影響を受けてる」とか、映画監督自身が「アニメの技法をやってみた」とか言わなくていいよ。映画は映画、アニメはアニメで、それぞれ追求すればいいじゃん。そんな形でアニメを持ち上げてくれなくても結構、と俺は思う。大きなお世話。
フジテレビに取材した時、「『踊る大捜査線』は押井守の影響を受けた、あれはアニメをやろうとしたんだ」と亀山千広プロデューサーがあっさり言い放っていたけど、具体的にどこが押井守なのよ。『パトレイバー』のことを言っているんだとしたら、「警察」ぐらいしか共通点がない。
そのフジテレビが製作したアニメが『ブレイブ ストーリー』。何度か取材したけど、亀山さん、今度は「GONZOは、何しろ『アニマトリックス』を作ったスタジオで……」と発言していた。『アニマトリックス』はスタジオ4℃とマッドハウスでしょ。さすがにその発言は原稿に起こさなかった。その程度の認識しかないんだったら、せめて黙ってて欲しい。(ちゃんとアニメを分かって製作している人たちも、テレビの世界には大勢います。念のため)
自分たちの映画を持ち上げる時に、アニメを引っ張り出さなくてもいいよ。本気で日本のアニメをリスペクトしているなら、『キル・ビル』でタランティーノがやったように、自作の中で「もう好きにやってくれ」とばかりに、存分にアニメーターを暴れさせるよ。
実は、『キル・ビル』より早く、『踊る大捜査線』の本広克行監督が『スペーストラベラーズ』でアニメ・パートをつくり、あまつさえOVAにして発売していた。映画の中でも十分に痛々しかったが、OVA版はもっと凄いよ(一時期、僕は珍品アニメを集めていたので、VHSを持っていた)。
……古傷をえぐるようなことをして申し訳ないけど、亀山さんや本広監督は一応ヒットメーカーなんだから、あえてわざわざ、分かってもないくせにアニメに触れなくてもいいよ。アニメは通俗娯楽で結構でございます。萌えだ作画崩壊だと仲間同士で深夜に楽しくやってるんだから、ほっといて欲しい。
邦画は邦画で、有能な監督がたくさんいるじゃないか。個性的な映画を撮る人ほど、アニメに媚びたりしないよ。ようするに、自信のない映画人がアニメを嚙ませ犬に使うのはみっともないから、口を慎んだほうがいいですよってことだ。
どうして佐藤嗣麻子監督が『ルパン』についてコメントしなくちゃいけないかと言うと、それは日テレ出資の映画で当てたわけだし、立場的に仕方なかったんでしょうね。
ほっといても雑草のように生い茂っていくのがアニメなんだから、芝刈り機で乗り込んでくるなよ、と邦画好きの僕でさえ思う。
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