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2009年3月25日 (水)

■ピンク・エレファンツ・オン・パレード■

月刊モデルグラフィックス 5月号 本日発売
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●モデラー座談会 「狂四郎」と「モナカ」で振り返るMSV史観 構成
MSV発売当時、すでに高校生だった僕は、『プラモ狂四郎』は基礎教養として後から学んだに過ぎないし、座談会の出席者とはやや温度差があったように思います。
あの頃、市場を支えていたのは小学生だったんだという事実を、40~50代がしっかり受けとめ、咀嚼しないと駄目なんでしょうね。そうすれば、『Zガンダム』の奇々怪々なデザイン群が「正解」だったと認められるのかも知れません(当時から永野護さんが言ってたことですけどね、MG誌で)。


『バンビ』と同じ路線だろうと高をくくって『ダンボ』を見てみたら、その快楽至上主義的な内容に唖然とした。作画の面白みを追求して、ほとんどストーリー不在という思い切りの良さ。とにかく動きの快楽で見せるシーンがつづく。
090323_20050001特に、酒に酔ったダンボがピンクの象の幻覚を見るシーンは、本当にヤバい。ストレートにサイケデリック。『ファンタジア』で「音」を視覚化したのもドラッギーだったが、「ピンク・エレファンツ・オン・パレード」のシーンは、もう確信犯だろう。
ディズニーはコカイン中毒だったと聞いたことがあるが、コカインでこのような幻覚が見られるかは分からない。LSDの幻覚効果の発見は1943年だから、『ダンボ』の方が2年早い。
翌年の『バンビ』は健全なセミリアル動物アニメなのに、『ダンボ』はとにかく、完全にイッてしまっている。公開時は大ヒットだったそうだが、当時の米国民は何を考えていたんだろうか(公開から一ヵ月後、日米開戦)。

ピンクの像が、奇怪な変形をくり返す幻覚シーンも美しいのだが、他にも機関車が生き物のように伸び縮みしたり、人物のシルエットだけで芝居を見せるシーンが延々とつづくなど、とにかくビジュアル的な見どころばかり(動きがバラけたり、揃ったりをくり返すピエロたちの動きにも陶然としてしまう)。
ウェットなふりをして、『ダンボ』は実験精神があってカッコいい。サーカス一座の映画だが、まさに『ダンボ』は視覚的サーカスをやってのけている。
……もともと、「絵が動く」なんて狂気の創造だからね。実写の映画より、よほど危険な表現だと思う。『崖の上のポニョ』が一部から嫌われたのは、あの映画は「狂っている状態が気持ちいい」と全身で訴えてるからですよ。
『ダンボ』と『ポニョ』は、作画の快楽を武器に「向こう側」へ行こうと試みた点で、いい勝負をしていると思う。

人間は「正気」という牢屋につながれているので、創作をしたり表現物に触れるというのは、いわば脱獄みたいなものだ。だから、なるべく冒険的で、危険な方がいい。「危険がいい」というのは、スプラッタ映画がいいという意味ではない。どんな方法でも構わないから、既成概念をブチ壊す作品が好ましい、ということ。なるべく遠い、未知の領域まで連れてってほしい。逆を言うなら、それ以外に「いい創作物」の条件はないとさえ思う。


ポンセさんのブログ『俺のギャラクティカ』で、『ギャラクティカ』のスタッフ&キャストが国連に呼ばれたという驚愕の記事を発見。動画もあるので、どうか圧倒されてください。作品が社会性を持つって、こういうことを言うんだよな……普通、国連で取り上げないだろう、SFドラマなんて。いやはや、あっぱれ。
本日の『ギャラクティカ』は、01時59分から日本テレビ、22時からスーパー!ドラマTVにて。

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コメント

廣田さんの「スプラッタ映画がいいという意味ではない。」に釣られて。

現在ハマっているのが『片腕マシンガール』。DVDを買ってしまって。
B級チープでスプラッタな映画なんですよ。
でも、見終わって何故か心地よいのですよ。
(残酷場面嫌いな人は見ないほうが良いですよ!)
「女子高生が左腕にマシンガン装着」という時点で危なかったんですけどね。
日本版メイキングの「ヒダリウデノキオク」も良かった、というかこれだけでも充分楽しめてしまいましたね。

投稿: DH98 | 2009年3月27日 (金) 21時18分

■DH98様
『片腕マシンガンガール』は、色んな方から「きっと気に入ると思うよ」とオススメされているのですが、今はドキュメンタリーかディズニーしか見ないという変なサイクルになってまして(笑)。
ああ、あと『ギャラクティカ』ですね(笑)。

また、のびのびと女優目当てに邦画を見る生活に戻りたいのですが……というか、『片腕マシンガンガール』は海外資本なので邦画ではないようですね。時間みつけて、見てみます。

投稿: 廣田恵介 | 2009年3月27日 (金) 21時54分

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