■素敵な曲がつくれちゃった?■
忙しい上に風邪までひいてるのに、こんなこと書かせないでちょうだいって気分だ。
『ギャラクティカ』地上波放映から一ヶ月たったので、ブログの反応はどうかと検索してみたところ、主題歌目当ての女性ファンしか書いてない。それでも本編を見てくれてればいいかな、と思っていたが、俺とは逆に「本編を飛ばして主題歌(PV)だけ見る」習慣のようだ。
彼女たちが証明してくれていることは、たったひとつ。『ギャラクティカ』本編と主題歌が、いかに乖離しているか、である。
僕は仕事と趣味のため、一週間に何本ものアニメを見ているが、「この内容に、この主題歌はないだろう」「明らかに本編を見ないでつくった歌だよな」と苦笑させられることが多い。アニメ・ビジネスの中で「音楽」のボリュームが肥大化してしまったので、それもやむなしと了解している。
結果、どんな番組にもそこそこマッチする「互換性のある歌」が激増した。ようするに、「独立した曲なんだけど、実は番組の主題歌でもある」という、一体どこの誰に向けたのかサッパリ分からない歌が毎週、自動的に流されるようになっているのだ。
テレビドラマは見ないので事態はよく分からないが、アニメと同様、昔からその傾向はあった。売りたいから、とりあえず主演女優に歌わせとけ、とか。レコード会社も金出すから、とにかく流してくれ、とか。
まあ、テレビ番組の主題歌なんてのはそういう大雑把なもんなんだから、適当に聞いたり聞かなかったりで良かったはずなのだ。
『ギャラクティカ』の主題歌に関しても、地上波放映ともなればいろいろあるんだろうな……程度に思っていた。曲にも、そう悪い印象は抱いていなかった。1月19日にグレイス・パークの来日イベントがあるまでは。
主題歌アーチストをイベントに呼ぶのは、タイアップと考えれば納得できる。ところが、司会が「どんな思いでつくった曲ですか?」と質問したら、「正直、何も思ってません」ですよ。「俺、素敵な曲、まだつくれっかな?と思ってつくった曲です」。「そしたら、素敵な曲がつくれちゃった?」と司会が話をあわせると、「まあ、僕的には」。
……いま、取材テープを聞き返しても神経を逆なでされる。あなたの曲は、大人の事情でたまたま深夜ドラマで流してもらっているに過ぎない。別のドラマでも構わなかったんだ。他の曲でも代替可能なんだ。その脆弱な立場ぐらい自覚して発言しろ、みっともない。
というかね、先日放映された日本テレビの『ギャラクティカ』を見れば分かるよ。「民意を反映した政治」を求めて、テロリストが暴動を起こす。「テロリストとは交渉できん」と切り返す軍指令と大統領。しかし、現場にいた士官はテロリストの条件をのむ。「彼の言うことは筋が通っている。法を守らないかぎり、軍指令も大統領もその座を奪われて当然だ」と。
軍指令も大統領も、戦争のドサクサでその立場についたに過ぎないよ、というわけだ。まして地上波放送のドサクサで後付された主題歌……そんなに威張れるものなのか?
広く社会へ開かれたドラマ『ギャラクティカ』に、「僕」と少数のファンのためだけにつくられたマスターベーション的主題歌。滑稽なぐらい、正反対を向いている。
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コメント
なるほど、そういうことだったのですね。
ギャラクティカが日本でも知られるようになったのは嬉しいんですけれど、このドラマの本当の良さをじっくりと噛み締められる人は残念ながら少ないのかもしれませんね。
投稿: ELLIE | 2009年2月20日 (金) 15時08分
■ELLIE様
あまり好きな言葉ではありませんが、「玄人受け」しているんでしょうね、『ギャラクティカ』は。
主題歌に関しては、僕は当初、「そんなに悪い曲じゃないよ」と擁護すらしていたんですけどね……。ドラマ内容より主題歌が話題になって、喜んでいる人もいるんじゃないでしょうか。
投稿: 廣田恵介 | 2009年2月20日 (金) 17時28分
へんな所に敏感な私は、「廣田さんにギャラクティカの歌の事はやばい!」とビビってましたよ。でも私がきっかけをつくってしまった。(油汗) だめだろ!>DH98
ここのところアニメはJ-POPが主題歌という流れで、その上1クールごとに変わったりするので(鋼練あたりからかな?もはや主題歌じゃないだろ)、ギャラクティカの歌には既に無関心になっていましたよ。
「スペース1999」あたりはまだ良かった。
上条恒彦が歌ったEP盤買ったし。
この前NHK-FMで一日アニソン特集やっていて大変幸せな思いをしたのだけれど、
今のJ-POPな”アニメ主題歌”はどうなるんだろ。主題歌と内容の不整合は不幸な未来になるような気がするんです。
「ギャラクティカ」は日本版主題歌の側から無関心を表明されたけれど、初めから「ギャラクティカ」は「ギャラクティカ」として成立している。私の関心は「ギャラクティカ」にある。
投稿: DH98 | 2009年2月20日 (金) 21時31分
■DH98様
アニメやドラマの主題歌がJ-POP化していったのは、もう80年代後半からそうだったと思います。当時は、ずいぶん色んなシングル盤を買ったし、今でも気に入れば買います。
ただ、『ギャラクティカ』に関しては「まあ、そういう事情だから、察してくれたまえ」と肩をつかまれたような、共犯に巻き込まれたような嫌な気分です。
>主題歌と内容の不整合は不幸な未来になるような気がするんです。
主題歌からすれば番組がオマケ、番組からすれば主題歌がオマケ。もう十分に不幸ですよ。
「そういうもんなんだから」では割り切れませんね。誰かが怒らなければ、ずっと不幸なままです。
投稿: 廣田恵介 | 2009年2月20日 (金) 22時58分