■少年になった経験も、これからなる予定もない■
『ガンダムの常識 一年戦争モビルスーツ大全』 発売中
お馴染みガンダム500円本シリーズも、もう三冊目です。
今回の売りは、「こんなモビルスーツ知らない」「モピルスーツだと認めたくない」機体まで網羅している点。30周年を機に、オフィッシャルの線引きが以前ほど曖昧でなくなったようです。なので、「あのマイナー機体が載ってない」と思ったら、それはもはや宇宙世紀には存在しませんよ、ということですね。
EX大衆 2月号 本日発売
●ガンダム全シリーズ プレイバック!
●仲村みう グラビアポエム執筆
●青山倫子 グラビアポエム執筆
●ほしのあき グラビアポエム執筆
●山本 梓 グラビアポエム執筆
●愛ドルのリコーダー 妄想ポエム館 執筆
ガンダム特集のテーマは、いかに「薄く」書くか。「4ページで早わかり」が企画テーマですからね。
しかし、グラビアポエムは何だ、5本? 書きすぎだろう、一ヶ月に5本は。仲村みうさんのグラビアは、ピンホールカメラを使った妖しいムードのもので、編集者が「江戸川乱歩風に」と珍しくオーダーしてきたので、張り切って乱歩の世界をマネてみました。
さて、天王洲銀河劇場にて、押井守演出『鉄人28号』観劇。
開場時、ホールに押井さんが出てきて、客の入り具合を見ていた。やっぱり気になるんだ、カワイイな。それだけで、もう傑作だと確信した。観る前から。『スカイ・クロラ』も、「若い人に言いたいことがある」という、あの押井さんの一言で傑作確定ですよ。どんなに退屈なシーンがあろうと、それは揺るがない。作品を取り巻く言動込みで、僕は押井さんが好き。
インタビューしたいがために、作品を観ているようなところがある。それは、押井さんの話し方が好きだから。知人が「あんな監督の作品は観ない」と言っていることも含めて、押井守の生じさせる些細な現象、空気が好きなんだと思う。
舞台は、44歳の南果歩が半ズボンで演じる正太郎くんが、とにかくキュートだった。ここまで屈折を知らないキャラクターが押井作品に登場するのは初めてではないだろうか。だとしたら、やっぱり押井さんがそういう人物を造形した事実に陶酔する、僕は。
舞台の目玉である鉄人のデザインは、末弥純。ロビーには、鬼頭栄作のつくったマケットが置いてあり、「商品化検討中」と書いてあった。兵器マニア臭のない、優雅なデザイン。それを兵器フェチの押井さんが採用した、という点にグッとくる。
今、この舞台に関する記事を調べていたら、「少年になった経験も、これからなる予定もないので、監督のイメージの中で思い切り遊ぶだけ」という南果歩のコメントが出てきて、目頭が熱くなった。このコメントを読んで、やっと舞台が終わったような気分。
57歳の押井守と、44歳の南果歩の人生がフィクションの中で交錯した。その事こそが、何よりエンタテイメントだよ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
押井監督は海外の一流クリエイターたちをとりこにしている日本の星です
私にはあの人を批判したりけなしたり出来るほどの勇気がありません
リアルタイムで観ていた うる星やつら は原作の優秀さもあることはあったがそれにプラスアルファされた斬新さ…むしろ劇場版かな…
確かに鬼才といった存在でしょうね
大体 あの方がいなければマトリックス三部作自体存在していなかったでしょうから…
押井監督が舞台演出とは初耳でした
とても興味深い情報です
ただし…当たり前の舞台といった形式が あの方の手にかかるととんでもなく新機軸のエンターティメントに変貌してしまう危険性があるので軽々しく扱えない事柄だと思ってしまいます。
多分 退屈とは縁の無い 白熱した舞台となったのだと大体想像はつきます
投稿: hideaki | 2009年1月15日 (木) 23時08分
■hideaki様
僕は押井さんならではの欠点も分かっているつもりで、そこも含めて「いい」と思ってしまいますね。常に目論見が成功しているとは思いませんが、それでも目論んだ時点で押井守の勝ちじゃないか……と。
いまや、孤高の人だと思います。
>ただし…当たり前の舞台といった形式が あの方の手にかかると
>とんでもなく新機軸のエンターティメントに変貌してしまう危険性が
>あるので軽々しく扱えない事柄だと思ってしまいます。
新機軸といえば、確かに新機軸でしたよ。なんで押井さんが『鉄人28号』やるのか、という企画の発端も含めて、分かりやすいところもあったし、難解なところもありました。
でも、悟りすました顔をして「演劇なんてこんなもんだろう」では済まさず、真摯に取り組んでいるところが何より良かったです。
女性客が多いのも、印象的でしたね。
投稿: 廣田恵介 | 2009年1月16日 (金) 01時01分