■恋空とギャラクティカ■
TSUTAYA半額デーにつき、加藤ローサ『いちばんきれいな水』、夏帆『東京少女』、新垣結衣『恋空』をレンタル。
加藤ローサは、そのうち「これぞ」というハマリ役に行き当たると思う。それまで、女優はず っと続けてほしい。この映画には、カヒミ・カリィが出ていたのでビックリした(なんと今年40歳)。『東京少女』は、ややビターな味わいのジュヴナイル。夏帆は主張しすぎないルックス、控えめな演技がいい。もっと作家の個性が強く出た映画で演じたほうが、面白くなりそう。
それで、結局、『恋空』が一番おもしろかったですよ。「途中で寝てもいいや」と夜中から見はじめて、結局、身を乗り出して朝までに見終わっていた。
何がいいって、演出が律儀なんだよね。無神経なシチュエーションでも、何とかして綺麗なフィクションに見せようとする心配りが感じられる。調べてみたら、やはり女性監督だった。新垣の髪の毛をくしゃくしゃっとなでるシーンを、ハイスピードで撮影している。これは、『セカチュー』で長澤まさみが、初めて主人公に話しかける神社のシーン(ハイキーで、長澤の顔を飛ばしている)に匹敵する萌え演出。うまい。
そういう演出が2~3カットあれば、後はとやかく言わない僕であるが、『恋空』は脚本のテンポ感も良かった。飽きさせないよう組み上げた脚本を、印象的なビジュアルで要所要所、クリップしてある感じ。役者が空(から)で、風景のみの絵も効果的に使ってあった。
公開当時、最低の映画だと批判されていたようだけど、みんな「映画の中の事象」に腹を立てていただけなんじゃない? 「映画」としての完成度は、そこそこ高いはずだよ。
撮影は大分県で行われたそうだけど、地方都市のありふれた景色も良かった。全国の女子高生に感情移入させるためには、東京なんかで撮ってもダメなんだよ(渋谷でロケした『蛇にピアス』は、何の普遍性もなかったからね)。全国にフィルムコミッションが出来たおかげで、日本映画はようやく「いまの日本の風景」をフィルムに定着できるようになったと思う。
あとは、ケーブルで見た『ごめん』という映画が、ちょっと良かった。
さて、来月からの地上波放映がようやく話題になってきた『ギャラクティカ』。一足早くDVDで見るなら、だんぜん日本語吹き替え版だ。
シーズン2の第一話『船団崩壊』では、タイ副艦長がアダマ艦長との出会いを回想する。吹き替え版で見て、やっとこのシーンの意味が分かった。回想シーンのアダマがしきりに「俺のやり方で、艦隊に復帰してみせる。お前はどうするんだ?」と問いかけていたのは、船団とはぐれてしまったタイ副艦長に「お前のやり方で、船団に復帰してみせろ」と励ましていたわけか。なるほど、やっと納得した。吹き替え版だと、頭に入ってくる情報の経路が字幕版とは違うんだろう。
こんな初歩的な演出に気がつかなかった僕も僕だが、これから初めて『ギャラクティカ』を観る人たちが、ちょっとうらやましい。
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コメント
そうですか…ギャラクティカが地上波登場ですか…関東地方だけなんてこといわないでくださいよ。
恋空 多分携帯小説が発端だと思います。
携帯小説の素人ぽさが逆に人々の心をつかんだのだと思う。
ちなみに私はテレビ版の最終話しか見ていない
けどなんか名作っぽかった。
恋愛小説では去年の発刊された 石田衣良の「美丘」あたりが個人的には共感を呼びました。
投稿: hideaki | 2008年12月 8日 (月) 21時58分
■hideaki様
プレスリリースを見直しましたが、「日本テレビ深夜枠」としか書いてありませんねえ……関東だけだったら、ぬか喜びさせてしまって、ゴメンナサイ。
>けどなんか名作っぽかった。
そこが重要なとこですね。古典的なんですよ、『恋空』って(原作は未読なので、また印象が違うかも知れませんが)。オーソドックスなストーリー構造がウケたんだろうと思います。
石田衣良はイケメン作家なので、ちょっと避けてました(笑)。今度、ブックオフで探してみます。
僕の好きな恋愛小説は、中島らもの『恋するΩ病』です。
投稿: 廣田恵介 | 2008年12月 8日 (月) 23時28分