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2008年12月 1日 (月)

■モノにしがみつく■

アニメージュオリジナル vol.2  12月3日発売
Vol2_jake
●『空の境界』を識る
10ページ、構成・執筆。美少女アニメ特集ということで、「空の境界はどう?」と提案したら、けっきょく自分でやることに。コア層にのみ重厚に支持され、いわゆるライト層が存在しないこのアニメ、「一体どう説明しようか」というところからスタートし、講談社の太田克史さんにガッチリとインタビューしてみたら、これが大当たりでした。『空~』を知らない人ほど面白い記事のはず。必読!

『屍姫 赫』の色
4ページ、構成・執筆。これは特集とは別に、美術監督と色彩設計の方へのインタビューがメインですね。色づかいが非常に鮮烈な作品なので、今のうちに取り上げたいなと。

●『鉄腕バーディー DECODE』 赤根和樹監督インタビュー
これは編集部からの要請で、計4ページ。個人的には、赤根監督応援企画のつもりで。アニメーターさんの話がいっぱい出てきますよ。

●作家・河森正治の足あと 第一回
4ページ、構成・執筆。「第一回はマクロスFの最終回をフィーチャーして欲しい」という編集部の条件をのんで、河森LOVE全開の新連載。かなり自己流解釈を書いたけど、これはおそらく、「研究」の名を借りたラブレターですから。突撃ラブハートですよ。

河森さんといえば、11月29日、先端技術館@TEPIAにて「SFアニメが現実に!?激論ロボットトーク」を見てきた。出演は河森さんのほかにロボット工学者の古田貴之さん、水内郁夫さん。総論のあたりで、「ロボット単体ではなく、街や環境もふくめてネットワーク化して考える」「そうすれば、モノを増やさずに快適に生きられるかも知れない」――という話が出てきた。古田さんは例として「iPodがあれば、CDというモノは必要でなくなる」と仰っていたと思う。
その直後、会場で待ち合わせていた知り合いから「20年前にフルスクラッチした模型の残骸」を見せられ、しばし唖然とする。プラ板のカタマリに過ぎないといえばそれまでだが、その「モノ」に蓄積されたエネルギーに圧倒されるのである。

例えば、今はケータイ漫画のダウンロードが盛んだと聞く。
でも、俺はどうしても本屋で買ってきてしまう。気に入った本が、手垢で汚れていくのが好081130_04360001きだ。古本も好きである。
僕らよりちょっと上の世代になると、モノ頼みの人がチラホラいて、ネットなんてやらなかったりする。メールもそこそこに、いきなり電話がかかってくる。そういう人と接していると、安心する部分もある。
さっきの模型の話も同様で、指先で触れられるモノに苦心の痕跡を見つけると、そこに作り手の美意識はおろか、生き方をも感じとることが出来てしまう。それがモノの力である。

ところが、本なんていうモノづくりに参加していると、そこには「読まれていないのではないか」という恐怖も生じる。読まれない本は、上映されない映画のようなものだ。
夜中2~3時のファミレスで、どんな事情があるのか知らないが、一人でじっと読書しているお嬢さんがいる。ああ、美しいなと思う。いまや、本というモノそれ自体が付加価値である。若い頃、映画の企画が通らないので「だったら、このストーリー、飛び出す絵本にしてやる!」と宣言したことがあったが、それぐらいの気持ちでつくらないと、モノとしての本の価値は本当に消滅する。
僕らは、モノにしがみつく最後の世代だから、せめて悪あがきはさせて欲しい。悪あがきしながら、かつては買うのに勇気が必要だったエロ漫画さえ手軽にダウンロードされる時代の風の、その薄ら寒さにゾクゾクしてもいるのである。

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コメント

プラモを作る行為が3Dデーターで満足。
本も雑誌もブラウザ。
アニメの設定資料もCG。
音楽も配信圧縮データ。

本物の手応えを求める事の無い時代の到来ですね。
環境に優しいと言えばそうだけど電気が無いと何一つ得られないというのもどうかと。

でも未来の人達は引っ越しが楽になりそうですw

投稿: ギムレット | 2008年12月 2日 (火) 04時33分

■ギムレット様
いまや、ヴァーチャルって言葉も死語ですね。
ペンタブで描いた漫画をケータイで読むことが、どんどん洗練されて、ある種の精神文化になっていく……のかも知れません。

ケータイで育った人間が、予想もしない何かを作り上げる……のかも知れません(ケータイ小説は、その嚆矢でしょうね)。

いまは世の中に二種類の人間がいるし、ふたつの相反する価値観が自分の中にあります。面白い時代に立ち合わせたことは、間違いないでしょうね。

投稿: 廣田恵介 | 2008年12月 2日 (火) 10時39分

「アニメージュ オリジナル」 vol.2、大変面白く読ませていただきました。
インタビューを受ける皆さん、ライターさんたちそれぞれのアニメスタイルが伝わってきて意義のある雑誌(場)だと思います。


廣田さんの太田克史さんへのインタビューは、劇場版「空の境界」の成り立ちがわかって面白かったです。
余談ですが、講談社が関わる劇場アニメって「AKIRA」(80年代)、「攻殻機動隊」(90年代)と10年周期でアニメの歴史に残るものが出てくるのですが、劇場版「空の境界」でその法則を確信することができました。2010年代も期待したいですね。


廣田さんの指摘された「河森空間」は、興味深いものでした。次回以降の連載では、河森演出の必殺技「(男女の)空中キャッチ」(「ノエイン」での絵コンテ回(20話)は、赤根さんは分かって振った筈です)とかをとりあげてほしいです。「語る技術」で、河森アニメや他のアニメを豊かにデザインしていきたいですね。

投稿: ゆるゆる | 2008年12月17日 (水) 08時34分

■ゆるゆる様
「オリジナル」読んでいただき、大変ありがとうございます。励みになります。
太田克史さんインタビューは、知りたかったことが全部聞けたので「これは面白い記事になるぞ」という手ごたえがありました。
『AKIRA』も『攻殻』も、企画が成立するまで他のアニメとは異なる経緯があったんじゃないかと思います。そうでなければ、ああまで個性的なアニメにはならなかった気がしますね。

「河森空間」については、例えば富野アニメでも類似した表現は多用されているんです。それらと「河森空間」には絶対的な差があるはずなのですが、ちょっと書ききれませんでした。
記事中にある「間近で見せてもらったコンテ」というのは、その『ノエイン』20話なんです。こういう、監督作ではないけどコンテや脚本では参加している作品に、意外な発見がありそうですね。
やりたいことは一杯あるのですが、まず本が売れてくれないと(笑)。今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 廣田恵介 | 2008年12月17日 (水) 13時18分

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