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2008年11月 9日 (日)

■うちにも、ガブが来た■

こうまで仕事が詰まってくると、もう楽しみは枕もとの読書だけで、ここのところ、僕は読みさしの本をすべて放り出して『機甲天使ガブリエル』(宮武一貴×加藤直之 ラピュータ刊)をむ081108_17410001_2さぼっている。いわゆるデザイン画集なのだが、実に読ませる。
宮武一貴さんが、イヤイヤながらに昔話をしているのがカッコいい。「加藤が、○○について何か話せという」。この書き出しで、すでにシビれる。対する加藤直之さんは「若かった頃の話をしてみる」と積極的だ。このコントラストが、実に物語っぽい。
「可能性を総て試しもせずに脇を素通りさせるなど、犯罪だ。」by宮武一貴。こりゃ、殺し文句だ。この一言だけで、奮い立つ。パワードスーツの内部で操縦桿を持ったまま歩けるかを試すために、胸の前でドライバーを握りしめ、夜の街を走り回ったという挿話も勇気がでる。
「ただ手を動かして描いただけの代物だ。こんなモン売れるわけがない。」「僕は指先と紙の上で考えるようで、頭は直感にしか使ってないらしい。」「新しいものが生まれればAOK(オールオーケー)だよ。」……まるで名探偵のセリフ。この本は、デザイナー宮武氏とイラストレーター加藤氏のバディ物だ。「君のこだわりとは相容れないだろうが、あまり心配しないでいいよ、加藤君。」なんてセリフがキャプションに書いてあるから、目が離せない。

『ガブリエル』は玩具企画だから、当然、試作品の写真も載っている。しかし、1/12に統一された加藤氏のイラストは、紙面に手を伸ばせばヒョイとつかめるのでないか、と思うぐらい生々しい。「だったら、立体で作ればいいじゃないか」という問題ではない。「実は、そこには存在してない」から物語たり得る=応用が効くのだ。小説も映画も同様だ。

映画といえば、次の次の仕事のために、『連合艦隊』をレンタルしてきた。全部を見ている時間はない。『櫻の園』の公開が始まったので、そっちを観に行きたい。
テレビアニメの「30分」という枠は、休憩に適した時間だ。アニマックスでやっている『ガンダムZZ』は大詰め。「トミノメモ」を引用しているらしいのは、アイデアに詰まったからだろう。『鉄のラインバレル』のギャグ回は、不覚にも2回つづけて見て、2回笑った。省略のセンスがいい。太宰の『人間失格』に、金を無心するときはまず笑わせるべしと書いてあったが、ギャグを入れると、人はその先も見てくれる。あとは『とらドラ!』その他を録画し忘れた。

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コメント

この本は読ませるボツデザイン画集ですよね。
ガブリエルだけかと思いきや宇宙の戦士のPSにも触れているし、今迄語られなかったアニメ版の「宇宙の戦士」のデザインについても語られていて。
何もせずに一週間程読みふけっていたいです。
お正月はコレで決まりですw

こんな本が出る何てまだこの世は捨てたモンじゃないですね。
加藤氏と出版社に乾杯。

投稿: ギムレット | 2008年11月 9日 (日) 09時38分

■ギムレット様
いや、僕はボツだと思ってません(笑)
これ以上のプレゼンテーションはないでしょう。同時に、これを見てガブリエルの商品化でなくとも、何がしか「やろう」と思えないとしたら、それは不幸なことです。
「アイデア」「コンセプト」という言葉が、すごく生きてるんですよね。

>こんな本が出る何てまだこの世は捨てたモンじゃないですね。

まったくですね。これはケータイコンテンツじゃ出来ないよ!と声を大にしたい(笑)
紙の力の偉大さを感じさせられましたね。特に1/12統一イラストなんてのは……
近頃は、どんな企画を持っていっても「ケータイでやれない?」ですから。

投稿: 廣田恵介 | 2008年11月 9日 (日) 16時49分

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