■くり返し くり返し その朝をこえて とぶ鳥■
今夜の『バトルスター・ギャラクティカ』は、『ガンダム』で言えばGMが出てきて、「おお、主役 ロボットに生産型があるのか! すっげえ!」の第29話に匹敵する回ですね。
先週、『ヤマト』ばりに泣かせておいて、今週はコレかい!――半年周期でオドロキが津波のように押し寄せていた80年代アニメの勢いを、番組一本でやっちゃってるのが『ギャラクティカ』です。
さて、どうやら10年ぶりにコミケに行くことになりそうだ。というのも、あるアニメの同人誌に寄稿しているからである。その同人誌の編集長(と呼ぶにふさわしい行動力とポリシー、決してへこたれないド根性を持った人)から、深夜に進捗具合を書いたメールの来るのが、日々の楽しみとなっている。
この同人誌には、プロのモデラーやイラストレーターも参加しているのだが、スタンスは飽くまでも「アマ」だし、ノー・ギャランティ、ノー・スポンサーだ。
最初は僕も、編集長の相談に「プロの場合は、こうする」とアドバイスしていたのだが、途中でアホらしくなってやめた。「プロのやり方が、常に正しいのか?」という気持ちになってしまったからだ。プロの方法論なんて、しょせんは時間とクオリティの最大公約数でしかない。ようするに赤字にならないように「見切れる」のがプロ。おそらく、それ以上にプロの条件はない。
(だから、締め切りを守れないライターなんてのは、問答無用でプロ失格。僕ごときがプロとして食えているのは、ひとえに締め切り厳守だからだ)
だけど、先日の「モケイ」の話にも通じるんだけど……人間には、死ぬまで描きつづける一枚の絵が必要なんだよね。なりふり構わず理想のビジョンを追求しないと、たぶん人間は生きていけない。英語で言うと「beyond」っていうの? 『ナウシカ』原作版でいうと「私達は 血を吐きつつ くり返し くり返し その朝を こえて とぶ鳥だ!」 つまり、向こう側へ越えて飛ぶためには、「ただのプロ」ではいられない時があるんです。
さっき言った同人誌の編集長のことで言うと、彼のデザインしてくるページは素晴らしくセンスいいんだけど、明らかに商業誌では通用しない。通用しちゃダメなんだよね。俺は最初、商業誌でも通用するよう、アレコレ言っていたんだよ。たかが、プロのぶんざいで。
ところが、いざプロという眼鏡を外した瞬間、もうそのページいっぱいに、南国の海のごとく、色とりどりの魚が生き生きと泳いでいるのが見えたわけだ!
僕は、かろうじてガレージキット(簡単に言うと、アマチュアのお手製プラモデル)の黎明期に参加できた人間だ。ガレージキットなんて、部品は足りない、欠陥パーツはある、「こんなの、作れないよ」って代物だった。そう簡単に作れちゃ、いけないんだよ。送り手と受け手の格闘技だったんだ、ガレージキット作りって。グラインダーでバリバリ削って、腕力で作っていたから(笑)。
ところが、商業の世界では腕力なんか使っちゃいけない。必要なのは「テクニック」であって。そこが、プロの世界の面白くてつまんないところじゃないだろうか。
自分のテクニックの使いどころ、使う方向は分かった。目標も見えている。そしたら、今度はまた、腕力の世界に帰るんですよ。その往還運動こそ、生命力そのものですよ。自分だけの珊瑚礁を探し当てて、その美しさに打ち震えたいんだよ、俺は。
……もちろん、腕力を使うためには、普段いっぱい仕事しなきゃいけないんだけどね。もう先月・今月と狂ったように働いているから、AOK(オールオーケー)だと思う。
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