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2008年11月15日 (土)

■谷村美月は、風に吹かれている■

EX大衆 12月号 発売中
Ex_taishu_08_12
●愛ドルのリコーダー 第11回 末永佳子
●原紗央莉 「予感」
●山本梓 「とび
っきりの笑顔。」

それぞれ、ポエム執筆です。今回は、かなり恥ずかしいポエムが書けた!と胸をはって言えます。
ところで、もう一個のブログでも言ってることですが、編集者がグラビアページに付けるタイトルが、実に詩的で良いですよ。手元にあるバックナンバーをめくると「華の予感」「洋館より愛を込めて」「美女は二度微笑う」「背徳のシネマ」「美女と鏡とスーパーカー」などなど……その場かぎりのアイデアなんだけど、だからこそセンスが問われる。こういう瑣末な部分を楽しめなきゃな。

ようやく、リビドーに従った映画鑑賞のできる時間が出来た。谷村美月めあてで『魍魎の匣』。監督は原田眞人なので、話の難解さとスマートなカット割りも楽しむべし。
しかし、今回も谷村は、ひっでぇ目に合っている。子供が見たら、泣いちゃうような姿で出てくる。だけど、この役は「誰かが」やらなきゃならないんだ。それを買って出て、次の映画では何事もなかったかのように、ニッコリ笑う。谷村美月は、風に吹かれている。彼女は、誰にも守られちゃいないんだ。
この映画では、田中麗奈のチャキチャキぶりが光っている。先日、10年ぶりに『がんばっていきまっしょい』を見たけど、この人は何をやってもカラッとしている。反面、谷村美月の081115_15310001ウェットなこと。不幸をしょいこんだ役なら、右に出るものなし。それなのに、いまだに「美月ちゃん、かわいい!」などと見当違いの誉められ方をしてしまう……それも不幸。だけど、誰かがジメジメした人間の暗部に踏み込まねばならない。映画というメディアが、それを要求しつづける。谷村は、命綱さえつけずに最深部へ挑む。その勇気に見合った賞賛が得られているとは、とても思えない。そんなこと、本人も気にしていないかも知れない。ウェットだけど、ワイルドだ。やっぱり、好きな女優だ。

「人間の機能をすべて再現した機械をつくろうとすると、ビルディングぐらいの大きさになってしまう」……確か、子供向けの科学雑誌に出てきた記述だ。エド・レジスの名著『不死テクノロジー』にも通じる、その倒錯した着想に、目眩を感じたものだった。その目眩を、原作の『魍魎の匣』からは、かすかに嗅ぎとることが出来た。
一人の少女を生かしておくために、途方もない大きさの建造物が必要である――耽美主義は、つねに絶望、諦念、感傷と隣りあわせだ。しかし、原作も映画も、そこまで踏み込むことは出来なかったように思う。耽美主義は個人を幸せにするかも知れないけど、大勢を幸せにするわけじゃないからなあ(笑)。

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