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2008年11月 7日 (金)

■妄想の成果物■

先日の『ポケットの中の戦争』につづき、「資料」と称してストリーミング配信で『第08MS小隊』を見る。何はともあれ、飯田馬之介さんが監督にバトンタッチした後半。1999年発行の「アニメ批評」で飯田監督にインタビューすることになり、あわてて最終巻を借りて見て以来……だと思う。
宮崎駿の弟子である飯田監督らしく、後半は王子に成長したシローが、アプサラス城からアイナ姫を助け出すストーリーに仕上がっていると思う。ただ、こういう古典的な物語は周囲の俗人たちが魅力的でないと、なかなか入り込みづらい。

それはさておき、ひさびさに見返してギョッとしたのは第10話のグフ戦。
シロー機がマシンガンを撃つと、手前にある電線を一緒に撃ってしまい、青い火花が散る。何かこう、エロい描写が続出するな……と。
081106_04560001「エロい」というのは、巨大ロボット兵器なんていう事実無根のフェティッシュな嗜好物を、あの手この手で「あるように」見せているから。
失神したシロー機の復活後、グフがヒートロッドを伸ばすと、ヒョイと避けられてしまう。「なんだよ、避けられたじゃん?」と思っていると、実はヒートロッドは一度捨てたヒート剣を拾うために伸ばしていた!……フェイントというか、もう「焦らし」ですよ、この演出テクなんて。エロいよなあ。
とにかく、手練手管というか、よくこんな色々な見せ方を思いつくなあ、と呆れるやら感心するやら。
飯田監督は『デビルマン 妖鳥死麗濡編』も監督していたけど、あれは押井守監督が「エロい」と嫉妬まじりに評価していたと思う。『08小隊』第10話の絵コンテも、飯田監督本人だ。どうも「カッコいい」と「エロい」は、同じ快楽神経のツボを押しているような気がする。

何度も『08小隊』を例にあげて悪いんだけど、アプサラスが最終話でビームを小出しにしたり最081106_05320001大出力で撃ったり、あれこれする。いろいろ考えるわけですよ、眼で見て楽しめるように。
「ここでシールドが溶けたら、ちょっと良くね? こんなアングルで、じわーって溶けたら、たまんなくね?」って、ニタニタしながらコンテ切ったんじゃないかな……。ようは「コレがこうなったら、すごくイイよね」という単純明快な快楽原則でつくられた妄想の成果物は、どうしてもエロティックになってしまうんじゃないだろうか。

公開中の『その日のまえに』だけど、どうも戸惑っている人が多い様子。メチャクチャなのが好きな人は楽しんでいる。お客さんの反応まで『ポニョ』と変わらないので、愉快だ。
いま、寝る前にちょこちょこ『廃市』見てるけど、これだって十分に変な演出やってるんだよね。

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