■ワインが飲みたい ただそれだけ■
月刊モデルグラフィックス 2009年1月号 発売中
●「VF世代の四半世紀」 執筆
模型誌、しかもMGに『マクロス』のことが書ける!というので、他の仕事をすべてストップして、土日だけで書き上げた1万字です。
最大の資料は、当時のアニメ誌だったりするので、友人が古本屋に走って記述に間違いがないか確かめてくれました。
記事の中では明確に書いてないけど、当時のアニメファンには高等意識があったと思う。だから、通俗性まる出しの『マクロス』に腹を立てたのだろう。その一種の「下品さ」が劇場版で脱臭され、『マクロス』は「認められた」んだろうけど、そのプロセスが、どうも釈然としない。その気分が、誌面に出ているだろうか。
TSUTAYAが半額セールだったので、永作博美目当てで『気球クラブ、その後』。どういうわけか、全編ビデオ撮影。公開時はキネコしたものを上映したらしい。
永作の扱いは、なかなか良かった。永作がらみのエピローグは、あとから大幅に撮り足したものだそうだ。このエピローグがなかったら……ただ若者が携帯電話で無作法にくっちゃべり、だらしなく酒宴を催すだけの不愉快な映画じゃないか?と思っていたら、エンドクレジットに「脚本・監督 園子温」と出て、納得した。
園子温監督が、まだPFF周辺で映画を撮っていた頃、「俺」と書いた旗を持って街中を走り回る映画があった。あの旗が、今回は気球になったのか。作家の業なり癖なりを知ってしまうと、もうそれで許す気になってしまう。
まったく話は変わるが、ムーンライダーズとアニメ音楽といえば、『東京ゴッドファーザーズ』を思い出す人が多いと思う。しかし、ライダーズのメンバー個別で見ると、かしぶち哲郎が『ポケットの中の戦争』の劇伴をやっていたり、なかなか油断できない。
岡田徹でいうと、何といっても吉浦康裕監督『ペイル・コクーン』。
この挿入歌は、確か版権の問題でCD化できないと聞いた。僕が好んで使う「星が眠りにつく頃」というフレーズは、実はこの曲から拝借している。
岡田徹といえば、ゲーム『クラッシュ・バンディクー』のCMソングを担当していて、これがフルコーラスで聴くと、かなりイイ。発作的にCDを買ってしまった。
鈴木慶一のCMソングはかなり多いけど、キッコーマンのマンズ・ヌーヴェレールの「ワインが飲みたい ただそれだけ~」は、確かアルバム「CM WORKS」にも入っていなかったと思う。僕のノスタルジアを刺激するのは、意外と90年代初頭ごろに聞いていた曲であって、数少ない友人と共有できた聴覚の記憶である。
個人的体験に細分化されればされるほど、限りなくノスタルジア濃度は強まる。人に話しても分かってもらえないような経験こそが、実は最も「懐かしい」のである。
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