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2008年10月22日 (水)

■The Bad News Bears■

ある企画のため、ひさしぶりに『がんばれ!ベアーズ』を鑑賞。
Bad_news_bears僕が中年になったせいか、ダメ監督のバターメーカー(ウォルター・マッソー)の気持ちが痛いほど分かるのだが、ひょっとしたら、これはバターメーカーと天才投手のアマンダ(テイタム・オニール)の、年齢差をこえた恋愛すら描いているのでは……とかんぐりたくなった。
バターメーカーは、アマンダの母親との結婚話が持ち上がった二年前、「俺に家庭は似合わない」と言い訳して失踪しているという設定だ。このアマンダの母親が、映画の最後まで出てこないため、ずっと「?」と思っていた。
アマンダは、母親とバターメーカーの仲を取り持とうと懸命になる。
「明日の決勝戦には、お母さんを呼んであるのよ。試合が終わったら、三人で食事に行って、そのあと映画に行こう」
ところが、バターメーカーはこの提案を断る。すると、アマンダは「じゃあ、私たち二人でもいい」と食い下がる。なぜ二人なのだろうか。アマンダは母親とバターメーカーをくっつけたいはずだったのに?
この会話が決裂したあと、二人は離れたところで涙を流す。そして、試合に来ているはずのアマンダの母親は、とうとう最後まで物語に登場しない。だから、アマンダとバターメーカーの恋愛話に見えてしまう。おそらくこれは、バターメーカーと同年齢の母親が出てきて二人が結ばれてしまうと、あまりに映画が生々しくなってしまう――つまり、凡庸なところに落ち着いてしまうため、アマンダという「依り代」を使ったのではいないだろうか。
ようするに、テイタム・オニールはアマンダという少女を演じながら、その母親役をも同時に演じていたわけである。

『ペーパー・ムーン』のおかげで天才子役ともてはやされたテイタム・オニールだが、この映画では、いじめられっ子のルーパス(クィン・スミス)がいい……って、少年ですが。陰気な瞳が、とても愛らしい。いや、少年なんだけど。
それはさておき、以前にも書いたように、この映画には日曜日しか出てこない。平日の学校のシーンなんて皆無なんだ。そんなものは、描くに値しないと言わんばかり。明朗快活なエンターテイメントの割に、かなり極端な美意識に貫かれた映画で、だから30年も好きでいられるのかな、と思う。

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