■大人はわかってくれない■
新宿西口地下で待ち合わせたら、「崖の上のポニョ展」やってた。 「展」というか、広場の支柱に場面写がぺたぺた貼ってあるだけ。でも、これがなかなか綺麗。うっとり見とれてしまう41歳。ラジオ『ジブリ汗まみれ』で、押井守監督が「映画の体を成していない」と言っていたけど、それは映画の形式・様式にこだわる押井さんの発言だから、まだ耳を傾ける価値があるのであってね。
「形式も様式も知ったことか」という作品が『ポニョ』だと思うので、押井さんもずいぶんと的外れな指摘をする(もちろん押井さんの発言だから面白いんだけど)。『ポニョ』は映画じゃないんだよ。たまたま映画館で上映されている、「ポニョという表現」でしかない。みんな、「映画」という枠組みは壊れない、壊しちゃいけないと思っている。でも、人間、何をするか分からない。何が起きるか分からないから、生きていく価値もあるんだよ。
そうそう、『マクロスF』。あのハッピーだった第12話以降、忍耐に忍耐を重ねて見ている。他でもない河森作品、お世話になっているサテライト作品だから、最後まで付き合うけど……それは義理ですね。
大統領を銃で撃って、その場に死体を放置、誰も何の調査もせず、犯人が「私が全権を掌握した」って、それが通用するなら、もう何でもどうとでもなる。この番組の対象が中学生で、俺が中学生だったら「バカにすんな」って怒ってるよ。そんなもん、シナリオ(を尺に合わせて進行させるため)の都合でしかないじゃないか。犯人が「大統領はバジュラに殺された」とウソを言っても、死体を調べれば弾丸が出てくるはずでしょ。どうして誰も調査しないんだろう。大人げないとは思うんだけど、声優さんやCGスタッフの頑張りに対して、この杜撰さはないぜ。
そもそも、少年少女を犠牲にしても構わない、と考える大人を、少年少女向けのアニメに出したらイカンでしょ。そんな大人は、アニメに出す前に、作り手の中で殺しておいて欲しい。アニメに出してから悪さをさせて、何か言った気にならないで欲しい。「大人は堕落してるけど、若いキミたちは頑張れるよね」って、大人が言ったらダメなんです。
スターになるのは厳しいけど、悪党になるのは楽チンな世界を描いて何になるんだろう。
この作品には参加してないけど、板野一郎さんは『メガゾーン23』に参加した時、「大人は汚い」と言いながら絵を描いていたそうです。それを本気で言える人がつくったから、あの作品からはパッションが失われない。永遠に若い。
若者より、大人の描き方のほうが難しいんだな、と思う。大人に理想を託せるのか、それとも諦めているのか、露骨に出てしまうから。若いヤツに理想を押し付けるのは、一番ラクなんだ。「お前らより、俺たちオッサンの方がすごいよ」と言えなくなったら、大人が生きてる意味なんてないよ。
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