■アクビの魔力■
『空の境界 伽藍の堂』 パンフレット
●メイキング・ページ 構成・執筆
折り返し点、第四章(よくクビにならずに続けさせてもらえたなー)。なんと、監督と作監を兼ねた滝口禎一さんが自ら描いたカット……と、こういう情報は一番最後に分かったりするのだが、なんと8枚もセルを重ねてある。「凝った作画」=「動きの派手なカット」と考えがちだが、そんな単純なものじゃないんだ、と勉強になった。
ところで今、『アクビガール』を毎日見ている。『よばれてとびでて! アクビちゃん』じゃなくて、金田朋子さんが声をやっている5分番組。たまたま見ていて、「あれ? この声、金朋さんじゃないの?」と思ってから、もう一日に一度は見ないと気がすまない。別に熱烈な金朋さんのファンじゃないけど、この人が出ていると、たいていのアニメは許せる。
「たまたま見ていて」というのは実はウソで、「日経キャラクターズ!」の取材で「今、タツノコアニメのグッズが若い女性に人気」というのがあったんだ。商品開発担当者(男性)がノリノリで。おっさんをもトリコじかけにするアクビの魔力。それを確かめたかった。
『アクビガール』は、まず背景の絵がいい。ファンシー。脳裏に「ジュニアそれいゆ」という誌名が浮かんだが、それは古すぎる。俺、『キャンディ・キャンディ』が好きで「なかよし」買っていたから、そっちの乙女回路が作動したんだろうな。
あと、ストーリーがないところがいい。主題歌で数十秒、アクビの決め台詞で20秒近くとられるから、物語は抽象的にならざるを得ない。原画マンは一人らしいのだが、作監はいる。制作進行は3人もいる。クレジットの都合でそうなっているんだろうけど、気になるよね。
金朋さんには二回インタビューしたことがあって、二度目は10人ぐらいの声優さんに面接形式で話を聞いたんだけど、金朋さんは一番最後にしてもらったんだ。話が長いから(笑)。
それはともかく、『アクビガール』って批評眼を持って見ることのできないアニメなんだ。なぜなら、短すぎて批評眼を持つ前に終わってしまうから(笑)。もちろん、このアニメを見て得るものなんかひとつもない。何かを「得る」というのは消耗することでもある(先日、『コードギアス』を見ていてマジ泣きしてしまったんだけど、それを消耗と言わずして何という。感動とは消耗である)。『アクビ』は見ていても消耗しないわけだから、癒される一方だよ。そういう卑怯かつ甘美な関係って成立しうるんだな、と不意に思い出した。恋愛もそうだし、子供の頃って過剰に得したり損したりするよね。
ところが、ある程度の歳になると物語(作品)にギブ・アンド・テイクを求めるようになる。例えば二時間の映画を見せるなら、ちょっとは笑わせてくれ、泣かせてくれ。分厚い本を読ませるんだから、せめて知識欲は満足させてくれ、とか。
『アクビガール』は、そんな大人のルールから逸脱している。綺麗、かわいい、笑える。こちらがギブするものは何もない。ソフト・ドラッグみたいなアニメだ。なんか不安になってきたので、社会性・宗教観・倫理観がとことん試される『ギャラクティカ』でも見よう。『ギャラクティカ』は、面白い代わりに疲れるからな。
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コメント
いつも見方の角度が、私にはまったくない方向からだなぁと思います!
じゅにあそれいゆ・・・なぜか知ってます(笑)
ファンシー、ぴったりですね~♪
投稿: yuki | 2008年6月 5日 (木) 20時38分
■yuki様
『アクビガール』は普通に誰が見ても可愛いし、和めると思いますよ。グッズもどれもセンスいいですし。
ただ、俺の見方がどうかしているのかも知れません。
>じゅにあそれいゆ・・・なぜか知ってます(笑)
あなたの生まれる前に、なくなっている雑誌だと思うけどなぁ……(笑)
投稿: 廣田恵介 | 2008年6月 5日 (木) 21時07分