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2008年5月21日 (水)

■リスクヘッジはしません■

別冊アニカンR 005号 発売中 
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●巻頭マクロスF特集、いろいろ執筆
中島愛さんインタビュー、葛西励プロデューサー(と八木下浩史CGIディレクター)インタビュー、マクロスヒストリーなど。クラン・クランの乗る「クァドラン・レア」は、脚本段階では「クァドラン・ローγ(ガンマ)」だったんだけど、それが誌面で直ってるかどうかは、見本誌が手元にないので分からない。意外に、こういうのはアフレコ時に変わったりするんだよね(この場合は分からないけど、脚本やコンテ通りとは限らない)。
この別冊アニカンR、公式サイトに情報が載っていてちょっとビックリ。しかも、Amazonでは売り切れ。それで俺のところに献本がないんだろうか。

先日は押井監督のインタビュー起こしだったけど、今日は富野由悠季監督の起こし。かなり変な質問をしている。これはかなり異色インタビューだし、互換性がない(他誌には載せられない)という意味では、非常に面白い。
それで、話の流れで思い出したんだけど、俺は『ターンエーガンダム』の時、富野監督にファンレターを出したんだった。ライターとしては新人だったから、インタビューのチャンスなんてないと思って、手書きで感想を書いたら、ちゃんと返事が来たよ。
河森正治さんもそう。『地球少女アルジュナ』放送中に手紙を出した。一度だけお会いしたことはあったけど、住所なんて分からないから「サテライト気付」で出したはず。富野監督も「サンライズ気付」で出したら、ちゃんと届いた。
何が言いたいのかっていうと、「マクロスFの作画が崩れていて、嫌だな」と思ったら、手紙出すぐらいすればいいじゃん。ネットに書いて、スタッフが見てくれるの待ってるのかよ。メールは担当者が読んで終わりかも知れないけど、手紙は届く。別に、もう死んじゃった監督に手紙出すわけじゃないんだからさ。

ネットっていうのは怒りをバーチャルにして吸収する。書いたら、割とあっさり溜飲が下がるシステムになっている。「相手に矛先を向ける」というリスクを、極限まで回避できる。リスクを負わない発言には、説得力が伴わないというのに。
安全な場所から、自分の嫌な相手を狙撃できるようなシステムになってる。作画崩壊なら作画崩壊で、ネットのどこかにそう書けば、何か言った気になれる。それは、豆鉄砲で届かない弾を撃っただけなんだけど……「あっ、届かないんだ」って気がついた瞬間、もっと空しいでしょって。空しくないはずがないんだよ。
僕なんか、あちこちインタビューしている割に人と会うのが苦手です。いまだに取材先で汗が出たり、声が小さくなったりする。でも、それでも会話は成立する。何でかというと、こっちは「他人が苦手」というリスクをしょってるから。
思わぬところに話が転がったけど、話すのが苦手だからといって、僕は「人に会わない」というリスクヘッジはしません。会いつづけます。痛みのない人生は、しょせんまやかしだから。

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コメント

自分という存在を相手に感じてもらうためには、昔から体温を感じてもらえる距離でアプローチし続けるより方法が無いんですよね。
だから、『理解してもらえないんだ』と内に引きこもるのはオススメできない。

ネット社会の功か罪か、無名の人間でもメール1本から仕事を始められちゃうのは正直ありがたいのですが、反面それでいいのかなと思う時も有ります。

以前の仕事では、原画家やグラフィッカーはネットで仕事が完結する場合もありましたが、それは彼らが完成させた仕事が体温を持っていたから。

そういう媒介が無い仕事はちゃんとしていれば進めていくうちに、どちらからとも無く、『じゃあ会いましょう』となる。
それは自然の流れでもありますが、大変貴重な事でもあります。

投稿: てぃるとろん | 2008年5月21日 (水) 04時05分

■てぃるとろん様
まったく仰るとおりですね。
ネットに関しては「半信半疑」という言葉がピタリときます。
かなり甘えている部分もあるけど、全面的な信頼は出来ない。

昔のホビージャパンを読んでいたら、読者交流コーナーなんて、名前・住所がそのまんま書いてある。あの欄に「プラモ売ります」とか投書すると、いきなり知らない人から電話がかかってくるんですよ(笑)。
もちろん、そういう時代にもペテン師はいたんですけど、ネットよりはマシだぜ、と僕は言えてしまう。

ネットで得られたものもあるんですけど、それは間違っても人間関係じゃありません。

投稿: 廣田恵介 | 2008年5月21日 (水) 06時56分

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