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2008年4月 7日 (月)

■クローバーフィールド■

月刊『創』 5月号 発売中
Tsukuru_05
●「まさかの実写映画化」を原作者に訊く
『デトロイト・メタル・シティ』の起点 若杉公徳
●「怪作」マンガ作者ロングインタビュー
『鈴木先生』と「文芸漫画」の看板 武富健治

それぞれ、若杉先生と武富先生のインタビューです。『デトロイト~』の方は、映画を企画した川村元気さんにも話を聞きました。最初にこの漫画特集の相談が来たとき「『鈴木先生』と『デトロイト』、あと『アオイホノオ』!」と即答したのですが、『アオイホノオ』は編集部が取材しちゃったようです。ちょっと残念だけど、あの漫画が世に広まるのは、絶対いいことだと思う。

さて、先週末、『クローバーフィールド』鑑賞。最初の10分ぐらいは手持ちカメラのあまりの下手さ(そういう演出なんだけど)にイライラするけど、伊福部昭オマージュのエンディング曲が流れる頃には、もう何もかもオッケー。これは凄い。気が狂ってる。こんな映画、見たことない。フェイク・ドキュメンタリーとしては『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に似た手法なんだけど、もう画面の向こうで起きている出来事の不条理さ、不可解さが度を越している。
上映後、飲み屋で友だちが「9.11を、こういうエンターテイメントに消化できるまで、アメリカの傷は癒えたんだろうか」と言っていたけど、俺は違うと思った。9.11のワケの分からなさは、こういう暴力的な映像で殴り書きするしかない。この映画には、意味もなければテーマもない。劇映画が、演劇や文学から拝借してきた方法論は、ほとんど無視されている。ルイ・リュミエールの『列車の到着』に最も近いような気がする。生の映像をただ観客の前に放り出す、という意味では。それだけ、映画の始原に近い映画。
こういう、たった一人で風に吹かれているようなフィルムが好きだ。

ただ、映画を観る、という体験は、内容がどんなに強烈であっても、また元の地点に戻っ080405_19100001 てくるような空しさがある。特に、友だちと観に行くとそういう感覚がある。それはやっぱり、「娯楽」というプログラムに映画を組み込んだからだろう。もちろん、『クローバーフィールド』を観る前の自分たちには、もう戻れないんだけど。
この日は、いつものメンツに加えて、小~中学校時代に同級だった女の子が飲みの席に加わった。地元の居酒屋に河岸をかえ、夜中2時まで彼女の話をえんえんと聞いていた。味わい深い夜。

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コメント

あ、しまった。廣田さんもリュミエールを引き合いに出してますね。

ぼくもmixiの日記ではリュミエールと書くしかなかったわけです。

あの体験を経たことで生まれた種火はなかなか消えないのでしょうね。

投稿: BAOH!! | 2008年4月 7日 (月) 06時04分

■BAOH!!様
おっ、そうなんですか。後ほど、日記読みに行きます。
9.11を材にとった映画はいくつかありますが、『クローバーフィールド』が最も誠実な気がしたんですよ。得たいの知れない体験は、得たいの知れないまま見せるしかないじゃないか、とでも言えばいいのか……

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月 7日 (月) 14時26分

はじめまして(コメントはという意味で)。映画としては、批判的な意見も多いようですけど、さも自分が参加しているような錯覚に陥れられてしまうあの手法による映像は、アトラクション(怪獣遭遇体感物)としては最高なのでは? なんて思いました。

投稿: keyteatoys | 2008年4月 7日 (月) 19時32分

■keyteatoys様
はじめまして、コメントありがとうございます。
なんか、ラストで怒って帰っちゃった人もいたらしいのですが(笑)、ストーリーを追うと腹が立つのかも知れませんね。
ありきたりな言い方ですが、理性を吹っ飛ばす映像体験だったと思います。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月 7日 (月) 21時03分

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