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2008年4月21日 (月)

■緑の黒髪■

しばらくぶりに、CDを買った。
080420_18150001「タイクツなのかマイナスなのか あの世も何も変わりはしないよ」「あきらめなんかじゃない、これが19で覚えたジョークなんだ」とフルカワミキは歌う。この無責任さ、軽さと若さに嫉妬を感じながら聞く、苦い曲。

『マクロスF』と『ガンダム』の仕事を同時進行している。特に『マクロスF』は声優さんにインタビューしたばかりのせいか、「なんで、ランカ・リーのようなお転婆なキャラクターに神秘性を感じるのか」気になった。回を追うごとに謎が深まるのは、果たしてシナリオがそうなっているから、だけなのか?
安易な回答をメモ的に記すと、緑色の髪。これは彼女がゼントラーディ人のクォーターだからなんだけど、『マクロス』だけ見てればその説明だけで終わってしまうよね。でも、今やってる『コードギアス』にもC.C.っていう、緑髪の謎だらけのヒロインが出てくるじゃないですか。すると、もうゼントラーディ人だからとか何だとかいう問題じゃなく収まらなくなってくる。
『ガンダム00』に、そういう神秘的ヒロインはいなかったのかな?と思い出してみると、リボンズという少年が緑髪じゃないですか。「神秘キャラ=緑髪」ってことになりはしないか?

『アニメヒロイン画報』などを調べてみると(10年前の本だが)、意外に緑髪のヒロインというのは少ない。『バイファム』のカチュアぐらい。カチュアは仲間の中で唯一、異星人だった。最近だと、『エウレカセブン』のエウレカも同じような淡い緑の髪をしていたよね。なんとなく、ラインが繋がってきたような気がする。
さらに、『空想美少女大百科』(これも10年前の本)をめくっていて気がついたのが、『To Heart』のマルチ。このキャラは、ロボットだからね。明らかに「人ならざるもの」のアイコンとして緑髪を用いている。つまり、「その作品世界のエッジに属するキャラは、髪の色がグリーン系なのではないか」。そう思い込んで類例を調べていくと、どんどん例外が見つかって、自分の思い込みが破壊されていくんだけどね。
でも、「ランカは、ゼントラーディ人の血が入ってるから髪が緑色なんです」というのは、何の説明にもなっていない。それは膨大にあるアニメ作品の中から『マクロスF』を隔離しただけ。

いくつかの作品を並べて横から切らないと、ひとつの作品をすら見ることが出来ないんじゃないか。ここんとこ、どんな退屈でも谷村美月の出ている映画をしらみつぶしに見ているんだけど、そうしないと谷村って女優が分からないんじゃないかって恐怖心があるから。好きになった対象を、理解できないのが怖い。
だから、ランカ・リーが神秘的なのは、キャラクターの配置上そうなっているからではなくて、アニメの中で「緑」って色が異質だから。あるブログを見たら、「海外アニメの中で毒薬といえば緑色」と書いてあったよ。そういう異質な情報が入ると、対象が横からスライスされていくよね。それが「ものを見る」ということじゃないかと思う。

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コメント

いつも楽しく拝読させていただいています。緑色の髪のキャラクターというと、女性キャラではないですが、『海のトリトン』の主人公トリトンも髪の毛は緑色という設定だということを思い出しました。

投稿: new | 2008年4月21日 (月) 08時09分

■new様
コメントありがとうございます。『海のトリトン』、仰るとおりですね。あれはかなり意識して緑色にしているんでしょうね。
トリトンも人類ではありませんからね。意外と緑髪のルーツかも知れません。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月21日 (月) 13時16分

連投失礼します。すみません、決定的なものを忘れていました。1948年に「緑色の髪の少年」という反戦映画が存在するのを思い出しました。
http://www.cinema-today.net/0504/25p.html
この映画における「緑色の髪」は違和感の象徴みたいなもののようですので、ルーツとしては今まで出てきた中ではこれが一番はじめにありそうです。

投稿: new | 2008年4月21日 (月) 15時40分

■new様
お見事です。タイトルに聞き覚えがあるだけで、まったく知らない映画です。いや、これは勉強になりましたね。実写とは考えも及びませんでした。

ちなみに、先ほど制作元へ行ったついでにランカの髪の色について尋ねてみましたが、やはり「ゼントラーディだから」とのことでした。
そりゃそうだよね……(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月21日 (月) 18時03分

決定的なのはメガゾーン23Part1の由唯とPart2のイヴの髪の色ではないでしょうか(ここでもメガゾーンか?w)

ま、由唯は今現在から900年後の日本人なので何か遺伝子的な革変があったのかもしれない。
智美のオレンジ色の髪だって。

2のイヴはあんなリアルなキャラクターの中での緑色の髪。
でもトラッシュ達の頭がハデだから目立たない。


>「ゼントラーディだから」
ちゃんと答えが用意されてるのがマクロスですねぇ。
メガゾーンの答えは「アニメだから」になっちゃいますしw

投稿: ギムレット | 2008年4月21日 (月) 20時59分

■ギムレット様
イヴのことは、ちょっと書こうと思ったんですけどね。由唯に関して言うと、あれはギャルゲーの走りというか……後々ギャルゲーが流行った時と同じで、複数のヒロインを用意する時、「緑」という選択は、どうしても出てこざるを得ないんでしょう。
そういう流れを鑑みると、緑髪なんだけど普通のヒロイン、というのは90年代以降は結構出てきます。

「ゼントラーディだから緑なんだよね」というのは理屈でしかなくて、受け手の印象はもっと自由じゃないと困る、と僕は思うんですよ。「アニメを見る」行為が答え合わせになってしまうと、つまんないですから。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月21日 (月) 21時36分

何個かの文を読ませてもらいましたが、
理屈っぽい論理展開に一つとして賛同出来ない。
貴方の持論を書く場であるので、どうでもいい事なのですが。

ただ、なんとなく。

投稿: 感傷 | 2008年4月22日 (火) 22時43分

■感傷さま
じっくり読んでくださって、ありがとうございました。
ネットに何か書く以上、「どうでもいい」とは思いませんけどね……。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月23日 (水) 01時25分

 テラセンセ、こにゃにゃちわ~♪

 ミドリ、神秘キャラ=緑髪、みたいな印象、受けますよね。あたかも、我々の遺伝子レベルでのそうさせるような。

 身近なところで言うと、同じ異性人キャラといえば「ラムちゃん」も緑ですね、当時的にはショッキングな選択だったような気がしますが。


 ところで『マクロスF』、初代をトレースしたり、第四話の「リン・ミンメイ」みたく閉じ込められる状況を長く見せるのかと思いきや、あっさりと終わってしまったり、なかなか押し引きで魅せてますね。
 主題曲がちょっと残念、いまいちパンチにかけるように感じちゃいました。(最近ファンになった)真綾さんの良さもあんまり出ていないような、また『アクエリオン』のようにアニメ主題歌以上の結果を期待しすぎちゃったのかもしれませんが。もち、何度も聴くとさすが菅野さん、いい曲なんですが。
ループみたいな曲が聴きたかった。。。あ、これは菅野さんじゃないけど…

投稿: きゃてぃーなかぢま | 2008年4月25日 (金) 01時03分

■きゃてぃーなかじま様
ラムちゃんは、原作では何色ともいえない髪の色だったんですよね。アニメにする時、「緑色」という選択が出てきたのには、やっぱり何か理由があるんじゃないかという気がしますね。止まった絵とかイラストでは、緑髪ってそんなに不自然じゃないんですよ。

>『マクロスF』

主題歌も含めて、両方の意味で裏切られている部分もあり、ノセられているような部分もあり……ですね(笑)。
もちろん応援はしてるんですけど、なんか違和感もあるんですよ。その違和感があるから、また惹かれたりして……という(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月25日 (金) 05時03分

こんにちは。
既にトリトンが出ていますが、緑の髪の少年と言えばやはり「超人ロック」ではないか、ともうじき不惑の人間としては思うのです。あとは「グリーンレクイエム」もそうですね。

投稿: 臨川庵 | 2008年4月26日 (土) 05時42分

■臨川庵さま
こんにちは、コメントありがとうございます。
どんどん話が古くなっていって面白いですね(笑)。『超人ロック』は確か「月刊OUT」の表紙で知ったような気がします。鮮烈な緑髪だったことも、ちゃんと覚えていますが、言われるまで忘れてました。

『グリーンレクイエム』は、今関あきよし監督の実写版は観ました。つまり、映像になると特異性が生じるというのは、何か理由があると思うんですよ。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月26日 (土) 06時18分

テラセンセ、コニャバンワ♥
てっきり、坂本真綾さんネタでからんでくると思ってましたが。。。
確かグレメカ誌上で、坂本真綾のファンであることを強く公言されてたような気がしますが

 いいんですよ、我慢しないで、好きなら好きといえば!

投稿: きゃてぃーなかぢま | 2008年4月29日 (火) 02時54分

■きゃてぃーなかぢま様
その時のグレメカって、確か『ガンダムSEED DESTINY』の号でしたよね?
私は、声優としての真綾さんがちょっと好きという程度で(洋画の吹き替えでも、真綾さんが出ていると嬉しい)、歌の方はまったく追いかけてません。
歌手としてのファンだったら、濃い人がもっといっぱい居るでしょうしね。

投稿: 廣田恵介 | 2008年4月29日 (火) 04時16分

>>テラセンセ
 そうそう、そのグレメカですぅ。
 ちょっと好きって感じですかね、あの勢い。すごく好きっ手言う感じですよ!

 音楽についてはあんまり書かないですよね、テラセンセは。かな?

投稿: きゃてぃーなかぢま | 2008年5月 1日 (木) 00時34分

■きゃてぃーなかぢま様
音楽については、自分の頭の中に「音楽の地図」がないから書かないのです。

投稿: 廣田恵介 | 2008年5月 1日 (木) 02時03分

>>テラ先生へ
 私的な表現ですな、「音楽の地図がない」。。。。!
 先生の「音楽が世界を救うんじゃない 音楽に救われた君が世界を救うんだ! 」というキャッチ、私のMySpaceで使わせて頂いております、てっきり音楽にも強烈なこだわりを持ってらっしゃるのかと思ってましたが-

投稿: きゃてぃーなかぢま | 2008年5月 3日 (土) 01時09分

■きゃてぃーなかぢま様
「音楽に救われた君が~」というコピーは、ヴィレッジヴァンガードの店頭ポップなんです。僕の言葉じゃなかったり。
音楽については、近いうちにこのブログで書くかも知れません。

投稿: 廣田恵介 | 2008年5月 3日 (土) 02時35分

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