■酔いつぶれるように、映画を観たい■
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●記事4本 取材・執筆
風香さんのテトリス勝負、剣伎衆かむゐのYouTube撮影、小阪由佳さんのネットカフェ体験レポ、あとはブログ発マンガのレビューを書きました。微妙に統一性に欠けた取材を一冊の雑誌でやったわけですが、編集さんがページのイメージをガッチリ固めてくれたので、非常に楽ではありました。
さて、またもや映画『好きだ、』の話。公式サイトを見たら、告白用掲示板なんかがある。キモ。そういう映画として売り出すしかなかったのも分かるけどね。観た人のレビューを読むと、野波麻帆と永作博美の偉大なる飲みっぷりに満足したのは俺ぐらいなものだった。みんな「テーマが……」「ストーリーが……」って、映画観てそんなことばっか考えてんの? 映画は、自分の観たいところだけ観ればいい。その「自分だけの」って部分をさらすのが、みんな怖いのかも知れないね。
『好きだ、』は、断然、後半がいい。酒と女がメインだから。野波麻帆を酔いつぶらせた上、永作博美にビールと日本酒とウィスキーを飲ませるとは、くどい(笑)。結局、夜の街とか、アルコールにぶちのめされたような明け方が好きなんだよな……監督じゃなくて、俺が、だけど。
実体験とフィクションは、どちらが先に立つでもなく、寄り合わされて成立するのだと思う。もし俺が「酒と女」に対する愛情を40年かけてはぐくんでこなければ、『好きだ、』の後半シーンは全く価値を持たなかっただろう。
夜と酒は、昼間のルールを無効化させる。夜と酒は、真空の時間を生み出す。そのあぶくの中でしか語れないものが、男と女の間には、あまりに多い。
そして朝がくれば、僕らは何ごともなかったかのように時計のネジを巻きなおすのである。映画に必ず終わりがあるように、朝は必ずやってくる。
ずぶ濡れの猫のような気持ちで朝を迎えるのが好きだ。しらふで観ていたというのに、『好きだ、』を観終わった僕の脳には、しっとりとアルコールが染みわたっていた。このDVDをTSUTAYAに返すのが惜しい。もうしばらく酩酊していたい……。
ずいぶんとデタラメを書いたけど、つまり映画というものは、自分に都合のいいようにカスタマイズして観た方がいいってことだ。(というよりも、自分用にカスタマイズせずにフィクションに接することなど可能なのだろうか?)
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