■左手に凶器を■
今、これ↓にハマっている。
仕事中も、ずーっと聞いている。アイマスは前から、「なんかいいな」と思っていた。トレーディングフィギュアを買うぐらい、気にはなっていた。だが、決定打は楽曲。『洗脳・搾取・虎の巻』。これをついこないだ知った俺に、ダメ出しをしたい。遅いよ、俺。
だって、電波ソングとかアキバポップとか、20代の若いやつらのもんだと思っていたから。毒汁たっぷりの歌詞がいい。「あなた方を搾取しますから、無知な愚民のままでいてください」って内容だもんね。元のゲームはまったく知らないけど、これだけで十分に強烈。どっかで、この曲を「癒される」って書いてたやつがいたんだけど……分かるような気がする。
昨年秋、『ひぐらしのなく頃に』と『School Days』が放送自粛になった。どちらも凶器を使った殺人シーンがあるからだというが、じゃあなんで萌えっぽい絵で殺人が必要なのか、放送自粛したって分かるはずがない。
『撲殺天使ドクロちゃん』を見れば分かるよ。美少女に凶器で殺されるってのが、一種の快楽になっているからでしょ。これを倒錯の二文字で片付けていいはずがない。ラノベやアニメやゲームの美少女に愛されることがウソならば、いっそ殺してくれってことじゃないのか。ハッピーエンドの用意された学園ドラマには、もはやリアリティがない。「そんなことで誤魔化されやしないぞ」ってことだ。
僕が劇場用パンフで関わっている『空の境界』もそう。ヒロインは、読者が感情移入すべき温厚な男子高生に殺意を抱えている。「殺す/殺される」関係に、ぞくぞくするようなテンションが生じるわけだ。それは「愛す/愛される」関係より、圧倒的に切実で甘美なはずだ。愛は観念、死は肉体。分かる気がする。
オタクでも努力すれば得恋できる『電車男』は、テレビ局に搾取されてしまった。僕はまとめサイトも読んだし、映画もドラマも見た。あれを喜ぶのは、まさに「無知で純粋な愚民」だよ。メジャー化するということは「愚民」に認識可能なレベルに薄められるということだ。そこに横たわる苦渋を、メジャー化する側が理解するはずがない。アキバ文化が大人に搾取される怒りが、『洗脳・搾取・虎の巻』には見え隠れする。怒りは愛の裏返しだ。
『電車男』を書いたのは、実は40歳の男性だという噂が流れていた。俺も40歳になってみて、おおいに得心がいく。あれは「ちょっとの努力で、人並みの恋愛は出来る。出来るっていうか、しろ」という説教だから。でもそれは、俺らの若い頃の話だよね。そういう古典的な恋愛観を、殺人を介在させることで、今の若いやつらは秘かに転倒させていく。その光景をよく見つめなければ。俺らオヤジは、右手に古典を抱えながら、左手に凶器をぶら下げなくてはならんのだ。
それが、「時代を生きる」ということだと思う。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ぼくもニコニコのおかげで本体ごとアイマス買えました。
アイマスは分かりやすさとそれに思わず釣られてしまう
煩悩との関係が明瞭だからおもしろいです。
メガゾーン23ネタのMADが個人的に凄くマッチ
してるなあと思えて好きですね。
投稿: ぢる | 2008年2月 7日 (木) 00時34分
■ぢる様
確かに、アイマスの表現力はすごいです。ニコ動は、最高のパブリシティとして機能していますよね。
ただ、えらい体力・気力を使いそうなので、もちろんアーケードは素通りしましたし、360も買っていません。まあ、ニコ動でMAD見てれば満足ということですね(笑)
>メガゾーン23ネタ
これなんか、グッときますね。http://www.nicovideo.jp/watch/sm692493
初音ミクもそうなんですが、80年代的アイドル歌謡は本当にバーチャルアイドルが引き継いでしまいましたよね。ネットの中なら、お客さんも沢山いますし。
投稿: 廣田恵介 | 2008年2月 7日 (木) 01時48分