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2008年2月17日 (日)

■眼高手低■

劇場版『空の境界』 「痛覚残留」パンフレット
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●メイキングページ 構成・執筆
先日、地方の映画館のHPを見ていたら、「空の境界を上映して欲しい」という書き込みがあった。なるほど、おそらく全国的にニーズはあるのだ。北海道から泊りがけで観に来ている人もいる。
分かりやすい比較例でいうと、島本和彦『アオイホノオ』第一巻巻末、島本氏と庵野秀明氏との対談で「宇宙戦艦ヤマトの布教活動をやっていた」というくだり。「面白いから、みんなに観てほしい」というファン心理、それが今は無い。これは『空の境界』やアニメに限った話ではなくて、90年代というモノのない時代を過ごした若者たちに共通の感覚なのかも知れない。
ちょっと寂しいんだけど、感傷癖のある僕には、うらやましくもある。

『アオイホノオ』は80年代初頭を舞台にした青春漫画だ。アニメ・漫画業界の重鎮たちが実名で登場し、金田パースの良さを女の子に力説するシーンまである。そうしたネタが通080216_16520001 用するのは、単にアニメや漫画に熱中していた人が多かったから(どこかで人口ピラミッドを調べてみるといい)。若者が圧倒的に多かった時代、アニメ・漫画ブームの陰に「布教活動」が機能していたのは間違いない。

『アオイホノオ』は、たまたま漫画やアニメをモチーフにしているだけで、かなり本格的な(つまり古典的な)青春漫画だ。主人公が眼高手低なのがいい。「漫画家になる」というプレッシャーを「夢が大きすぎて口に出来ない」と涙するシーン、読んでいる方もマジ泣きするよ。あと、ヒロインがいい。ルックス的にはボーイッシュな津田さんの方が好きだが、主人公をかいがいしく支えるトンコさんが断然いい。今風に言えば「俺の嫁」という感じだろうか。
「萌え」はともかく「俺の嫁」って言葉はねぇ……結婚をあきらめた世代が洒落として使っているんだろうけど、いかにも亭主関白っぽい。理想だけで実体験のない人間は、どうしても眼高手低になる。『アオイホノオ』は、眼高手低を乗り越える話だ。いや、そういう話であって欲しい。眼高手低は、メディアに関わる人間にとっては永遠のテーマだから。

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